視点:るしあ
「えっと、大丈夫ですかスバルちゃん?」
のぼせたような顔をしたスバルちゃんに声をかける。
「いやー、大変な目にあったっす。ひどくない、るしあさっさと逃げちゃうんだもんなぁ」
「あはは、ごめんね?危険を感じてついつい」
条件反射的に逃げ出してしまった。
「そうそう、さっき今教室の前でお兄さんのポルカさんに会いましたよ。スバルちゃんの様子を見に来てたみたいなのです」
「へー、兄貴が。あれ? さっきってあの時っすか?」
「そう、スバルちゃんが大人気だった時だね」
「うわー、ヤバいとこ見られたー。絶対後でからかわれる。これは余計なこと言われる前に圧かけとかないといけないっすね」
「圧ってどうやって?」
「朝起こさない……訳にはいかないから、食事のおかずを一品人質にするっすかね」
「胃袋を握っているのは強いねw」
それじゃ、帰ろうかという時、同じタイミングで帰宅しようとしていたあくあちゃんとねねちゃんに声をかけて一緒に教室の外に向かう。
ねねちゃんは学生寮だが、校門から一旦出た先にあるのでそこまで一緒に歩く予定だ。
「ねねちゃんは、学生寮には慣れたっすか」
「うん、先輩たちがいい人たちで生活の仕方とか丁寧に教えてくれるから慣れたあるよ」
寮での生活については、先輩が後輩に伝えていく仕組みのとのことだった。
ねねちゃんは屈託なく明るい性格だからきっと可愛がられているのだろうと思う。
一人で新しい生活を始めるのは大変だと思う。
ただ、私はまだお兄ちゃんを通じた間接的な先輩との関りしかないので、自然と先輩と交流が持てるのはちょっと羨ましいとも思った。
部活動についてもそろそろ考えようかな?
ねねちゃんの話を聞いていたらそんな気持ちになった。
下駄箱で靴を履き替え校舎からでる。
校舎は真新しくほとんど傷もなくきれいなものだ。
教室が校門からは遠い位置にあるため、校舎に沿って伸びる道を歩いて校門へと向かう。
皆で話をしながら歩き、ちょうど校舎の中央まで来たところで、目の前に校長先生の銅像が現れた。
校長という響きの印象からすると若い男性の銅像だった。
校長先生は学園の創始者だ。
新しいグローバル時代、IT時代に即した学びの環境を作りたいという理念でホロ学園を開校している。
「校長先生がこの学園を作ってくれたおかげで、いい友達と巡り会えたあるね~」
校長先生の銅像の前で足を止め、ねねちゃんが、ぱんぱんと手を叩き銅像に頭を下げていた。
「それにしても、銅像にしてはきれいすぎるかな? 新しすぎると、こう、風格が足りないある」
「それはそうでしょ。まだこの学園は創設してそんなに立っていないから。たしかに、銅像って聞いたら、二宮金次郎とか、西郷さん、あとは忠犬ハチ公像みたいな50年とか経ってるものをイメージするから、あたしも違和感はあるのはわかるけどね」
あくあちゃんが言うように、銅像=歴史あるものをイメージするだろう。
「風格についてはこれから歴史を経ていくなかで徐々に表れてくると思うのです」
「スバル達と共に過ごす中で銅像も成長していくっすね」
「あ、そうだ、学園に入学させてもらったお礼にお供え物をしようと思うある」
ねねちゃんは、いいことを思いついたと手を叩き、肩にかけていた鞄から袋を取り出す。
それは家庭科の授業で、はあちゃまにプレゼントされた硬くて真っ黒な【タランチュラの姿焼き】を入れた袋だった。
「お供えものですか?」
「そうある。この学園で新しく開発されたこの新素材は校長先生にお供えするのにぴったりある」
「確かに、あ、それならスバルもこの学園に入学させてもらった感謝を込めてお供え物をするっす」
スバルも鞄を開けると、中からスイッチを入れるとうごめく謎の物体【やる♡スイッチ】を取り出した。
