ホロ学園ライフ   作:ハモリヤ

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3-2 世界一の食材

視点:ねね

 

 

茶道部の体験入部2日め、ねね、あくあ、スバル、るしあの4人は、学園が管理している茶畑に向かっていた。

先導はフレア部長と、わためがしてくれている。

茶畑は、学園でも入り口から最も奥にある茶道部の茶室のさらに奥にある小さな山を越えた場所に広がっている。

学園では、作物を育てる、動物を育てる、新しいモノ作りの施設を増設していくことを見越して背後の山も含めて土地を確保していた。

まぁ、使っている人以外は普段意識することはないけれど。

 

2日目になって、お互いに距離感を掴めてきたので、話の内容も砕けたものになっていた。

フレア部長から、私たちの起こしたトラブルについての話題が振られる。

 

「あの校長先生の銅像の頭はよくやったよねぇ。朝練で通学してきたら朝日をぴかっと反射した時は何事かと思ったけど、見事につるつるで笑ってしまったよ。しかも、お昼に通りかかったら黒髪のカツラを被ってるんだもの。ツボって笑いがとまらなかったよねぇw」

「別に私たちが意図的にやったわけじゃないのです。不幸な取り合わせの結果起きた事故だったのです」

 

謎の能力をもったタランチュラは、一部学生に精神的ダメージを残したが、最後には爆破してくれたおかげで、今後の被害を心配する必要はなくなった。

けれど、最後の爆発によって校長先生の銅像の頭をスキンヘッドにしたことで、事件を知らない生徒も何があったのか調べることになり、結果、知らないものが居ない事件になっていた。

 

「別に悪いとは言ってないよ。傑作だったというだけの話だね」

「むしろ、みんな銅像に注目するようになって、銅像の株が上がってたんだなぁ」

「わため、いいこと言うっすね。大きなケガ人もなく、事件の犯人は爆発して、銅像もダンディーになったから三方良しっすよね」

「それは……思っても、あたしたちは言わない方がいいかもよ?」

「そうある。壁に耳あり障子に目あり、あるよ」

 

周りを見る。

今は山を越えるちょうど一番頂上付近だろうか。

特に人影はなさそうだ。

少し先を見ると、林道の中に展望台のようなものが見えてきた。

近くまで行くと、上り坂が終わり頂上に設置してあることがわかった。

少し開けたスペースになっていてベンチも近くに4台置かれていた。

 

「休憩場所あるか?」

「そう、休憩スペースだね。それと、折角周辺が見渡せる位置ってことで少し切り開いて展望スペースみたいにしたんだよ。まぁ、やってくれたのは工作系の人たちだけどね。ベンチも櫓風の展望台を作ったのも工作系の生徒達だよ」

「お茶だけじゃなくて、こういった設備も生徒が作っているあるな」

「折角物を作るなら、勉強のためだけに不要なものを作るより、誰かが必要としてくれるものを作りたいでしょ?その方が使った人からのフィードバックももらえるしね」

 

実は校内には生徒が作ったものがたくさんあるらしい。

まだ数年しかたっていないけれど、勉強のためにも色々モノを作りたい若い人材があふれているのが学園だ。一年あれば、あると便利なもの、あったら面白そうなものがたくさん作られるらしい。作った側も勉強になるだけでなく、使ってもらって喜んで貰えるとさらにやる気がでて一石二鳥でもある。

もちろん、建築物は建築士の資格を持つ先生が強度チェックなど安全性の確認をしているので安心らしい。

 

「おー、いい景色っす。あ、あそこが目的地っすね。畑が見えたっす」

 

展望台に上って上から見ると、山を下った先の目的地である畑が見えた。

上から確認した目的地に向かって歩みを再開する。

それほど時間もかからずに目的地に到着すると、茶道部の部員の人たちが既に集まって手で茶葉の摘み取りをしているのが見えた。

私たちも、挨拶をしてから茶摘みに参加する。

 

「摘み取る長さに気を付けてね。あまり先だけだと収穫量が落ちるし、摘み過ぎたら苦味が増すから」

「1本1本、確認しながら手で摘むのは大変あるね」

「でしょ、だから機械で刈るのが一般的よね。だけど、私たちは摘み方も勉強のうちだからね。いちを、手摘み茶っていたら高級品なんよw」

 

まぁ、学生の手摘み品質がどの程度かは察してという冗談込みのセリフの様だ。

一部はあえて摘み方を変えた茶葉も作って味の違いを自分の舌で確認したりもするらしい。

それはすごく興味があると答えると、今回摘み取った茶葉が、抹茶として完成したら飲ませてくれるフレア部長が言ってくれた。

それどころか、一部抹茶を頂けると言ってくれる。

お世話になりっぱなしでは申し訳ないので、みんなで精いっぱい茶摘みについてはお手伝いをさせてもらう。

途中、フレア部長だけでなく他の部員の方たちも私たちの傍に代わる代わる来てお話を聞かせてくれたりして楽しく過ごした。

 

