何とか目覚めて良かったです。
-KYOUDAITOIWARETE-
めぐみんと隣町のカフェにてデートなう。
とネットがあれば呟きたいと思いつつ、今を過ごしている。
まあ、俺がネットで繋がってた連中に言っても、信じないだろうけど。
ギルドの運営はどうなってんだろう。
いつインしてもいるカズマさんが音沙汰もなく消えたとしたら、やっぱり死亡したと思うのだろうか?
それとも現実に引き戻されたと考えるのだろうか?
いや、ないか。
死亡説で終わりだな。
実際突然いなくなったギルド幹部は事故死とかだったし。
・・・俺も一応、事故死だよな?
「カズマ?」
「悪い。ちょっと考え込んでた」
「これだけメニューが豊富だと悩みますよね。デザート何にしましょうか。飲み物はカフェオレにしておきます」
いい感じに勘違いして貰えたようで、良かった。
デート中に関係の無いこと考えてたからな。
追及されたら面倒だった。
カフェオレか。
めぐみんならカッコつけてブラック頼むかと思ってた。
俺も一緒にしておこうか。
「俺はショートケーキにしようかな」
「そうですか。う〜ん。私はチーズケーキにします」
「すみませ〜ん!ショートケーキとチーズケーキをお願いします!飲み物はカフェオレ二つで!」
さてとここからはゆっくり、雑談でもしてデートぽく行こう。
「俺らって何で兄妹に見えるんだろうな?」
「髪の色じゃないですか?黒と茶は近いと言いますか、兄妹だとよくある程度の差だと思います」
「でもさ。めぐみんの眼の色からして紅魔族だろ?その兄も紅魔族じゃないとおかしいじゃん」
何度も言われてきたけど、俺が一番気になってたのはここだ。
紅魔族の特徴と俺の特徴は明らかに違うし、兄妹とは思わないはずだ。
「それはそうですけど、異母兄妹とか色々可能性はありますよ」
「そうか。てことは養子とかも入れれば有り得るってことか」
めぐみんの意見には納得だ。
そう言えばこっちの貴族って金髪碧眼なのに、俺が没落貴族かとか聞かれたこともあったか。
「ええ、それに相手が紅魔族かどうかなんて事を一般の人はあまり気にしてないと思いますよ」
「冒険者だから気にするってことか?」
「そうだと思います。こう言うお店だと接客途中で、あなたもしかして紅魔族?と言った反応があとから気付いて言われる事も多いので」
めぐみんがいたからってのも俺が紅魔族かどうかを気にする要因かもしれない。
確かに普通の暮らししてたら相手がどんな人かなんて気にしないか。
「なるほどな。そういやこっちで茶髪に茶色目とか黒髪黒目って珍しいのか?」
「その特徴は珍しいというか、その特徴の人達に珍しい人が多いと言いますか」
「と言うと?」
「端的に言うとカズマみたいな変わった名前ですね。あっ、紅魔族もだろうとか言うのは聞きたくないですからね」
ツッコもうと思ってたのに、釘を刺された。
しかも変わった名前なのに、俺の名前は紅魔族的にはカッコイイらしい。
基準が分からん。
紅魔族的にはミツルギキョウヤはどんな名前なんだろうか。
日本だとカッコイイ名前の部類だよな。
「へいへい」
「それに加えて大抵の場合は何らかの平均をはるかに上回る能力や武器を手にしてますね。カズマはド平均ですけど」
「一言余計だ。でも俺らみたいな名前じゃない人もいるんだろ?」
痛いとこ突かれたな。
他の奴らがチートを得ているのに比べて俺は駄女神一人だからな。
その事情を話せないとなるとただ単に名前が変な人か。
「ええ、この国では少数ですけど、そう言う特徴の人が多く住む国家はありますよ」
「そうなのか。まあ、この話はここまでにしておいて、めぐみんは何か気になることとかないのか?」
あまりこの話をし過ぎると俺がどこからやって来たのかとかそう言うややこしい話に繋がってくるから、ここら辺で切り上げよう。
「気になることですか?そうですね。私としては好きな人と兄妹と思われるよりちゃんとカップルだと思われたいのですが、カズマは違うのですか?」
やはりめぐみんはこう考えてるのか。
俺としては兄妹って言われてもそれはそれで嬉しいからなあ。
「なんて言うかどっちも嬉しいって話だな」
「どっちもですか」
「そう。どっちにしろめぐみんと仲が良いって思われてるってことだからな」
「つまりお兄ちゃんは私が妹でも彼女でも良いってことですか」
めぐみんが俺をお兄ちゃん呼びだと!?
