『旧ヘルヴォルみたいな被害と犠牲を顧みない戦い方』
『強化リリィ疑惑』
『現ヘルヴォルと仲が悪い』
容姿どころか名前すらわかってないのに断片的な情報だけもうキャラが濃すぎる奴、エレンスゲの序列2位
※今回から出てくるオリジナルキャラクターは2021年5月17日時点の序列2位に関する情報から作られております
「出撃を控えろ、ですか?」
「そうだ、予定されていた外征も全て中止と上層部から命令が来ている」
呼び出されたと思えば不可解な命令が教導官の口から話された。
「君も知ってるだろう。先日エレンスゲのリリィが何者かに襲撃されてた事件のことを」
先日の夕方、巡回中のリリィからの定期連絡が途絶えた。不審に思い数名のリリィに調査を命じるも何者かの襲撃にあい全員のチャームを奪われた。
武装したリリィが手も足も出ずにチャームを奪われるという前代未聞の事件は各地に衝撃を与え、怪獣に類するなにかが原因だと推測された。
「敵の正体が判明次第ヘルヴォルに討伐指令を出す。それまで待機してもらう」
「お言葉ですが教導官殿。そのやり方はいささか回りくどいのではありませんか? 最初からヘルヴォルを向かわせた方がリリィの被害を最小限に抑えられると思います」
「問題ない、既に他のレギオンに調査命令を出してある」
「それは、どのレギオンですか?」
「答える必要はない」
エレンスゲの不条理は今に始まったことではない。ここまで頑なにヘルヴォルを出したがらないのも上の思惑が絡んでいるのだろう。ここで食い下がっても望む結果にたどり着けないと判断して一葉は納得した素振りを見せて教導官の部屋から去った。
自動ドアが開くと、正面でリリィが一人待ち構えていた。ヘルヴォルではない、別の部隊のリリィだ。
「ごきげんよう、相変わらず教導官に噛みついているようね”ヘルヴォル”」
そのリリィは奇抜な見た目をしている。上半身はエレンスゲの通常制服なのに腰から下はマディックのスカートを履いているというアンバランスな出で立ち。ドリル状に巻かれた白いツインテール、顔つきは美人だというのに、常に睨んでいるかのようなキツい目つきや常にギシギシと嫌な音を立てる尖った歯が獰猛な肉食獣を連想させ彼女の近寄りがたい、性格が悪そうな雰囲気を作り出している。
学園に彼女と親しいリリィは誰もいない。けれど彼女を知っている者、評価してる者、恐れている者は数知れない。
それが彼女に与えられた順位、一葉の次に優秀だと学園から認められたリリィ。
1位の一葉がヘルヴォルを率いているように、彼女もまた『クエレブレ』という名のレギオンの隊長に任命されている。
「ごきげんよう、確かお名前は――」
「別にいいわ、あなたと親しくなる気なんてこれっぽちも無いもの。部隊名で呼び合うので充分よ」
学園1位になってからというもの彼女は一葉の事を目の敵にしているようで、すれ違う度に何か嫌味を投げつけてくる。そのせいもあって親しくないにも関わらず一葉は序列2位にことをある程度知っている。
序列2位は、元マディックである。
チャームを扱えぬリリィ未満の身でありながら血の滲む努力でスキラー数値*1を引き上げ序列2位にまで上り詰めた異才。この点だけは一葉も尊敬している。だがそれを無に帰すほど欠点が多すぎる。
序列2位は、高圧的である。
相手の事を名前ではなく順位や部隊名で呼ぶ。自分の事もまた『クエレブレ』と呼ばせることを強要する強引さ。”私はお前よりも格上”だと認識させたいのだろうか、常に周囲を見下した振る舞いをしてはばからない。
序列2位は、野心家である。
2位という地位に満足しておらず、一葉を1位の座から引きずり降ろすためなら手段を選ばない悪辣さを持っている。
そして一葉にとって、何よりも許せない4つ目の特徴。
「最初に襲われたの二人はあなたの部隊の方ですよね。お見舞いに行ってあげないのですか?」
「必要ない、所詮は弾除け要員よ。もうとっくに替えは補充してあるわ」
序列2位は、仲間の事を何とも思っていない。
彼女にとって仲間とは思い通りに動く駒、いざという時のための盾。そんな風に雑に扱うせいからか、クエレブレはメンバーの入れ替わりが激しく、序列3桁が所属していることも珍しくない。マディック時代酷い扱いを受けていただろうにどうして周りにもそんな仕打ちができるのか、一葉には不可解でしかたなかった。
「今日はね、あなたに宣言しに来たのよ」
「何をですか? 話が全く読めませんが」
「襲撃者の調査は私達クエレブレが担当することになったのよ」
「……!」
一葉の動揺を感じ取ると悦に浸るように口角を上げ饒舌に語り始める。ヘルヴォルの出撃停止は彼女が何か余計な事をしたものだったようだ。
「上の命令には従っておくものね、あなたと違って私はいい子ちゃんだからほんの少しだけお願いを聞いてもらえるのよ」
「そんな私情が許されるはずが……」
「許されるわ。現にヘルヴォルは調査命令から外れているもの。飼い主を噛む虎よりも従順な犬、学園はクエレブレの方を信頼してるみたいねぇ」
教導官は敵の正体を突き止め次第討伐命令を下すと言ったが、実際に命令が出されることはないだろう。
ヘルヴォルに対抗意識を向けるクエレブレが手柄を譲るようなことするとは思えない。何か理由をつけてそのまま敵を倒してしまうだろう。
ストレートにリリィに与えられた『状況に応じて判断を下す権利』を行使するのならまだましだ。
相手を挑発して無理やり戦闘状態に持ち込むかもしれない。最悪の場合はわざと市街地に誘い込んで”民間人を守るため”という大義名分を得ようとする可能性もゼロではない。
クエレブレは、いや、序列2位はそういう女だ。手柄の為ならどんなことも平気でする危険なリリィだ。
「ふふっ、あなた達は怪獣を倒し損なったそうじゃない。この事件の主犯が教導官の読み通り怪獣だとしてそれを私が倒したなら優劣がはっきりつくわね。
宣言するわ、あなたのことをヘルヴォルと呼ぶのもこれが最後よ。この任務であなたを超えてみせる。この学園の1位に相応しいのは学園の模範たるこの私よ……!」
今のヘルヴォルがエレンスゲらしからぬ戦いをするのに対し、クエレブレは”エレンスゲらしい”戦い方を好む。
早急に敵を倒すために民間人の避難が終わりきっていない状況でも強引に戦闘に開始する、ヒュージの進行方向を変えるためとしてまだ無事な建物を破壊する。勝てば良い、結果を出せればどこまで犠牲が出ても構わない、一葉が学園を変えるため自らトップレギオンを率い『これまでとは違うやり方』をリリィ達に示している中で、クエレブレは『これまで通り』の戦い方をして教導官を始めとする上層部に取り入ろうとしていた。
