「ただいまぺこ~」
「おかえりなさい、今日のジャンプもとってもプリティーでラブリーでしたね」
「そんな~、テレるぺこ」
返ってきたペコラビットを、キアラサンが迎える。
そして大切な話をペコラビットに伝え始めた。
「ペコラビットさん、今回の負けによってあなたのツケが、9,999回になりました」
「へ、へぇ。そうぺこか……あ、それじゃ10,000回になったら記念に2,000回分くらいおまけしてほしいぺこ?」
「それは出来ませんが――実はそれ以上に良い提案があるのです。もし、次の勝負で最下位にならなければ、これまでの9,999回分のツケをチャラにしますよ」
「なっ、ほんとぺこか!? 最下位にならなければ全てチャラ!?」
最下位になる確率は単純に考えて25%。逆に75%の確率でツケをチャラに出来る計算だ。
「ぜひやるぺこ!!」
「ただし。もちろん条件があります」
勢い込んだペコラビットに待ったをかけるように手を上げて条件を伝える。
「もし、晴れて最下位となりツケのストックが10,000回を達成した暁には、全てのツケをまとめて回収させて頂きます」
「なっ、どうやって回収するぺこか?」
「それは達成してからのお楽しみです♪」
キアラサンがニコニコと満面の笑みで答える。
取り立てられるペコラビットからすれば恐怖しか感じられない笑みであった。
「そして、他の3人には一つ約束をしました。約束は、ペコラビットさんからツケを回収するのに最も貢献してくれた方のお願いを一つ、女神である私が聞くというものです」
「そういうことっすね、スバルの臨時ボーナスの為にもペコラビットには最下位になってもらうっすよ」
「うっ、皆してペコラビットちゃんを最下位にさせにくるぺこね」
「あ、ただ、他の人からロン出来るのに見逃してペコラビットさんを狙うようなことは禁止としますので、そこは安心してください」
ペコラビット以外から3人が絶対にあがらないとするとさすがに不利になりすぎるからだ。
最下位でなければ9,999回分のツケをチャラにしてもらえる破格の条件。
掴むことができれば一発逆転の大勝利だ。
ぜひとも受けたいけど、上手く立ち回れるだろうか。
悩むペコラビットに、キアラサンがもう一声かける。
「そうですね、10,000回に到達するかもしれない始めての機会ですから、今回だけ特別に条件を緩くしましょう。最下位ではなく『飛ばなければ』ツケをチャラにしますよ」
「なっ、ホントぺこかっ、後でやっぱり嘘とか言わないペコね!?」
「ハイ、女神に二言はありません」
ダメ押しの条件提示にペコラビットの心の天秤はコロッと傾いた。
狙われるとはいえ、東風戦という短期戦で飛ぶ程の大負けは中々起こらない。
このチャンスを逃す手はなかった。
「わかったぺこ。ペコラビットちゃんがその挑戦受けて断つぺこよ」
「さすがペコラビットさんです。きっと受けてくれると思っていました」
つい先ほど、飛ばされたばかりであることなどすっかり忘れて、勝った時のメリットに目がくらんでいるペコラビットであった。
こうして、運命の勝負が始まった。
「あ、ツモッたぺこ」
東風戦は、4人が一回ずつ親になる。
親以外の人が勝ったら、親が流れて次の人が親になる。
親の順番は、カリオ・ペデス、スバルドダック、ペコラビット、そして最後がシシローンとなった。
今は序盤の2人が親を終えてペコラビットが親になっていた。
「あっはっはっ!! あんた達にいくらペコラビットちゃんを警戒しても自分でツモれば問題ないぺこよ」
親が自分でツモると点数が高い。しかも跳満と呼ばれる中々の高得点を叩き出し、この時点でなんと1位に躍り出たのだった。
「ぺこぺこぺこw 運が向いてきたぺこ」
「グワァー、スバルの点数がなくなるっす!?」
「スバルドダックはもはやスズメの涙のような点数ぺこね。スズメに転生でもしたらどうぺこか?」
「グワァー、まだ負けた訳じゃないっすよ。ここからひっくり返すっす」
これなら行けるぺこ。
ペコラビットは、後半に差し掛かってトップを走る状況に気が大きくなっていたが、残念ながら独走は許してもらえない。
すかさずカリオ・ペデスがペコラビットからあがり点を奪い返した。
「ふっ、油断大敵っすね」
「あんたがあがったわけじゃないぺこでしょ!? スズメの涙のくせにデカい顔してんじゃないよ」
強がってはいるが、ペコラビットにとって今のは痛い敗北だった。
次が最後の勝負になるが、点数を奪われたせいで役満を出されると『飛ばされてしまう』
気が抜けない状況で、最後の勝負が始まった。
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