ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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何と、もう書き終えるとは思わず。


第12話 「燃え上がる進化」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第12話

「燃え上がる進化」

 

 二つ目のバッジをゲットしたソラタは、次のジムがあるクチバシティに向かう途中、ナゾノクサの草原があるという町、ソメイタウンに来ていた。

 そこで出会った少年テツと共にナゾノクサをゲットする為にナゾノクサの草原に赴いたソラタだったが、ナゾノクサの草原でナゾノクサを襲うロケット団幹部アテナを発見する。

 

「ピジョン! ヤミカラスに“はがねのつばさ”!!」

 

 上空を飛んでいたピジョンに指示を出す。するとピジョンは両翼を鋼鉄へと変化させてヤミカラスに突っ込むと、その鋼と化した翼をヤミカラスに叩きつけた。

 

「ヤミィ!?」

「ヤミカラス!? なっ! アンタはあの時の!!」

 

 地面に叩き堕とされたヤミカラスに驚き、アテナが振り返ると、ソラタの姿を見て驚いた。

 

「よう、ロケット団のアテナ……随分と面白い悪事を働いているみたいだな」

 

 ピジョンが襲われていたナゾノクサを掴んでソラタの所まで運ぶと、ナゾノクサを受け取って腕の中に抱きかかえながらアテナを睨みつける。

 そして漸く追い付いて来たテツ少年がアテナを見て、何やら驚きの表情を浮かべているではないか。

 

「あんた、アテナさん? ソメイタウン出身のアテナさんだよな?」

「は?」

「チッ……あんなド田舎なんて知らないわよ、あたくしがあんなド田舎町出身だなんてありえないわ」

 

 そう言えば、アテナの手持ちにクサイハナが居た。まさかあのクサイハナは、この町で最初に貰ったポケモンだというのだろうか。

 

「テツ、こいつはロケット団の幹部だ」

「嘘だろ……何でアテナさん、ロケット団なんかに」

「ふん、ガキにあたくし達ロケット団の崇高な理念が理解出来るとは思ってないわ。それより、そっちのガキ、あたくしの邪魔を二度もしてくれて、今度こそ覚悟は出来ているんでしょうね?」

 

 そう言って、アテナはモンスターボールを投げると、アーボックが出て来た。そして地面に叩きつけられたヤミカラスも復帰してアーボックの横に並ぶ。

 

「戻れピジョン」

 

 それを見てソラタもピジョンをモンスターボールに戻すと、腰から別のモンスターボールを2個取り出して投げた。

 

「行け! ヒトカゲ! ピカチュウ!」

 

 ロケット団幹部の相手をテツ少年にやらせるのは流石にキツイだろうと判断し、ソラタは自分一人でダブルバトルをする事に。

 ヒトカゲとピカチュウは目の前の敵が以前倒したアーボックとヤミカラスだと気付いたのか、既に臨戦態勢を整えている。

 

「アーボック! “どくばり”! ヤミカラスは“ナイトヘッド”!!」

「回避!」

 

 アーボックの“どくばり”とヤミカラスの“ナイトヘッド”を回避したヒトカゲとピカチュウはそれぞれ戦うべき相手を見定めて駆け出す。

 アーボックにはヒトカゲが、ヤミカラスにはピカチュウが、ソラタが指示しなくとも自分が戦うべき相手は理解しているようだ。

 

「ヒトカゲ! “かえんほうしゃ”! ピカチュウ! “10まんボルト”!!」

「迎え撃ちなさい! アーボックは“ヘドロばくだん”! ヤミカラスは“こごえるかぜ”!」

 

 それぞれの技がぶつかり、爆発が起きる。煙に飲み込まれた4匹だが、ソラタもアテナも冷静だ。

 

「ピカチュウ! “アイアンテール”! ヒトカゲ! “りゅうのいぶき”!」

「かわしなさい!」

 

 煙で視界の悪い中、アーボックとヤミカラスは回避しようとするが、ソラタはポケモン達にヒトカゲの“えんまく”を使う事で視界悪くした状態での戦闘訓練もさせている。視界が悪かろうがピカチュウとヒトカゲは敵を見失う事は無い。

 

「シャーボッ!?」

「ヤ、ヤミッ!?」

 