一葉の脳裏に、始ら竜駆の面々がよぎる。
ヒュージに親を奪われた孤児達、一殺多生の方針によって切り捨てられた被害者、エレンスゲがもっと人命を守ることに懸命になっていたら彼らは今頃普通の人生を遅れたはずだ。
今、目の前にいるのはエレンスゲの体現といえるリリィ。周囲の犠牲を是とする彼女が1位になったら始達のような境遇の孤児達を増やすことになる。
過ちを繰り返してはいけない、心ある人間を勝手な取捨選択で見捨ててはいけない。彼らの境遇を知って一葉は、学園を変えなければならないと今まで以上に強く思った。
「クエレブレ、あなたがどういう思いで1位にこだわっているかは知りません。
ですが、仲間を道具のように扱うあなたに、それを改めるつもりのないあなたに、負けるわけにはいかない。ヘルヴォルは絶対に渡さない」
「ちっ、大口叩けるのも今のうちよ……」
思ってたよりも強気の反応を見せられた2位は怖気づくように踵を返す。
ゲヘナとその傘下の思惑がないまぜとなり作られたエレンスゲ、彼らの都合ででっち上げられたシステム、それを逆に利用してのし上がろうと野心を燃やすリリィ、序列2位。
学園を変えていく上で彼女との衝突は避けられないだろうと一葉は直感していた。
◆◆◆
これはどういうことだ? 始は竜駆の集会所を見て呆然とした。
これから暴走族を懲らしめに行く計画を立てるから集まれと全員に通達しておいたはずだった。
集合時間になっても面子が四分の一も揃っていない、こんなこと今までなかった。
「きょ、今日はですね猫を探しに皆外に出てるでヤンスよ。
田代さんって人の飼い猫が帰ってこないから探してほしいって頼まれましてね……」
「いつから竜駆は何でも屋に、いやいい。どうせあいつらが言い出したことだろ……」
寝ている間に竜駆の方針を変えられたのはヘルヴォルの馴染み様を見て分かった。
竜駆が町のワルを叩きのめす自警団だったのは昔の話、公園のゴミ拾いやペット探し、おばあちゃんの荷物運びに町内清掃何でもござれの親切集団に変わりつつある。
始はそれが気に入らない、リリィの提案であるという事実がなおさら始を不機嫌にする。
「あっさりなびかれやがって、これじゃどっちがリーダーか分かんねぇな
その点お前らはブレずについてきてくれて助かるよ」
「兄貴、そのことなんですけどね……」
バツの悪い顔で言い淀む子分達に「いいからさっさと言えよ」と急かす始。
こういう時は決まって嫌な話を持ち掛けたりするものだ。
「もう許してもいいんじゃないですか」
「……何を許すってんだ」
「リリィのことでヤンスよ!」
やっぱり目の前の五人は俺についてきてくれたんじゃなくて俺の説得のために残っていたのか、眉間にしわが寄る。
彼らは竜駆の中でも特にヘルヴォル達と親交を深めている者達、と同時に始と子分以上の関係を築いている友人達、橋渡し役には適任であった。
「もうそろそろ、リリィを嫌うのはやめませんか」
「……俺に日の出町の事を忘れろと?」
「いや、そこまで言ってるわけじゃ……」
「そういうお前達はどうなんだよ、お前らだってエレンスゲに恨みはあるだろう」
始は五人に向かって、特に左端にいる男に向かって問いかける。
彼の父は小さな工場を経営していた。
しかし町にヒュージが現れると駆けつけたエレンスゲのリリィ達は常軌を逸した作戦に出た。
分かりやすく例えるならば、虫を虫かごの中にぎゅうぎゅう詰めにして、火をつけるといった感じになる。
虫とはヒュージ、火とはチャーム、虫かごとは工場のこと。
大量のヒュージを逃がさず一気に仕留めるために彼女らは工場に誘い込み、一斉射撃で工場ごと破壊した。
ヒュージではなくリリィに壊されたことで保険が適用されず無一文となった父親は絶望し、彼が学校に行っている間に家を燃やして妻と心中した。そうして天涯孤独の身となった彼を始が竜駆に引き寄せた。
絶対に許さないと、泣きながら彼は叫んでいた。
血も涙もないのかよあいつらと、工場の瓦礫を握りながら彼は叫んでいた。
自分と同じぐらいエレンスゲを憎んでいると思っていた始にとって、彼が一葉達と親しく話している光景は不思議でしかたなかった。
「確かに俺はエレンスゲを憎んでました。でもそんな俺にもヘルヴォルの人達は優しくしてくれた。
俺の話を真摯に聞いて受け止めてくれた。
その時気付いたんです。エレンスゲも悪い奴だけじゃない、血の通った優しい人間もいるってことに。そう思うとエレンスゲのこと一緒くたにできなくてそれで……」
「それで恨みが失せたと、いい奴もいるから許せだと、そんなことで恨みが消え――」
「あのっ! 前から思ってたんですけど言っていいですか!」
遮ったのは、隣にいた11歳の少年。最年少ということで始が気にかけていた少年が勇気を出して物申す。
「兄貴が恨んでいるのは昔のヘルヴォルですよね、だったら今のヘルヴォルを恨むのはお門違いじゃないですか!」
それは、始が怖くて誰も言い出せなかったこと。
「その昔のヘルヴォルだって日の出町でほとんど死んだんでしょう、だったらもうバチは当たってますよね! そこで恨み言は終わりでいいじゃないですか!!」
「そう簡単に割り切れるものかよ。現にエレンスゲはまだ日の出町の時みたいな戦い方をしてるじゃねえか!」
「だから一葉さん達が変えようと頑張ってるんじゃないですか!」
少年は誰よりも幼い。それ故に知識が少なく考えも浅いが、だからこそはっきりと大事な部分も見逃さない純粋さがあった。
「兄貴が大嫌いなエレンスゲの在り方をぶっ壊そうとしてる一葉さんを何で嫌う必要があるんですか!」
「遅すぎたんだよあいつは!」
少年の必死な訴えに感じるものがあったのか、うなだれるようにソファーに腰を下ろし気持ちを語る。
「あいつがどんなに頑張ったって死んだ人間は生き返らない……俺の母さんがリリィに見捨てられた事実は変わらないんだ……
見捨てられた人間、守ってもらえなかった人間にからみればリリィなんていないも同然なんだよ……」
始の気持ちを例えるならこうだ。
町に怪獣が現れたとする。その怪獣は破壊の限りを尽くし家族はその巻き添えとなって死んでしまった。
その後にヒーローがやってきて怪獣を倒したとしても、素直にヒーローに感謝できるものだろうか?
