ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
最近夏バテ気味で、中々執筆に手が回らずでした。
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第9話
「ハナダジム美人三姉妹」
オツキミやまを抜けて、ついにハナダシティに到着したソラタは、ジム戦に備えてポケモンセンターに立ち寄っていた。
オツキミやまでのロケット団の幹部の一人、アテナとの戦いに勝利した後、特に問題らしい問題も発生する事無く無事に山を出てハナダシティ入りを果たした。
水の町ハナダシティ、ジムリーダーが水タイプのポケモンを使う事もあって特にカントーでは水に関する事では随一の町だと言えるだろう。
特に、ハナダジムは町の水族館を兼ねているらしく、ジムリーダーやジムトレーナーも普段は水族館職員として働いているらしい。
「さて、誰で行くか……まぁ順当に考えるならピカチュウは第一候補だよな」
ジョーイさんに聞いた話によれば、ハナダジムはチャレンジャーとジムリーダー共に使用ポケモンは2体という制限が課せられているらしい。
ニビジムと同じ制限なら、誰を出すべきか慎重に検討したい所だが、現状ハナダジムの水ポケモンに有効なポケモンは手持ちにピカチュウしか居ないのだ。
「ヒトカゲ、イーブイ、コイキング、ピジョン……ヒトカゲとピジョンは確実に候補から外れるか」
となると残るはイーブイとコイキングのみ。
「……よし」
どちらを出すのか決めたソラタはモンスターボールを腰に戻して立ち上がると、ポケモンセンターを出る。
向かった先はハナダジムがあるハナダ水族館、2個目のバッジであるブルーバッジをゲットして、次のクチバシティを目指す為、早々にジム戦を終えたい。
「ここか……」
到着したハナダ水族館は本当にジムがあるのかと思うぐらい、大きなジュゴンの絵が特徴の屋内テーマパークのような外観をしている。
入口の張り紙には水族館の入場料や、中で行われている水中ショーの開演時間などが書かれているが、その一番下に小さく「ジム戦も行ってます」と書かれていた。
まるでジムはついでみたいな扱いだが、間違いなくハナダジムとしても機能はしているようだ。
入口の自動ドアから中に入ってみれば、なるほど確かに水族館なのだと思わせた。受付にはピンクの髪の女性が座っており、ソラタを見つけると軽く会釈をされたので、早速受付へ向かう。
「あの、すいません」
「はい、水族館の入場料でしたら子供300円ですよ」
「いえ、水族館に用じゃないんです。ハナダジムに挑戦に来たんですが……」
「あら、ジムチャレンジャーだったの?」
「はい、今は水中ショーの時間外みたいなので、ジム戦出来ると思って来たんですが」
「ちょっと待っててね」
女性はそう言うと内線電話で何処かに電話を掛ける。そして数分すると受話器を置いて受付席から立ち上がった。
「改めましてようこそハナダジムへ、私はハナダジムのジムリーダー3人の内の一人、ボタンよ」
「3人……?」
「そう、ここハナダジムは私達姉妹で経営しているジムでね。チャレンジャーには3人の内の誰かとジム戦をしてもらうの」
「そっすか」
そういえばそうだ。アニメのポケモンで初代も初代だから忘れていたが、ハナダジムのジムリーダーは元々カスミの3人の姉が務めていたのだった。
勿論、カスミにもジムリーダー資格があるので合計4人のジムリーダーがハナダジムにはいる事になっているらしい。
「今からバトルフィールドに案内するわ。そこに私の姉のサクラ姉さんとアヤメ姉さんがいるから、私を含めて3人の内の誰とバトルするか、決めて貰うわね」
「はい」
ボタンに案内され水族館を通って奥に進むと、広いプールに出た。プールには円い足場が幾つか浮いており、水のバトルフィールドの名に相応しい場所だ。
「いらっしゃいチャレンジャー君」
「あ……」
声を掛けられて振り返れば、そこにはボタンの他に金髪の女性と青い髪の女性が立っていた。覚えている、彼女達はアニメで見たカスミの姉……。
「ハナダジムのジムリーダーの一人、サクラよ」
「同じくアヤメ、よろしくね」
そう、金髪の女性が長女のサクラ、青い髪の女性が次女のアヤメで、ボタンが三女、カスミが四女だった筈だ。
「マサラタウンのソラタです。今日はジム戦に来ました」
「そう、それじゃあソラタ君、私達三姉妹の誰とバトルするのかしら?」
「……それじゃあ、サクラさんでお願いしても?」