「あ、それじゃこの袋に入れて一緒にお供えするある」
そういって、差し出した袋にスバルちゃんがスイッチを入れる。
お供えと称して二人して危険物処理を慣行するつもりらしかった。
後で埋めるとして、まずはお供えをする。
あのタランチュラは出来れば取り出したくはないということで、校長先生の前に袋ごと置く。4人で少し距離をとり、手を合わせてお祈りをする。
私は、お兄ちゃんと共に通えること、そして新しい友達との出会いに感謝をささげておく。
すると、がさがさがさっと音がする。
見ると、校長先生の銅像にお供えした袋がうごめいている。
「あれ、ひょっとしてあのスイッチ入っちゃったっすかね?」
スバルちゃんが眉をしかめつつも、いやいやスイッチを止めようと袋に近づく。
すると、袋から何かが飛び出しスバルちゃんに飛びかかった。
「う、うあぁ」
「危ないある!!」
驚いて後ろに下がるスバルちゃんに追いすがるように飛び掛かった物体を、ねねちゃんが
横から殴り飛ばした。
謎の物体は数回弾むと、むくりと起き上がる。
それは、はあちゃまが生み出した、真っ黒に染まったタランチュラだった。
何をやっても傷つける事すらできないほど硬かったはずで、そもそも生きてはいなかったはずだが、嘘のように足をシャカシャカと動かし態勢を整えている。
背中には、あのやる♡スイッチなるものがドッキングしていた。あのスイッチにそんな特殊能力があったのだろうか。まるで、タランチュラに寄生して動かしているようにも見えた。
「ねね、ありがとうっす。それにしても、うげぇ動きが気持ち悪いっす」
こぶしサイズの寄生タランチュラは、おしりを振り振りふり回している。
全く可愛くない。あまり目にしたくないが、前のめりに飛び掛かる姿勢をとっている相手から目を背けるわけにもいかなかった。
次の瞬間、今度はねねちゃんに飛び掛かる。
軽いフットワークで避ける。タランチュラは着地すると直ぐに向きを変え飛び掛かっているがねねちゃんは機敏な動きで避けていた。
クラスでもトップクラスの運動神経をいかんなく発揮している。
しかし、
「な、なにあるかこれ!?」
気がつくと、ねねちゃんの両手をまとめるように何かが巻き付いている。
どうやら飛び掛かっている中で、蜘蛛の糸を絡めていたらしい。
そして、動きが制限されたところで、ねねちゃんの背後にタランチュラが飛び掛かる。
「あぶないっす」
スバルちゃんが鞄をフルスイングして弾き飛ばした。
今度は、ねねちゃんの背後をスバルちゃんが守る。
大きく、弾き飛ばされたタランチュラはいったんこちらを向いた後、すぐに別の方向を向く。その先には、2人組の女子生徒が歩いてる。
ねねちゃんとスバルが手ごわいと見て取ったのか狙いを変えたようだ。
「危ないのです!」
タランチュラが女子生徒に向かって走る。
「きゃっ、なにこれ!!?」
「え、どうしたの美咲、いやー蜘蛛!?」
声をかけるがとっさのことに反応できていない。
タランチュラは、美咲と呼ばれた女子生徒の胸元に飛び掛かると肩を伝って背中に回る。
脚を服に引っかけ背中の中心に体を固定すると、一本の脚の先端を注射器のように背中に突き刺した。
1人の女子生徒を襲ったあと、もう一人は無視して他の生徒を襲いに行く。
「あ、あぁあああ」
「ちょっと、大丈夫!!保健室。保健室いこ」
刺された女子生徒が少しの虚空をみて放心している。
隣の子が慌てて、保健室に連れて行こうと手を引く。
すると、放心していた美咲さんはその手を強く引き寄せて、急に抱きしめた。
「え?どしたの美咲?急に抱きついたりし、んんんー!!?」
そして、そのまま……キスをした。
何が起こったのか?
