ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ついにセキチクジム!
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第30話
「セキチクジム! 毒の忍者キョウ!」
ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは、ついに6番目のジムがあるセキチクシティに来ていた。
ポケモンセンターで一泊した後、ポケモン達のコンディションを整えて準備を終えたソラタは、早速セキチクジムへ向かうと、この辺りでは有名な忍者屋敷が見えてくる。
「あの忍者屋敷がセキチクジムか……アニメの通りだな」
ついにセキチクジムまでにフカマルをガバイトに進化させられなかったが、それでもコンディションは最高、気合も十分にある。
ピンクバッジをゲットする為にも、再度気合を入れなおして忍者屋敷へ向かったソラタは、屋敷に設置されているカラクリに度肝を抜かれる事となった。
「カラクリ屋敷かよ」
回転する壁、ビリリダマが仕込まれた落とし穴、透明な壁など、様々なカラクリで中々ジムリーダーの待つであろう部屋に辿り着けずにいる。
このままでは日が暮れる。どうしようかと思いつつ廊下を歩いていると、やっと大きな広間に出た。
「たのもー! ジム戦に来たんですけどー」
ジムの人間が居ないかと、声を掛けてみれば、天井から人影が飛び降りて来た。ピンクの派手な忍者衣装を纏ったくノ一、確か彼女はアニメでキョウの妹だった……。
「私の名はアヤ、このセキチクジムのトレーナーにして、くノ一忍者」
「マサラタウンのソラタです。ジム戦に来たんですが」
「ほう? ならば先ずは私を倒す事だな、未熟なトレーナーでは多忙な兄者の時間を無駄に浪費させるだけだ」
「え~っと」
良いのだろうか、ジムリーダーでもない者が勝手にそんな事を決めてしまって。そう思っていたら、奥からビリリダマが転がってきて“じばく”を使用、辺りに煙が舞った。
「アヤ、勝手な事をするでない。マサラタウンのソラタというトレーナーが訪ねて来たら素直に通せと言っておいた筈じゃ」
「あ、兄者!」
煙の中から青い忍者服を着た中年程の男が現れた。間違いない、彼こそがセキチクジムのジムリーダーにして、ジョウト四天王が一人、毒タイプ使いのキョウだ。
「アヤ」
「あ、兄者……しかし、この程度の新人トレーナーなど、兄者の手を煩わせる訳には」
「言った筈じゃ、この者は初めから私が相手をするに相応しいトレーナーじゃと、お前では相手にもならん」
「そ、そんな……」
ショックで固まるアヤを尻目にキョウは一歩前に出ると、真っ直ぐソラタを見つめ、フッと笑みを浮かべた。
「成程、エリカやナツメの言うておった通り、中々良い目をしておるではないか」
「え……」
「事前にタマムシジムのジムリーダーエリカと、ヤマブキジムのジムリーダーナツメから話を聞いておったのじゃよ、新人トレーナーにしては見所のある腕前の持ち主、マサラタウンのソラタという少年が訪ねてくる筈だとな」
「あの二人が、そんな事を……」
「うむ、そして今こうしてお主の目を見て確信した。お主は一般的な新人トレーナーよりも上のレベルで相手をするに相応しいトレーナーじゃとな」
早速だが、ジム戦を行う事となった。キョウとアヤ、ソラタは庭に出て、庭のバトルフィールドにソラタとキョウが、審判ゾーンにはアヤが立つ。
「これより、セキチクジムのジム戦を行います! 使用ポケモンは互いに3体! 尚、バトル中のポケモンの交代はチャレンジャーにのみ認められます」
「では先ずはワシが、行けアリアドス!!」
「リア!!」
キョウが出したのはジョウト地方の虫タイプ、アリアドスだった。しかも、キョウが使用するアリアドスと言えば、四天王の手持ちの一体だった筈。
「恐らくお主は四天王としてのワシの手持ちも凡そ知っておろう。確かにアリアドスは四天王としてのワシの手持ちじゃが、このアリアドスは別個体じゃ」
このアリアドスはあくまでジム戦用のアリアドスであって四天王としての手持ちのアリアドスはまた別の個体なのだとか。
それなら安心かと、ソラタもモンスターボールを構えて、初手のポケモンを出す。
「行け、フカマル!」
「カフカフカ!」
虫と毒タイプのアリアドスなら、フカマルは十分相性が良い。元々セキチクジムの為に特訓していたのもあったので、初手から活躍して貰う事にした。
「ほう、フカマルか。シンオウ地方のポケモンとは珍しい」
「縁がありましてね、フカマルのタマゴを貰ったんです」
「成程、じゃが相性だけで勝てるとは思わぬ事じゃ」
「望む所です」
ソラタもキョウも、互いに笑みを浮かべて、アリアドスとフカマルもやる気十分、それを見ていた審判のアヤはフラッグを大きく頭上へ掲げた。
「アリアドス対フカマル、バトル開始!!」
