おめでたい日ですが、今日はゆんゆんは会話の中で出てくるだけです。
ごめんなさい。
-NAKANIWANANIGA?-
めぐみんと俺は友人と隣町で遊んでいることとなっているが、実際はアクセルの宿屋で缶詰である。
好きな子の泊まる宿屋で夕飯をご馳走になったり、一日ぐーたらするとかいくら払えばいいんだろうとアホなことを考えながら、今はこの世界のチェスみたいなボードゲームをやってる。
「ここでカズマをジョブチェンジして、アークウィザードにします」
「冒険者を俺の名で呼ぶな。はぁ、じゃあ、俺はめぐみんでめぐみんを取る」
「カズマも言ってるじゃないですか。私同士で戦わせないでくださいよ」
「じゃあめぐみんでゆんゆんを取る」
「・・・ゆんゆん?ゆんゆんのこと知ってるんですか?」
げっ、こっちだとまだ俺はゆんゆんと会ってないんだった。
何かいい方法はなかろうか?
とりあえず、時間稼ぎに質問返ししておこう。
「友達なのか?」
「私が聞いてるのですが、まあいいです。同郷で自称私のライバルです」
自称の所を凄く強調してきたな。
ツンデレみんは伊達じゃない。
ここは爆裂散歩の帰りの寝言ってことにしよう。
「直接は知らない。めぐみんがおんぶして寝てる時に、寝言で勝負はゆんゆんの負けって言ってたから多分紅魔族だろうなって」
「その寝言にあるようによく勝負をしていてほぼ私の全勝なので、ライバル視されてるんですよ」
「負けた時はどんな戦いなんだ?」
ほぼ、と言うことは何度か負けてるはず。
めぐみんなら不得意なことでも裏の手使って勝つだろうし、どんな勝負か気になる。
俺が見てるやつはめぐみんが全部勝ってたし。
「・・・カズマには関係の無いことです」
言って俯き、自身の胸を見て肩を落とすめぐみん。
なるほど、胸囲で勝負したのか。
ゆんゆんと出会ってすぐの頃に、発育勝負がどうのとゆんゆんが言ってた気がする。
そんでもってめぐみんが俺と風呂入ったこと持ち出して勝ったんだよな確か。
ゆんゆんが話を広めるような子じゃなくて良かった。
・・・そもそも広める相手が居ないとか可哀想なことは言ってやるなよ?
「分かった。発育勝負だろ」
「・・・カズマ、爆裂魔法の標的になる覚悟はありますか?」
「ちょっ、ちょっと待て!お前が言った後に胸の方見たから推察しただけでだな」
めぐみんの事だから発育で負けたとかって言う思考なら標的にされても文句は言えないけど、これはめぐみんが自分で答えを所作で表してしまっただけだから納得いかない。
「それがイラッとするんですよ!こうなったらこっちのカズマをアクアにチェンジですよ!」
「おい、その言い方何か嫌だから止めろ」
アクアに女神チェンジとか言ってたけど、言われたら結構嫌だなこれ。
こっちじゃ言わないようにしよう。
と言うか死なないようにしよう。
流石に冬将軍は二回目だからやられないと思う。
無知が原因で死んでたのもあるからそれは回避出来るかもな。
「さっきのもそういうことですよ」
「・・・悪かった。埋め合わせとして昨日こっそり買ってたプリンをあげよう。えっと、俺のターンだよな。めぐみんでアイリス取るわ。大手」
めぐみんには内緒で今日の昼にでも一人で食べるつもりだったけど、ここはこれで機嫌を収めてもらおう。
「分かればいいのですよ。あっ、そのプリンなら朝食べました。美味しかったですよ。あと、王女様を呼び捨てにするのは外じゃダメですよって・・・ちょっと待ってください!何ですかその動きは!」
アイリスは妹だから呼び捨てにしていいと言い返したかったがこっちじゃまだ会ってすらないから諦めた。
プリンはあげると言ったから既に俺のじゃないし、どっちが先かの問題だけど、もう食べられてたとは……
ちゃんと隠しといたのになぜバレた?
昨日片付ける時に見られてたのか?
