ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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お待たせしました。
そして、セキチクジム戦、終わりませんでした。


第31話 「毒の猛攻!」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第31話

「毒の猛攻!」

 

 ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは、6つ目のジムであるセキチクジムに挑戦していた。

 ジムリーダーのキョウはジョウト地方の四天王を兼任する毒タイプの使い手、実力はカントーのジムリーダーの中でも最高位と言って良いだろう。

 第一戦目のアリアドスとフカマルのバトルはダブルノックダウンによる相打ちに終わり、ソラタもキョウも残るポケモンは2体、そしてその2体目であるゴルバットとピカチュウのバトルが、今始まろうとしている。

 

「ゴルバット対ピカチュウ、バトル開始!」

「今度はこっちから行くぞ! ピカチュウ! “10万ボルト”!!」

「ピ~カッ! チュウウウウウ!!!」

「回避じゃ!」

 

 ピカチュウの開幕“10万ボルト”を空中で華麗に回避したゴルバットは羽ばたきながらピカチュウを鋭い眼光で睨みつけていた。

 

「今度はこちらの番じゃな、ゴルバット! “エアスラッシュ”!!」

「迎え撃て! “アイアンテール”!!」

 

 ゴルバットが高速で羽根を羽ばたく事で発生した空気の刃がピカチュウに襲い掛かるが、尻尾を鋼鉄にしたピカチュウが、その悉くを叩き落として迎撃する。

 どちらの攻撃も当たらず、互角の勝負をしているように思うが……。

 

「“でんこうせっか”だ!」

「ぬぅっ! 中々のスピードだが、これでどうだ! “ねっぷう”!!」

 

 高速で動くピカチュウに熱気を帯びた風が襲い掛かった。今度は“エアスラッシュ”の時のように迎撃不可、ピカチュウは全身で“ねっぷう”の直撃を受ける……その前に。

 

「“あなをほる”!!」

 

 地中へと潜り回避に成功した。いや、ギリギリの回避だった為、背中を若干だが掠ったのが見えた。

 

「ほう、やるではないか。ゴルバット、“ちょうおんぱ”じゃ」

 

 本来、相手を混乱させる技である“ちょうおんぱ”だが、キョウはピカチュウを混乱させる為に使ったのではない。

 

「見つけたな? “どくどく”!!」

 

 ゴルバットがキョウの指示により一直線に地面のあるポイントへと急降下した。

そして、その真下の地面からピカチュウが飛び出してしまい、ゴルバットの猛毒のエネルギーを纏った翼の一撃を受けてしまう。

 

「ピ、カ……」

「馬鹿な!?」

 

 猛毒状態になったピカチュウが苦しそうに呻くのを見て、ピカチュウが飛び出すポイントをピンポイントで当てたゴルバットにソラタが驚く。

 しかし、直ぐにそのカラクリが理解出来た。

 

「そうか、“ちょうおんぱ”をソナー替わりに」

「左様、我がゴルバットは“ちょうおんぱ”を使う事で隠れた相手を見つけ出す事が出来る。例え水中であろうと、地中であろうとじゃ」

 

 強い、これがジムリーダーにして四天王の実力。巧みな戦術は見事にソラタを追い詰めている。

 更に言えば状況も不味いことになった。猛毒状態のピカチュウは先ほどのフカマルよりも早く体力が消耗していく為、長期戦は不可能と言って良い。

 

「……戻れ、ピカチュウ」

 

 だから、ソラタはピカチュウが戦闘不能となる前にボールへと戻した。

 

「良い判断だ。先ほどのフカマルはただの毒状態だったからまだ戦う余地があったが、猛毒状態のピカチュウはフカマルの時とは比べ物にならん速度で体力を奪われる。猛毒と毒、状態の違いを理解出来ておるようで何よりじゃ」

「ええ、本当に理解していて良かったです。お陰で残り一体にならずに済みましたから」

 

 とは言え、もうピカチュウは戦闘に出せない。ゴルバットと、残り一体をソラタの最後の一体で倒さなければならないのだ。

 

「最後は、お前だ……頼むぞ、エース」

 

 ソラタがセキチクジム戦で使用を決めた最後の一体、それは当然ソラタの手持ちのエースにして切り札。

 

「行け、リザードン!!」

「グルァアアア!!!」

 

 ボールから出た途端に天高く飛び上がり炎を吐くソラタのエース、リザードンが威風堂々と羽ばたきながらゴルバットを睨みつけた。

 

「ほう、リザードンか……相手にとって不足無し」

 

 ニヤリとキョウが笑うと、審判のアヤに目で合図をする。それを受けたアヤはフラッグを掲げた。

 

「では、ゴルバット対リザードン、バトル開始!!」

「ゴルバット、“ちょうおんぱ”じゃ!!」

「リザードン! 回転しながら“かえんほうしゃ”!!」

「何ぃ!?」

 