始にとっての一葉とはそういうものだ。
すべてが手遅れになった時にようやく現れた救いのヒーロー。
一葉が優しくする度に、気高い信念を見せる度に、日の出町の時に駆け付けてくれたリリィが彼女だったらと思ってしまう。
でもそれはありえない『もしも』の話。
彼女の原点となるのが自分と同じ日の出町の惨劇なのだから、どうあがいても母は助からない運命にあった。そう思うと心に針が刺さったように痛くなる。
「あいつのリリィとしての正しさが俺を苛立たせるんだよ……あいつの正しさが俺に必要だった時は、数年前に過ぎちまってるんだ……」
今まで見せなかったリーダーの弱々しい姿を見て、説得するのも忘れて押し黙る。
「悪かったな怒鳴ったりして、当分は竜駆の活動は中止だ。
お前達は他の奴らと合流すればいい」
そう言って自分の部屋にこもる始の背中を誰も引き止められなかった。
一葉が始と出会い自身の信念を確固たるものに強めていたのに対し、始は自分の信念が揺らぎ心に霧がかかった状態で途方に暮れていた。
◆◆◆
エレンスゲを運営しているのはアウニャメンディ・システマス社と呼ばれるチャーム製造企業である。
ゲヘナの援助によりチャームの周辺機器専門の中小企業から成りあがった経緯は置いといて、チャーム会社がバックにあることのメリットは多い。
最新鋭の計測器具による能力の把握、ホログラムによるリアルな戦闘訓練など多々あるサポートの中で序列2位が目につけたのはチャームのカスタマイズ。
序列上位の持つチャームは部品一つ一つが最高級品、無改造の量産品でもエースが愛用する専用機に匹敵する性能を誇る。
その特権を使い、2位はチーム全員分のチャームを作り直させた。
仲間のためではなく自分のため、部下を管理するのに必要な機能をつけるため。
「反応が出ました、座標は近いです。でも動いてますね。
チャームを持ったまま移動しているようです」
「敵の討伐とチャームの奪還、一石二鳥とはこのことね、ふふふ」
副隊長の持つ探知機の反応を目にし序列2位はほくそ笑む。
取り付けた発信機の類を探知し、クエレブレは早々に敵と対面しようとしていた。
場所は襲撃を受けた所から少し離れた崩落地、傾いたビル街の真ん中を5人の少女が闊歩する。
「入隊早々チャームを取り上げられてびっくりしましたがこういうことだったんスね。
てっきり自爆装置でもつけられたかと思ってヒヤヒヤしたっス」
「そういうのがあったら困るみたいな物言いね、序列131位」
ギロリと圧倒的格上に睨まれ、新入りの131位は身震いする。
軽口のつもりだったが思ったよりも気にさわったようだ。
「でもそのアイディアは悪くないかもね。使う使わないの問題ではなく『逆らったらどうなるか』を分かりやすくした方が隊の規律は引き締まる」
「アハハ……ゆ、ユーモアっすよね…?」
レギオンを動かすのに人望も信頼もいらない、と2位は考えている。
どんな命令でも従わざるを得ないシステムの構築を徹底すれば計算通りに動く完璧なレギオンが出来上がる、それが序列2位の持論である。
そういう思想で動かされているため、クエレブレはメンバー間のつながりが薄い。
名前ではなく序列で呼び合うことを強制され、任務以外で交流することも禁じられてるのでは仲の深まりようがない。
ある「例外」を除いてメンバーはチームメイトのことをほとんど知らない、それがクエレブレ。
他のガーデンとの認識のズレが大きいと言われるエレンスゲの中でも、クエレブレのありようは歪といえるものであった。
「ま、そのプランを試すのは二学期からになりそうね、その時は今日の功績でヘルヴォルを率いているだろうけど」
「……そううまくいくのでしょうか」
ヘルヴォルに任命後のことを気分よく考えていた所を水を差され元より吊り目の瞳がさらに吊り上がる。
小言を漏らしたのは、131位とは別の新入り。少し自信なさげな目をした少女であった。
全員の目が彼女に向けられる。序列2位は言わずもがな、131位ともう一人はボケーっと見つめているだけだが、クエレブレの在籍歴の長い副隊長は必死に目で訴える。
面倒ごとになるから止めてくれ隊長はキレやすいんだ、と発言を撤回することを求めていた。
「ふ、負傷したリリィの傷跡から推測するに彼女達は抵抗する間もなくチャームを奪われているようでして……
襲撃者には私達を無力化する何らかの術を持っている可能性が高いと校医はおっしゃってまして……
その、今の内に対策を考えておいたほうが、良い、かと……」
背格好から学年は高いようだが、その少女は弱々しく委縮した口調で序列2位に進言する。
敵の詳細が分からないのだから警戒はしておいた方が良いという彼女の言い分は的を射ていた。だが『序列下位が上位者に物言った』という事実が2位の心を苛立たせた。
「あなた、序列は何位?」
「へっ?」
「適当に序列下位の名前を指さして決めたからあやふやなのよね、あなたの序列は何位だったっけ?」
「……序列は101位です」
「それで、私の序列は?」
2位と言おうとしたところを「あなたよりも上よ!」と遮るように叫ぶ。
人を序列で呼ぶ癖に自分は2位と呼ばれたがらないのが彼女の奇妙な部分であった。
「分をわきまえなさい、序列3桁の分際で口答えするんじゃないわよ」
「し、失礼しました”クエレブレ”」
「まさか私が元マディックだから実力を疑ってるわけじゃないでしょうね。信じられないのなら今この場で実力を分からせたっていいんだけ――」
2位が面倒くさいコンプレックス丸出しで口撃し始めようとした所に今まで黙っていた最後のチームメンバー、序列21位が声を張り上げる。
「待って、妙な足音が聞こえる、嗅いだことのない匂いも、間違いない、例の襲撃者!」
21位の読みは当たっていたようで、副隊長の探知機から光が消えた。
「発信機に気付いたようです。恐らくこちらに向かってきます!」
「望むところよ、全員チャームをシューティングモードへ移行! 21位は索敵を続けて敵の出現方向を割り出せ! 射程に入った瞬間に一斉射撃で先制攻撃する!」
流石は序列2位といったところか、気持ちを切り替え的確な指示を下す様は彼女が伊達に学園からクエレブレを任されていないことを証明していた。
「方向は3時、足音の速さからして射程への到達時間は……3,2,1……0!!」
「撃てぇっ!!」
合図と共に銃弾の嵐が巻き起こる。
乗り捨てられた車が爆発し、窓ガラスは割れ、ビルが一つ崩れ落ちる。
無人の地であること前提の一斉掃射、こういう思い切りの良さもまた、学園が2位を評価している理由であった。
砕けたアスファルトが宙を舞い煙と化し視界を遮る。
「序列21位、敵の気配はどうだ?」
「硝煙の匂いが刺激的過ぎてちょっと……っ!
副隊長、後ろ!」
部下の背後に影を感じた序列2位は瞬時に判断する。
副隊長を突き飛ばして襲撃者の凶刃を空ぶらせる。
しかし敵は止まらずそのまま近くにいた2位に向かって刃を振り落とす。
自身のチャーム『ティルフィングR型』で受け止めるが敵に押し込まれ足元の地面に亀裂が走る。
「くぅっ、なんて力……!?」
覆っていた透明マントが焦げて剥がれ落ち、襲撃者の姿が割れる。
それは人のようで人の形から大きく外れた異形の人外であった。
背中には昆虫のような羽根、頭には大きな耳がつき立ち、瞳は青く発光している。
だがそれよりも大きく目立つのは、全身の至るところに見える渦巻模様。
『バーロバロバロバロッサァー!!』
海賊宇宙人バロッサ星人。
あらゆる武器や兵器を求めて宇宙を荒らしまわるこの宇宙海賊がチャーム強奪事件の犯人だったのだ。
バロッサの高笑いが響く。
目の前にはチャームを持った少女が5人。
全部奪い取ればチャームコレクションの総数が一気に倍になる、まずは刃を交えているこの少女から狙おうか。
少女を仕留めるべく鍔迫り合う刃を押す力を強めて――不意に引かれてつまづいた。
「運が悪かったわね。お前が襲ってきたリリィと違って私は別格よ。
何せこれから序列1位になるリリィなのよ私は!」
バロッサは知らなかった。バロッサ星人がチャームを奪ってから1日しか経っていない。
全ての機能を把握しているわけがない。
チャームには変形機能がある、とりわけティルフィングの変形は刀身が90度傾くというシンプルなものであることをバロッサ星人は知らなかった。
ティルフィングの刀身が後ろに曲がったことで、それまで力を込めていたバロッサ星人は思わず前のめりに倒れる。その体を抑えたのはティルフィングの砲身。
バスターキャノンと呼ばれる高威力の砲身が我が身に接しバロッサの顔に滝のような汗が流れる。
対し序列2位はニヤリと口元を曲げて引き金を引く。
「ぶっ飛べっ!!」
ティルフィングから飛び出た砲弾がバロッサ星人をビルの壁まで吹っ飛ばした。
バスターキャノンの火力とレアスキル”ルナティックトランサー”を掛け合わせた短期決着こそ序列2位の真骨頂、単身の戦闘力なら学園最強と自負する序列2位の本気が今、発揮されようとしていた。
「これで終わりよ、ルナティック――」
トランサー!