「お前が俺をアクアにチェンジさせるために動かしたから出来た」
「ぐぬぬ。こうなったら王様をテレポートで移動…出来ないじゃないですか!」
「ふふふ、俺は爆裂魔法とテレポート対策に魔女狩りを先にやってたんだなこれが」
めぐみんの手の内はゆんゆんと遊んでるのを見てたから知ってる。
アークウィザードさえ封じればこっちのもんだ。
まあ、それやってもゆんゆんは前に負けてたから、普通にこいつはこのゲーム強いけれども、めぐみんのパターン知ってる俺が負けるとは思わない。
「カズマを侮ってました…こうなったらダクネスで私を取り押さえます」
「んじゃ俺はクリスでアクア取ってまた大手な」
どんどんめぐみんの詰みに近付いてる。
これはめぐみんの降参も有り得るな。
「なっ、カズマ本当に今日が初めてですか?」
「おう。やるのは初めてだ」
「このゲーム自体のクリア方法は熟知してるみたいですね。まあ、次のターン私が勝つのですけどね。カズマを私にジョブチェンジです!」
この手はめぐみんが取れる現状最善の手だ。
とは言え、そこに来るように俺が誘導したんだけども。
「・・・めぐみんって、詰めが甘いよな」
「はい?」
「ダクネスで、そのめぐみんを取る」
これでめぐみんは冒険者の駒が無くなった。
爆裂魔法はもう使えないし盤外テレポートの出来ない。
常套手段は封じた。
あとは、勝つだけだ。
「・・・あ!?待ってください今のはなしで!とでも言うと思いましたか?アクアでクリスを取ります!」
「えっ、アクアいたのか?そっかダクネスがいたから動けなかったのか。完全に忘れてたぞ。こうなったらアレやるしかねえか」
ずっと動いて無い駒だったから考慮してなかった。
とは言え、俺の勝ちは確定しているんだけども。
「アレとは?」
「ふっ、決まってんだろ?めぐみん、やっておしまい!エクスプロージョン!」
言って俺は盤をひっくり返した。
これ一度やってみたかったんだよな。
「あっ!?」
「いやあ、盤面ひっくり返すの楽しいな」
「カズマ」
何故か負けたのにめぐみんが笑顔で俺の名前を呼んだ。
顔は笑ってるのに恐怖を感じるのは何故だろう。
こいつ負けず嫌いだからいつもなら再選を悔しがりながらと言ってくるはずなのに。
「なんだ?」
「負けたましたが、嬉しいです」
「どうしてだ?」
「散らかしたのは全部片付けといてくださいね。次はトランプしますからね」
めぐみんは満面の笑みで言った。
えっ、これ俺一人で片付けるのか?
それならひっくり返さないで、終わらせたのに。
「・・・」
「私はゆっくり紅茶でも飲んで待ってますからどうぞ」
してやられた。
試合には勝ったけど勝負に負けた。
そんな感じがする。
駒が散らかって回収に手間取っているとめぐみんは紅茶を飲み終わったのか、キッチンに行ったきり戻って来なくなった。
何とか片付けも終わってめぐみんを呼びに向かうも、俺の足は扉の前で止まった。
「今はダメですよ。と言うかあなたは当分の間戻らないと言ってませんでしたか?」
誰かが訪ねて来てるらしい。
戻って来ないのもよく分かる。
と言うか、この宿の防音性の高さに俺は今驚いてる。
扉明けるまで声全然聞こえなかったし。
「クエストの都合でアクセルに来ただけだから」
男の声だ。
てっきりゆんゆんが一時的に戻って来たのかと思ってたのに。
誰だろう。
何処かで聞いた事あるような声ではあるけど。
「じゃあ、一々私の所に来なくてもいいじゃないですか?そもそも何故ここが分かったんです?」
「この街に来て会いたくなったんだ。ここは盗賊の知り合いに聞いた」
・・・これは出て行って、彼氏面した方がいいのだろうか?
ここを知ってる盗賊って言えばクリスか?
いやでも、クリスは今隣町で活動中か。
「・・・で、本音は何ですか?」
「お見通しか。実はさっき言ってたクエスト手伝って貰いたくてな。パーティーを代表して俺がやってきた訳だ」
出ていかなくて良かった。
でもめぐみんに協力依頼って珍しいな。
ギルドから偶に破壊して欲しい物があるとか言って呼ばれてるのしか見たことない。
「さっきも言いましたが今はダメです」
「一日中宿屋にいる時もあるって聞いたぞ?暇なんだろ?」
「暇ではありませんよ。その時は勉強してたんですよ。ちょっと待っててください。暇じゃない証明しますから」
「証明?」
仰る通り証明って何だ?
