月の少年と漂う月   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回で最終回になります。
少しオリジナル要素な感じになっています。
短いかもしれませんが、楽しんでいただけると幸いです。

それではどうぞ。


第2話 悠々と 後編

なんやかんやあって、それから1時間後。

 

「次は……クラゲのコーナーみたいですね」

「わ~、すごーい! この水族館ってクラゲがたくさんいるんだね! 水槽大きい~」

 

クラゲのコーナーに来た一同。

たくさんのクラゲが大きな水槽にいる事に驚く彩。

 

「あれ? 前に来た時は、こんなに大きな水槽は無かったと思うけど……」

「あの……この水族館、最近……リニューアルして……クラゲのコーナーを大きくしたみたいです……」

 

ここに水族館からのお知らせがと、花音の疑問に燐子が答えた。

 

「『お陰様で大人気!』とポップが貼ってありますね」

「ホントだ。えへへ、なんだか嬉しいなあ」

 

そんな紗夜と花音のやり取りを見た悠里が……

 

「そう言ってもらえると水槽の製造に関わった人間としては、個人的には嬉しかったり」

「「「「「えっ!?」」」」」

「……やっぱり、ユーリが関わってたのね」

 

のほほんとした感じに言う。

それを聞いて驚く5人に対して、ティアはジト目で悠里を見た。

 

「あれ? ティアちゃんは気付いてたの?」

「何年の付き合いだと思ってるのよ。赤いランプが付いたヘルメットを被った独創的なクラゲの絵を描く人間なんて、ユーリぐらいでしょ」

「……やっぱり知り合いにはバレるか。残念」

 

ティアに指摘され、5人はポップに目を凝らす。

よく見ると、確かにポップの背景には、赤いランプが付いたヘルメットを被ったクラゲが何匹か描かれていた。

 

何故か1匹だけ『ふえぇ~』と言っている絵があったのが気になるが……

 

「(完全に花音をイメージして描いてるわね、このクラゲの絵……)」

 

明らかに花音を意識して描いたクラゲだなと千聖は思った。

 

「ほら。クラゲって、ゆったり、のんびり漂う感じが個人的に好きなんだよ。見た目も丸くて可愛いし。ね、花音ちゃん?」

「うん♪ 可愛いよね~♪」

「ちなみに、この水槽の造形にも僕の拘りがあるんだよ。ポップの横にヒントが書いてあるから」

 

そう言われた一同はもう一度、ポップに目を凝らす。

 

「『この水槽の造形は『海の妖精』がモチーフになっています。詳しい事は○○○水族館のクラゲコーナーにて』と書いてありますね」

「あれ? そういえば『海の妖精』って、確かティアちゃんが……」

「花音の二つ名だって……」

「それって……つまり、そういう事……なんでしょうか?」

 

紗夜、彩、千聖、燐子が呟く。

 

「リンコ。流石のユーリでもそんな事はしないでしょ。()()()()()()()()()とか……そうでしょ? ユーリ?」

「…なんで燐子ちゃんとティアちゃんは簡単に正解に辿り着くのかな。まぁ実際にそうなんだけど……」

「ユーリ。私……今のは半分冗談だったんだけど……」

「ふ、ふえぇ!?」

 

悠里の言葉を聞いて、驚くティア。

そして実は水槽の造形モデルにされてた事に顔を赤くしながら驚く花音。

 

「……水槽にたくさんいるクラゲの管理って大変なんだよ?」

「そ、そうじゃなくて! なんで私なの!?」

「なんでって……クラゲ好き愛が誰よりも強いから。それに花音ちゃんをモデルにした水槽って、なんだか可愛いし」

「ふ、ふえぇ……か、可愛いって……恥ずかしいよぅ……うぅ~、悠里くんのバカ

「……褒め言葉として受け取っておくよ」

 

花音の小言が聞こえたのか、澄まし顔で悠里は言った。

 

「で、これが設計図なんだけど……」

 

他の人には内緒ね? と言いながら、悠里は6人に設計図を見せた。

 

「なるほど。上から見たら、カノンなのね……」

「そうなんだよ。特に花音ちゃんのサイドテール部分をどう表現するか大変だったよ……」

「へぇ。ねぇ、もしかしてカノンが着てる私服も再現したの?」

「……流石にその部分は悩んだかな。いくつかピックアップして、その中で造形しやすい物を選んだ訳だし……」

 

悠里とティアがそう話してる中……

 

「むぅ~っ!!」

 

頬を膨らまし顔を真っ赤にしながら、ポコポコと悠里の背中を両手で叩いてる花音の姿があった。

 

「こうしてるのもなんだし、そろそろお昼ご飯にする?」

「そ、それもそうね。せっかくのリラックスタイムなのだし、美味しいお茶でも飲みながら、ゆっくり話したいわ(花音と居る時の悠里って、いつもこんな感じなのかしら?)」

「それなら……上のフロアに、カフェスペースが……あったと思います……(松原さんと居る時のゆうりくんって……こんな感じなのかな?)」

「…それがいいね。あそこのカフェ、のんびりするにはぴったりだし……」

 