と言い終わることは無かった。
突然、何かに引っ張られるようにティルフィングが手元から離れ、レアスキルの発動が止まる。
「……え?」
何が起こったか分からない一同は唖然となって飛んでいくチャームを眺めた。
飛んで行ったチャームはビルにめり込んだバロッサ星人の手に収まる。
『バーロバロバロォ』
「そ、そんな。どうして……」
サータンの毛で透明マントを作ったように、バロッサ星人は時に怪獣の素材で独自の道具を作ることもある。この地球に来るまでバロッサが彷徨っていたのは怪獣墓場、ほかの怪獣にとっては無限地獄でも彼らバロッサにとっては材料が山のように溢れてる天国に等しい場所であった。
今チャームを奪うのに使ったのは磁力怪獣マグネドンの角を加工して作った磁力装置。101位が危惧していたリリィを無力化する術の正体、チャームによってマギを操るリリィにとって強力な磁石は最大の天敵であった。
今度は序列2位が滝のように汗を流す番。
想定外の方法でチャームを奪われた2位の思考はパニックを起こし判断力が鈍り始める。
『バロバロ』
「ひぃっ!?」
ティルフィングの銃口を向けられたことでパニックが頂点に達する。
バスターキャノンの破壊力は何度も放ってきた自分が一番良く分かっている。
戦車や戦闘機でようやく倒せるミドル級を群れ単位で薙ぎ払える火力が丸腰の自分に向けられたらひとたまりもない。
何として逃げなければ、プライドも当初の目的もかなぐり捨てて副隊長に呼びかける。
「序列11位、インビジブルワンを使え! 私を戦線離脱させろ!」
「え……えっ!?」
序列2位は高速移動系のスキルによる逃走を図る。当然、取り残される仲間のことなんて何も考えてない。生存欲丸出しで情けない叫び声を上げ続ける。
「早くしろ! 何のためにお前を副隊長にした思ってる! 私を殺す気かー!!」
副隊長、序列11位は思わず周りを見る。インビジブルワンを使えば自分と隊長は生き残れるかもしれないが、この3人を見殺しにしてしまうかもしれないと戸惑いが生じる。
うんうんと頭を抱えて悩み、隊長一人と仲間三人を天秤にかけて考え、
「……ごっ、ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
「副隊長、クエレブレ!? そんな、噓でしょ……」
「マジで逃げやがったスっ!」
「ああ、何と言う事、私まで置き去りにするなんて……!」
隊長一人を抱えて11位は逃げた。
インビジブルワンで運べるのは一人が限度というもあるが、最終的に序列2位を選ぶくらいには悲しい奴隷根性が序列11位の脳に染みついていた。
「どうすればいいんスかアタイ達!?」
「逃げるしかない、敵に切り刻まれる趣味があるなら別だけど」
「た、隊長達が逃げた……私達を置いて……私を見捨てて……」
とりあえず磁力の範囲外まで逃げようと背を向ける131位と庇うように彼女を守る21位、しかし101位の様子がおかしい。
見捨てられたショックが大きかったのか体は風に流されるようにふらつき、足元もおぼつかない。
「あ、あっ、あ……ああああああああああああああああ!!」
そして突然星人めがけて走り出した。
磁力装置を知ってもこの行動、正気の沙汰じゃない。
「ちょっ、101位様どうしたんスか!?」
「刻まれる趣味があったのか……」
付き合いを禁じられるメンバーには101位がどういう思いで突っ込んでいったかは分からない。
錯乱状態の愚行としか思えずただただ困惑してるだけ。
このまま進んでも序列2位の二の舞、チャームを奪われなすすべもなく切り殺されるだろう。
『バーロバロ』
無策で飛び込んでくる獲物をあざ笑い、磁力装置のスイッチをつける。
「あっ」
もう間に合わない、101位のチャームはバロッサの手に渡り彼女を切り裂こうと腕を上げている。
仲間の二人も磁力装置によってチャームが飛んで行って助けることができない。
チャームが無ければリリィはただの10代の少女、か弱き存在に戻された彼女達では星人の暴力に抗えない。
運命は決まったも同然。
「とりゃーーーーー!!」
彼方から飛んでくるモンドラゴンが取り残されたクエレブレの運命をひっくり返す。
圧倒的質量に磁力の引力が加わっり尋常じゃない速さでバロッサ星人に直撃。
その衝撃で磁力装置が粉々に砕け、星人も大きな放物線を描いて吹っ飛んでいく。
突然現れた第三者が間一髪のクエレブレを救った。
一体だれが? チャームが飛んできた方向に目を向けるとビルの上に見覚えのある人影が三つ。
「当たった当たった! わぁーい!」
「藍! またチャームを投げて!」
「まあまあ一葉ちゃん、今回は結果オーライということにしてあげて」
「あなた達は、ヘルヴォル!?」
そこにいたのはヘルヴォル。学園1位が率いるレギオン、エレンスゲの7大レギオンの仲でもクエレブレと最も仲が悪く、援軍が期待できないはずの彼女達が今、クエレブレの救援に駆けつけた。
「どうしてヘルヴォルが、出撃は止められていたはず」
「確かに敵の正体が分かるまで出撃してはいけないと命令されました。ですが『チャームを持って散歩をしてはいけない』とは命令されていません!!」
「えぇ……」
なんという屁理屈だろうか、きっとクエレブレの前に現れた理由を聞かれてもたまたま散歩ルートが同じだったとでも言い張るのだろう。
学園から理不尽な命令を受けることは当たり前、一々逆らって反感を買うよりも抜け道を見つけてやりたいことをやった方が効率的、一葉がこれまで信念を通してこれたのも、真面目さだけじゃないある種の悪知恵を持っていたおかげでもあった。
「でも、クエレブレとヘルヴォルって仲悪いって聞いたはずっスけど……」
「信念は違えども、共に世界を守ると誓った身、見捨てるわけにはいきません!」
「リリィは助け合いですものね」
「助け合い~」
世界の平和を守るリリィとて全員が聖人君子というわけではない。
考え方の違いや、過去に起きたすれ違いで険悪な雰囲気を醸し出す者達も多くいる。あくまで中身は子供なのだ。
