ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
実は風邪でダウンしてるんですが、大分回復してきたので、何とか更新します。
そしてまた寝ます。
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第23話
「ドガース使いのラムダ」
ポケモンリーグに出場するため、5つ目のジムがあるヤマブキシティを目指して旅を続けるソラタ。
リーグに参加する為のベストメンバーも揃って順調な旅が出来ていると、最近は機嫌良く楽しい旅をしていた。
そんなソラタが次に立ち寄ったのはヤマブキシティに向かう途中にある大きな街“フチュウシティ”。
ヤマブキシティやタマムシシティ程の栄えた街ではないが、カントーではそれなりの規模を持つ街で、ジュンサーさんの学校があるという街でもある。
「いいキズぐすり、なんでもなおし、ポケモンフーズ、レトルト食品に予備のモンスターボール、大体買う物は揃ったか」
「フィア!」
購入品リストにチェックを入れつつ、バッグに入れた購入品を見て、間違いなく必要な物は買い揃えた事を確認する。
このフチュウシティを出れば、次のヤマブキシティまで大きな買い物が出来る街は無いので、ここで買い忘れをする訳にはいかない。
「ヤマブキシティまでは普通に行けば後1~2日くらいって話だから、食料も持つよな」
「フィア」
「ヤマブキジムでは頼むなニンフィア、あそこはエスパータイプのジムだから、“シャドーボール”が使えるお前はメンバー確定なんだから」
「フィア!」
ヤマブキジムは一番読めないジムなのだ。使用ポケモンが1体のみなのか、それとも3体前後になるのか。
前世のアニメでは1体のみ、ゲームでは3体だったり4体だったりと、普通に考えれば前者だろうが、クチバジムの事を考えれば微妙な所。
一応、どちらでも可能なようにジム戦に参加させるメンバーは構築済み。その時に合わせて臨機応変に対応出来るようにはしている。
「フィ? フィア、フィ~ア?」
「ん? ああ、お前以外だと誰なのかって?」
「フィア」
「ニンフィア以外だと、候補はギャラドスとキレイハナ、それからフカマルだな」
ギャラドスは悪タイプの“かみくだく”が使えるし、キレイハナは虫タイプの“まとわりつく”が使える。更に、フカマルには生まれて直ぐに“シャドークロー”を覚えさせたから、一応は候補に入っているのだ。
もっとも、フカマルは公式戦に出すにはまだ不安が残るので、ヤマブキシティに到着するまでにどれだけ育つかで出す出さないを決める必要がある。
「他にもバリヤードが出た場合はピカチュウの“かわらわり”も候補に入っている」
“バリアー”や“リフレクター”、“ひかりのかべ”の対策もしてあるので、ヤマブキジムでは様々なパターンを構築して挑む予定だ。
「そういえば、俺が行く時はサトシの奴が挑戦した後なんだろうか……?」
ヤマブキジムと言えば、前世のアニメではサトシが攻略するまでジムリーダーのナツメは心を閉ざした少女で、人形が代わりに喋るという状況にあった。
更にチャレンジャーを人形に変えてしまうという恐ろしい存在で、サトシとゴーストが勝利した事でナツメに笑顔が取り戻されたというストーリーだった気がする。
「って、そういえばサトシが挑戦する前の状態のナツメ相手にしてシズホは大丈夫なのか?」
一瞬、シズホが勝っても負けても人形にされる未来を想像してしまったが、考えてみればシズホにはエスパータイプのエーフィがいる。
万が一の時はエーフィの力で何とでもなるだろうと、ソラタの希望が多分に含みながら強引に納得した。
「さてと、じゃあ買い物も終わったし、そろそろ出発しようか」
