ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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お待たせしました。
セキチクジム決着です。


第32話 「リザードンの切り札」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第32話

「リザードンの切り札」

 

 ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは6個目のバッジをゲットする為にセキチクジムに挑戦していた。

 ジムリーダーのキョウが操る毒タイプのポケモンにより毒状態という状態異常に苦しめられるソラタは、何とかキョウの残りポケモンを1体まで追い詰めたが、ソラタ自身にも余裕は残っていない。

 そして、キョウの最後のポケモンは毒・フェアリータイプを持つマタドガス・ガラルのすがた、リージョンフォームのマタドガスであり、キョウが本来ならジム戦では使用しないポケモンだと言う。

 

「リザードン! “かえんほうしゃ”!!」

「マタドガス! “ヘドロばくだん”!!」

 

 “かえんほうしゃ”と“ヘドロばくだん”の威力は互角、互いに押し切れないと判断したキョウが素早く次の指示を出した。

 

「“えんまく”じゃ」

 

 マタドガスが“えんまく”を吹き出し、その中に姿を隠した。そして、“えんまく”の中から“ヘドロばくだん”を撃って来るので、リザードンは回避するにしても動作が一歩遅れる。

 回避しきれず掠ったりもするが、今のところ大きなダメージにはなっていないので、ソラタはリザードンに目を向けると、リザードンもソラタの方を向いて小さく頷いた。

 

「突っ込めリザードン! “はがねのつばさ”だ!!」

「なんと!?」

 

 リザードンが己が翼を鋼のエネルギーで硬質化させながら“えんまく”の中に突っ込んだ。

 一見すれば無謀な行為、視界の悪い“えんまく”の中に突っ込むなど、普通のトレーナーなら絶対にしないであろう指示だったが、リザードンは迷う事無く指示に従い、視界の悪い“えんまく”の中であっても正確にマタドガスの位置を捕らえて鋼の一撃を与える。

 

「マタドガス!」

 

 “えんまく”の中から吹き飛ばされてきたマタドガスは大ダメージを受けたのだろう、若干苦し気で、同じく飛び出してきたリザードンは既に追撃の準備が整っていた。

 

「まさか、“えんまく”の中であっても正確にマタドガスの位置を見つけられるとは、見事じゃ」

「俺のリザードンはヒトカゲの時から“えんまく”を使って視界の悪い中でのバトルの訓練もして来たんです。あの程度の目暗まし、リザードンにはあって無いようなもの」

「成程、見事な育て方じゃ」

 

 キョウがリザードンの育て方に関心しているのは素直に嬉しいが、今はそれよりもバトルが優先だ。

 ソラタは既に構えているリザードンに目を向けた。

 

「行くぞリザードン! もう一度“はがねのつばさ”だ!」

「“まもる”!」

 

 再度、リザードンの“はがねのつばさ”がマタドガスに迫るも、キョウは素早く“まもる”を指示、マタドガスの前に“まもる”によるシールドが張られ、“はがねのつばさ”を受け止めた。

 

「“ようせいのかぜ”じゃ!」

「かわせ!!」

 

 至近距離からの“ようせいのかぜ”がリザードンに直撃した。回避を指示したが、流石に至近距離からの攻撃は回避不可能だったようで、ピンク色の風に襲われたリザードンは大きく吹き飛ばされた。

 

「畳み掛けろ、“ヘドロばくだん”!!」

「そのままの態勢で良い! “かえんほうしゃ”だ!」

 

 マタドガスの“ヘドロばくだん”に、吹き飛ばされた態勢のままリザードンも“かえんほうしゃ”を放つ。

 先ほどは威力が互角だったが、不自然な態勢での“かえんほうしゃ”はリザードン自身の踏ん張りが効かないのか、“ヘドロばくだん”に威力で負けてしまい、いくつかのヘドロがリザードンに直撃して爆発した。

 

「くっ! リザードン! 大丈夫か!?」

「グ、グルゥ」

 

 爆発により更に吹き飛ばされ、ソラタの隣まで飛んできたリザードンだったが、まだ戦えると立ち上がり、左手を握って親指を立てて大丈夫だとアピールして見せた。

 

「強いな、マタドガス」

「リザッ」

「だけど、勝てない相手じゃない」

「リザァッ!」

「まだ未完成で、成功率も低いけど……“アレ”、行けるな?」

「グルァアアアア!!!!」

 

 リザードンが大きく翼を広げてフィールドへジャンプ、炎を吐きながら再び戦意を高めた。

 

「ぬぅ? まだ何か隠しておるようじゃな……マタドガスよ、一気に決めるぞ、“ようせいのかぜ”じゃ!!」

「飛べ! リザードン!!」

 

