「喰らい尽くせ。《黒牙》」
「ばーん」
鬼鉄の武器《黒牙》と、ブリトラのエネルギー弾がぶつかり、相殺される。彼のこの武器は強すぎてめったに使うことのないものだ。ASTの基地で受け取ったのがこれである。
実際この武器と渡り合うためには最低でも《反転》を使いこなす必要がある。ちなみに鬼鉄の《反転》は彼の奥の手その一である。
「『狂』『強』『疾』『極』」
文字を大量に浮かばせてさらに一撃の威力を上げる。
「死ねやあああ!!〖夜桜〗」
「ドラゴンジェットパンチ」
しかし彼の本気に近い一撃もあっさりと防がれる。ブリトラは現在巨大な西洋タイプのドラゴンになっている。《反転》時の特殊形態だ。この形態時はステータスが大幅に上昇し、鬼鉄ですら油断するとすぐに負けるほどである。
「『撃』!!!!!」
「バズーカショット」
ズガアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!
と大きな音を立てて鬼鉄がブリトラに肉薄し、絶大の威力を込めた拳で殴る。しかし同じくその巨大な腕の攻撃で防がれてしまう。
「いいぜやってやる。『狂』『恐』『凶』『強』『兇』」
鬼鉄がやったのは純粋な渾身の強化。
「全てを喰らい尽くせ《黒牙》」
「消し去れ《暗黒龍帝》」
二体の化け物の一撃がぶつかった。
「どうなってるの!?この異常な数値は!!」
そう叫んだのは琴里。士道による四糸乃の力の封印が終わった現在。琴里は【バーサーカー】と【ドラゴン】の戦闘を見ていた。そのあまりにもめちゃくちゃな攻防。ASTも今この映像を見て数値化し、絶望してるだろう。
【バーサーカー】が負けたら終わる。
と。それほどまでに【ドラゴン】の戦闘能力は高かった。
「これ鬼鉄勝てるの?」
「分からない。どちらも化け物だ」
「そうよね」
また攻撃がぶつかり大地がえぐられる。
「って何あれ!?」
「やばい!!」
それは鬼鉄が超強化を自分の体にかけて、ブリトラとぶつかったとこだった。
「空間震よりも圧倒的に威力でかいわよ!?」
「もうパラメーターが吹っ飛んでるね。これ以上の計測は無意味だ」
琴里と零音が唖然としていると二人の戦闘が急に終わった。
「おなか減った」
「締まらねえなあ。はあ『解』」
鬼鉄はあきれるようにそう言うと、《反転》を解いた。それに続くようにブリトラも《反転》を解き人型に戻る。
「ごっはん」
「はいはい。被害が出てないかなり遠くのファミレスにでも行くかね。あ」
「あ?」
ブリトラの要求にいつも通りこたえようとして彼はいいところに気がついて声を上げた。それに首をかしげるブリトラ。その問いかけに彼はにんまりと口を笑みの形にする。
「あったぞ。いっぱい飯食えるとこ」
「本当?」
彼は上空を見上げる。ブリトラも見上げた。
「行くぞ。『移』」
彼に選ばれた被害者はラタトスクだった。
「飯よこせ」
『盗賊か!!!』
ラタトスクにいた全員のフル突っ込みだった。
「食べた」
「そりゃあよかった」
現在三人はラタトスクの一室でご飯を食べていた。ちなみに三人とは鬼鉄、ブリトラ、狂三である。
「何で私までここにいるんですの…」
「狂三成分がないと俺は戦えないから」
「狂三、鬼鉄のお気に入り」
結構仲良しムードで飯を食べてた三人。そこに入ってくるものがいた。琴里と零音と士道である。
「どう?調子は」
「大丈夫なのか?」
「おー心配してくれんのか五河兄妹。久々に《反転》出したからな。ぐっジョブだぜ」
心配そうに声をかける五河兄妹。それに笑みで返す鬼鉄。
「君たちのおかげで四糸乃のもたらした被害が塵カスに見えるよ」
「まあ俺達だからな」
「余裕」
実際全力を出したらもっとやばかった。あれは二人とも全力を出していなかったのだ。俺は熟語も、自分を強化する以外の文字も使ってなかったし、ブリトラはブレスや尻尾や牙を使ってなかった。
「というか本気出したらやばいって」
「うん」
「この人たち本当にいやですわ」
狂三のため息が虚しく部屋に反響した。
「はい?」
次の日。朝から狂三は驚愕していた。
「ははは。ちゃんと話聞いてくれよ狂三」
そう言うと鬼鉄はにかっと笑って言った。
「今日からここの住人になるブリトラさんだ」
「ふつつか」
悪夢のような光景だった。
「ちなみに食費はラタトスクから出るから」
「歓迎いたしますわブリトラ」
「ん」
変わり身の早さが自慢になりそうな狂三だった。