「ええ、良いわ」
どうせなら長女であるサクラにお願いする事にした。彼女たちはジムリーダーとしてはお世辞にも強いとは言えないが、それでも三人の中で一番の実力者と言えばサクラだろう。
バトルフィールドに移り、アヤメが審判をしてくれる事になったので、早速反対側に立つサクラと対峙した。
「これよりハナダジムのジム戦を行います。使用ポケモンは互いに2体! 先に2体のポケモンを戦闘不能にした方が勝ちとなります。尚、ポケモンの交代はチャレンジャーにのみ認められています」
アヤメからの説明を受けて、ソラタは一体目のポケモンが入ったモンスターボールを取り出す。サクラも既にモンスターボールを構えているようで、互いに準備は万端だった。
「行くわよパウワウ!!」
「パワウ!」
サクラが出したのは水タイプパウワウだった。もちろん予想通りだったので、ソラタに使用ポケモンの変更は無い。
「行け! コイキング!!」
サクラのパウワウに対して出したのは、ニビシティで購入したコイキングだった。水のフィールドである以上、コイキングでも十分戦いやすい場所だからこその選択だが、勿論それだけがコイキングを出した理由ではない。
「あら、コイキングで良いの?」
「ええ、でもご安心を。俺のコイキングは特別なんで」
「特別……?」
パウワウとコイキングが出て対峙する。審判のアヤメはそれを確認すると、両手に持ったフラッグを大きく振り上げ……。
「試合、開始!」
振り下ろした。
「パウワウ! “オーロラビーム”!!」
「パ~ゥ~!」
「コイキング! 水中に逃げろ!」
「追いかけて!」
オーロラビームを水中に潜る事で避けたコイキングだが、そもそも泳ぐスピードはコイキングよりパウワウの方が早い。
コイキングを追ってパウワウも水中に潜り、あっと言う間にコイキングに追い付いた。
「そのまま“ずつき”!」
「引き付けろ!」
“ずつき”の姿勢で一気に近づくパウワウを見つめて、コイキングとソラタはタイミングを計った。そして、射程距離まで接近したタイミングで、コイキングはソラタからの指示を予測して尾をパウワウの方へ向ける。
「パウワウの頭を利用して“はねる”!」
コイキングの尾鰭がパウワウの頭を叩き、その勢いで一気に水面へ跳ね上がると、水から飛び出して空中へと飛び出した。
「パウワウ! コイキングに向けて“オーロラビーム”!」
「パゥ~」
水面に出て来たパウワウは空中に居るコイキングに向かって再びオーロラビームを放つ。空中に居るコイキングは絶対に回避出来ないだろうと、直撃して戦闘不能になるのをサクラは、そして審判をしているアヤメと観戦中のボタンも予想していた。
だが、言った筈だ。このコイキングは特別だと。
「コイキング! “ハイドロポンプ”で迎え撃て!!」
「“ハイドロポンプ”ですって!?」
そう、このコイキング、購入した段階で既に“ハイドロポンプ”を覚えていたのだ。そうでなければ500円で売るのを将来への投資だ、などと言われる筈が無い。
「パウワウ!?」
“オーロラビーム”が“ハイドロポンプ”に押し負けてパウワウに“ハイドロポンプ”が直撃した。勢い余って円い足場まで吹き飛ばされて倒れたパウワウに、空中で態勢を整えたコイキングは頭をパウワウへ向ける。
「今だ!! “たいあたり”!!!」
「コココココ!!」
落下の勢いを乗せた“たいあたり”がパウワウに直撃、円い足場を叩き割って2匹とも水中に消えた。
「パウワウ!!」
暫くして、コイキングが水面に出てきて元気そうな姿を見せると同時に、目を回したパウワウが浮かび上がってきた。
「パウワウ、戦闘不能! コイキングの勝ち!」
「よっし!」
先ずは1勝、残り1匹を倒せばハナダジム制覇だ。
「戻りなさい、パウワウ……ご苦労様」
サクラがパウワウをボールに戻すと、別のボールを取り出しつつパウワウを倒したコイキングを見つめた。
「凄い子ね、そのコイキング……“ハイドロポンプ”を使った事には驚かされたわ」
「ありがとうございます」
「でも、次は簡単に勝たせてあげないわ……行きなさい! アズマオウ!!」
続いて出て来たのはトサキントの進化系、アズマオウだった。
「この子は私の手持ちでも最強の子、さあ掛かってらっしゃい」
「ああ、コイキング! 行くぜ!」
「では、アズマオウ対コイキング……始め!」
ハナダジム、ジムリーダーサクラとの戦い、残るはアズマオウを倒すのみ。勝つのはソラタか、サクラか、運命のバトルは今、ゴングが鳴らされた。
次回はハナダジム戦決着です。