「フィア!」
まだ昼前だが、今から出発すれば次の街には夕方くらいで辿り着ける筈。
予定通りに旅を進める為、早々にニンフィアをモンスターボールに戻すと、荷物の最終確認を終えて、ソラタはフチュウシティを発った。
目指すはフチュウシティとヤマブキシティの間にあるチョウフシティ。そこのポケモンセンターで一泊して、翌日の朝に出発すれば夜か野宿で一泊したくらいでヤマブキシティに到着出来る筈だ。
とは言っても、途中でフカマルの育成もしたいので、もしかしたらもう少し掛かるかもしれないとは思っているが。
因みにリザードンに乗って空を移動するつもりは無い。前はリザードンの飛行訓練もあったので空の旅をしたのだ。
これは、あくまでソラタの持論だが、歩いて旅をする事、それ自体にトレーナーとして一流になるのに必要な要素があるのだと思っている。
「さてと、ヤマブキシティまでにフカマルをガバイトに進化させるのは……無理だろうけど、出来ればセキチクシティに着くまでには進化させたいなぁ。リーグ出場までにガブリアスに進化出来るかは……微妙なところか」
下手したらグレンタウンに着くまでガバイトに進化出来ないかもしれないなと思いながら今後のフカマルの育成プランを練っていたソラタだったが、ふと前方に立つ人影に気付いて足を止めた。
「……」
黒い服に赤いRの文字、見間違える筈が無い。ロケット団の制服であり、そしてRの文字の周りにある金のラインと子悪党じみたあの顔、紫色の特徴がある短髪、ソラタの記憶が確かなら……。
「お前がアテナの言っていたガキだな」
「ロケット団幹部、ラムダか」
「お? 俺を知っているとは、随分と俺も有名になったじゃねぇか」
そう、この男こそロケット団の幹部が一人、ラムダだ。
「ロケット団の幹部が何の用だ?」
「なぁに、テメェには栄えあるロケット団への勧誘に来てやったのさ。アポロの奴が見所があるってんで、態々来てやったのよ」
「……はぁ」
呆れて物も言えない。アテナが脱獄したという話はニュースで知っていたが、彼女から聞いていないのだろうか。
ソラタはロケット団に入る気は無いし、そもそもロケット団を毛嫌いしているという事を。
「失せろ落伍者、お前らみたいな薄汚い犯罪者風情の仲間入りなんて死んでも御免だ」
「……ケッ、やっぱアテナの言ってた通りかよ。なら、アポロからも断ったなら殺せって言われてるんでな、悪く思うなよ!!」
成程、最初から勧誘は建前で、本当の目的は邪魔者と判断したソラタの抹殺だったらしい。
ラムダはモンスターボールを取り出して構えると、頭上へと放り投げた。
「行けゴルバット!!」
「キャッキャッ!!」
ラムダが出したポケモンはズバットの進化系、ゴルバットだった。毒・飛行タイプを持つコウモリポケモン、素早さが中々に高い厄介な相手だ。
「テメェの手持ちはアテナから聞いてるぜ? リザードにイーブイ、ピカチュウとギャラドス。その程度なら俺様の相手にもならねぇぜ!」
「そうか、随分と古い情報だ……行け、リザードン!!」
相手が空を飛ぶポケモンなら、こちらも同じ空を飛べるポケモンで挑むまで。どうやらラムダはリザードを予想していたようだが、情報が古すぎる。
「なっ!? リザードンに進化させてたのか!?」
「俺がアテナと戦ってからどれだけ経ってると思ってるんだよ、とっくに進化させているっての」
事前情報とは違う事態にラムダは若干怯んだようだが、大の大人が子供相手に怯んだ事実を認めたくないのか、頭を振ってソラタとリザードンを睨みつける。
「進化したからって、ガキが大人に勝てると思うな! ゴルバット!! “つばさでうつ”攻撃!!」
「迎え撃て! “かみなりパンチ”!!」
