ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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お待たせしました。
ハナダジム戦最後です。


第10話 「恐怖の水ポケモン」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第10話

「恐怖の水ポケモン」

 

 ハナダジムに挑戦中のソラタは、ジムリーダー・サクラの一番手であるパウワウをコイキングで見事撃破、続く二番手であるアズマオウに対して、そのままコイキングで試合を続行しようとしていた。

 

「アズマオウ! “バブルこうせん”よ!」

「ズマォ!」

「避けろ!」

 

 アズマオウが放った“バブルこうせん”を水中に潜る事で回避したコイキングだが、直ぐにアズマオウも水中に潜りコイキングを追いかける。

 状況は先ほどのパウワウ戦と同じだが、ソラタの表情に余裕は無い。

 

「いいわアズマオウ、そのまま“ハイドロポンプ”!」

「反転! “ハイドロポンプ”で迎え撃て!!」

 

 コイキングが反転してアズマオウの“ハイドロポンプ”に対して自身も“ハイドロポンプ”を放った。

 だが、同じ“ハイドロポンプ”でもトサキントから進化したアズマオウの“ハイドロポンプ”と、未進化ポケモンであるコイキングの“ハイドロポンプ”では威力が違う。

 結果、コイキングの“ハイドロポンプ”は簡単に押し負けてアズマオウの“ハイドロポンプ”がコイキングに直撃した。

 

「コイキング!」

「勝負あり、かしら?」

「くっ……」

 

 プールの壁に激突したコイキングは力無く水面に浮かんで来たものの、直ぐに目を覚ましてボロボロになりながらも戦意を失っていない瞳でソラタの方へ視線を向けた。

 

「コイキング……」

「コッ!」

 

 まだやれる。そう言っているのだろう。だから、トレーナーとしてソラタも、コイキングの気持ちを無下にする訳にはいかない。

 

「よし! アズマオウに突っ込め!」

「!? アズマオウ! “ドリルライナー”よ!」

 

 アズマオウに向かって泳ぎ出したコイキングに対して、アズマオウは自身の角を回転させながら向かってくるコイキングを迎え撃とうとする。

 

「……今だ! “たいあたり”!」

 

 段々と距離が縮まり、アズマオウの“ドリルライナー”が直撃する寸前、コイキングは身を捻って回避して横っ腹に“たいあたり”を決める。

 

「甘いわよ、“れいとうビーム”!」

 

 今度は自分が吹き飛ばされたアズマオウだが、直ぐに態勢を整えて“れいとうビーム”を放った。

 “れいとうビーム”の直撃を受けたコイキングはそのまま全身を氷に覆われ、氷漬けの状態で水面に浮かぶ。

 

「コイキング!!」

「勝負ありね、今度こそ」

 

 完全に凍ってしまったコイキングはソラタの声も届かない。身動きも取れず、氷が溶けなければ戦闘復帰は不可能だ。

 

「コイキング……」

 

 これはもう戦闘不能と見て良いだろう。そう思ったアヤメは審判フラッグを上げてコイキングの戦闘不能を宣言しようとしたのだが……。

 

「まだだ!」

 

 ソラタの声に、思わずフラッグを上げる手を止めてしまった。

 

「ソラタ君……?」

「まだ、まだ終わってない! そうだろコイキング!」

 

 必死にコイキングに声を掛けるソラタだが、無駄だ。凍ってしまったコイキングにいくら声を掛けたところで、聞こえる筈が無い。

 

「諦めなさいソラタ君、素直にコイキングの負けを認めるのもトレーナーである君の仕事よ」

「負け? まさか! まだ凍っただけで、コイキングは戦闘不能になったわけじゃない! 俺のコイキングが、こんな事で諦めるわけが無い!!」

 

 出会ったあの日、ソラタに見せた力強い瞳は、一緒に強くなるというソラタの言葉に同意してくれたあの瞳は、今も氷の中で健在だ。

 

「信じてるぞ俺は! お前は、まだ諦めてないって!!」

 

