全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス 2ndシーズン 作:ダシマ
それはある夜の事だった。飛鳥のマンションの1階のエントランスホールに飛鳥と麻弥がいたが、麻弥は顔中傷だらけで、目の上に痣が出来ていた。
飛鳥「なんてことを…」
麻弥「…あ、一丈字さん。ジブンは大丈夫ですから」
飛鳥「私が大丈夫じゃないんですよ」
事の顛末はこうである。飛鳥が帰宅する為に道を歩いていたが、悪寒を感じて現場に駆け付けると、麻弥が複数の男女に絡まれて暴力を受けていた。すぐさま飛鳥は超能力を使って男女の身動きを取れなくして、すぐさま麻弥をその場から避難させた。殴られた時に落ちた眼鏡もしっかり回収したが、割れていた。
この時超能力を使って、いつものように存在感を消すことはしなかった。というのも、助けた人物が自分の知っている人物を示し、麻弥に安心してもらおうと考えていたからだった。
そして自宅のエントランスホールに駆け込み、コンシェルジュをしていた女性に事情を説明して、警察と救急車を手配するように指示を出した。コンシェルジュの女性も麻弥の顔を見て酷く驚いていた。
飛鳥が怪我の様子を見ていると、麻弥は心配させまいと飛鳥をなだめたが、飛鳥は目を閉じて言い放った。そしてコンシェルジュの女性がやってきた。
コンシェルジュ「警察と救急車は手配しました」
飛鳥「ありがとうございます。まずは大和先輩の手当てが先ですね」
麻弥「その、すいません…。ジブンの為に」
飛鳥「いえいえ」
麻弥が申し訳なさそうに頭を下げて謝ると、飛鳥は苦笑いした。
飛鳥「その前に差支えがなければ、ちょっとその顔を撮らせてもらえませんか?」
麻弥「え!?」
飛鳥「事情聴取の時に話を通しやすいので…」
麻弥「わ、分かりました…」
飛鳥「大和先輩のスマホで撮りましょうか」
そう言って飛鳥が麻弥の写真を撮ったが、カメラで見ても酷いありさまだった。
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飛鳥「これ、肌に合うか分かりませんが、塗り薬です。使ってください」
そう言って飛鳥が塗り薬を渡した。
飛鳥「応急処置くらいにしかなりませんが…」
麻弥「ありがとうございます」
そう言って麻弥が塗り薬を塗ったが、塗り薬を塗った瞬間、傷がスーッと消えていくような感覚がした。
麻弥「な、何かこの薬…めちゃくちゃ効くような気がしますね」
飛鳥「そ、そうですか…」
さっきまで酷かった顔の腫れが分かりやすいくらいに引き、飛鳥も思った以上に薬の効果が効いているのが分かり、困惑していた。
そして麻弥は救急車で運ばれることになった。
麻弥「一丈字さん。本当にありがとうございました」
飛鳥「いいえ。今はゆっくり養生してください」
飛鳥は麻弥を見つめて言うと、
麻弥「そうだ。今度お礼をさせてください」
飛鳥「あ、それでしたら一つお願いがあります」
麻弥「な、何ですか?」
飛鳥「……」
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翌日、麻弥が暴漢に襲われた事がバンドリ学園全体に知れ渡り、麻弥は手当の為に学校を休んでいた。
麻弥が所属している3年5組は重い空気になっていた。
紗夜「なんて卑劣極まりない事を…!!」
薫「許せないね」
数人がかりで一人の女性を痛めつけた事に対して、紗夜と薫は怒りを覚えていた。
燐子「それで、大和さんとは…」
千聖「…まだ連絡が取れてないわ。今頃検査をしているかもね」
彩「麻弥ちゃん…!!」
千聖の言葉に彩は涙を流していた。このまま麻弥にもしもの事があったらどうしようと思っていた。
千聖「彩ちゃん。気持ちはわかるけど今は泣いてる場合じゃないわ。一番大変なのはケガをした麻弥ちゃんよ」
花音「千聖ちゃん…」
千聖が彩を諭していたが、花音は理解していた。千聖が紗夜や薫と同じように怒りに震えていたことに。だが、彩と同じように自分まで感情を露わにしてはいけないと必死にこらえていたのだ。
そしてまた…。
マスキング「誰だそんな事をした奴は!! ぶっ殺してやる!!!」
レイヤ「マスキング。落ち着いて!」
マスキング「これが落ち着いてられるかってんだ!!」
高等部2年5組ではマスキングが怒り狂っていた。というのも、マスキングは同じドラマーとして麻弥の事を尊敬しており、彼女が心無い人間によって傷つけられたことに怒らずにいられなかった。同じメンバーであるイヴは泣き出して、はぐみや美咲に慰められていた。
飛鳥「……」
当事者である飛鳥は何も言わずに黙っていたが、モカは感づいていた。
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3時間目の休憩時間。弦巻家の黒服から麻弥を襲った犯人たちが捕まったと連絡が来て、飛鳥は安堵していた。
そして千聖は事務所に麻弥の容態を定期的に確認しようとしたが、一向に連絡が来なかった。
千聖(いったい何やってるのよ…!!)
