バカな超人と悪い精霊   作:海鳴り

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この精霊というのは十香の原作での二回目の登場シーンのことです。


精霊が来るまで 1

 再び精霊が現れるまで早くて一週間あると言われた鬼鉄はひとまずASTの基地に来ていた。武器を取りに来たのだ。

 

「へーい!」

 

「申し訳ございませんがここから先関係者以外の方は立ち入り禁止となっております」

 

「おー、DEM社から来たんだけど」

 

 そういって受付に身分の書かれたプレートを見せる鬼鉄。

 

『DEM社特殊精霊殲滅隊 No,001 近藤鬼鉄』

 

 それを見た受付の人があわてて頭を下げる。

 

「す、すいません」

 

「別にいいよー。武器取りに来たんだけど何か聞いてる?」

 

「いえ、それは私には。中のものに聞いていただけますか?」

 

「了解」

 

 受付に礼を言って中に入るとたくさんの人があわただしく動いていた。

 

「おおー。やっぱりこう騒がしいのもいいね。血が騒ぐ」

 

 そう言って笑う彼の後ろから声をかけるものがいた。

 

「どなた?ここは関係者以外立ち入り禁止よ?」

 

「ん?」

 

 後ろを振り返ると20代半ばの女性と、黒い刀を持った少女が立っていた。

 

「近藤鬼鉄?」

 

「んん?ああ、鳶一か。何だお前ASTだったのか」

 

 それは同じクラスの鳶一折紙と、ここの対精霊部隊の隊長、日下部燎子だった。

 

「知り合いなの?」

 

「今日学校に来たクラスメート」

 

「はーい。DEM社からの出向ですよ~。あ、その刀俺のだわ。返してー」

 

 折紙が持っている黒い刀はDEM社の最新鋭の武器だ。様々なギミックがあるが、使うためには精霊の使うエネルギーが必要なのでほぼ鬼鉄専用武器だ。

 

「はい」

 

「ありがとー」

 

 折紙の差し出した刀を受け取り、刀入れに入れる鬼鉄。そして改めて彼女たちと向き合った。

 

「俺の名前は近藤鬼鉄。DEM社の特殊精霊殲滅隊にいたんで組織行動は全くできない。社長さんにも適当にやれって言われてるんでな。あ、でも【ピエロ】か、【ドラゴン】が出たら教えてくれ。俺の獲物だから」

 

「私は日下部燎子。こっちが鳶一折紙です。こちらこそよろしくお願いします」

 

 彼女は彼が自分よりもかなり上の身分であることに内心驚愕しながらも、動揺はあまり顔に出さなかった。

 

「うんうん。よろしくね。と言っても俺は本当に組織行動ができないから。そこのところもよろしく」

 

「はい。了解しました」

 

 彼女は彼の意外な礼儀正しさに、自分の聞いていた特殊精霊殲滅班の噂は嘘だったのかな?と思った。

 

「どこか行くの?」

 

「はい。訓練です」

 

「そっかー。じゃあ俺が鍛えてやろうか?」

 

「・・・それもいい経験になりそうですね。分かりました」

 

 世界最高峰の人に鍛えてもらうのはかなりいい経験になりそうだ。日下部にしても願ったりかなったりだった。

 

「戦える奴全員で来てくれてかまわんよ」

 

「は?」

 

「じゃあ先に訓練所で待ってるから」

 

 そう言って唖然としている日下部を置いて彼は訓練所に走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

「ほれほれどーした。その程度で精霊と戦うのか?向こうが殺す気なら即殺されるぞ!」

 

 繰り出される拳にまた一人沈む。元々三十人いた彼らはもう六人に数を減らしていた。

 

『・・・どうしましょうか』

 

 日下部の通信が聞こえてくる。内容は今のこの状況を打破する方法の質問だった。今鬼鉄は何も装備していない。ユ〇クロで買った普通の服を着ているくらいだ。それでもこの戦力差。ただのパンチやキックでこちらの仲間を沈めてきていた。

 

「ああ、それも耳がいい奴には聞こえると思うぞ?通信のことな」

 

『な!?』

 

 鬼鉄は当たり前のように通信が聞こえているという。そしてそれを指摘された隊員が二人、パンチで吹き飛ばされる。

 

「はいあと四人。がんばれーってね。『探』っとそこか」

 

 また一人隊員が見つかり、意識を刈り取られる。

 

「はいあと三人。これでっ!二人」

 

 さらにまた一人とやられ、残ってるのは折紙と日下部だけだった。

 

「突っ込む」

 

「はあ。本当に化け物ねこいつ」

 

「心外だなあ」

 

 次の瞬間に二人は同時に飛び出し、残っている全ての弾丸を発射した。打ち終わったのと同時に装備を捨て、ノ―ペインで斬りかかる。

 

「結構やるなあ。『鎖』」

 

「「!?」」

 

 しかし鬼鉄の作りだした『鎖』に止められてしまう。

 

「はい残念でした」

 

 そして彼の打ち出したデコピンで意識を持ってかれた。

 

 

 

「ふんふふ~ん」

 

 あの訓練が終了し、ノ―ペインとかいうかっこいい武器を手に入れた鬼鉄は上機嫌だった。

 

「ん?狂三帰ってきてるのかな?」

 

 家の明かりがついてきていることからそれを察した鬼鉄は駆け足で家に戻る。

 

「ただいま~!」

 

「おかえりなさい」

 

 ドアを開けて中に入ると狂三が笑顔で出迎えてくれた・・・エプロン姿で。

 

「がはっ!」

 

「喀血!?」

 

 そのあまりにもヤヴァイかわいさに内臓が変な動きをしてしまった鬼鉄は瀕死だった。

 

「まじぱねえっす」

 

「ありがとうございますわ。今日はご飯を作っておいたんですの。く、口に合うかは分かりませんが」

 

 途中でかみ、顔を赤くさせる狂三。床を赤く染め上げる鬼鉄。それでも彼は漢だった。

 

「こう言ってくれ。ゴニョゴニョ」

 

「なっ!?」

 

 鬼鉄に言われたことに顔をますます赤く染める狂三。親指を立てて超いい笑顔をする鬼鉄。負けたのは狂三だった。

 

「お、お、おかえりなさい。あ、あなた。あう、ご、ご飯にす、する?お風呂にする?そ、それ、それとも、あうう」

 

 もう顔で湯が沸かせるんじゃないかってほど赤くした狂三はとどめを吐きだした。

 

「それとも、わ、私にする?」

 

「狂三にします!!!」

 

 元気よく答える鬼鉄。もう床は真っ赤だった。

 

「いいから早くご飯食べてくださいまし!!」

 

「あーんしてくれ!」

 

 ここでさらに願望を吐露する鬼鉄。彼の辞書に『不可能』の文字はないのだ。

 

「え、ええ!?わ、わかりましたわ」

 

「いいの!?きたー!!」

 

 その日は、いやその日も平和な二人だった。

 

「というわけで今日も一緒に寝よう?」

 

「なんでこの家にはダブルベットが一個置いてあるだけなんですの?」

 

「もう一個どこかに置いといたらそこで寝ちゃうでしょ?」

 

「確信犯ですか」

 

「うん。おやすみー」

 

「だ、抱きつかないでくださいまし」

 

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