意中の相手にお兄ちゃん呼びさせるなんて、いくら払えばいいんだ!
「なあ、めぐみん」
「お兄ちゃんどうかしましたか?」
なんだろうこの可愛い生物は。
無自覚に俺の急所を的確に突いてくるんですけど。
「俺を殺すつもりか?」
「ちょっと何言ってるかわからないです」
「分からないならそれでいいけど、めぐみんが妹でも彼女でもいいってのは違うからな。最適なのはめぐみんが彼女で妹なポジションにいることだ」
めぐみんと二歳差って知ってからめぐみんを妹ポジションで見なくなったけど、これこれでアリだな。
もうちょっと心の準備出来てる二人きりの時にお兄ちゃんって呼ばれたい。
「・・・やっぱりお兄ちゃんが何言ってるかさっぱりですよ」
「とりあえずお兄ちゃん呼びやめようか。俺が持たない」
全く耐性のない中、俺の精神はギリギリである。
例のサービスがなければ数日中に自分を抑えられなくなってるであろう。
「はあ?私としては恋人よりも兄妹として接する方が楽なのですが、カズマはその逆なのですね」
「考え方は人それぞれってことだ。おっ、ケーキ出来たみたいだぞ」
運ばれてきたケーキを受け取ろうと思って店員を見ると凄ーく身に覚えのある顔がそこにはあった。
「何でクリスがここにいるんだ?」
「・・・宿が空いてなくてここで働いたら泊めてもらえるって話だったからね」
この街で神器回収中なのか。
まあ、今はデート中だし、日帰りだから抜け出して手伝うって話にもならないだろう。
「でもクリスで良かったですよ。私たちのこと知ってるのですよね?」
「うん。まあね。まさか二人のデート中に接客することになるなんて思わなかったけど」
「それはこっちもだ。この前、事情話しておいて良かった」
状況確認を素早く済ませておいて良かった。
まあ、事情を話してなくても俺の事情を知ってるから変に驚くとかはないだろうけども、めぐみんが不思議がることがなく、話を進められる。
「確かに、知らなかったら驚いてたね。それじゃ邪魔者は去るとするよ。ごゆっくり」
こうしてまた、二人きりになる。
ケーキを食べようとフォークを取ったけど、すぐには食べられなかった。
めぐみんからの質問があったからだ。
「所でどうしてクリスには話したんですか?」
「どうしてって言うと?」
「カズマとクリスの関係がよく分からないと言いますか。私の記憶だとパンツを盗った盗られたの関係以降そこまで交流ないですよね?」
時系列的にそうだよな。
何かいい言い訳ないか?
えっと、クリスとは盗賊スキルの師弟関係で、ダクネスを知る共通点がある。
あっ、これだ!
