ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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大変、お待たせしました。
最近、書くモチベーションが上がらず、ずいぶんと間を空けてしまいました。


第17話 「幼馴染」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第17話

「幼馴染」

 

 クチバジムのジムリーダー、マチスに勝利し、見事オレンジバッジをゲットしたソラタは、次のジムがあるタマムシシティを目指して旅を続けていた。

 そして現在、ソラタは旅の途中で野宿をすることを決め、テントを張った後はリザードに新技を仕込む為にピカチュウを出して特訓中だった。

 

「よし、だいぶ形になってきたな」

「リザッ」

「ピカチュウから見てどうだ? リザードは合格だろうか」

「ピ? ……ピカ~、ピ!」

 

 グッと親指を立てて右手を突き出すピカチュウ、どうやらリザードはピカチュウから見て新技が合格点だということらしい。

 

「やっぱクチバジムでレアコイルの“でんじは”を受けたのが良かったな、アレがだいぶ参考になっただろ?」

「リザ、リザリザ! ザード」

 

 新技を会得して調子の良いリザードを見ながら、ソラタの頭の中では既に次のジム戦の戦略が練られていた。

 リザードの新技はタマムシジムでは役に立たないが、炎タイプのリザードを出すのは確定、前世のアニメ通りならタマムシジムは3体のポケモンによるバトルだから、残り2体を選出する必要がある。

 現在の手持ちでタマムシジムに有効な技を覚えているのはリザードとギャラドスのみ、オーキド研究所に預けているポケモンは暫く育てる予定が無いとして、誰を選ぶべきか迷っていた。

 

「普通に考えればニンフィアに“マジカルフレイム”を覚えさせるのが一番だよな」

 

 むしろ、先の事を考えればニンフィアに“マジカルフレイム”を覚えさせるのは必須だろう。

 弱点である鋼タイプが相手の時に“マジカルフレイム”を覚えておけばタイプ不一致とは言え逆に弱点を突けるのだから。

 

「よし、一先ず休憩にしようか、リザード、ピカチュウ」

「リザ」

「ピ!」

 

 太陽が天辺にあるという事は昼時間だということ。なので一度休憩と昼食をと思い、ソラタ達は近くの広場に用意した焚火へと向かい、そこでリザードの“ひのこ”で火を焚くと、早速昼食の用意を始めた。

 

「さてと、何食べるかな~」

 

 ポケモン達のポケモンフーズはクチバシティで買ってあるから、自分の分の昼食の用意だけで良いのはありがたい。

 鞄の中からインスタントのラーメンを発見したソラタは、十分だろうと水と鍋を用意して、早速調理しようかとしたときだった。

 

「おや? そこにいるのはソラタじゃないか」

 

 後ろから突然声を掛けられて、振り返れば沢山の女の子を引き連れた少年が立っていた。

 

「シゲル……!?」

 

 そう、その少年こそソラタの同期、同じマサラタウン出身であり、旅立ちの日、ソラタ以外にオーキド研究所でポケモンを貰う事になっていた少年の一人、オーキド博士の孫のオーキド・シゲルだ。

 

「久しぶりだねソラタ、先に旅立った君に追い付くとは、随分のんびりした旅をしているのかい?」

「まぁな、修行しながらだから最近は少しペースを落としてるよ」

 

 それでも既にバッジは3つ手に入れたと言って見せてやれば、シゲルも同じくグレーバッジ、ブルーバッジ、オレンジバッジを見せてくれた。

 

「同数か、シゲルも順調そうで何よりだ」

「お互い様さ、君はこれから昼食かい?」

「ああ、さっきまでリザードの修行をしててな、良い時間だし」

「リザード……やっぱりヒトカゲをお祖父様から貰ったのは君だったんだね」

 

 焚火の前でピカチュウと戯れているリザードを見て、シゲルは成程と頷きながらそう言ってきた。

 前世で見たアニメでは、シゲルはゼニガメを貰っていた筈だが、この世界でも同じなのだろうか。

 

「シゲルは? 残ってたのはフシギダネとゼニガメだったが」

「僕はゼニガメを貰ったよ。因みにサ~トシ君はピカチュウを貰ったらしい」 

「ピカチュウを? そう言えば何か問題児を捕まえたって博士が前に言ってたけど、それか?」

「多分ね。それで残るフシギダネはトワコって事になるかな。僕が行ったときはゼニガメしか残ってなかったから、トワコは2番目だった訳だ」

 

 トワコ、それはソラタとシゲルの同期にして幼馴染の一人。だが余り良い性格ではないため、そこまで親しいという程ではない。

 

「成程ね、それでサトシのやつはピカチュウしか残ってなかった訳か」

「ああ、大事な日に寝坊する程さ、会ったときは丁度僕が出発する時だったけど、パジャマ姿で研究所に来ていたよ」

「あいつらしいな」

 