 再度放たれた“ようせいのかぜ”を、リザードンは空を飛ぶ事で回避、マタドガスもそれを見て上空のリザードンを追うように“ようせいのかぜ”を操って追撃させる。

 

「“はがねのつばさ”で吹き飛ばせ!!」

 

 追ってくる“ようせいのかぜ”に対して、リザードンは再び翼を硬質化させると、その翼を羽ばたかせる事で“ようせいのかぜ”を打ち破って見せた。

 

「見事!」

「突っ込め!!」

 

 そのまま“はがねのつばさ”を維持してマタドガス目掛け突っ込んでくるリザードンにキョウは再度“まもる”を指示、リザードンの翼はシールドに受け止められたのだが……。

 

「“かみなりパンチ”だ!!」

「グルァアアア!!!」

 

 雷を纏った拳がシールドを叩き割ってマタドガスを捕らえた。まともに“かみなりパンチ”の一撃を受けたマタドガスは大きく吹き飛び、ソラタの運が良いのかマタドガスは麻痺の状態異常になったらしい。

 

「しまった! マタドガス!!」

「今だリザードン!! 一気に決めるぞ!! “ブラストバーン”!!!」

「グルゥッ!! リザアアアアア!!!」

 

 リザードンが全身に炎を纏い、その拳を大きく振り上げて地面に叩き付ける。すると、地面が大きくひび割れながら炎を吹き出しつつ、ひび割れがマタドガスへ迫った。

 

「マタドガス、避けるんじゃ!!」

 

 回避を指示するキョウだったが、麻痺して動きが鈍ったマタドガスでは回避が間に合わない。

 究極の炎技“ブラストバーン”の一撃により罅割れた地面からの炎に飲まれたマタドガスは炎が止んだ後、全身黒焦げ状態であるにも関わらず、倒れずにリザードンを睨んでいた。

 

「嘘だろ……」

 

 倒しきれなかった。究極技“ブラストバーン”で倒しきれず、リザードンは反動で動けない。

 まさかの事態に敗北も覚悟したソラタだったが……。

 

「フッ……マタドガスよ、もうよい」

「ま、マ~タドガ~……」

 

 キョウの言葉と共に、宙に浮いていたマタドガスが地面に落下、そのまま目を回してしまった。

 

「マタドガス、戦闘不能! リザードンの勝ち!! よって勝者、マサラタウンのソラタ!!」

 

 勝った。激闘の末、見事ソラタはセキチクジムを制覇し、ポケモンリーグ出場へ更に一歩近づくことが出来た。

 

「見事なバトルじゃったぞソラタ」

「キョウさん……ありがとうございます」

 

 マタドガスと共にソラタの傍まで歩み寄ったキョウは笑みを浮かべソラタの勝利を祝してくれた。

 マタドガスもソラタの隣に立つリザードンに笑顔を向けており、リザードンも笑顔を返す。

 

「最後までポケモンを信じ、戦略を駆使して戦うソラタとポケモン達の何と見事な事か……このピンクバッジを授けるに足るトレーナーとして、認めよう」

 

 キョウは懐から巻物を取り出して、広げたそこにはピンクバッジが。

 

「受け取るが良い。セキチクジム勝利の証、ピンクバッジはソラタの物でござる」

「……! ありがとうございます」

 

 巻物からピンクバッジを取り外して受け取ったソラタは、バッジケースを開いてゴールドバッジの隣にピンクバッジを納めた。

 これで6つ目、残るバッジ2つをゲットしたら、ソラタはポケモンリーグ出場資格を得る事になる。

 

「うむ、6つか……次はグレンジム辺りかの?」

「ええ、グレン島に行ってグレンジムに挑戦する予定です」

「となると、カツラか……あやつは元研究者ではあるが、バトルの腕は確かじゃ。研究者時代の知識を駆使したバトルは中々のもの故、確り戦略を練って挑むと良い」

「ありがとうございます。そうします」

 

 最後に、キョウと握手をしてセキチクジムを後にしたソラタは、ずっと出しっぱなしにしていたリザードンに跨ると、空を飛んでポケモンセンターを目指した。

 ポケモン達の回復をして、それからグレン島を目指すのだ。

 

「楽しみだなリザードン、もう少しで俺達、リーグに出場出来るんだ」

「グルッ」

「そこにはまだ見ぬ強敵が沢山いるに違いない……燃えてくるよな」

「リザァ!」

 

 サトシ、シゲル、シズホ、それにアニメの知識ではヒロシといった様々な強敵が待っている。

 残り2つのバッジをゲットして、そんな強敵が待つポケモンリーグに出場する。夢への扉が、もう直ぐそこまで来ているのだと、ソラタは一段と胸を熱くさせながら空を駆けるのだった。




次回は久しぶりの人物が出てきます。
アニメの話に少しオリジナルの展開をと考えています。
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