後で口裏併せしなきゃだが、ここはこれで乗り切ろう。
「実はお前らに内緒で何回かあってたんだ」
「内緒ですか?」
「まあ、ダクネスにバレないためにってのが一番だけどな」
「ダクネスの話をしていたと」
この頭のキレの良さをクエストでも発揮してくれたら苦労しないのに。
「理解が早くて助かる。ダクネスはその、ほら、アレだろ?」
「ダクネスの扱い方を親友であるクリスに聞いていたのですね。内緒にするのも納得です」
よし、これで大丈夫だ。
丁度クリスが新しく入店したお客さんを誘導して後ろを通った時に話していたから、口裏合わせもそこまで必要ないかな。
「そういうこった。で、まあお互い苦労話してる間に打ち解けて、クリスが一人じゃできないようなクエストとかがあったら手伝うのを条件に今回のフォローを頼んだんだ」
クリスがめぐみんの後ろで待機し、サムズアップしてバックヤードへと帰っていく。
仕事が出来る人は違うな。
「私も何か出来ませんか?」
「めぐみんは何もしなくていいぞ。行くのはダンジョンとかだから」
「荷物持ちとかあるじゃないですか」
そう言えばパーティーに入る時にもダンジョンの話したら荷物持ちでも何でもするって言ってたな。
まあ、今とあの時じゃあ言ってることが一緒でも思いは全然違うだろうけど。
「なんて言うか、こそ泥みたいに宝だけ盗って帰る戦法だからそこまで荷物ないし、待ちぼうけは嫌だろ?」
「分かりました。じゃあカズマ達が活動した日の夕飯は私が払いますよ」
めぐみんの財布事情を考えると頼みにくい。
でも、これもしなくていいと言うと他に妥当な手伝いがないって言うか、それこそ荷物持ちとかになってしまうから、仕方ないか。
「うーん。そんなことしなくてもって言いたいけど、一番現実的なのはそれか」
「料理にはそこそこ自信あるので任せてください!」
「さっき払うって言ってなかったか?」
「外食の方がいいですか?」
財布の入ったポケットの方を見ながら恐る恐る聞いてくる。
やっぱり仕送りしながらだとキツイよな。
意地悪言わなきゃ良かった。
「いや、めぐみんのお財布事情的にはそっちの方がいいとは思うし、俺的にはめぐみんの手料理の方が食べたい」
「そうですかそうですか。いいでしょう今日の夕飯作ってあげますよ」
めぐみんってこんなにもチョロインだったけか?
もっとこう、苦戦させられてた気がするんだが・・・
まあ、めぐみんルートをゼロから攻略してる俺としては助かる条件なんだけども。
「作るって何処で?」
「宿屋でですよ?」
「めぐみんの宿屋ってキッチン付きなのか?」
そう言えばめぐみんの泊まってた宿屋には行ったことないな。
呼びに行く程度はあったけど中に入るのは初めてだ。
「ええ、そう言えばカズマは馬小屋でしたよね。今日は私の部屋に泊まって行けばいいですよ」
「いいのか?」
「ベッドが二つありますから問題はないと思うのですが」
やっぱり、めぐみんもお子ちゃまだな。
一つ屋根の下って時点で危ないってのに。
「そこじゃなくて、ほら、男を部屋にあげて大丈夫なのか?」
「と自分で言ってくるような人なので、そこは信用してます。後は爆裂散歩のおんぶでも何もしてないですからね?」
「そりゃどうも」
良かった。
初めの頃はまだセクハラ始めてないからな。
これがもうちょっとあとだと不味かったかもしれない。
「外聞に関しても、私たちは隣町に行ったと思っていれば普通は日帰りにならないと思いますからね」
「問題は何も無いってことか。一応フード付きのローブ買っておくか」
「そのくらいの備えはした方がいいかもですね」
「夕飯宿屋って事はデートはそれまでだな。食材の事考えると早く帰った方がいいだろうし」
暗くなるまでは商店街巡りする予定だったけど、夕飯をめぐみんに作ってもらう以上長居は出来ないな。