駆けつけようとしたけれど、しっかりと抱きしめてキスを始めたのを見て思考が停止した。
その間も、耳には次々と被害が拡散している声が響く
「うわ、何だよこいつ、ああぁあああ」
「ん、どうしたんだよ、急に叫んだりして。おい、目がやばいぞ大丈夫な、んんー、おまっ、離れろ、おえなんてことしやがる……俺の俺のファーストキスがぁあああ」
「きゃー、何か背中にくっついた!!」
「どうしたの、何それ、いやこっち来た」
「あんたたち、何を騒いでるぺこ?ちょっと急に黙ってどうしたぺこか?あれ、ちょま、待つぺこ、なんで二人して抱きついてくるぺ、むーーーー!!?」
「どうしたんですか由香里先輩。えっ、キス!?そんな、由香里先輩が私に……!?私、私も先輩の事……」
わーわー、きゃーきゃー騒ぐ声が、そこらかしこで響き渡って阿鼻叫喚といった様子になる。
やる♡スイッチにより覚醒したタランチュラは、どうやら2人以上の同性ペアを狙っているらしく、抱き合っているのは必ず同性だ。
あの【やる♡スイッチ】は、マリンちゃんがスバルちゃんのために用意した物だ。
まさか、あのタランチュラはマリンちゃんが操っていたりしないよね?
お尻を振り振りしながら嬉々として男女を襲っているタランチュラの様子に……ないと言い切れないのが怖いところだ。
刺された効果はキスをすることらしい。
たしか、初心者用のスイッチだと言っていた。
初心者用のスイッチがキスならば、ルーナちゃんがもっていた上級者用のスイッチだったらいったいどんな状況になっていたのだろうか。
想像すると恐ろしい。
そして、まつりちゃんが持っていたカスタムタイプというスイッチは何だったろうか。
たしか近親……、あのタランチュラに寄生したスイッチがまつりちゃんの持っていたスイッチで、お兄ちゃんがたまたまこの場に通りかかっていたら、ひょっとして……!!?
――慌てて横に飛ぶ。
いつの間にか接近していたタランチュラが脇を通り過ぎていく。
危ない危ない、考え事をしていて周辺確認がおろそかになっていた。
タランチュラは、多くの人を襲う間に随分と変化していた。
拳サイズだった胴体が大玉のスイカのように膨らんでいる。
脚もアシダカクモのように長く伸びて、立ち上がったら人の身長に届きそうな大きさだ。
さらに、体の色が徐々に赤く染まってきている。
そして赤い点滅を繰り返しており、点滅間隔も徐々に短くなっていた。
赤い点滅と言えば爆発と相場は決まっている。
家庭科教室での電子レンジ爆破事故が思い出さ、この後の展開が不安を感じた。
向かい合っている大きく成長したタランチュラを見る。
近くでみるとやっぱり虫は苦手だ。
背中がかゆくなるような、ムズムズするような気がする。
昔は平気で触っていたのだけど、成長する中で、いつの間にか苦手意識が働くようになっていた。
急接近してきたタランチュラの攻撃を今度はしっかり見て避ける。
けれど、私にはねねちゃんほどのスピードはない。
そのため、捉えられそうになる。
「るしあ!?」「るしあちゃん」
スバルと、ねねちゃんの声が聞こえる。
「大丈夫!」
前方に進むと見せて、左足を起点に体を後ろにターンさせながら進行方向を変える。
フェイントに引っかかりタランチュラの脚が空を切る。
タランチュラが距離を詰めてくるが、脚の動きをよく見ながら、進むと見せて引き、引くと見せてターンして方向を変える。
習っているダンスの足運びを意識する。
パートナーの足運びを感じ取り、こちらの足運びを合わせるのは基本だ。
今はそれを回避に応用する。
スピードではなく、蝶が舞うような、ひらりひらりと不規則なステップでタランチュラを翻弄していると、急にお尻を突き出してきた。
糸が吹きだし絡めとろうとしてくるが、その行動は既に知っている。
大きくなって動作が見やすくなったこともあり、余裕をもって回避する。
「巣を作って待ち構えているならともかく、今更糸を一本出した程度で蝶を捕まえようなどと甘いのです」
相対している間、タランチュラのサイズは変わらない。おそらく、人を襲うことで何かを吸収して大きくなっていたのだろう。
ただ、体が明らかに赤くなり、さらに点滅の速度も早まっている。
いざという時に離脱できるだろうか?
終わりの時が近いことを感じならが、距離をとる隙を伺い対峙していると、タランチュラが急に向きを変えて走り出した。
私を捕まえることを諦めたらしいタランチュラの向かう先を見ると、校舎の壁に張り付いて蒼白になっているあくあちゃんが見えた。
まずい!