「先ずはこちらからじゃ! アリアドス、“かげぶんしん”!!」
キョウの指示でアリアドスが分身した。無数の分身がフカマルを囲み、フカマルはどれが本物かキョロキョロと見渡すも、判断が付かない。
「続いて“クロスポイズン”!」
「落ち着け! “じしん”だ!!」
分身しているアリアドスが“クロスポイズン”の構えで一斉に襲い掛かるも、フカマルは大きく足を振り上げ、地面に叩き付ける事で大きく地面が揺れて、衝撃波が全方位に拡散した。
「アリッ!?」
「アリアドス! ジャンプして“いとをはく”!!」
すると、アリアドスが空中で糸を吐いて四方八方へ伸ばす。やがて空中に糸の足場が出来上がって、アリアドスは糸の上に飛び乗った。
「しまった!?」
「これで“じしん”は使えまい。アリアドス、“ふいうち”!」
「引き付けろフカマル! “ドラゴンクロー”!!」
糸から糸へ飛び移りながらフカマルに迫るアリアドスに、地面タイプの技は意味が無い。ならばと、引き付けて接近戦に持ち込むしか無い。
フカマルの“ドラゴンクロー”がアリアドスの角による“ふいうち”を受け止め、更にもう一撃叩きこもうとしたのだが。
「“クロスポイズン”じゃ」
「アリアリア!!」
「カフ!?」
「フカマル!!」
まともに“クロスポイズン”を至近距離から受けてしまった。だが、フカマルも同時に“ドラゴンクロー”をアリアドスに叩きこんで、互いに吹き飛んでしまう。
「大丈夫か? フカマル」
「カフカフ、カ……フ」
「まさか、毒か!」
“クロスポイズン”の副次効果で毒を受けてしまったフカマルは若干顔色が悪い。交代するべきかと思ったソラタはモンスターボールを取り出したが、フカマルは戻る事を拒否、まだ戦うと顔色が悪いまま立ち上がった。
「フカマル……」
しかし、状況は良くない。地面タイプの技は空中に張った糸の上に乗るアリアドスには届かず、接近戦は互角の状況で、毒状態のフカマルは徐々に体力を失っていく。
この状況を打開するには先ず糸を何とかしなければならない。
「“ストーンエッジ”は未完成、ならばフカマル! “りゅうのはどう”!!」
遠距離からの攻撃ならと、“りゅうのはどう”を指示。フカマルがドラゴンのオーラを纏って放出すると、一直線に糸の上のアリアドスへ向かうが。
「甘いのう、アリアドス、もう一度“かげぶんしん”じゃ」
再びアリアドスが分身を作り出して“りゅうのはどう”を回避した。
「連続で“ふいうち”じゃ」
分身の一体がフカマルの背後から迫る。どうやら分身ではなく本体だったようで、フカマルは“ふいうち”による角の一撃を背中に受けてしまい、アリアドスも再び糸の上へ。
更に別の分身と本体が入れ替わって“ふいうち”で攻撃しては糸の上に戻るヒットアンドアウェイに、フカマルのダメージが蓄積されていく。
「くそっ! どうする……? このままじゃフカマルの体力が」
段々と息が荒くなってきたフカマルは、もうそろそろ体力の限界を迎えようとしている。やはり一度ボールに戻すべきかと、今度こそモンスターボールに戻そうとした時だった。
「カフカフカーー!!!!」
フカマルが、体力の限界を迎えて火事場の馬鹿力と言うべきなのか、新しい技を繰り出した。
撒きあがる砂嵐はアリアドスと、その足場の糸を巻き込み天高く吹き飛ばす。これは……。
「“すなあらし”か!」
「なんと! この土壇場でか!!」
土壇場で覚えた“すなあらし”によって、周囲の糸が全て綺麗に無くなった。同時に落ちて来たアリアドスは“すなあらし”によるダメージを受けていて、隙が出来ている。
「フカマル! 最大パワーで“りゅうのはどう”!!」
「カフカフカフカフーーー!!」
フカマルの放った“りゅうのはどう”が落下したばかりのアリアドスに直撃、吹き飛ばされたアリアドスは目を回して倒れてしまう。
だが、同時に体力の限界を迎えたフカマルも、その場で倒れて目を回してしまった。
「アリアドス、フカマル、共に戦闘不能!」
ソラタとキョウ、共に1体目は相打ちに終わった。互いのポケモンをモンスターボールに戻すと、キョウは少し嬉しそうな表情を浮かべながら次のボールを取り出している。
「いや、中々やるではないか。エリカやナツメの言っていた通りじゃ……新人トレーナーとのバトルで、ここまで楽しくなるのは、あの娘に続いて二人目じゃな」
あの娘とは、ソラタの脳裏には一人の少女の姿が映し出されていた。そして恐らくその通りなのだろう。
しかし、今はそれは関係ない。ソラタも次のボールを手に取り、構えた。
「さあ、次はお前じゃ! 行けゴルバット!!」
「頼むぞピカチュウ!!」
お互いの2番手はゴルバットとピカチュウ、セキチクジムの戦いは中盤に差し掛かり、更に激しさを増して行く。
勝つのはソラタか、キョウか、次回に続く。
次回でセキチクジム終了予定です。
早々に書きたい話があるので、早めに進めます。