こっち来てるし、まさか俺を呼びに来たのか?
一旦、戻った方がいいか?
でも今からじゃ間に合わない……
ってあれ?
引き返してる。
手には鍋を持ってるし、どういうことだ?
「これを見てください」
「何だ?料理か?」
「一人分じゃないですよね?あと、ほら、ここに靴がもう一つ」
俺がいることの証明を料理でやったわけか。
流石めぐみん、考え方が違うな。
「ああ。もしかして客人がいるのか?それなら先に言ってくれれば諦めたのに」
「だからダメだと言ってたじゃないですか」
「ゆっくりしたいから断ってるのかと思ってたんだ。で誰が居るんだ?」
俺だったらその理由で断るだろうけど、爆裂魔法放てるって話をそんな理由でめぐみんが断るはずない。
と言うか、現状でも喜んでついていかないのが不思議なくらいだ。
紹介は多分、仲間だって言うよなこの場合。
「私にプロポーズした人です」
「・・・は?」
同じく心の中で俺は『は?』と言った。
今来てるやつがめぐみん的にはクリス枠ってことか?
相当親しいってことだよな?
そうなると何処かでめぐみんに紹介されてるはずだよな。
顔を見れば分かるかもしれない。
潜伏スキルや消音スキルを駆使して、さっきまでよりも扉を開けて顔を確認する。
あっ、王都でめぐみんが知り合いだと紹介してくれた冒険者の人だ。
めぐみんが買収した人だと思ってたけど、本当に知り合いだったのか。
確か名前はレックスだったっけ?
「という事なので、帰ってもらいますよ」
「いやいや、待て。めぐみんにプロポーズ?誰が?」
「おい、私にプロポーズする人がいるとおかしいみたいな反応はやめてもらおう」
俺もめぐみんにプロポーズする人がいるのかと聴きたくなる気持ちはよく分かる。
俺自身、めぐみんにストーカーがいるから恋人のフリして欲しいとか言われた時はそんなモノ好き何処にいるんだと思ったし、実際、ストーカーじゃなくて、爆裂魔法の追っかけだったし。
「別にそういうつもりはないからな?俺らの知ってるやつか?」
「ならいいです。レックスは知らないと思います」
やっぱりレックスだった。
こっちも詳しくは知らないから向こうは全く知らないだろうな。
「そうか。でも、あのめぐみんに婚約者か」
「婚約者ではありませんよ?親友です」
うぐっ。
レックスに婚約者と言われてちょっと嬉しくなったのに、即座に否定されると事実だけどダメージが……
「親友?」
「私が返事するまでの間の私達の関係です」
「よくそれで待ってくれてるな」
逆に待てないとか何様だよって言いたい。
好きな子に認めて貰うのには時間かけてでも頑張るしかねえ!
本当に好きならいつまでも待てるはずだ。
それに、何だかんだ言ってめぐみんの方から一緒にいる時間増やしてくれてるからな。
「仲間ですから、一緒にいるのは変わらないと言ってました」
「仲間か。それで、そいつのことどう思ってんだ?」
レックス様ありがとうございます。
めぐみんからの現状の認識を知れる良いチャンスだ。
「いい人だなとは思ってますけど、それは仲間としてですし、よく分からない状態で何とも」
「明日はここに滞在予定だから俺らで良ければ相談乗るぞ?ギルドにいると思うから声掛けてくれ」
「お言葉に甘えましょうかね。ソフィに相談したいですね」
ここで相談して俺に筒抜けって状態でやってくれれば良かったのに。
明日俺がギルド行ったら、めぐみんが相談する機会無くすから良くないし、わざわざ尾行して盗み聞きするのも気が引けるし、ここは諦めるか。
「女同士の方が早いかもな。分かった。アイツも恋バナ好きだから上機嫌で話聞いてくれるだろうよ」
「それは助かります。ではまた明日会いましょう。テリーにもよろしく言っといてください」
「おう。また明日な」
やっとレックスが帰ったと言うべきか、帰ってしまったと言うべきか。
長居されると二人きりのお家デート時間が短くなるとも言えるし、帰られるとめぐみんの俺に対する考えが聞けなくなったし……
不自然じゃないようにトランプ探すか。