だがそれでも一度困難を前にすればそれまでのわだかまりを一旦捨てられる、敵を倒すためには嫌いな相手とも手を取り合えるのもリリィである。好き嫌いで仲間を見捨てるほど幼稚な子供では決してないのだ。
「ここは私達が引き受けます! あなた達は一旦安全な所へ!」
「この恩は返す、いつかは保証できないけど」
「隊長には黙っておいてくださいっスねヒスりそうだから! ほら101位様も逃げるっスよ!」
「えっ? あっ、 ありがとうございます」
クエレブレが全員退却した所を確認してヘルヴォルはバロッサ星人と対面する。
ヘルヴォルらが会話している間にバロッサ星人は戦闘態勢を整えていた。
具体的に言うと奪ったチャームをいつでも掴めるように地面に刺しまくっていた。
チャームで作った針山に一葉達も驚きを隠せない。
「わっ、チャームがいっぱいだ」
「アステリオン、ティルフィング、ブリューナクにカービンタイプのグングニル……全部奪われたチャームだわ」
「チャームはリリィ達の思いが込められた大切なパートナー、ひとつ残らず持ち主に返してもらいます!」
『バロバロッサー!』
ほざくなと言わんばかりの勢いで向かってくるバロッサ星人。その手にはグングニル・カービンが握られている。
「まずは私から行くわ!」
銀色の斧を千香瑠が受け止め一騎打ちに持ち込む。
荒々しく攻め立てる白銀の刃。
折れても別の武器に持ち変えればいいと思ってる星人の太刀筋は激烈で反撃の隙を与えない。
圧倒的な手数こそバロッサ星人の強み。
しかし千香瑠との戦いではそれが活かしきれない。
槍と斧、間合いの差を考えた立ち回りが星人のペースを乱す。いくら振っても身に達する前にゲイボルグで弾かれ均衡を揺るがせない。リーチの長い武器を取りに行こうにもその途端に猛攻撃を仕掛けられ防御に回らざるを得ない。
完全に主導権を握られていた。
純粋な身体能力はマギの力を加味してもバロッサ星人の方が上だろう。
それでもバロッサ星人が押されているのは経験の差であった。
千香瑠は相手の動きを予測し、それに対して完璧な迎撃方法を戦いながら割り出していた。
千香瑠にとってそれは何度もしてきたこと。強大なヒュージを倒すためには力だけじゃなく頭も使わなければならない、数々の死闘が千香瑠に相手を予測する力を培わせたのである。
人々を救うため、自分よりも強い敵に立ち向かい成長していく。それが
”下等生物”と見下した相手ばかり襲い、不利になるとすぐに逃げだす『海賊』とは背負ってるものが違う、一戦一戦の重さが違う、覚悟が違うのだ。
『バロバロォッ!』
しびれを切らしたバロッサ星人は強く踏み込み大振りの一撃を繰り出す。
スペック差で押し切ろうとする星人の思考も、千香瑠にはお見通し。
レアスキルで迎え撃つ準備はすでにできている。
「”ヘリオスフィア”!」
千香瑠の前面に張られた防御結界がグングニルを弾き返す。
腕が痺れて身動きが止まるバロッサ星人。結界とぶつかった衝撃がチャームを通して伝わり、大きな隙を生じさせた。
「今よ、一葉ちゃん、藍ちゃん!」
合図と同時に飛び上がる千香瑠。後ろには投げたモンドラゴンを回収した藍と一葉がシューティングモードで待ち構えていた。
動けない星人にありったけの銃弾を叩き込む。
突風の如き掃射に転がされるバロッサの手からグングニルが離れ、宙に飛んでいた千香瑠がそれを掴み取る。
「これで一つめ!」
この勢いでどんどん回収していこう、畳みかける三人に対してバロッサが拾い上げたチャームはティルフィング。チャームを肩に担いだバロッサは銃口を向ける。
「「「っ!!」」」
バスターキャノンの破壊力に警戒して距離を取るヘルヴォルに向けて引き金が引かれた――
……が、何も起きなかった。
『バ……バロォ?』
何故弾が出ないのか分からないバロッサ星人は何度も指を引くも、カチカチという音がするだけで何も起きず、気まずい空気が流れていた。
「そ、そうですよね……宇宙人にチャームが使えるわけありませんでしたよね……」
「よく考えたら地球にしかないマギを宇宙人が持っているはずないわよね……」
「かずは、ちかる、どうして顔隠してるの?」
あんまりにも自信満々でチャームを振るうもんだから気付くのが遅れてしまっていた……
マギがこもってなければチャームはただの刃物。星人、恐れるに足らず。
ティルフィングを投げ捨て突撃する星人を切り裂いたのはブルンツヴィークとクリューサーオールの一閃。
「遅くなってごめんねー、猫ちゃん見つけるのに時間かかってさー」
「ぬいぐるみもいいけど本物の猫も可愛いかった……」
恋花と瑶が駆けつけヘルヴォル集結。
今度こそ星人を打ち倒すべく全員で突撃を仕掛ける。
『兄者をやらせるかぁっ!!』
一斉攻撃の直前、降り注ぐ銃弾の雨がヘルヴォルを妨げる。
上を見上げると今まで戦っていたバロッサ星人とは別のバロッサ星人が同族の元へ降りて来た。
「星人が増えた!?」
「兄者って言ったけど、まさか兄弟!?」
『その通り、我ら兄弟、海賊同盟を誇りとして名乗る豪快な奴らよ!』
バロッサ星人は一度に卵を1万個産み、一族総出で略奪行為に走る悪性宇宙人。光の国も彼らには手を焼くほど各地で激闘が繰り広げられていた。
その戦いに敗れたバロッサ星人達も当然怪獣墓場へたどり着く。
今ヘルヴォルの前にいるのは俗に『初代』と『2代目』と呼ばれる個体、とある地球でウルトラマンZに倒された者達である。
『ここは俺が引き受ける! 兄者は一度下がって傷を癒すといい!』
「兄弟仲が良いのは感心だけど逃がさないよ!」
チャームを向ける恋花に対し2代目が向けたのは武器、ではなく芋ようかんであった。
何故ここで和菓子を? おいしそうだとよだれを垂らす藍以外の首をかしげる面々に説明するように語り出す2代目。彼は一族の中でも独特なセンスの持ち主であった。
『3代目兄者から聞いたことだが、地球にあるでんぷんと呼ばれる成分が我々の体に強力な化学反応を起こすという。
そしてこの芋ようかんの原料たるサツマイモとやらにもでんぷんは含まれている……
つまりっ!!』
語るや否や芋ようかんを貪り食う。食べ終わると2代目の体は2mから53mへと巨大化した!