 アーボックは“りゅうのいぶき”に飲み込まれ、ヤミカラスはピカチュウの鋼の尻尾によって叩き堕とされる。

 しかも、ピカチュウがヤミカラスを落とした先は、アーボックが居る場所だ。つまり……。

 

「トドメだ!! 全力で“かえんほうしゃ”と“10まんボルト”!!」

 

 “かえんほうしゃ”と“10まんボルト”がアーボックとヤミカラスに直撃、身動き取る間も無く技を受けた2匹は目を回して倒れてしまった。

 

「クッ……戻りなさいアーボック、ヤミカラス」

 

 アテナが悔しそうにモンスターボールへアーボックとヤミカラスを戻すと、別のボールを取り出した。

 

「仕方がないわね、だけどこの子には簡単に勝てると思わない事よ! 行きなさいラフレシア!!」

 

 アテナが次に出したのはクサイハナの進化系、ラフレシアだった。あの時のクサイハナが、進化していたらしい。

 

「ラフレシア! 先ずは先手必勝! “はなふぶき”!!」

「っ! 回避だ!!」

 

 全体攻撃の“はなふぶき”。ラフレシアが回転して周囲に散った花びらが刃と化してピカチュウとヒトカゲに襲い掛かった。

 

「カ、カゲ!」

「ピカ! ピッ!?」

 

 ヒトカゲは“かえんほうしゃ”を駆使して何とか回避したが、ピカチュウは回避し切れずに“はなふぶき”の直撃を受けてしまった。

 目を回して倒れたピカチュウをモンスターボールに戻すと、ソラタとヒトカゲはラフレシアと向かい合う。

 

「よく回避したわね。でもまだまだ行くわ! “ベノムショック”!!」

「“りゅうのいぶき”!」

 

 ラフレシアの“ベノムショック”を“りゅうのいぶき”で迎撃、すぐさまヒトカゲは走り出してラフレシアの懐へ潜り込んだ。

 

「“メタルクロー”!!」

「甘いわ! “リフレクター”!!」

「っ!?」

 

 ラフレシアが展開した“リフレクター”がヒトカゲの“メタルクロー”を受け止めてしまった。そして、それはラフレシアの目の前で決定的な隙を晒す事に等しい。

 

「今よ、“ギガインパクト”!!」

「ラ~フ~ッ!!!」

「カゲェエエ!?」

 

 至近距離からの“ギガインパクト”、ノーマルタイプの技の中でも最強クラスの威力を誇る技の直撃を受けたヒトカゲは大きく吹き飛ばされ、草原の上を転がった。

 

「ヒトカゲ!!」

「ふん、勝負あったわね。本気のあたくしを相手に、ガキが勝てる訳が無いじゃない」

 

 倒れたヒトカゲに駆け寄ると、ヒトカゲはダメージが大きいのかボロボロだった。立ち上がろうにも膝に力が入らないのか、足が震えて上手く立ち上がれない。

 

「カ、カゲ……」

「もういい、もういいヒトカゲ……戻れ」

 

 モンスターボールを取り出してヒトカゲを戻そうとしたソラタだが。

 

「カゲカ!」

 

 ヒトカゲはソラタの手を叩いてモンスターボールを叩き落とした。まだ、自分は戦えると言わんばかりにソラタを見つめて、振るえる足で何とか立ち上がる。

 

「ヒトカゲ……」

「カゲ、カゲカ、カゲ!!」

「……わかった」

 

 まだ戦えると言うのなら、その思いを汲んでやるのがトレーナーの務め。フラつくヒトカゲを支えながらラフレシアと対峙するソラタはヒトカゲの尻尾の炎が一際大きくなった事に気が付いた。

 

「行くぞ……ヒトカゲ!!」

「カァ……ゲッ!!!」

 

 その瞬間、ヒトカゲの姿が光に包まれた。

 

「ヒトカゲ……」

「これは……進化の光ですって!?」

 

 光の中でヒトカゲの姿が一際大きくなり、光が消えるとヒトカゲの頃より赤味が強くなった体色のポケモンが凛々しい瞳でラフレシアを睨みつける。

 

「リザァアアアア!!!!!」

 

 ヒトカゲ……否、リザードの咆哮がナゾノクサの草原に響き渡った。リザードとラフレシアの戦いは、まだまだ終わっていないと、言わんばかりに。




次回はアテナ戦決着と、ずっとソラタに抱きかかえられているナゾノクサのお話。

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