生鮮食品の店は閉まるの早いから、昼間に入手しないといけないし、鮮度の問題もある。
「宿屋でボードゲームとかして遊ぶのはどうですか?」
「その手があったか。所謂お家デートだな」
「お家デートですか?初めて聞きますが確かにそうですね。ボードゲームは得意な方ですし、カードゲームもいくつかありますからね。今日は寝かせませんよ?」
無自覚にこの子は俺を攻めてくるよな本当に。
クリスが近くに来たから話を降って、落ち着かせよう。
「・・・クリス、聞いたか?めぐみんが今夜は寝かせないってさ」
「惚気の報告は要らないから早くケーキ食べてよ。お店、混んできてるからね」
言われて辺りを見ると満席で入口には数組の待ってる人がいた。
これは早く出ないとお店に悪い、
このケーキタダで貰ってるものだしな、
「・・・悪ぃ」
「あのう。そう言う意味じゃないですからね?」
「もちろん分かってるっての。クリスが早く食べてくれって言ってるからさっさと食べて食材買いに行こうぜ」
「はい!」
ケーキを食べ終えると、すぐにカフェを後にした。
めぐみんは料理を振る舞うのが楽しみらしい。
これこそウィンウィンの関係だな。
俺はめぐみんの料理が食べたいし、めぐみんは料理を振る舞いたい。
この前のデートみたいなやつじゃない。
これは進展したと言っていいんじゃないか?
「カズマ、何食べたいですか?」
「めぐみんが得意なやつで」
「では、肉じゃがとかどうですか?」
「じゃあそれで頼む」
と料理も決まり、食材も買い集めが始まった。
食材選びは分担して、早く済ませた。
そして、待ちに待った転移魔法の使い所がやってきた。
「結構買いましたね。やっぱり私も少しは持ちますよ?テレポート屋までは距離ありますし」
「いや、大丈夫だ。めぐみん、止まってこっち来てくれ」
不思議そうにこちらへ近づいてくるめぐみん。
この前冒険者カード見た時に気付いてなかったのか。
「何するんですか?」
「動くなよ?『テレポート』!!」
「えっ!?」
と言ってる間にアクセルに到着するのであった。
めぐみんがさぞ驚いてるだろうと思って、顔を見てみる固まっていた。
「おーい。めぐみん?どうしたんだ?」
「か、カズマ?今のは何ですか?」
「テレポートだけど?」
魔法に関してはめぐみんの方が詳しいと思うんだけどなあ。
「分かってますよ!私の仕事を奪わないでくださいよ!」
「おいおい、騒ぐなって、目立つだろうが。俺はお前の仕事奪うつもりはないぞ?」
「・・・」
怪訝な目で睨まれても困る。
しかし、どうしようか。
睨まれてるのにかわいいと思えて、もっと見てたいって思えてくる。
「いいか?テレポートは一日一回しか俺は使えないし、しかも他に何も魔力使ってないのが条件だ。めぐみんが気にすることなんてないし、前にも言ったけど俺はめぐみんをパーティーから抜けさせる気は無い」
「・・・そんなことも言ってましたね」
やっと落ち着いて貰えた。
マイトモドキ作った時の反応を考えれば当然の反応だったのに、俺としたことが見誤ったな。
「不安にさせてごめんな。デート中にこんなじゃまだまだダメだな俺は」
「いえ、そんなことはないですよ」
「そうか?」
「私が勝手に危機感と言うか焦燥感に駆られてしまっただけですから」
「そうさせたのがダメだと思ってるんだけども」
俺が言ってるのはまさしく、危機感を抱かせたことなんだよなあ。
自分の行動で、不安にさせるのはよくない。
まあ、めぐみんはあまり気にしてないみたいだから、このことはここまでにして、次に繋げよう。
「カズマは優しいですね」
「前にも言ったが俺はずっと優しいぞ?」
「・・・ともかく、帰って支度しましょう」
「おう」
めぐみんの手料理は何度も食べてるけど、めぐみんの宿屋でという新鮮な体験に思いを馳せながら、俺たちは帰路に着くのであった。
次は何をあげるか未定です。