彼―――鬼鉄が起きたのは【ピエロ】を倒した三日後だった。狂三はこの三日間ずっと看病していたせいか今は寝ている。
「いやあ本当に申し訳ないわあ。好きな女に心配かける男とか最悪だよな」
「まあ今回は相手がかなり強い精霊だったからね」
鬼鉄の言葉に返しているのは様子を見に来た零音だった。
「それで士道の方は?もう終わっちゃった?」
「ああ、無事精霊【プリンセス】。今は十香か。十香の力を封印したよ。どうにかぎりぎりだがね」
「俺の方は戦闘は結構余裕だったんだけどなあ。反動がきついぜ」
そう言いながら苦笑いを浮かべる鬼鉄。
「まあゆっくり休んでくれたまえ」
「おう。狂三といちゃいちゃしてれば一日で治る。ただ萌えすぎて出血多量で死ぬかもしれないがな。その時は『鬼鉄。誇りと共に逝く』って墓に書いといてくれ」
「ああ、了解した」
了解されたことにさらに苦笑いを深くする。
「すいませんでした」
「・・・」
「もう無茶は致しません」
「・・・」
「ごめんなさい。そして心配してくださってありがとうございます」
「・・・」
ただいま鬼鉄は土下座中だった。狂三に。狂三は静かに怒っていた。ぼろぼろになってきたことを、傷ついて帰ってきたことを、今まで目を覚まさないで心配をかけたことを。
「あの~。狂三さん?」
「・・・」
「素晴らしい美声をお聞かせ願えないでしょうか?」
「・・・」
「せめて怒って」
「・・・」
「うう、ぐすっ」
「え!?ちょっと泣かないでくださいまし!そ、その!もうあまり怒っていませんから。戻ってきていただいただけでもうれしいですわ」
目から涙は止まったが、鼻から血がドバドゥビヴァしてしまった。
「俺は誇りを貫いた・・・ぜ」
「鬼鉄!?」
「ぐばはっ!!」
「なんでですの!?」
いえ、あなたが初めて鬼鉄の名前を呼んだからです。
<鬼鉄side>
「あ~。い~いゆ~だ~な~」
現在風呂に入ってます。適温です。ちなみに明日から学校に行くことになりました。俺健康だからね。別に『健』なんて文字使ってませんよ?・・・嘘です。狂三を心配させないために使いました。
「失礼いたしますわ。鬼鉄」
「おお~、狂三か。・・・・・・・・・・・・・・狂三?」
あまりにも自然に入ってきた狂三に目を向ける。湯船が赤くなる。仕方ないんだこれは。『血』っと。これで輸血完了。
「何してるの?」
「背中を洗って差し上げようかと思っただけですわ。今日は寝かせませんのでそのお詫びです」
「寝かせない?」
「ええ、私もそろそろ我慢の限界ですので」
・・・狂三さんまじ積極的ぃぃぃぃ!!やばい!!やばいよ!!狂三マジ萌え!!!!
「じゃあお願いしようかな」
「はい」
俺は男だからな!やるときはガツンと行くぜ!!
次の日、狂三の動きが不自然だったことは目をつぶってくれ。やりすぎたんだ。俺が。でも仕方ないよね!!本当に寝かせなかったのは申し訳ないけど。
「おーっす」
「ああ、久しぶりだな鬼鉄。もういいのか?」
「おお、完璧だぜ士道」
現在学校である。転向してすぐに三日も休むとかダメなやつだな俺。
「体がなまっちまいそうだ」
「お前すごかったもんな」
そう言って士道と話していると教室がざわつき始めた。
「ん?なんだ?」
「え?鳶一?」
教室の入り口には包帯だらけの鳶一が立っていた。そしてこっちに歩いてきて。
「な!?」
「へ?」
士道に頭を下げた。
「何やっちゃったんだよ士道」
「ああ、色々あったんだ。簡単に言うと腹に穴あけられてな」
「それで生きてるお前がすごいよ」
「と、とにかく頭を上げてくれ」
士道が鳶一に向かってそう言うと、彼女は今度は士道のネクタイを根元から引っ張って顔を寄せた。
「浮気はだめ」
「は?」
「浮気までしたのかお前。最低だな」
顔を寄せる鳶一。ぽかんとする士道。笑う俺。その均衡を崩したのは担任教諭のたまちゃんだった。
「ええっと。何してるんですか?鳶一さん」
鳶一はたまちゃんを一瞥した後席に座った。
「そうそう、今日はは出席を取る前にサプライズがあるの。入ってきて」
たまちゃんに呼ばれてはいってきた二人の女の子!?
「夜刀神十香だよろしく頼む」
「時崎狂三です、皆さんよろしくお願いしますわ」
せ、セーラー服ときたか。やべえ鼻血が。
俺学校生活生き残れるかな?だって体育着とかあるし。
そっち系の描写はしない。したら色々残念になりそうだから。