ゴルバットの“つばさでうつ”にリザードンは“かみなりパンチ”で迎撃する。ゴルバットの翼に雷を纏ったリザードンの拳が叩き付けられると、相性の問題で負けたゴルバットの全身に電流が流れた。
「ゴルバット!?」
「畳み掛けろ、“かえんほうしゃ”!!」
空中で身体に流れる電気に麻痺していたゴルバットを、“かえんほうしゃ”が飲み込んだ。
炎が消えた後、黒焦げになったゴルバットが空中で目を回して、そのまま力無く落下、地面に倒れると、ラムダはモンスターボールにゴルバットを戻す。
「や、やるじゃねぇか……なら次はコイツだ! 行けラッタ!!」
続けてラムダが出したポケモンはコラッタの進化系、ラッタだ。コラッタより身体も前歯も大きくなった事で、噛み付く力と威力が大幅に上がり、一度噛みつかれれば巨大な前歯が肉を抉り取る程だ。
「ふむ」
少しだけ考えて、ソラタはリザードンをボールに戻して、別のボールを手に取ると、前方に投げた。
「初陣だ! フカマル!!」
「カフカフカ!」
ソラタの2番手は先日生まれたばかりのフカマルだった。ヤマブキジム及び、その後のセキチクジムに備えて育成中だが、まだまだジム戦が出来るレベルまで育っていない。
その為、ソラタはラムダをフカマルを育成する為の練習台にする事にしたのだ。
「へぇ、珍しいポケモンじゃないか? 折角だからテメェぶっ殺して貰ってやるよ! ラッタ! “いかりのまえば”だ!」
「引き付けろ」
ラッタの前歯が光り、突っ込んで来る。それに対してフカマルにラッタを引き付けるよう指示して、丁度良い距離までラッタが接近したのを見計らうと……。
「“りゅうのいぶき”!」
「カ~フ~!!」
十分引き付けた上で至近距離からの“りゅうのいぶき”は、流石のラッタも回避出来なかったのか、直撃を受けて吹き飛ばされてしまう。
「ラッタ怯むな! “でんこうせっか”!」
「ラタ!!」
「させない! フカマル、“じならし”だ!」
ラッタが高速で駆け出すのと同時にフカマルが地面を大きく踏みつけると、“じしん”には及ばないレベルだが、確かに地面が揺れた。
そのおかげでラッタは足元が覚束なくなり、大きく失速してしまう。
「もう一度“りゅうのいぶき”!」
再度放たれた“りゅうのいぶき”がラッタに直撃、今度こそラッタは目を回しながらラムダの足元まで吹き飛ばされてしまった。
「チッ、戻れラッタ」
舌打ちをしてラッタをボールに戻したラムダは、同じくフカマルをボールに戻すソラタを睨みつけながら、そっと自身のエースポケモンの入っているモンスターボールに手を伸ばす。
「これで勝ったつもりなら、早計だぜ? コイツは俺のエースだ! テメェみてぇなガキが勝てるポケモンじゃねぇ!! 出てこいマタドガス!!」
「「マータドガー」」
やはり出てきた。ラムダの代名詞、ドガース使いの名を持つラムダのエースは、やはりドガースの進化系、マタドガスだった。
それを見て、ソラタも3体目のポケモンが入ったモンスターボールを投げる。
「行け、キレイハナ!!」
ラムダの切り札であろうマタドガスの相手としてソラタが選択したのはキレイハナだった。
先日進化したばかりだが、進化してから更に鍛え上げているだけあって、実力は十分信用に値すると判断しての選択だ。
「あん? キレイハナだぁ? 流石はガキだな! ポケモンのタイプ相性をちゃんと理解してねぇのかよ? キレイハナは草単タイプ、毒タイプのマタドガスとの相性は最悪なんだぜ?」
「知ってるさ……だからこそだよ」
「ああ?」
「理解出来ないか? 手加減してやってるんだよ」
「……上等だガキ、その舐め腐った態度、死んで後悔するんじゃねぇぞ!! マタドガス、“ヘドロばくだん”!!」
