「俺と【ピエロ】の関係?」
「そうだ。なぜ君がそんなに執拗にも彼女を追ってるのか知りたくてね。【ドラゴン】の方はあまり必死じゃなさそうじゃないか」
「それは私も聞きたいわね」
「お、俺も」
【ピエロ】が現れる二日前。鬼鉄はラタトスクで零音と琴里と士道に囲まれていた。聞かれていることは【ピエロ】との関係。別に隠しているわけではないので、彼はあっさりと白状した。
「俺とあいつら四人は知り合いだったんだ」
「四人?」
「ああ、【ピエロ】【ナイト】【クリエーター】【ドラゴン】の四人な」
仲のいい精霊たちだった。でも全てはあっさりと消え去った。あの日、【クリエーター】が狂ったことにより。
「あの日起きたことは実に簡単だ。勘違いによる殺しの連鎖が起きたこと。たったそれだけのことだったんだ。狂った【クリエーター】は元々すごい優しい奴だったんだ。だからこそ狂った」
「なんでだ!?優しい精霊だったんだろ!?」
士道が不可解だとでも言うように声を荒げる。
「なあ士道」
「な、なんだ?」
「優しくてかわいい花屋の店員と、冷酷な殺し屋の女の子。人を殺したときに精神が壊れやすいのはどっちだと思う?」
「そんなの今かんけ・・・あ」
頭の中でピースがつながったという顔をする士道。
「そう。あいつは優しかった。だからこそ自分が人を殺した、という罪の意識に飲み込まれた」
でもそれは本当に始まりだった。
「それに一番最初に気づいたのは【ナイト】だった。あいつは【クリエーター】の精神が死んでるのを理解し、他の奴に被害が及ぶ前に殺そうとしたんだ。そして【ナイト】が【クリエーター】を殺そうとする瞬間だけを見てしまったのが【ピエロ】だ。あいつはどうしたと思う?」
「まさか殺してしまったのか?【ナイト】を」
零音の言葉に静かにうなずく鬼鉄。彼は話を続けた。
「当たり所が悪かったってやつだな。【ピエロ】はすぐに【クリエーター】の方にかけていった。そこですぐにわかったんだ。彼女の精神はもう死んでいて、【ナイト】が何をしようとしたのか。それらに気づいて後ろを振り返った時にはもう遅かった。【ナイト】はもう死んでいたから。自分たちのために、自ら汚れ役を買った【ナイト】を殺してしまった。俺と【ドラゴン】が帰ってきたのはちょうどその時だった」
そこで鬼鉄は一度言葉を切り、遠い目をする。その時を思い出しているかのような目だった。
「【ピエロ】は精神がおかしくなって≪反転≫しかけてたよ。その時に最後に残っていた自我と約束したんだ。簡単にすると
『あなたに最後のお願い』
『なん、だよ』
『もう私の名前を呼ばないで。舞香の意識はここで消える。あなたには後処理を頼みたいの』
『そうかよ』
『反転した私を殺してくれる?はは、泣かないでよもう。【ドラゴン】のこともよろしくね?あの子ぬけてるとこあるから』
『おい!?舞香!?』
『ありがとう、鬼鉄。後は任せたよ?』
って内容だった」
それはあまりにも悲しくて、どうしようもないほど残酷で、最悪なほどに美しい。
精霊同士の友情だった。
「俺は狂ってもう何も覚えてない【ピエロ】を。いや、舞香を楽にしてやりたいんだ。そのためにあいつを殺す。【ピエロ】になっちまった舞香を殺す。それが約束。
そう言って彼は獰猛に笑った。
「俺が狂三以上に優先するのはこれだけだ。これだけ終われば、狂三といちゃいちゃできるぜーーーー!!」
「あれ?そういう話だったっけ?」
「ふむ。愛は偉大なりか」
「そういう問題なのかしら」
呆れてる彼らは知らなかった。鬼鉄が最後にさびしげに笑ったことを。
次回で【ピエロ】討伐は終了です。多分。