ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第14話
「目指す頂きに立つ者」
ポケモンリーグ参加を目指して旅をするソラタは、3つ目のジムがあるクチバシティに到着していた。
道中、ゲットしたばかりのナゾノクサを育てつつポケモンをゲットしていたので、ポケモン達を休ませる為にポケモンセンターで1泊する事にしたソラタは、ジョーイさんにポケモンを預けて宿泊、翌朝は早速クチバジムに行こうとしていたのだが、ポケモンセンターの入口で見知った顔を見かけた為に足を止めるのだった。
「オーキド博士!」
「ん?おお!ソラタ君か!」
そこに居たのはマサラタウンでヒトカゲを貰って以来となる人物、オーキド博士だった。しかも、オーキド博士は一人ではなく、同行者が居たのか、博士の後ろに二人の男女が。
「あ……え、も、もしかして」
オーキド博士の同行者、男性の方も女性の方もソラタは知っていた。何より、女性の方は美しい金髪に黒衣という分かりやすい特徴で、その美貌は誰もが振り返るであろう美女。
「シンオウチャンピオンの……シロナさん?」
「あら、私の事を知ってくれてたのね」
「えっと、その……」
そっくりさんでも何でもない。本物のシンオウチャンピオン、シロナがそこに居た。
「ソラタ君、紹介しよう。彼女は君も知っての通り、シンオウチャンピオンのシロナ君、それから彼は」
「知ってます。カロス地方でメガシンカ研究を始めとしたポケモンの進化の研究をしているプラターヌ博士」
「おや、僕の事も知ってるとは、驚いたね」
どちらもアニメで見た顔、声だった。しかし、何故こんな所でシンオウチャンピオンのシロナとカロス地方のポケモン研究家であるプラターヌ博士がオーキド博士と一緒に居るのか。
「シロナ君、プラターヌ君、紹介しよう。彼はソラタ、ワシの所から旅立ったばかりの新人トレーナーじゃが、将来性は間違いなくある期待の星じゃ」
「ほほう?」
「しかも、彼の夢は母が果たせなかったチャンピオンになるという物。シロナ君にとっては将来のチャンピオンとしての後輩になるやもしれぬな」
「まぁ」
二人に紹介され、ソラタは頭を下げる。実は前世の頃から二人は好きなキャラクターだったので、本物とこうして会えるのは実にラッキーだったのだ。
「あの、オーキド博士……お二人は何故ここに?」
「む? おおそうじゃった。実は二人は今度ジョウト地方のウツギ博士も入れて行おうと思っている研究の協力者なんじゃよ」
「ポケモンのタマゴの研究をしているジョウトのウツギ博士も……」
オーキド博士とウツギ博士、プラターヌ博士にシロナ、この4人で行われる研究とは随分大きなものなのだろうか。
「その研究というのは?」
「うむ、実はの……これじゃ」
そう言ってオーキド博士が取り出したのは、ポケモンのタマゴだった。
「これは……」
「これはね、僕のガブリアスとシロナ君のガブリアスのタマゴなんだ」
「ガブリアスの!?ってことは、フカマルのタマゴですか!」
「ええ、そうよ。カントーの新人トレーナーなのにガブリアスやフカマルまで知ってるなんて、随分と勉強熱心なのね」
カントーやジョウトの新人トレーナーはホウエンやシンオウ、カロスといった他地方にしか生息しないポケモンの事は知らないというパターンが大半だ。
よほど熱心に勉強しているか、他地方に行った事があるという事でもない限り、基本的に住んでいる地方のポケモンしか知らない。
「ポケモン協会の役員をしている父が、トレーナー時代は色々な地方を旅していたので、それで」
「なるほど、それなら納得だ」
新人トレーナーの内から他地方のポケモンの知識もあるという事は、割と大きなアドバンテージがある。
しかも、オーキド博士が将来有望だと評価しているのだから、その知識を有効活用しているのだろうと、プラターヌ博士は予想していた。
「実はね、今回の研究は強いポケモンの子供は、親の強さを遺伝するのかという研究なんだ」
「親の強さの遺伝……」
「そう、そこで選ばれたのがシロナ君のガブリアスで、彼女のガブリアスと子供を作るのに僕のガブリアスが選ばれたんだ」
「だから、シロナさんが……」
「そう、それに私は考古学者だから分野が違うけど、同じ学者としてオーキド博士達の研究に興味があったの」
納得だ。それに、実を言うとソラタもその研究には大いに興味があった。ポケモンの遺伝、子が親と同じワザを覚えている事があるという研究結果があるのは知っていたので、それもあって興味があるのだ。
「そうじゃ、シロナ君、プラターヌ博士……このタマゴじゃが、ソラタ君に任せてみるというのはどうかの?」
「なるほど……確かにタマゴを孵すにも育てるにも、トレーナーは必要不可欠、シロナ君はチャンピオンの仕事と考古学者としての仕事で忙しいだろうから、中々時間も取れないし……」
「そうですね……」
プラターヌ博士は賛同しそうな雰囲気だが、シロナがじっとソラタを見つめて来た。まるで、見定めるかのような視線に、ソラタは若干気圧されそうになるが、何とか真っ直ぐ見つめ返す。
「ソラタ君、私とバトルしてみない?」
「え……?」
「見定めさせて欲しいの……私のガブリアスの子を託すのに相応しいトレーナーか否かを」
「……っ!」
一瞬、シロナから圧し潰されそうになるほどのプレッシャーが放たれた。これが、チャンピオンの……ソラタが目指す頂きに立つ者のプレッシャーなのだろう。