マタドガスがヘドロを吐き出して爆弾となったソレがキレイハナに襲い掛かった。だが、キレイハナへと進化してから更に実力を付けた彼女にとって、それはあまりにも遅すぎる。
「かわせキレイハナ、“ちょうのまい”!」
「ハナッ! ハナッ! ハナッ!」
回避しながら“ちょうのまい”を舞うキレイハナは正しく踊り子、美しく舞う姿は花の妖精の如き可憐さを魅せている。
実はこの戦術、タマムシジムのジムリーダー、エリカとリーフィアがやっていた“つるぎのまい”をヒントに同じような戦術が使えないかと考案してソラタとキレイハナが猛特訓した事で可能となった技術だ。
まだ粗さは残っているが、この程度の相手であれば問題なく通用する。
「クソッ! ちょこまかと……! マタドガス! “どくガス”攻撃だ!」
「やらせるな! “リーフストーム”で吹き飛ばせ!!」
“ちょうのまい”で踊りながら“リーフストーム”を発動、マタドガスが吐き出した“どくガス”を綺麗さっぱり吹き飛ばすと、そのままマタドガスに“リーフストーム”が直撃する。
効果はいまひとつだが“ちょうのまい”で特攻が上がった状態で放たれる“リーフストーム”はマタドガスに確かなダメージを与えた。
「マタドガス!?」
「たたみかけろ! “いあいぎり”!!」
吹き飛ばされて地面に叩き付けられたマタドガスに、キレイハナが素早く接近、手に白いエネルギーの刃が形成され、それを振り抜いてマタドガスへと斬り付けた。
「マ、マァタドガァ」
「ま、マタドガス! 何やってるんだよお前は!! こうなったら……!!」
「無駄だ!」
マタドガスの切り札など限られている。この追い詰められた状況で使う技など、“じばく”か“だいばくはつ”だろう。
だが、そんな大技を使わせる暇なんて与える程、ソラタは優しくない。
「“だいばくはつ”だ!!」
「“みがわり”!!」
マタドガスが光ったと思った瞬間、キレイハナの姿が身代わり人形へと代わり、数瞬後に大爆発が起きた。
身代わり人形は一瞬でボロボロになり、爆風が納まるとキレイハナが地面から出て来て人形が消える。
そして、ラムダとマタドガスの姿は爆発の煙が消えた後はどこにも見当たらなかった。
「逃げたか」
勝てないと悟ってマタドガスの“だいばくはつ”による目くらましをして、その隙にマタドガスをボールに戻して逃げたのだろう。
成程、ドガース使いの名を持つだけあって、マタドガスの使い方というか、応用が上手いらしい。
「しかし、まさかロケット団幹部から抹殺対象にされたとはな」
「ハナ……」
足元に来たキレイハナが心配そうな表情でソラタを見上げ、小さな手でソラタのズボンの裾を握る。
ソラタもそんなキレイハナの頭を撫でると、そっと抱き上げた。
「大丈夫だ。今のところラムダとアテナは相手にもならないし、ランスも同程度だろうさ……一番の問題はアポロが出てきたら、だな」
ロケット団の幹部の中でもアポロは恐らく別格だろう。ボスであるサカキの右腕、サカキに最も近い男、サカキの厚き信頼を受ける最高幹部の名は、伊達ではない筈だ。
「ホント、どうしてこうなったというか、なるべくしてなったのかねぇ?」
カントー地方の旅にロケット団は付き物だと、今更ながらに思い出して溜息を零した。
この分だと、ポケモンリーグ出場までにもう一波乱ありそうだなと、半ば確信に近い予想をしながら、テンションがダダ下がりしながらキレイハナを抱きしめて歩き出す。
そんな自身のトレーナーのテンションを感じ取ったキレイハナは、抱き締められながらせめてソラタの心が癒されればと頭の花の香りをソラタへ向けるのだった。
次回はヤマブキシティ到着、の前にもう一つ挟みます。
そろそろこれアニポケだって事を忘れそうなので、主人公君に出て来て貰おうかと。