「ふぅ、ちょうどいい位置で摘むことを意識して作業するとちょっと疲れるっすね」

「そろそろ一旦休憩しようか」

 

フレア部長の言葉で、水道で手を洗ってから茶畑の脇に置かれたテーブルのところに行き、ベンチに座る。

すると、茶道部の先輩が冷えた緑茶を出してくれる。

 

「この畑で作った緑茶よ~。つい最近できたばかりの新茶だから気に入ってくれるといいのだけど」

「えっ、ホントあるか!コク……あ、とってもおいしいある!」

「そう、良かったわ~」

 

茶道部の先輩はそう言って出してくれた緑茶は苦味が少なくてとてもおいしかった。

 

「抹茶だけを作っているわけではないあるね」

「折角自分たちの茶畑があるからね~、色々挑戦することを重視して抹茶以外にも色々作っているのよ~」

「わためぇも、緑茶の収穫を手伝ったんだなぁ。やっぱり汗水流して働いて作ったお茶は格別なんだなぁ」

「そうだね、この前はありがとね~。自分たちで育てたお茶を飲みながら、心安らぐ時間を過ごせるのがうちの茶道部の魅力だね。よかったらこのまま入部してくれてもいいのよ~」

 

お茶を出してくれた先輩は、後半のセリフを私たちに向けて言うと、手を振って離れていった。

この緑茶もおいしいけれど、自分で育てて収穫した茶葉であったらよりおいしく感じられるだろうなと思う。

 

「こんにちは。みんな、がんばっちょるようやね~」

 

汗をかいた体に染み渡るような緑茶を頂いていると大きな肩掛け鞄を持った女性が近づいてきた。

 

「こんにちは~」

 

皆で挨拶を返す。茶道部の先輩だろうか。とってもきれいなセミロングの銀髪をした女性だ。毛先が少し内向きにカールしている。小柄だけれどついつい目が行ってしまう大きなお胸をお持ちでニコニコした笑顔と合わせて包容力が感じられる。

 

「汗かいたでしょ。これ使ってね」

 

そういって、バックから取り出した濡れタオルを配ってくれる。

 

「ノエル、いつもありがとうね」

「いいんよフレア。好きでやっちょることやから」

 

フレア部長が紹介してくれる。

 

「こっちは3年で応援団の団長をしているノエル。ノエル、この4人は体験入部中の1年生で、左からねね、あくあ、スバル、るしあ、よ」

「ノエルです。よろしくね」

「よろしくお願いします」

「応援団って、どんな活動されてるあるか?」

「そうだね~、体育祭で、各クラスの応援の音頭をとるようなイベント毎の応援活動。運動部の応援で吹奏楽部の演奏に合わせてボンボンもって踊ったり。あとは、今日のように頑張ってる人たちに、タオルや飲み物を届けたりすることかな。はい、タオルは回収するからね。あと、塩分補給したほうがいいからこれを舐めておいてね」

 

みんなに飴を配ってくれる。

 

「みんなの活動を支援してくれているっすね~」

「ノエルを始め、応援団の人たちは色々な部活に繋がりがあるから、ニーズとニーズを繋げてくれるのも助かるのよね」

 

普段から活動を応援してくれている応援団の人たちは結果的に情報を多く集まるようだ。

人と人の懸け橋になる素敵な活動だと思う。

 

「ノエルもお茶飲んでいってよ」

「ありがとう、いただきます。……うん、とってもおいしい。それに、皆が頑張ってお茶を摘んでいるこの場所はいつ来ても、いい香りで落ち着くね」

 

お茶を摘んでいるので、当然茶畑の周辺にはお茶の葉の香りが漂っていた。新茶だからだろうか、あまり青臭さはなくてすがすがしい香りが漂っていた。

 

「さて、それじゃ後半の茶摘みを再開しようか」

 

少し、ノエル団長ともお話をした後で、フレア部長の掛け声で改めて作業を再開する。

前半の作業で少しなれて後半はスムーズに作業が進み、暗くなる前に、今日の活動は終了となった。

茶畑から茶道部の部室にいったん寄り、そこでフレア部長と、わためちゃんと別れる。

そこから教室への帰り道。みんなで今日摘んだお茶ができたらどうするかを話しながら帰る。

 

「あたしたちの摘んだ抹茶をもらったらどうしようか?」

「家に抹茶を点てる道具とかないっすからね~、茶室借りてお茶会させてもらうっすか?」

「せっかくなら、抹茶を使って家庭科の授業でスイーツを作るのはどうです?」

「あ、いいあるね!抹茶アイスとか、抹茶シュークリームとか他にもいろいろつくれそうある」

 

自分たちの摘んだお茶が完成するのを楽しみにしながら、日が落ち始めた夕焼け空の下、教室に戻り2日目の体験入部が終了した。

 




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