ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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アニポケ作品だというのに、彼らの登場は初ですね。


第34話 「銀河を駆けるロケット団」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第34話

「銀河を駆けるロケット団」

 

 ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは、7つ目のジムがあるグレンタウンを目指して旅をしていた。

 その途中、ストンタウンという街で石で進化するポケモンとトレーナーの集まりに参加する事になったソラタは、道中でライバルのシズホと再会し共に集まりに参加する。

 そこで出会ったイーブイとその進化系のトレーナー4兄弟に、イーブイの育て方や進化先について教授をする事となり、タイチ少年にイーブイのトレーナーの先達としてアドバイスをするのだった。

 

「なあなあソラタ! ソラタはバッジいくつ集まったんだ?」

 

 話がひと段落して、パーティーの食事を堪能していたソラタとシズホにサトシが話しかけてきた。

 3人ともリーグ出場の為にジム戦をする者同士、やはり気になるのだろう。

 

「俺は6つだな」

「私も6つです」

「じゃあ同じだ! 俺も6つなんだ」

 

 聞けばシズホはグレンタウンに向かう前に少しポケモンの育成をしたいという事でソラタより先にセキチクジムを攻略しているものの、少し遅れているらしい。

 サトシもまた、セキチクジムを攻略後はサファリゾーンに行ったり化石発掘をしたりと、色々と道草をしているとの事。

 

「そういえば、化石発掘の時にシゲルに会ったぜ」

「シゲルに? 元気だったか?」

「ああ、相変わらずだった」

 

 サトシがシゲルの話をしてくれたので、ソラタも気は進まないがトワコの話をする事にした。

 

「俺もトワコに会ったよ」

「と、トワコに……?」

「あいつはバッジ3つで、以降はどこのジムにも勝てなくてな……最終的に俺とバトルして心が折れたんだろ、オーキド博士の話だとマサラタウンに帰ったらしい」

「そっか……」

 

 まぁ、正確には心が折れたのではなく、ソラタが折ったのだが、そこは話す必要も無い。

 

「そう言えば、シズホはサトシとは初めてだよな? こいつはサトシ、俺の幼馴染で、同じマサラタウンの出身だ」

「初めまして、ワカバタウン出身のシズホと申します」

「よろしくな! ……ワカバタウンって何処だ?」

 

 カントーから出た事が無いサトシはやはりワカバタウンを知らないようだ。それも当然か、カントーとジョウト、隣同士の地方とは言っても行ったことがない人間には地名を言われても馴染みがないのだから。

 

「ジョウト地方の街だよ、俺達の住むマサラタウンと同じようなものかな」

「そうですね、カントーのマサラタウンとジョウトのワカバタウン、イメージは同じかと」

 

 ワカバタウンにはウツギ博士というポケモン博士が住んでおり、ワカバタウンの子供はウツギ博士から新人用ポケモンを貰って旅立つというのも同じだ。

 

「ジョウト地方はお前も覚えておけよ、カントー地方チャンピオンのワタルさんはジョウトチャンピオンも兼任してるんだからな。カントー出身の俺達が知らないってのは問題だぞ」

「そ、そうなのか……」

 

 それに、ワタルと言えば世界最強のトレーナー8人の一人、マスターズエイトに数えられる世界有数のトレーナーだ。

 カントー出身のトレーナーとしてワタルの情報からジョウト地方について知っていなければ流石に失礼に当たる。

 

「まぁ、サトシも追々勉強するといい。いくら昔から勉強嫌いでも、流石に知っておかなければならない情報まで知らないってのは問題だぞ」

「うっ、そうする……」

 

 サトシとシズホと、三人で話をしている最中だった。爆竹のような破裂音が鳴り響き、何事かと思って辺りを見渡すと……。

 

「はぁい、ショータイムの始まりよ」

 

 上空からニャースを模した気球が降りてきて、籠には二人の男女とニャースの姿が。

 

「何なんだ! お前たちは!!」

 

 突然現れた人間にライゾウが声を荒げて問いかける。

 一方ソラタは気球から降りた二人と一匹を見て、その服装を見て内心感動していた。そう言えばこの世界に転生して、旅を始めてから彼らには一度も会った事が無かったなと、今更ながらに思い返して、前世では割と嫌いではなかった彼らを生で見られて感動しているのだ。