 本来の目的で放たれたゴルバットの“ちょうおんぱ”だったが、リザードンがその場で回転しながら“かえんほうしゃ”を放つ事で炎が四方八方へ飛び回り“ちょうおんぱ”を遮る。

 更には炎はそのままゴルバットにも襲い掛かり、ゴルバットも慌てて炎を回避するしかなくなってしまう。

 そう、これはソラタの幼馴染であるサトシが未来で編み出す攻防一体の戦術、カウンターシールドだ。

 

「何と奇天烈な戦術よ! 見事! ゴルバット、“エアスラッシュ”!!」

「リザードン! 回避して“かみなりパンチ”!!」

 

 無数の風の刃を高速で飛行しながら回避しつつ、リザードンは握り拳に雷を纏ってゴルバットへ迫った。

 リザードンの拳が雷を纏っている事に気付いたゴルバットは直ぐに回避しようと“エアスラッシュ”を止めて飛び回るが、リザードンはそれを追い続ける。

 

「ヌゥッ!?」

「良いぞリザードン、そのまま追い詰めろ!」

 

 時折リザードンが“かえんほうしゃ”でゴルバットの回避方向を塞ぎつつ逃げ場を誘導すると、ついにゴルバットの目の前には屋敷の塀が、完全に行き止まりだった。

 

「やれ!!」

「ゴルバット!!」

 

 追い詰められたゴルバットにリザードンの“かみなりパンチ”が直撃、一発二発と連続で叩きこまれたゴルバットは全身が痺れて羽ばたく事すら困難になった。

 

「そのまま地面に叩き付けて“かえんほうしゃ”だ!」

 

 リザードンはゴルバットをわし掴み地面へ叩き付けると、そのまま“かえんほうしゃ”を発射、炎に飲まれたゴルバットは戦闘不能となってしまった。

 

「ゴルバット、戦闘不能! リザードンの勝ち!」

 

 これでキョウの残るポケモンは一体だが、ソラタもリザードンと猛毒状態のピカチュウという状況、ソラタが有利だとは断言出来る状況ではない。

 

「ふ、ふふふふ、ふははははははは!! 楽しい! 楽しいぞソラタよ! まさか新人トレーナー相手に、ここまで楽しいバトルが出来るとは思わなんだ! 今この時ほど四天王としてバトル出来ない事が悔やまれる事は無い!!」

 

 実に愉快だと笑うキョウは、最後のモンスターボールを取り出した。そしてそれを、アヤへと投げ渡す。

 

「あ、兄者? これはベトベトンのボールでは……」

「ソラタよ! 四天王として戦えぬとも、ジムリーダーとしてもう一段レベルを上げたバトルを最後に見せよう! セキチクジム・ジムリーダーキョウの最後のポケモンはこやつじゃ!!」

「兄者! それは!!」

 

 キョウが取り出したのはダークボールと呼ばれる夜間や洞窟内部で使用する事で捕獲率が上がる特殊なモンスターボールだった。

 

「では行くぞ、出でよマタドガス!!」

 

 キョウが投げたダークボールから出てきたのは、どくガスポケモンのマタドガスだった。だが、ただのマタドガスではない。ソラタが良く知るマタドガスとは色も姿もまるで違う。

 

「まさか……リージョンフォーム!?」

「ほう! まさか、リージョンフォームを知っておったか!! 如何にも、このマタドガスはリージョンフォームによって毒・フェアリータイプを持つ、ガラル地方特有の進化を果たしたマタドガスよ」

「もう兄者! そのマタドガスはジム戦で使うには強すぎるって、他ならぬ兄者が言っていた事ではないですか! なのに、それを本人が破るなど、跡継ぎのアンズが見たら何と言うか!」

「黙っておれ、アンズにバレたとしても何を言わせるつもりもない。ソラタは、このマタドガスで戦うに相応しいトレーナーだと、ワシが判断したのじゃ」

 

 もう、キョウはソラタのリザードンと戦わせるのは、マタドガス・ガラルのすがた以外に無いと決めている。

 そして、ソラタもリザードンも二人の話を聞く限りこのマタドガスはジム戦で使うには強すぎるポケモンだという事で、静かに闘志を燃やしていた。

 

「行けるな、リザードン……相手は、強いぞ」

「グル」

 

 受けてた立とうではないか。セキチクジム・ジムリーダーにして四天王が一人、キョウがソラタならばと出してくれたマタドガス、これに勝たねばリーグ出場が叶わないのであれば、勝つだけだ。

 

「良い目だ、ソラタも、リザードンも」

「ああもう! どうなっても知りませんからね! マタドガス対リザードン……」

 

 フィールドで睨み合うマタドガスとリザードンは、もう既に闘志が漲っている。己が全力で、目の前の敵を倒せと、本能が叫んでいるのが判る。

 

「バトル開始!!」

「“かえんほうしゃ”!!」

「“ヘドロばくだん”!!」

 

 セキチクジム、後半戦。これがラストバトルになるのか否か、それは次回に続く。




次回で今度こそセキチクジム戦は終わります!
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