「あくあちゃん、逃げるのです!!」
一歩も動けない あくあちゃんに迫った蜘蛛は、体を持ち上げ脚を振り下ろした。
「ひぃいいいいい……あっ」
顔の両脇の[壁]に突き刺さった脚と目の前に迫ったタランチュラを見たあくあちゃんは、恐怖感がピークを越えて失神してしまった。
逃げて欲しかったが、顔の両脇の2本以外にも別の4本の脚があくあちゃんの両手を広げた状態で壁に縫い付けて磔にしていたので、失神していなくても抵抗できなかったかもしれない。
あくあちゃんに壁ドンしたタランチュラの口元がうごめくと筒の様なものがせり出す。
その筒は♡型をしていて、あくあちゃんの唇に迫っていた。
まさか、最後は自らが少女の唇を奪って逝くつもりですか!?
助けるために、私もねねちゃんもスバルちゃんも駆け寄ろうとしていたが、壁に爪を突き刺し、あくあちゃんを拘束しているタランチュラを止められるとは思えなかった。
ドクンっ
心臓の跳ねる音がする。助けなければいけない。
ドクンっ
普通では無理なら普通ではない手を使えばいい。
昔の記憶を呼び起こす。
兄から、周囲のみんなに誤解されないように使用を控えるように注意されている—―自らの力と共に封じたもう一人の自分を呼び起こすスイッチを入れる。
「うぉお゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙」
一気に加速し、接近すると、左手を壁に叩きつけるように制止する。
先に刺さっていたタランチュラの脚が壁に挟まれへし折れ、壁に放射状の亀裂が走る。
右手はタランチュラの後頭部を鷲づかみにする。
あくあちゃんに接近していた頭を力任せに引きはがしにかかる。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
必死に抵抗するタランチュラの後頭部からミシミシと音がする。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙~、わたしの友達に触んじゃねえぞ、この変態やろうがぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
一気に引きはがし、そのまま全力で投げ飛ばした。
宙を飛んだタランチュラは、障害物に激突して止まる。
それは、この学園の校長先生の銅像の頭の上だった。
今の攻防で力を使い果たしたのか、タランチュラはそのまま動きを止めると激しく明滅する。
「みんな、ふせるある~!」
「離れるっす!」
私はとっさに失神しているあくあちゃんを抱き寄せて地面に伏せる。
どぉおおおおおおおおおおおおおおおーーーーん
爆音と、それに続く衝撃波が吹き荒れる。
あたりは爆発の影響か煙が広がり視界が霞む。
すると、抱きしめていた腕の中のあくあちゃんが身じろぎした。
「ん、うん、あれ?あたしは」
「目が覚めたかい、あくあちゃん。大丈夫だったかな?」
「え、誰!?あ、るしあちゃん?どうしたのそのイケボ」
いけない、変なスイッチが入ったせいで声がおかしくなってしまったようだ。
目を閉じて、心の奥深くに不要になった自分を押し込めスイッチを切る。
「ん、うん、あ、あ、大丈夫なのですかあくあちゃん」
「あたし、急に蜘蛛が近づいてきてそれで……」
「あくあちゃんに触れる前に遠ざけておきましたので心配いらないのです」
「そうなんだ、ありがとう。あの……」
「あ、ごめんなさい、立てますか」
横抱きにしていたあくあちゃんが恥ずかしそうにしていたので、2人で立ち上がる。
そして、吹き荒れていた風がやんだところで、改めて周りを見る。
驚いたりひっくり返っている人はいるがケガを負っていそうな人はいなさそうだ。
投げ捨てる場所は間違っていなかったようでほっとする。
「あくあと、るしあ? その、大丈夫っすか」
「はい、2人とも大丈夫なのです」
スバルちゃんの問いに答える。
私の名前に疑問符がついてる。けれど、怯えられているようすでない。
そのことに、心から安心感を覚えた。
スバルちゃんとねねちゃん、それにあくあちゃんには自分の体質について説明してもいいのかもしれない。
タランチュラが消え去った影響か、刺された人たちも正気に戻っているみたいだ。
むしろ、そのせいでカオスな状況には拍車がかかっていた。
同性とのキスを自覚するもの達の嘆きの雄たけびや、新しい世界に目覚めた喜びの声。
正気に戻った後で、様々な形で正気だったもの達に迫られる加害者というかのか被害者というのか? 刺されていたもの達の困惑の声も聞こえる。
周囲の混乱を尻目に、私たち4人は爆発の中心地となった銅像の正面に立つ。
あれほどの爆発で、銅像もただでは済まないだろうと思ったのだが、頑丈だったようで無事だった。
何か表面にコーティングでもされていたのだろうか?
