ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
存在自体はマチスが言及してましたが、今回が初登場となります。
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第18話
「ライバル登場、似た者同士の初邂逅」
ポケモンリーグに出場する為、次のジムがあるタマムシシティを目指してソラタは旅を続けていた。
途中、修行しながらの旅でポケモン達の体力が減ってきていた事もあり、立ち寄った小さな町、アキバシティのポケモンセンターへ寄り、この日はポケモン達を預けて宿泊する事となった。
「順調だな、この調子で行けばタマムシシティも2~3日で到着するか」
いち早く回復が終わったリザードとニンフィアだけ連れてポケモンセンターの敷地にあるバトルフィールドへ出てきたソラタはマップを広げてタマムシシティまでの道のりを確認、徒歩での残り日数を計算して今後の予定を立てていた。
途中、何となくバトルフィールドに目を向けてみれば、旅のトレーナーらしき少年と少女がバトルをするところだった。
少年の方はゲームで言うところの短パン小僧といった所で、少女は艶のある黒髪をストレートに伸ばしたロングヘアーで美少女と言っても過言ではない幼さの中に美しさを感じさせる。
そして、丁度少年が投げたモンスターボールからアーボックが出てきたところだ。
「どうだ! 僕がパパから貰ったポケモンだ!」
「へぇ……」
父親から貰ったアーボをアーボックに育て上げたのだろう少年はアーボックへの信頼を感じさせる。
対する少女は薄ら笑みを浮かべながらモンスターボールを取り出して、フィールドへ投げつけた。
「行きますよ、エーフィ!」
「フィ!」
少女が出したポケモンはイーブイの進化系、エーフィだった。まさかのポケモンに思わずソラタも注目してしまう。
「な、なんだそのポケモンは!?」
「イーブイが進化したポケモン、エーフィですよ」
「い、イーブイの進化系!? 嘘を言うな! イーブイが進化するのはブースター、サンダース、シャワーズの3種類だけだ! そんなポケモンに進化するなんて聞いたこと無い!」
「カントーではまだメジャーじゃないみたいですね、でもこの子はジョウト地方では普通に認知されているポケモンです」
どうにもカントーの新人トレーナーはポケモンの知識がカントーにのみ生息するポケモンに偏っている気がしてならない。
エーフィやブラッキーといったジョウト地方で発見されたイーブイの進化系だって、経験を積んだトレーナーなら当然のように知っている。
これはトレーナー候補の教育を見直すべき点ではないだろうかと、ソラタも思わず考えてしまった。
「クソッ、カントーじゃ珍しいポケモンって事かよ……アーボック! “どくばり”!!」
「エーフィ、“ねんりき”です」
アーボックが放った“どくばり”だが、エーフィの“ねんりき”によって途中で静止し、そのまま地面へ落ちる。
そして、エーフィの“ねんりき”はアーボックを捕らえ、そのまま少年の足元まで吹き飛ばした。
「アーボック!」
「しゃ、しゃぼ……!」
「エスパータイプだったのかよ……! アーボック、“ヘドロばくだん”だ!」
効果抜群のエスパー技を受けたアーボックだが、まだギリギリ体力が残っていたらしく、“ヘドロばくだん”を放った。
だが、エーフィは華麗な回避でヘドロを避けて余裕を見せている。
「“でんこうせっか”です」
「フィ!」
むしろ、降り注ぐ“ヘドロばくだん”の雨の中を“でんこうせっか”で駆け抜け、少女が指示していなくとも“シャドーボール”で回避が難しい物を迎撃している。
「アーボック! “かみつく”攻撃!」
「遅いですよ……“サイケこうせん”!!」
トドメとばかりに、大きく口を開いたアーボックの口内に“サイケこうせん”が直撃、そのままアーボックは戦闘不能になった。
「く、くそっ!」
戦闘不能になったアーボックをモンスターボールに戻した少年はポケモンセンターへ走り去った。恐らくジョーイさんに預けに行ったのだろう。
そして、残された少女は観戦していたソラタの存在に気づいたのか、足元に擦り寄って来ていたエーフィの頭を撫でるのを止め、頭を下げた。
「こんにちは、バトルか修行ですか?」
「いや、観戦してただけだよ……エーフィ、良く育てられてるな」
「ありがとうございます。幼い頃から一緒に育った一番の相棒ですから、これくらいは」
「へぇ、俺と同じだな」
「あなたも……?」
そういえば、お互いに自己紹介がまだだった。
「俺はソラタ、マサラタウンのソラタだ」
「私はワカバタウンのシズホと申します」