未だに花音に背中をポコポコと叩かれながらもスルーしてる悠里を見て、千聖と燐子は2人の関係って、同じ幼馴染みでもこんな感じなのかなと思った。

 

あくまで千聖と燐子から見た場合だが。

 

「それじゃ、そこに決まりね。それに()()()()()はみんなで共有しないといけないと思うの」

「? みんなが楽しめそうな話題なんて何があるのさ?」

 

ティアの言葉を聞いて、首を傾げる悠里。

 

9()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に憧れてました的な話とか、その先生から合格点を貰ったテストを額縁に入れて今も大切に飾ってる話とか……」

「「「「「っ!!?」」」」」

「……つっきー……余計な事をティアちゃんに話したな……」

 

それを聞いた5人は過剰に反応。

悠里は悠里で、ティアにその事を話したと思われる親友を軽く恨んでいた。

 

「いいじゃない別に。私もあの先生は嫌いじゃないし。手紙、届いたんでしょ?」

「……まあ、うん……」

「何その反応。もしかして、先生から何かのお誘いを受けたとか?」

「「「「「っ!!?」」」」」

 

ティアが言った『お誘い』という言葉にまたも過剰に反応する5人。

 

「……お誘いって……あのね、冬華(とうか)先生がそんな事すると思う?」

「ユーリ限定で誘いそう。あの人、ユーリに対しては特別優しい感じがするし。で? 実際どうなのよ?」

「……明日、冬華先生が抜き打ちテストするって手紙に書いてあった」

「それは、ご愁傷様」

「……言っておくけど、ティアちゃん達にも抜き打ちテストさせるって、手紙に書いてあったよ」

「はあっ!!?」

 

その言葉を聞いて、5人が聞いた事がないくらいの驚きの声を上げるティア。

 

「『特にティアは自分には絶対に抜き打ちテストなんて、こないって思ってそうだから』って書いてあったよ?」

「……」

 

その言葉に心当たりがあるのか、がっくりと肩を落とすティア。

 

「その……ゆうりくんが言ってる……冬華先生って、どんな人? わたし……何処かで聞いた事あるんだけど……」

「私も何処かで聞いた事があるんですが……」

「燐子ちゃんと紗夜ちゃんも? 私も同じ事を思っていたの」

 

気になった燐子が悠里にそう訊いた。

どうやら紗夜と千聖も同じ事を思ってたらしい。

 

「……去年、燐子ちゃんがピアノコンクールに出た時期に『ピアノ教室に通ってたの?』って、僕に何気なく訊いたでしょ?」

「うん、でも……ピアノが上手な先生に教わったって……言ってたよね?」

 

そう言われ燐子は思い出す。

確か悠里は、ピアノ教室には通ってないけど、ピアノが上手な先生から技術を教わったと聞いた。

 

どんな人かは気が向いたら教えるよって、言ってたのは覚えてる。

 

「その先生が、柊冬華(ひいらぎとうか)先生。『夜宴のピアニスト』、『通りすがりの氷の演者』って言えば、分かる?」

「「「……っ!!!」」」

 

その名前を聞いた3人は驚愕の表情になる。

 

柊冬華。

その名は音楽界では世界的に超有名な女性ピアニスト。限定的な時間帯……ほぼ夜中に演奏会を開く事から『夜宴のピアニスト』と言われる。

また『通りすがりの氷の演者』というのは、あるドラマの撮影にエキストラ枠でアドリブで演じた事から付いた二つ名であり、千聖もその演技にはかなり注目していた。

 

「で、ユーリはその先生の唯一の教え子なの。だから、2代目の『夜宴のピアニスト』ね」

「……尤も、『幻の歌姫(ファントムディーヴァ)』って印象が強いっていうのが、個人的には癪なんだけど……嫌じゃないけどさ……」

「……(だから()()()()()が終わった今でも、ピアノやキーボードだけは弾き続けていたのね)」

 

悠里の過去を知ってる千聖は、彼が今でもピアノやキーボードを続けてる理由を察した。

 

「まぁ、とりあえず上のカフェスペースに行こうよ。楽しい話題はみんなで共有しないと……ね? ティアちゃん?」

「……ユーリ、私が悪かったわ。だから抜き打ちテストの範囲、手伝って?」

「無茶言わないでよ……」

「「「「「……」」」」」

 

やっぱりこの2人は、お互いに信頼してる親友なんだなと同時に、悠里の新たな秘密を知ってしまったなと思う5人であった。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで出来たのも、読者の皆様のお陰です。
気が向いたら、また何か息抜きに書くかもしれません。

※最後にオリキャラの簡単なプロフィールです。


柊冬華(ひいらぎとうか)


容姿イメージ:『ぼくたちは勉強ができない』の桐須真冬

一人称:私

人物像:悠里に自身のピアノの技術を教えた人。またティア曰く、教師の資格も取得しており、悠里が唯一敬ってる『先生』の1人だとの事。


それではまたいつかどこかでお会いしましょう。
ありがとうございました。
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