めぐみんがボードゲームを出てきた棚を開けると手帳とトランプが入ってた。
両方出して、夕飯持ってくるの待ってる間の楽しみにと思ったのも束の間、めぐみんが戻って来た。
「お待たせしてます。ちょっと知り合いが来てたので、遅くなりました。ちゃんと私がいることは内緒にと言っておきましたから安心してください。本当は飲み終わったら手伝うつもりだったのですけどね」
「気にするなって、それよりこの手帳何が」
書いてあるのかと聞く前に手帳を奪い取られた。
凄い怖い顔してる。
顔真っ赤なんだけど、あの手帳何が書いてあるんだろうか。
気になる。
「よ、読んでませんよね?」
「人様のを勝手に見たりしないって」
「本当ですか?」
めぐみんがここまで隠す物とか見たことないからすげえ気になる。
それにあの手帳見たことないし。
「本当だって、そんなに見られたくないなら俺が開けることになる場所に片付けるなよ」
「迂闊でした」
めぐみんが部屋片付けるって言ってたの多分この手帳隠す為だな。
片付けた場所が悪かったから見つかったけど。
「それよりトランプ何して遊ぶ?」
「トランプタワー作りましょう。先に三段作れた方の勝ちです」
トランプタワーと言えばゆんゆんがいつもギルドの机で作ってたっけ。
その影響でめぐみんも上手かったりするのだろうか?
だったら有利な戦い挑まれてるな。
「じゃあそれで行こう。机揺らしたり何かで固定したりするのは禁止だよな?」
「当たり前です。あと、息を吹きかけるのもなしですよ。始め!」
とトランプタワー対決が始まったのだが、俺は手帳の事が気になり過ぎて、集中が持たずに、負けてしまった。
「カズマ、本気でやってましたか?」
「いや、手帳が気になってさ」
「・・・次勝ったら見せてあげてもいいですよ」
「よし乗った。始め」
「あっ、ズルいですよ!先に始めるなんて!」
「お前もさっきやったろうが、俺は文句言わなかったのにな」
「・・・」
「よし勝った」
「どんだけ読みたいんですか。ここの見開きだけなら見せてあげます」
「全部じゃないのか?」
「誰も全部なんて言ってませんよ」
「分かった」
内容は中二病的な表現があることを覗いては至って普通の日記帳だった。
めぐみんがこの文体を黒歴史だとか恥ずかしいとか思ってるはずもないから、隠す理由がそこまでよく分からない。
このページはパーティー入りした時の話が書いてあるな。
○月✕日
我が禁断の力を欲する者が現れた。活動地の移転さえなければ、誘いに乗っていただろう。しかし、我はこの地に留まり、新たな邂逅をする。この街で幾度となく視界に入りし、男女二人が我が同胞となった。彼らと魔王討伐を目指す旅が今始まる。
めぐみんの力を欲する者ってもしかしてレックスか?
活動地の移転は多分王都に拠点移したって話だろうしな。
「気がすみましたか?」
「めぐみんが隠したい所読みたい」
「それはダメです。今勝手に見たら金輪際デートはしませんし、ここにもあげませんからね」
「分かったって、そんな事しなくても俺は見ないから」
俺が絶対に言うこと聞くフレーズ使ってまで読ませたくないのか。
益々めぐみんの隠す内容が気になってきた。
「返して貰いますよ。今から夕飯持ってきますね」
「俺も手伝う。今日は何作ったんだ?」
「クリームシチューです」
昨日勝った食材と冷蔵庫の中身から作るなら無難な所か。
肉が少ないのは寂しいけど、美味しいのは絶対だ。
「それは楽しみだ」
「お昼は昨日のあまりでしたからね」
「余りでも凄く美味しかったから問題ないぞ」
「ありがとうございます」
この後、美味しくシチューを頂いて、シャワーを浴びて、眠りにつこうとしている所。
また、めぐみんの料理毎日食べたいって言ったら、昨日以上に顔を赤くしてた。
多分、レックスが婚約者って単語使ったからプロポーズとしてちゃんと認識されてたみたいだな。
明日、めぐみんが相談してどうなるのか気になる。
次週もカズめぐしてるシリーズのどれかを投稿予定です。