視点:るしあ
「それでは~、授業を~はじめたいとおもいますが~、今日は新しく授業のアシスタントをしくてくれますー先生を紹介します」
そういうと、ココ先生が教室の入り口に人を招き入れるように手を伸ばした。
教室の扉が、ヴァァーーンと勢いよく開く。
扉の向こうから、人影が勢いよく飛び出して教壇の中心に降り立った。
ココ先生から紹介が入る。
「オーストラリアからやってきました~スカーレット・ハート先生です」
「はあちゃまっちゃま~!HAACHAMACAMA~~~!!!ワールドワイドな最強アイドル!はあちゃまこと赤いはあとです!」
凄いテンションで言い切った……が、今のは英語だっただろうか?
ちょっと、聞き覚えのない言語と、日本語が混じっていたように感じたのだけども。
テンションの高さに圧倒される。
周りも同様みたいで、拍手をしようという動きが見えずに沈黙が流れる。
「ちょっと、ココちゃん!だれがスカーレット・ハートなのよ!ちゃんと紹介してよね。みんな混乱してるでしょ!!」
「いえ、まるで日本人の様な、赤いはあと氏と紹介できる存在ではないように思いまして」
「どういう意味よ!バリバリ日本人よ!いいわ自分で紹介するから」
そうって、改めて挨拶を始める。
「改めて初めまして、つい最近オーストラリアから帰ってきたいわゆる帰国子女の赤いはあとよ。年もほぼ変わらないし気軽にはーちゃま♡って呼んでね(^_-)-☆」
落ち着いて話してくれれば、ちゃんと聞き取れる日本語だった。
海外生活をしていたからだろうか。とてもフランクな先生らしい。
でも、先生をはーちゃま、と呼んでいいのだろうか?
「ココちゃん、日本の授業開始の挨拶。久々にやってもいいかしら?きりーつってやつ」
「オーストラリアではやりませんよねぇ~。まぁ今は英語の授業なんで、普段やらないんですけど、やってもらってもいいですよ」
「OK!!それじゃー、皆さん、きりーつ」
はーちゃま先生の掛け声でクラスの皆が席を立つ。
「ちゃくせーき」
全員が席に着く?
「れーい」
全員が礼をした。席に着いた姿勢で……。
「あっはははwwww」
「……」
実行犯が笑い転げていた……。
うん、なんとなく性格はつかめた気がする。はーちゃまでいいや。
その後、生徒が4人組で英語の会話を交わす様子を、ココ先生と、はーちゃまが見回りながら授業が進む。
「ねねちゃん、はーちゃまが来ましたよ?」
「あ、ホントあるか」
今日も一緒にペアを組んでいたねねちゃんが、はーちゃまが歩いてきた方に振り向いた。
まだ、ちょっと慣れないけれど、最近クラスでよく話す人は[さん]付けから[ちゃん]付けに変えていた。
話したいことがあると言っていたねねちゃんが、はーちゃまに声をかけた。
「はーちゃま先生は、オーストラリアから来たんですよね。言葉はどうやって覚えたあるか?とっても上手ある!!」
「んーそうね。まぁ、現地で生活していればおのずと覚えてしまうものよね~。もちろん、私をもってしても最初は苦労したけどね!」
「やっぱり、会話をするのがベストアンサーあるな!!」
ねねちゃんは、律義に先生をつけて呼ぶことにしたらしい。
言葉を学ぶ目的は、コミュニケーションをとること。
使うつもりがないのに学んでも身につくはずもないし、思いを伝える経験を積むのがやっぱり早いようだ。
「実践あるのみある!!では、はーちゃま イズ べりーべりーグッドジャパニーズ!!」
「あたしは、日本人だっていってんでしょーーーーがああああ」
「へぶしっある~~」
見事なはーちゃまのアッパーを食らったねねちゃんが、きれいなアーチを描いて飛んで行った。
……ねねちゃんの気持ちはわかる。
けど、今のは自業自得かもしれない。
これからの授業は賑やかになりそうですね。
赤い髪を鮮やかになびかせて拳を打ち抜いた、ハイテンションの新しい先生を見る。
数秒後にはココ先生の拳骨を食らうであろう、その若き先生が加わる学園生活は、賑やかで鮮やかで、ちょっぴり刺激的な日々になりそうだった。
お読みいただきましてありがとうございます。
これからも投稿していきますので、興味を持っていただけたらお気に入り登録をお願い致します。