『一度芋ようかんで巨大化してみたかったのだぁっ!』
「どんな体質してんのよアンタら!?」
「芋ようかんって食べると大きくなっちゃうんだ。らんも気をつけないと、ようのお膝に乗れなくなっちゃう」
「藍ちゃんは大丈夫じゃないかしら……」
弟の巨体を盾に兄は逃亡する。
「一葉! 大きい方はあたし達が相手するからあんたは小さいあいつを追って!」
「了解しました。皆さん、くれぐれもお気をつけて」
銃撃と同時に2代目の股下を突き抜けて一葉は初代を追跡する。
星人の脚力は俊敏で、リリィの跳躍力をもってしても追いつけそうにない。
「ならば!」
一葉はブルトガングを星人の走る方向に向けて発砲。目の前で弾が爆ぜたことでバロッサは慌てて進路方向を変えた。
作戦成功だ。
『バロバッ!?』
「そっちは通行止めですよ!」
弾幕にあえて穴を作り、そこに逃げ込むように誘導する。
そうやって相手の動きを抑制すると想定通りに路地裏に入っていった。
ここは竜駆の秘密基地に近い所にある廃墟、何度も彼らの所へ通っていたのでこの辺りの地理は大体知っている。だから星人が逃げた路地裏に何があるかも知っている。
「行き止まりです。観念してください」
遂にバロッサを追い詰める一葉。
ブルトガングを構えとどめを刺す直前、星人は不可解な行動に出た。
命乞いではない。
抵抗でもない。
指を立てたのだ。
人差し指を上に向けて立てた。ただそれだけのこと。
しかし気になる。この行動にはどういう意味があるのだろうか。
星人の喉が鳴る。
『オロカモノハユビヲミル、ソウデナイモノハ』
まるで発音を気にせず前に聞いた外国語をそのまま喋ったかのようなぎこちなさ、されど確かに意味のある言葉を言った。
背筋が凍る。人の言葉を喋る気配がなかった初代が突然喋り出したことよりも一葉の顔を強張らせるのは頭の上から感じる殺気。
『隙ありぃー!』
バロッサ星人3代目。
今まで気配を殺していた伏兵が最悪のタイミングで迫ってくる!
「くっ!」
上空の敵に対応せざるを得ない。
弾丸で3代目の持つこん棒を弾き、神業の領域と言える高速変形で刃を突き上げる。
落下する3代目は軌道を変えられずブルトガングに突き刺さった。
深々と貫通した刃はやがて3代目の命を刈り取るだろう。
『あ、兄者……今だ』
だがそれは3代目の体を張った策であった。
『バーロバロバロ……』
命を懸けた弟への賛辞か、罠にはまった一葉への嘲笑か、長男バロッサの手が一葉の頭を掴む。
「しまっ――」
手詰まりだ。振りほどこうにもチャームは3代目の体から抜けきらない。
腕がだらりと下がり、少女の瞳から光が消える。
催眠は完了した。
◆◆◆
53メートルの巨体が暴れる姿は始のいる場所からでもはっきりと見えた。
「こんな近くに怪獣だと!?」
こうも近いと竜駆の基地が危うい。子分らを守る為だと自分に言い聞かせて部屋を飛び出す。
きっとあの近くにヘルヴォルがいるはずだろう、無自覚な信頼を元に走る始だったが、出口の所で足が止まる。
外の怪獣でも眺めているのか、仲間が棒立ちのまま出口を遮っていた。
「おいどけ、進めないだろ……っ!?」
押しのけた先に見えた人影に目を見開く。
そこにいたの相澤一葉と彼女の後頭部を鷲掴みにして歩み寄る金色の異形。
一葉はぐったりとしたまま動く気配がない。大丈夫なのだろうか彼女の安否に不確かさに唾をのむ始。
『その指のリング、お前がウルトラマンの片割れだな』
一葉の唇が動く。だがその声にいつもの覇気は感じられない。
この異様な姿を見て、後ろの異形が一葉に何かしたのだと、始は直感的に理解した。
『この星には興味深い武器が山ほどある、墓場に眠る同胞達を呼び押せて侵略する予定だがその前に、邪魔な光の戦士には消えてもらう』
糸で吊るすようにブルトガングの持つ腕が上がる。標的は始。
「チャームは女にしか扱えないんだぞ、お前らが持っても意味ねえだろ」
『ならば持ち主ごと奪えばいい、催眠をかけて動かせば我々にも間接的に使用することができる
このようにな』
直後上方へ弾を放ち基地の壁に穴をあける。
子分は驚いて一歩後ろへ下がる。
対し始は前に出た。チャームという最強の兵器を向けられていることへの恐怖よりも人形みたいに人間を操る星人への怒りが勝った。
「そいつを放しやがれ! 女を盾にしないと喧嘩の一つもできねえのかこの腰抜け野郎!」
『下等生物の挑発など聞くに堪えん』
冷酷に冷淡に、一葉の腕をもう一度操る。
次にブルトガングの銃口が向けるのは、一葉自身の頭。
行動の意味は当然、人質である。
『動くな、両手を後ろに当て、胸が銃身に密接する距離まで歩いてこい、一歩ずつゆっくりとだ
命令にない動きをした瞬間この女の頭を吹っ飛ばす』
あまりにも卑劣な要求に歯が潰れそうなくらい歯ぎしりをする始。
こんなに腐った奴は今まで見たことない、何が何でも殴ってやる。
何とかしてこの星人に吠え面をかかせたいと、出し抜く方法を模索し始める。
だがそううまくはいかない、ただでさえ短気でバカなのに頭に血が上った状態では画期的な明暗なんてでてこない。
時間だけが無駄に消費され、星人は催促するように銃口をより頭に近づけた。
「兄貴……そろそろ決めないと本気やばいでヤンスよ……」
「分かってるつの黙ってろ! (ちくしょう、考えがまとまらねえ……)」
もういっそ一か八かで突っ込むか、やけっぱちの無策に賭けようとした始の目が催眠されている一葉の瞳を重なる。
その時、少女の瞳に光が戻った。
まさか正気に戻ったのか、始の後ろの竜駆達も期待する中、一葉の口が開く。
棒読みではなく意思を持った声色で、
無表情ではなくしっかりと表情を変えて、
「助けて……ください……」
命乞いをした。
一葉らしからぬ言葉に一同は凍り付く。
「命令から1分間何も動かなかったら撃つ手はずなんです……
一分経過まであと十秒もない、お願いです星人の言う通りにしてください……
私はまだ死にたくない……」
餓死寸前の物乞いのように、
死刑が決まった被告人のように、
渦潮に投げ捨てられた赤子のように、
必死で卑屈で悲惨な表情で一葉は助けを求めていた。
その痛ましい姿に竜駆達は思わず目をそらした。
始も自分の頭から血の気がサッと引くのを自覚した。
それまで血の赤に染まっていた頭が突然真っ白になる。
今まで接してきた一葉と明らかに違うと分かっていても、胸の中にうごめいた感情が抑えきれない。
これしかないと、始は覚悟を決めた。
命令から59秒後、ポケットの中身を全て捨て両手を後頭部に当てる始の姿があった。
「これでいいんだろ……」
頭を掴んでない方の手でこちらに来いとハンドサインを送るバロッサ星人。
大人しく丸腰で近づいてくる巨人の片割れを見て、星人の頬が緩む。
勝った! 罠とも知らずに騙されよって! 所詮は下等生物よ!