 

「何だかんだと聞かれたら」

「答えてあげるが世の情け」

 

 本当に、感動した。あのセリフを、こうして生で聞ける事が本当に嬉しかった。ロケット団は嫌いだし、実際この世界で出会ったロケット団は碌な人間ではないが、彼らに会えた事だけは、本当に嬉しい。

 

「世界の破壊を防ぐ為」

「世界の平和を守る為」

「愛と真実の悪を貫く」

「ラブリーチャーミーな敵役」

「ムサシ」

「コジロウ」

 

 この無駄に長いのに、これが無いとと思ってしまうセリフ、何もかもが懐かしい。

 

「銀河を駆けるロケット団の二人には」

「ホワイトホール白い明日が待ってるぜ」

「にゃーんてにゃ」

 

 最後は料理を食べながらという締まらない所も、らしいと言えばらしいのか。

 

「皆気を付けろ! 奴らは珍しいポケモンを狙ってるんだ!!」

 

 サトシがライゾウ達の所まで言って警告をするが、少し遅かった。既にコジロウがマタドガスをモンスターボールから出している。

 

「マタドガス! “えんまく”を張れ!!」

「「ドガァース」」

 

 マタドガスによる“えんまく”で会場が煙に包まれた。直ぐにサトシが出したピジョンによって煙は吹き飛ばされたが、ロケット団の姿は無く、それどころか。

 

「サンダース!」

「シャワーズ!?」

「ブースター!」

 

 ライゾウ達のサンダース、シャワーズ、ブースターが居なくなっていた。いや、それだけでなく会場に居たポケモン……ソラタのニンフィアやシズホのエーフィ、エリカのリーフィアも含めたモンスターボールから出していた全てのポケモン達と、料理、進化の石全てが無くなっていた。

 

「畜生! あいつら……!」

「ポケモンも石も料理も、全部持って行きやがった!!」

 

 サトシとタケシが悔しそうに地団駄を踏む中、その向こうでカスミが何故か残っていたコダックを腕を組みながら見ている。

 

「で、何でアンタだけいるわけ?」

「コワァ?」

 

 カスミもタッツーとコダックを出していたのだが、タッツーは居ないのにコダックだけ残っているのが不満だったのだろう。

 

「気球はまだ上だ!!」

「ピジョン! 気球に穴を空けろ!!」

「ピジョ! ピジョオオオ!!!」

 

 サトシのピジョンが気球に突っ込んで穴を空ける。空気が抜けて地面に落下した気球に全員が集まって籠の中を見ると、誰も乗っていない。

 

「しまった、空だ!」

「くっ! ピジョン! 空からあいつらを探してくれ!!」

 

 気球に居ないとなると陸路で逃げた可能性があると、サトシは素早くピジョンに指示を出し、ピジョンもそれに従って飛んでいく。

 ソラタの隣でそれを見ていたシズホも腰からモンスターボールを一つ取り出すと、それを投げた。

 

「ストライク、あなたもサトシさんのピジョンと共に探してください!」

「ストーライックーーー!!」

 

 シズホが出したのは、かまきりポケモンのストライクだった。ストライクも自身の羽根で空を飛び、サトシのピジョンに続いた。

 

「あれだけ多くのポケモンや料理を一度に運ぶとなると、陸路なら考えられるのは車か」

「ですわね、タイヤ跡が残っているでしょうか?」

 

 ソラタとエリカがムサシ達の移動方法が車ではないかと当たりを付け、周囲を調べてみれば屋敷の裏へ続く道に急発進したであろう跡が発見された。

 

「ライゾウさん、屋敷の裏は進化山へ?」

「あ、ああ……進化山へ続く道がある」

 

 なら、ロケット団が逃げたのも進化山だろう。ピジョンとストライクが戻ってくるまで、なるべく動かない方が良いのかもしれないが、どうしたものかと思っていたら割と早く2匹が戻って来た。

 