 その時だった。氷の中のコイキングの身体が光り出したのは。

 

「これは!?」

 

 氷を砕きながら、光に包まれた身体が宙に浮かび、魚らしいフォルムの身体が長く、長く伸びていく。

 そして、光が消えると、コイキングの赤い身体は青く変化して、魚から龍を思わせる姿へと変わったポケモンの咆哮がプールに響き渡った。

 

「ギャオァアアアア!!!」

「うそ……ギャラドスに進化したの?」

 

 コイキング改め、ギャラドスは鋭い眼光でアズマオウを睨み、次いで自身のトレーナーであるソラタの方を向くと、静かに頷いて見せた。

 

「! ギャラドス、行けるか?」

「ギャオァアアアアアアアアアアア!!!」

 

 ソラタの問いに咆哮で返すと、その青い巨体の頭上に黒雲が発生した。そして、その黒雲から大量の雨が振り出す。

 

「“あまごい”!?」

「いや、それだけじゃない……!」

 

 ギャラドスが“あまごい”で発生させた雨の中、感じるのは屋内だというのに突風と呼ぶのも烏滸がましい暴風、雨と合わせて暴風雨となっている。

 

「そうか! ギャラドス!! “ぼうふう”!!」

 

 “ぼうふう”によってプールの水が巻き上げられ、アズマオウがそれに巻き込まれるように空中へ投げ出された。

 水中ではなく空中では身動き一つ取れないアズマオウは、恰好の的だ。

 

「やれ!!」

 

 すると、ギャラドスの額に電気が走り、それが黒雲へと伸びると、雷となってアズマオウに降り注いだ。

 

「“かみなり”ですって!?」

 

 まさかの電気技に驚いたサクラだったが、アズマオウに電気タイプの“かみなり”が直撃したのは不味い。

 残念な事にサクラのアズマオウは特性“ひらいしん”ではないので、電気タイプの技はそのまま直撃してしまうのだ。

 

「アズマオウ!!」

 

 プールに落ちたアズマオウは、力無く水面に浮かび目を回してしまった。

 

「アズマオウ、戦闘不能! ギャラドスの勝ち! よって勝者、マサラタウンのソラタ!!」

「……よっしゃあああ!!!」

 

 勝てた。その事が嬉しくて思わずプールにダイブ、泳いでギャラドスの所まで行くと、顔を寄せてきたギャラドスの大きな顔に抱きついた。

 

「勝ったぞギャラドス! それに進化も! よくやった!!」

「ギャォ」

 

 そのまま暫くギャラドスと戯れたソラタは、漸くプールから上がると、ギャラドスをモンスターボールに戻してサクラ達の所へ歩み寄る。

 既にサクラは妹達と一緒に居て、その右手にはハナダジム勝者の証を持っていた。

 

「もう大丈夫?」

「はい」

「見事だったわ。貴方とコイキング……いえ、ギャラドスの絆、感動させられたもの。これは貴方とギャラドスの勝利と絆の証、ブルーバッジよ」

 

 雫の形をした青いバッジ、ブルーバッジを受け取ったソラタは大事にバッジケースへ収めると、ボタンに預けていたバッグにバッジケースを仕舞ってバスタオルを取り出した。

 

「そのままだと風邪を引くわ。シャワー室があるから、そこでシャワーを浴びて来なさいな」

「すいません、お借りします」

 

 何とも締まらない終わりだったが、関係ない。これで2つ目のバッジをゲットだ。

 

「次は何処へ行く予定なの?」

「次はクチバシティを目指します」

「クチバ……それじゃあ、少し遠いけど、頑張ってね」

「はい」

 

 ハナダジムのシャワー室を借りてシャワーを浴び、更衣室で着替えたソラタはサクラ、アヤメ、ボタンに見送られてハナダジムを後にした。

 目指すはクチバシティ、目標パーティーも残すは2匹のみ、順調な旅を続けるソラタに次はどのような出会いが待っているのか。

 それは、また次回。




次回は新たなポケモンとの出会い、さて誰と出会うのでしょうか。
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