バロッサの脳内はすでに勝利の余韻で満たされていた。
バロッサ星人の催眠を受けた者は多くが表情が消えて棒読みになる。
だがそれはバロッサ星人は
その気になれば表情も声色も操れるのだ。
要求を飲まない相手には被催眠者が正気に戻ったと錯覚させて平静を奪う。これがバロッサ流必勝交渉術。
どんなに頭が冴えた人間でも、見知った人間が必死に命乞いすれば動揺を隠せない。
『早く助けないと』とという感情に流されて思わず命令に従ってしまう。
バロッサ星人の持つ、自分達以外はどうなってもいいという略奪者として性質と同族の敵討ちに執着する仲間意識の強さという二面性が生み出した奇計といえよう。
仲間を思う気持ちがあるのに、仲間を失う怒りを知っているのに、そういう感情を平気で利用するバロッサ星人は真の外道といえるかもしれない。
一歩ずつ歩いてくる少年に星人は必死で笑いを隠す。
目標の距離についた瞬間に少女の表情を消してネタ晴らしをしてやろう。
驚愕と怒りに支配された時、どの星の生物もとても面白い顔をするものだ。
銃身が胸に到達するまであと3歩、笑いが少し漏れ出す。
あと2歩、トリガーに指をかけさせる。
あと1歩、もう待ちきれない、早く最後の一歩を踏み出してくれ。
ついに目標に位置に到達、
視界から少年が消えた。
『………………バロ?』
どういうことだ?
なぜ少年がいない。
ウルトラマンと融合してるとはいえただの人間がバロッサ星人の視力から逃れられるはずがないのに。
急な出来事だったのでバロッサ星人は気付くのが遅れた。
視界から少年が消えたのではなく自身の視界がブレたことに気付くのが遅れる。
今見えているのが真上の青空だということに気付くのが遅れる。
人質の少女を手放していることに気付くのが遅れる。
右の頬にものすごい激痛が走ったことに気付くのが遅れる。
それらの原因が全て、最後の一歩を踏んだ直後の少年によって殴り飛ばされたものだと気付くのは、2発目の鉄拳に殴られてからだった。
「「「あ、兄貴ーーーーーーー!?」」」
予想外過ぎる行動に子分達は叫ばずにいられない。マンガだったら目が飛び出る描写をされるようなくらいの驚きぶりであった。
だがそれ以上に驚愕しているのは他でもない殴られたバロッサ星人本人。
『バロッ!? バロバババ!? バロバロバロォー!?』
「何言ってるか分かんねえけど、お前は多分こう言っている、『なんで殴った、人質が惜しくなかったのか』ってな。答えは単純だぜ」
指の骨を豪快に鳴らしながら聞き間違いようがないほど大きな声で始は答えた。
「テメェの事が! ムカついたからだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
直球過ぎる理由にその場にいる全員がずっこけた。
土壇場での大博打にここまで短絡的な理由で突っ込めるのは最早才能である。
「ムカつく理由その1! 自分の口で喋らないのが気にくわない!
ムカつく理由その2!! 蚊取り線香みたいな模様がなんかキモい!!
ムカつく理由その3!!!」
チラっと後ろを見て一葉がまだ起きてないことを確認すると第3の理由を語り出す。
「お前はこいつが絶対言わないようなことをこいつの口で喋らせた!
この相澤一葉って奴はな! 怪獣に踏み潰される直前でも俺に向かって手を伸ばしていた!
自分の命よりも他人の命を優先するようなお人好しだ!!
そんな奴が命乞いなんてするわけないだろ!!」
操られた一葉の怯えた顔を見た瞬間、心の中に嫌な気持ちが芽生えた。
何でそんな情けない事を言うんだと、お前はそんな奴じゃないだろうと、目の前の姿を否定したい気持ちでいっぱいになった。一葉の尊厳を踏みにじるような真似をする星人に怒りが湧いてきた。
そして気付いたのだ。
大嫌いなはずのリリィを弄んでいる星人に怒っている自分を。リリィのために怒っている自分を。
「相澤一葉を、ナメんじゃねぇぞゴラァッ!!」
ヤンキーは面子が命。
自分や仲間を侮辱する相手のことを絶対に許さない。
相澤一葉の心を侮辱した星人に怒りを感じた瞬間に気付いた。
リリィとか、日の出町とか、関係なしに彼女の意思の強さに惹かれていた自分の心を。
それに気付いた瞬間、悩みは吹っ切れた。
俺はリリィと手を組むんじゃない、俺は俺が凄いと思った奴と手を結ぶんだ。
ほんの少しの気持ちの切り替えが、心に曇った霧を晴らして前を向かせた。
『ちょこまかと厄介な奴らめ……むむっ! 兄者、苦戦しているな。
今助けるぞ兄者、これを受け取るのだ!』
ヘルヴォルの攻撃に押されて逃げてきた2代目が地面に倒れている初代に向かってタピオカを投げる。
弟から受け取ったタピオカを飲み干し兄も巨大化した。
巨大化したバロッサ兄弟が始と一葉の前に迫ってくる。
「うぅ、私は確か……ってあれ、始さん?」
催眠を解かれ目が覚める一葉。
いつの間にか隣にいる始と巨大化したバロッサ星人を見て瞬く間に状況を理解する。
「あなたが助けてくれたんですね」
「か、勘違いするなっ。俺はただムカつく相手を殴っただけだ」
「そうでしたか。ひょっとして、私とあなたが思う『ムカつく相手』とは同じなのではありませんか?」
「……多分な」
二代目バロッサを追って残りのヘルヴォルも合流する。
相当な激戦だったようで肩が大きく上下しチャームも所々刃こぼれしている。
「はぁはぁ……ごめん一葉、あいつ結構しぶとくて」
「いえ、私も不覚を取ってしまいました。皆さんは竜駆の方達のことをお願いします」
後ろにいる竜駆の避難は恋花達に任せて一葉は始と共に敵に向かい合う。
手練れの宇宙人兄弟との一対二。ウルトラマンになって間もない二人には高いハードルである。
「操られていた私は竜駆の皆さんを傷つけていたかもしれない……この『ケジメ』はつけさせてもらいますよ!」
「おまっ、どうした? ケジメなんてお嬢様らしくないことを、まるで俺らみたいだぞ」
「勉強したんですよ、ヤンキーというのがどういうものかをマンガやドラマで調べさせてもらいました」
「えぇ……そこまでするか普通……?」
相澤一葉は常に全力直球。どんなことでも真剣にとらえる真面目さがある。
始の心に寄り添おうと決めた時から、彼の心を知るために彼に近しいヤンキーの心理を調べようとするのは一葉にとって普通なことであった。
「たかがリリィ嫌い一人のためにそこまでするなんて、さてはすっごいバカだなお前?」
「どんな相手でも悩み苦しんでいる誰かに手を差し伸べたいという気持ちがバカならば、私はバカであることを恥じません」
バカと呼ばれてもそれを誇らしげにする一葉の笑顔が眩しくて、始は思わずクスリと笑う。
昔夢に見ていた『誰かを助けるヒーロー』とは、きっと一葉みたいな者なのだろうと、始は密かに思った。
「だったら俺もなってみるか、バカって奴によ……」
迫りくる敵を見据えながら始はウルトラリングをはめた右手を横にする。
その先には一葉の左手がある、左手にはめたウルトラリングが光る。
それは前の変身者、北斗星司と南夕子にはできなかった変身方法。
右手と左手、逆の腕にリングをはめたからこそできる変身方法。
横に並んだままの変身。見つめ合うのではなく、同じ方向を見据えながらの変身。