「はい……受けさせて下さい」
フカマルは欲しい。だが、それ以上にチャンピオンとバトルしてみたいという欲求が勝った。
まだまだ未熟な自分が、現役チャンピオンに勝てる筈が無いのは判っているが、それでもチャンピオンとのバトルに心躍らなければ、それはトレーナーじゃない。
プラターヌ博士が審判をしてくれるという事で、ポケモンセンターの敷地にあるバトルフィールドへやって来たソラタとシロナは、互いにフィールドを挟んで向かい合う。
「では、互いに使用ポケモンは1匹のみ、どちらかのポケモンが戦闘不能になった時点でバトル終了だ」
「行くぜ……リザード!!」
「天空へ舞え、ガブリアス!!」
ソラタが出したのは最近進化したばかりのリザード、そしてシロナはエースのガブリアスだった。このチャンピオン、相手が新人トレーナーだろうと容赦する気が無いようだ。
「ほう!?ヒトカゲが進化したんじゃな!」
「ええ、最近ですけどね」
それに、リザードに進化してからクチバシティに来るまでの間、新わざの訓練もしてきた。ガブリアスにも十分有効な技だから、敵わないまでも、一矢報いる程度には出来るだろう。
「では、リザード対ガブリアス……始め!」
「リザード!最初から新わざ行くぞ!“りゅうのはどう”!!」
「ザーッド!!!」
「なるほど、ドラゴンタイプの技を……ガブリアス、“ドラゴンダイブ”!!」
「ガァッバァ!!」
リザードの新わざ、全身から放たれたドラゴンのオーラ、“りゅうのはどう”がガブリアスへと直進するが、それをガブリアスはジャンプして回避、そのまま“ドラゴンダイブ”で突っ込んできた。
「受け止めろ!“メタルクロー”!!」
突っ込んできたガブリアスを、鋼鉄の爪で受け止めようとしたリザードだが、レベルが違った。受け止めきれずにガブリアスの“ドラゴンダイブ”が直撃してしまう。
「リザード!!」
「リザァッ」
まだ戦えるのか、直ぐに起き上がったリザードだったが、ダメージが大きいのか若干息が荒い。対するガブリアスはまだまだ余裕の表情だ。
「“かえんほうしゃ”!!」
「ザァアアア!!!」
「“スケイルショット”!!」
リザードが放った“かえんほうしゃ”は、ガブリアスの“スケイルショット”に掻き消されたが、炎の向こうにリザードの姿は無い。
「っ!上!!」
「ガバァッ!?」
「“だいもんじ”!」
「リィザァ!!」
ガブリアスの頭上へ飛び上がっていたリザードが、そのまま“だいもんじ”を放つ。頭上からの“だいもんじ”を回避出来なかったガブリアスは直撃を受けて“やけど”を負うものの、ドラゴンタイプのガブリアスに炎タイプの技によるダメージはそこまで大きく無い。
「天空に舞え、ガブリアス!」
「ガバァ!!」
すると、ガブリアスが飛び上がってリザードの上を行く。
「“ドラゴンダイブ”!」
「っ!“りゅうのはどう”!!」
再度“ドラゴンダイブ”で突っ込んできたガブリアスに、“りゅうのはどう”で対抗するリザードだったが、“りゅうのはどう”はドラゴンのオーラを纏って突っ込むガブリアスにぶつかった瞬間に弾かれて消滅、そのままリザードに“ドラゴンダイブ”が直撃してしまった。
「リザード!!」
「り、ざ~」
地面に叩きつけられたリザードは目を回してしまっていた。完全に戦闘不能状態だ。
「そこまで!リザード戦闘不能、ガブリアスの勝ち!」
戦闘不能となったリザードをモンスターボールに戻すとシロナとガブリアスが近づいて来た。
「中々良い育て方をしてるわね、あなたのリザード」
「いえ、まだまだ俺もリザードも未熟です」
「確かに新人トレーナーだから、未熟は仕方ないけど、新人という枠組みの中では十分上位の実力があると思うわ」
「ありがとうございます」
すると、シロナはオーキド博士からタマゴを受け取ると、ソラタに差し出して来た。
「あなたなら、フカマルを任せても良いと思えた。今のバトルでそう確信したの」
「……はい!」
フカマルのタマゴを受け取ると、オーキド博士とプラターヌ博士から今後について説明を受けた。フカマルが生まれたら定期的にレポートを提出して欲しいとの事だ。
「それと、今後フカマルを返してくれという事は無いから安心して欲しい。もうその子は君のポケモンだ……でも、そうだね、もしガブリアスまで進化させたら僕に教えてくれるかな? そうしたらご褒美をあげようと思うんだ」
「そうですか……わかりました」
連絡はオーキド博士を通してという形にはなるが、これでプラターヌ博士とも繋がりが出来た。将来を考えるなら、幸先が良いと言えるだろう。
「ソラタ君」
「はい」
今度はシロナだ。
「あなたがチャンピオンになったら、もう一度バトルしましょう。その時は手加減無しの全力バトルをしたいから」
「……はい!」
シロナとプラターヌ博士とはここでお別れだ。二人は明日にはシンオウ地方とカロス地方にそれぞれ帰るとの事なので、今日はクチバシティを観光するのだとか。
「それじゃあソラタ君、ジム戦頑張るんだよ」
「応援してるわ」
「頑張ります!」
オーキド博士と共にポケモンセンターを去った二人を見送り、ソラタはリザードをジョーイさんに預けた。
そして、貰ったタマゴをカバンに入れたのだが、収まり切らず口からタマゴが見えてしまう。
「早く生まれて来いよ……一緒に強くなろうな」
タマゴを一撫ですると、ドクンっと一度、タマゴが脈打ったような気がした。
次回はクチバジム! 3つ目のバッジ目指してマチスとのバトルです。