ワカバタウン、それはジョウト地方の地名だ。つまりこの少女、ジョウト地方の出身ということか。
「君はジョウトの子?」
「ええ、ウツギ博士にポケモンを頂いて、ジョウトリーグ開催がまだ先という事もあって先にカントーでリーグに出ようと思いまして」
「なるほどな……ん?」
ジョウト出身の新人という事だが、確かこの情報はクチバシティで……。
「もしかしてマチスさんが言ってたマグマラシを連れたジョウト出身のトレーナーって君?」
「あ、はい……多分私の事ですね」
そう言って、シズホはマグマラシをモンスターボールから出して見せた。
「エーフィとマグマラシか……本気で俺と似てるよ君」
ソラタもリザードとニンフィアをボールから出せば、シズホも些か驚きの表情を浮かべる。
ニンフィアを見て大袈裟に驚かない辺り、どうやらニンフィアがイーブイの進化系だという事は知っているようだ。
「このニンフィアも俺が幼い頃からの付き合いで、リザードはオーキド博士から貰ったポケモンなんだ」
オーキド博士から貰ったヒトカゲと家族であるイーブイと共に旅に出たソラタと、ウツギ博士から貰ったヒノアラシと家族であるイーブイと共に旅に出たシズホ、ビックリするぐらい似ている。
「……ソラタさん」
「ん?」
「良ければ、私とバトルしませんか? エーフィは先ほどバトルをしてしまったので、マグマラシとリザードで」
「……いいな」
ソラタも、先ほどのシズホと少年のバトルを見て戦意が高まっていた所だ。それに、ここまで似た者同士だと、お互いの実力が気になるのも致し方ない。
「リザード、行けるな?」
「リザ」
「マグマラシ、行けますね?」
「マグ!」
エーフィとニンフィアをボールに戻した二人は早速バトルフィールドへ歩き出し、向かい合った。
フィールドには既にリザードとマグマラシがスタンバイしており、同じ炎タイプ同士、熱い闘志を燃やしている。
「では」
「早速」
ソラタとシズホもフィールドを挟んで闘志に燃える瞳を交わすと、それぞれのパートナーへ同時に指示を出した。
「「“かえんほうしゃ”!!」」
リザードとマグマラシが同時に炎を吐き、中央でぶつかって爆発する。同時に2匹とも動き出して爆煙の中を走った。
「“かみなりパンチ”だ!」
「“でんこうせっか”で回避です!」
リザードの“かみなりパンチ”を回避したマグマラシは高速で動きながらリザードの周りを走り始める。
「“スピードスター”!!」
「迎撃しろ! “りゅうのはどう”!!」
リザードの後ろから放たれた“スピードスター”だが、“りゅうのはどう”が全て迎撃して搔き消しながらマグマラシに直撃した。
「畳み掛けろ! “かみなりパンチ”!」
「リザ!」
吹き飛んだマグマラシを追って拳に電気を纏ったリザードが走る。だが、それはシズホの狙い通り。
「“でんこうせっか”!」
上手くバク転しながら着地したマグマラシが“でんこうせっか”でリザードに突っ込み、姿勢を低くして“かみなりパンチ”を回避すると、その頭がリザードの腹部に突き刺さった。
「リザード!?」
「今です! “スピードスター”!!」
零距離からの“スピードスター”の直撃を受けて、今度はリザードが吹き飛ばされた。しかし、吹き飛びながらリザードの顔はマグマラシへ向いている。
「そのまま“かえんほうしゃ”!」
「迎え撃って!」
リザードとマグマラシの“かえんほうしゃ”が再びぶつかる。その勢いでリザードは大きく後退しながら態勢を整え、両拳に再び電気を纏った。
「何度やっても同じです! マグマラシ! “でんこうせっか”です!」
突っ込んできたリザードに再び姿勢を低くした“でんこうせっか”で同じく突っ込むマグマラシ、今度も同じように“かみなりパンチ”を回避しながらリザードの腹部へ突っ込もうとしたのだが……。
「っ! マグマラシ、避けて!!」
「マグッ!?」
「ザードッ!!」
上から叩き付けるような拳が迫り、緊急回避したマグマラシはリザードの拳が地面を穿って電流を迸らせているのを見て冷や汗をかいた。
「その距離で良いのか? “りゅうのはどう”だ!!」
“りゅうのはどう”が“かみなりパンチ”を回避したばかりのマグマラシに襲い掛かり、飲み込もうとする。
「“スピードスター”!!」
だが、マグマラシは“りゅうのはどう”が直撃する寸前に“スピードスター”を発射、“りゅうのはどう”を放った直後のリザードに回避する術は無く、2匹とも相手の技の直撃を受けて吹き飛んでしまった。
次回はリザードVSマグマラシの決着から。
因みに、ソラタとシズホは本気で似た者同士です。
現在の手持ちポケモンの傾向もバトルスタイルも、何もかもが同じ。
ただ、シズホは転生者ではありません。
今作において転生者はソラタただ一人のみです。