「俺はまだお前らの事が嫌いだ! 合わせてやることができねえぞ優等生!!」
「構いません! 私が全力で合わせますからあなたも全力で力を振るってくださいバンカラ番長!!」
二人の拳がかち合ってウルトラタッチ。
それに伴い、光と共にウルトラマンエースが出現する。
少々乱雑だが確かに二人の心に信頼の種が芽生えた瞬間であった。
『バロバロッサァ!』
『バロッサファイトォーレディーゴー!』
兄はケットル星人の槍を、弟はガルタン大王の青竜刀を武器に迫ってくる。
ヘルヴォルとの戦いで持ってきた武器は全部壊され、今手に持つもので最後だ。
対しエースは念力によって銀色の刀『エースブレード』を作り出し対抗する。
三つの刃が火花を散らす。
二人がかりのバロッサ星人が有利と思いきや、光線技を組み込んだエースの多彩な攻撃が二人を圧倒する。
「「タイマーボルト!」」
つばぜり合い中に放つ雷撃が横やりを入れようとした初代の胸を焦がす。
「「ウルトラスラッシュ!」」
八つ裂き光輪を投げずに手のひらに固定して疑似的な二刀流で迎え撃つ。
「「エネルギー光球!!」」
ブレードをバットに見立て放つ千本ノックにバロッサ兄弟はたまらずダウン。
戦闘に集中しながらも、始は一葉の対応力に目を見張る。
動きはともかく、膨大な数の光線技からどれを選んでをどのように使うかまで完璧に予測してついていけるのは到底できることではない。
心を読んでるわけではない限り思いやたるふしは一つ。
「まさかこれって」
「その通り、特訓の成果です!」
あの珍妙な特訓は始を鍛えるだけではなく、彼の体の使い方の癖や思考を把握するためのものでもあったのだ。
仲間の身体能力を把握しそれに応じたフォーメーションを構築することなど、トップレギオンの隊長たる一葉にはお手の物であった。
しかも動きをただ合わせるだけではない。
「始さん、後ろから来ています!」
「サンキュー、助かったぜ」
「バロッサ星人の腕には催眠効果があるので気を付けてください!」
「だったら腕をへし折ってやる!」
視野が狭くなりがちな始の死角を補い、エースの記憶から手に入れた知識を使って相手の初見殺しを封殺する。
そのサポートのおかげで始は全神経を戦闘に集中できる。
正に『二人で一人のウルトラマン』 エースと融合してたった2戦目で安定した戦闘スタイルを構築しつつあった。
『バロバァー!?』
相手を空高くに放り投げる大技『エースリフター』によって初代バロッサが空中で無防備な姿をさらす。
とどめを刺すなら今だ。
「一気に決めるぞ! 技はえっと……”あの技”でいくぞ!」
「はい! ”あの技”ですね!」
技名を言わなくても、記憶を辿れば始が印象に残っていただろう技には目星がつく。
両腕を交差し、すぐさま上下に開く動作、一葉の予想通りだ。
「「バーチカルギロチン!!」」
三日月型の光刃が宙を舞う宇宙海賊を縦に斬り裂く!
初代バロッサは大爆発を起こして散った。
『
『兄者ぁぁぁぁぁぁ! おのれ許さん! ファイナルブレイクをくらえーっ!』
逆上した弟が青竜刀を掲げ飛び掛かる。
対しエースは腰を落として迎撃の構えを取る。
「次は”あれ”ですよね」
「そうだ、”あれ”でぶった切る!」
間合いに入った瞬間、大地を蹴り上げる。
空中で交差する二人。
ゆっくりと足を地面につけた時、勝負は決まった。
「「サーキュラーギロチン」」
『
十字に斬られたバロッサ星人が崩れ落ち、爆散する。
敵を倒したエースは変身解除、エースの足元だった場所に元に戻った二人が降り立つ。
「お疲れ様でした。でも、昨日の約束では力を貸してくれるのは一回限りでしたよね」
「話は最後まで聞くもんだぜ。あれには続きがあったんだよ」
言おうか言うまいか少し迷って、深く深呼吸。
意を決して声に出す。
「エレンスゲを変えるというお前の目標、それを絶対に途中で投げ出すな。
具体的には言わないがなるべく早く叶えろ、これ以上俺みたいな人間を増やすな
……そうすれば、犠牲になった奴らも少しは報われるだろうよ」
何言ってるんだ俺は、と始は思わず背を向ける。
いざ口に出してみると自分の言葉とは思えないくらいくさくてちょっと恥ずかしい気持ちになる。
一葉はどう思ってるのだろうか、流石に断らないと思うが……
恐る恐る振り返る。
「その条件では無理ですね」
まさかの拒否に盛大にすっころぶ始。
「おっ、おまっ! この流れで断る奴があるか!?」
「仕方ないじゃないですか、だってあなたの出した条件は緩すぎるんですよ!」
「えっ?」
「エレンスゲを変えることは私にとって不動の目標。あなたとの約束に関わらず成し遂げるべきことですから力を貸す条件として成立しないんですよ」
「別に良いだろ条件と目標が被っても!」
「よくありません! これから危険な戦いに民間人のあなたを巻き込むことになるのですからそれに見合った対価がなければ戦わせるわけにはいきません! 何でもいいから他の条件を提示してください、さあ! さあさあ!!」
「あーもう! やっぱお前嫌いだ~!」
その後、1時間ほど問答は続き、最終的に『千香瑠に竜駆全員分の料理を作ってもらう』という条件になっとさ。
◆◆◆
怪獣はどこからともなく現れる。
山に街に砂漠に、怪獣墓場と繋がる場所はランダムで予測がつかない。
”それ”は海に現れた。
その怪獣は他とは独特の行動指針を持っており、出現して最初に取った行動は監査だった。
海底に根を張りこの星の生態系をチェックする。この星の生物がどいういうものなのかを調べ、生きていいかかどうかジャッジするのがその怪獣の使命であった。
この星の隅々まで調べ上げ、怪獣は感動した。涙を流す機能はなかったが、あったら間違いなく流していたほど、自身の理論にそぐう生命がこの惑星には溢れていた。
その生命は物を食べない。
自分が生きながらえるために他の命を食らうという醜い習性を持ち合わせていない。
この星にあるエネルギーを糧として生命活動を維持している。
そういう生態を会得したおかげか、その生命は同族同士で争わない。
自分に必要なエネルギーを必要な分だけ宿しているから同族から奪う必要などないのだ。
そしてエネルギーが尽きようとも助命のために捕食することなく潔く果てる。
何と調和された命だろうか!
これこそ命のあるべき形。
宇宙の原理に基づいた最も合理的な進化。
だがこの素晴らしき命は未だにこの星に根付ききっていない。
食物連鎖という間違った進化をした他の生命体によって駆逐され続けている。
他の命を捕食し続ける愚かな生物を根絶し、食物連鎖から脱したこの素晴らしき生命体”ヒュージ”の命を
補足話
クエレブレメンバーのレアスキルとチャーム
序列2位(隊長)
ルナティックトランサー
ティルフィング R型
序列11位(副隊長)
レジスタ、インビシブルワン(サブスキル)
トリグラフ
序列21位
フェイズトランセンデンス、マギリフレクター、リジェネレーター(ブーステッドスキル)
アステリオン改
序列101位
テスタメント
ダインスレイフ・カービン
序列131位
無し(未覚醒)
グングニル・カービン
次回、『ルドベキア』 お楽しみに