 昔からそそっかしい所があり、寝坊癖もあった幼馴染の姿を思い返し、苦笑しか出てこない。

 基本的に良い奴だし、性格は悪くない。ポケモンに愛される少年だからソラタもサトシとは仲が良かった。

 というより、幼馴染4人、その中でサトシを見下していたのはトワコだけの筈だ。

 シゲルは何だかんだ言いながらサトシをライバル視している所を見るに、決して不仲という事は無い。

 

「そうだソラタ、良ければ昼食前に僕とバトルしないか? 僕も昼食前だから1対1で」

「ほう? ……よし、やるか!」

 

 シゲルがモンスターボールを見せてバトルを挑んできたので、ソラタも昼食前の軽い運動に丁度いいとリザードを見る。

 その意図に気づいたリザードも立ち上がって好戦的な目でシゲルを見つめた。

 

「よし、じゃあやろうか……行くよ、マイハニー!」

「カメェ!」

 

 シゲルが投げたモンスターボールから出てきたのはゼニガメの進化系、カメールだった。

 対するソラタは予定通りリザード、同じオーキド研究所出身のリザードとカメールは互いを認識するや、不敵に笑って戦意を高め合う。

 

「先制だ! カメール、“みずでっぽう”!!」

「カ~メゥーーー!!!」

「迎え撃て! リザード、“かえんほうしゃ”!!」

「リ、ザアアア!!!」

 

 “みずでっぽう”と“かえんほうしゃ”が中間でぶつかり合い、水蒸気を発生させながら拮抗する。いや、技の威力の問題で“かえんほうしゃ”の方が押しているようだ。

 

「中々の威力の“かえんほうしゃ”だね……なら、カメール! “こうそくスピン”だ!」

 

 “みずでっぽう”を中断したカメールは手足や頭を引っ込めて“こうそくスピン”による回転を始め、その場から動いて“かえんほうしゃ”を回避、近くの岩場まで移動すると、足を出して着地した。

 

「そこだ! “ロケットずつき”!!」

「っ! なるほどな」

 

 既に頭を引っ込めた状態だからこそ、ノータイムで放たれた“ロケットずつき”でリザードへ突っ込んできたカメール。

 だが、リザードは冷静に軌道を見て、回避したのだが。

 

「甘い! “かみつく”攻撃!」

「カメッ!」

 

 リザードの横すれすれの位置に来た時、カメールはリザードの腕へ嚙みついた。

 痛みに苦痛の表情を浮かべるリザードは振り解こうとするも、カメールの噛む力が強いのか、中々離れない。

 

「どうだいソラタ、“こうそくスピン”から“ロケットずつき”、そして“かみつく”への一連の流れは?」

「……見事だよ。だけどシゲル、迂闊過ぎるんじゃないか?」

「何?」

「俺が炎タイプのリザードに、水タイプのポケモンへの対策をしていないとでも?」

「……まさか!?」

「そのまさかさ! リザード、“かみなりパンチ”!!」

 

 すると、リザードはカメールが噛みついている腕から電気を放出、カメールはそのまま感電して思わず口を離してしまった。

 

「やれ!!」

 

 もう一本の腕にも電気を纏ったリザードの拳がカメールの腹へ突き刺さり、大きく吹き飛んだカメールは仰向けの状態で地面へ叩き付けられ、起き上がれなくなった。

 

「トドメだ、“りゅうのはどう”!!」

 

 最後にドラゴンのオーラを纏った波動がカメールを襲い、そのままカメールは戦闘不能となった。

 

「……参った。完敗だよ、まさかここまで差があったとはね」

 

 カメールをボールに戻したシゲルはソラタの所へ歩み寄って握手を求めてきたので、それに応えて握手をしたソラタは先ほどのシゲルとの戦闘を思い返す。

 まだ初心者トレーナーの域を出ないシゲルでは、成程納得の結果で、カメールも良い育て方をしているが、まだまだリザードよりも格下だった。

 だからこそ、これからシゲルとカメールが成長して、強力なライバルとなるのが楽しみではある。

 

「昔から僕より成績の良かったソラタだからね、この結果は納得だけど、次は負けないよ」

「ああ、次はリーグで会おうぜ」

「勿論だとも」

 

 次はリーグで、フルメンバーで戦いたいものだ。お互いの気持ちは同じなのか、それ以上は何も言わずシゲルはお供の女の子達と共に立ち去り、ソラタも昼食の準備へと戻る。

 カメールに勝利したリザードも、次も負けないと慢心する事無く、去っていくシゲルの背中を見つめてからソラタの後を追った。




次回はタマムシ到着前に、一度出したいキャラが居るので、そちらになります。
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