もっとも、さすがに無傷とはいかなかったらしい。
全体がやや煤けたように色づいていたし、爆心地となった頭に関しては無くなっていた……髪の毛だけが。
「あー、なんか一皮むけて、歴史ある銅像に生まれ変わったみたいあるね。風格が感じられていいと思うある」
「たしかに、歴代の銅像と肩を並べられる風格になったっすね。校長先生らしさも身にまとっている気がするっす」
太陽の光を反射して、きらりと光る銅像のスキンヘッドを見ながらスバルちゃんが言う。
「校長先生も、お供え物を受け取ってくれたようですし……帰りましょう……なのです」
「そうね、あたしもビックリしたら、なんだかお腹すいてきちゃったから帰りましょうか」
「あれあれ? おかしいなぁ~、君たちはどこに行くのかなぁ~」
4人で顔を見合わせて、そそくさと帰ろうとしていると、背後から、かなた先生に声をかけられた。
「僕はこれから、この惨状について調べて、校長先生に報告に行かないといけないよねぇ~。書類整理を終えたら、ココ先生とアキ先生と食事に行く予定なんだけど、いけなくなっちゃうなぁ。事情をよーーーく知っていて、真相究明を手伝ってくれる心優しい教え子達がいてくれたら嬉しいんだけど、どこかにいないかな~」
かなた先生があたりを見回している。
「あ、あの私たちでよければお手伝いさせて頂くのです」
「あーあの、帰ろうなんて思ってなくて、あたしたちで真相究明しようって話してて」
「そうっす、スバル達はちょうど被害状況の確認に向かおうとしてたところだったんすよ」
「うん、うん。そうある。だから、もちろんお手伝いするある」
かなた先生から放たれる、逆らってはいけないと思わせる圧力に慌てて協力を申しでる。
「じゃあー、みんなー手伝ってくれるかなぁー」
「「「「いいとも~」」」」
こうして事件は、犯人の自供により解決した。
私たち4人もかなた先生と共に校長先生の下に謎の生物に発生に関する経緯報告に行き、
被害状況として
・生徒の中に、心に傷を負ったものと、覚醒したものがいること
・校舎の一部に傷が入ったこと
・校長先生の銅像の頭がワイルドになったこと
を伝えた。
校長先生は、ちょっと額のあたりがぴくぴくしていたが、不可抗力であったと理解は示して許してくれた。
ただ、被害のでた生徒もいるということで、表向きだけでも反省させる処置をとったと見せる意味で、茶道部に一週間体験入学をするようにと指示された。
表向きは体験入学だが、実は反省させるめに一週間正座させられるのだ……という名目で周り生徒達に反省を示しておくようにということらしい。
発生原因が私たちにあることは目撃されていたので、その処置はむしろ温情だと思う。
部活動についてはそろそろ考えようと思っていたところだけれど、図らずも体験入部をすることになった。
茶道部と言えば、3回茶碗を回して苦いお茶を飲むイメージしかないがどんなところだろうか。
今回の事件については、翌日から学園名物となり、後に学園七不思議の一つとされた【カツラをかぶる銅像】のエピソードとして。学園の歴史として語り継がれていくことになった。
学園に出来た変化は、校長先生の銅像にリアルな黒髪のカツラがのったこと。そして、校舎の壁に6個の爪跡と、その一つを中心に放射上にひび割れた壁面ができたことだった。
もちろん、壁を割った人物としてるしあの名前が挙げられていたので、お兄ちゃんに誤解をされたくないと、帰って早々に兄を捕まえて、友達を助けるためのやむを得ない処置だったと懇切丁寧に説明した。
兄のミオは、説明には納得していた。
ただ、絶対に誤解しないでと強く強く主張する、るしあの瞳の奥が久々に赤く輝いていることに冷たい汗を流したのだった。
~ 混ぜるな危険 end ~
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
もし、続きを読んでみたいと思っていただけましたらお気に入り登録をしていただけると励みになります。
よろしくお願い致します。