苛立っている千聖を見て、花音たちは何とも言えない表情をしていた。
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昼休憩。飛鳥は何も言わずに廊下を出た。そして誰にも会わないように飛鳥は存在感を消して、いつもの中庭のベンチにたどりついた。
飛鳥「……」
飛鳥が振り向くと、そこにはモカがいた。するとモカがウインクした。これはテレパシーを使って会話したいというサインである。飛鳥が超能力で回線を開いた。
モカ『やっぱり飛鳥くんだったんだね。麻弥先輩を助けたの』
飛鳥『良く分かったね』
モカ『だってモカちゃん天才だも~ん』
モカがいつものように言い放つが、飛鳥は真剣な表情のままだった。
飛鳥『大和先輩を襲った犯人たちは捕まったよ。どうやら大和先輩のアンチで、無理やりにでも脱退させるつもりだったらしい』
モカ『そうなんだ…』
麻弥を襲った理由を聞いて、モカは内心怒りそうだったがこらえた。
モカ『どうやって捕まえたの?』
飛鳥『あの男たちは警察が身柄を確保させるまでずっと動けないようにした。金縛りって奴だよ』
モカ『そっか~…』
モカの言葉に飛鳥は一息をついた。
飛鳥『今は千聖さん達からの連絡を待とう』
モカ『そうだね~』
こうして、皆で麻弥の帰りを待つことにした。
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一週間後。麻弥が学園に復帰した。
麻弥「皆さん。ご心配をおかけしました」
「麻弥ちゃ~ん!!!」
麻弥が自分の教室に帰ってくると、クラスメイトが大喜びしていた。
彩「本当に良かったぁ~!!!」
麻弥「彩さん。痛いっすよ」
彩が泣きながら麻弥に抱き着くと、麻弥が苦笑いしながらそう呟いた。
彩「あっ! ご、ごめん!」
千聖「彩ちゃん」
千聖が困惑しながらそう言うと、彩は麻弥に平謝りしていた。
友希那「もう学校に来て大丈夫なの?」
麻弥「ええ。通院は1か月して、体育はちょっと見学しないといけないですけど、後は大丈夫です!」
リサ「そうなんだ…。でも無理したらダメだよ?」
麻弥「はい」
リサの言葉に麻弥が苦笑いしたその時だった。
「マヤさん!!」
「麻弥さん!!」
イヴ・マスキング、そして中等部のパレオが教室にやってきた。
麻弥「イ、イヴさん! ますきさんにパレオさん!!」
イヴ「無事で…無事で良かったです…!!」
イヴが麻弥の顔を見るなり、大粒の涙を流していた。
マスキング「もう学校に来て大丈夫なんですか!? あ、今日から昼めし買ってきましょうか!?」
パレオ「パレオも買いに行きますよ!?」
麻弥「いや、その…悪いですし、恥ずかしいのでやめてください…/////」
マスキングとパレオの熱意っぷりに麻弥は頬を染めて恥ずかしがった。
日菜「そういえばアンチに襲われたって聞いたけど、どんな人が助けてくれたの?」
麻弥「それはですね…」
日菜にそう言われて、麻弥は飛鳥の事を思い出した。
麻弥「…すみません。その辺はちょっと記憶になくて」
彩「そうなんだ…」
麻弥「……」
すると、麻弥は先週の事を思い出した。
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飛鳥「あ、それでしたら一つお願いがあります」
麻弥「な、何ですか?」
救急車に運ばれる前、飛鳥が麻弥にあるお願いをした。
飛鳥「可能な範囲で構いません。私の事は伏せて頂けませんか?」
麻弥「え」
麻弥の言葉に飛鳥は苦笑いした。
飛鳥「というのも、私だって明らかになると、学園中が大騒ぎになります。ただでさえ嫌われてるもんで」
麻弥「け、けど…」
飛鳥「お願いします」
飛鳥が頭を下げると、麻弥が驚いた。そしてずっと飛鳥は頭を下げたままだった。ちなみに超能力で会話は外に漏れないようにして、パトカーや救急車も通行人が気にならないようにしていた。
麻弥「か、顔を上げてください! 分かった! そうします!」
飛鳥「ありがとうございます」
そう言って飛鳥は顔を上げて、麻弥と見つめあった。麻弥は飛鳥に十分なお礼が出来ない事や飛鳥の優しさに泣きそうになっていた。
飛鳥「さあ、もう行ってください」
麻弥「!」
飛鳥「また学校でお会いしましょう」
飛鳥がそう言うと、麻弥は後ろ髪をひかれながら救急車に乗っていったが、乗る瞬間に一瞬だけ飛鳥の方を見たが、普段は見られないような穏やかな笑みを浮かべていた。
麻弥「……!!」
救急車に乗り込み、そのまま病院に向かって動き出した後、麻弥は嗚咽した。
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麻弥「……」
そのことを思い出して、麻弥はまた大粒の涙をこぼした。
彩「ま、麻弥ちゃん!!?」
花音「も、もしかして事件の事を思い出したんじゃ!」
紗夜「日菜!!」
日菜「ご、ごめん麻弥ちゃん!!」
麻弥が泣き出したことで皆パニックして、泣かせるきっかけを作った日菜を紗夜が怒鳴った。
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高等部2年5組
モカ「麻弥先輩。復帰したって~」
飛鳥「怪我もそんなに重くなかったんですね。良かったです」
モカが自席に座っていた飛鳥にそう話しかけると、飛鳥は一言だけ返して口角を上げた。モカも飛鳥の様子を見て笑みを浮かべた。
おしまい
イメージ主題歌
「夢のゆくえ」
歌:白鳥 英美子
(映画:「ドラえもん のび太のドラピアンナイト」主題歌)