「ピジョ! ピジョピジョ!」

「スト! ストライッ!」

「ピジョン達が何か見つけたみたいだ!」

 

 ピジョンとストライクの案内された所へ行ってみれば黒い墨が道に点々と残されており、同時にその両脇に車のタイヤ跡が。

 

「間違いないわ! アタシのタッツーが墨を吐いて道しるべを残したのよ!」

 

 墨を見て、カスミが自分のタッツーが残したものだと判断した。恐らくその推理で間違い無いだろう。

 すぐさま墨とタイヤ跡を追って行くと、丁度湖がある開けた場所に檻に捕らわれたポケモン達とムサシ達の姿を発見した。

 

「ゼニガメ! “みずてっぽう”発射!!」

 

 サトシが投げたモンスターボールからゼニガメが出て来て、“みずてっぽう”の構えを取った。

 同時に、進化の石を持って個別の檻に入れていたイーブイに迫っていたムサシ達も追い付かれた事に気付いて動きが止まる。

 

「ゼニゼニ! ゼニガ!!」

「コパァ」

 

 何故か、ゼニガメが“みずてっぽう”を撃つ前に、ゼニガメの前に出てきたカスミのコダックが“みずてっぽう”とも呼べない弱い水を吐いた。そして、何故かコダックはそれに満足してドヤ顔だ。

 

「コパパ、コパァ!」

「コパァじゃない!」

 

 勝手なことをするコダックをカスミが強制的にモンスターボールに戻す。

仕切りなおすようにサトシのゼニガメが再度“みずてっぽう”の構えを取って今度こそ発射。コジロウとニャースが向こうの木まで吹き飛ばされてしまう。

 

「さあ! ポケモン達を助けるんだ!」

「おう!」

 

 大きな檻に入れられたポケモン達は救助出来たが、個別の檻に入れられたイーブイはムサシが抱えた為、救助出来ていない。

 つまり、ムサシからイーブイを奪い返さなければ、この事件は解決とは言えない状況だ。

 

「お前たち! どうして此処が分かったんだ!」

「作戦は完璧だった筈だにゃ!」

「タッツーが墨を吐いて目印を残してくれてたのよ、残念だったわね」

 

 カスミが抱っこするタッツーがその通りとばかりに墨を吐いて見せれば、ムサシもコジロウも頭を抱えた。

 

「しまったミスった!! 隅々まで完璧にしとくんだった!!」

 

 墨だけに、なんて馬鹿な事を考えていたソラタを救助されたニンフィアが触手で軽く叩いてツッコミを入れた。何故考えが読めるのかという疑問は、ニンフィアの隣のエーフィが教えてくれたから、という回答が返ってきそうだ。

 

「出てこいマタドガス!」

「アーボック!!」

 

 イーブイだけでも奪ったまま逃げようとムサシとコジロウはアーボックとマタドガスを出してきた。

 この状況でもバトルで何とかしようとする辺り、二人は根っこがトレーナーなのだろうなと、場違いな関心をしてしまう。

 

「いくぞピカチュウ!」

「待ってくれ!」

 

 相手になろうと、サトシがピカチュウと前に出ようとしたのだが、ライゾウがそれを止めた。

 タイチのイーブイだ、兄である自分達で助け出したいのだと。

 

「見ていろよタイチ! 進化系の力を! 行け! サンダース!!」

「行け! シャワーズ!!」

「行けぇ! ブースター!!」

 

 ライゾウ達は確かに腕の良いトレーナーだ。サンダースとシャワーズがアーボックとマタドガスを吹き飛ばし、逃げようとしたムサシ達の行く手をブースターの“ほのおのうず”で塞いで逃げ場を無くす。

 見事な連携を見せてくれたが、だがまだ甘い。ソラタやシズホ、エリカから言わせて貰うなら、三人はまだまだ未熟だ。

 アーボックの“たいあたり”とマタドガスの“ヘドロこうげき”が3体を直撃、それだけで戦闘不能になってしまったのだから。

 

「ほーほほのほ!」

「今日はそう簡単にやられないのにゃ!!」

「ビクトリーロケット団だぜ!」

 

 簡単にサンダース達を倒した事で調子に乗ったロケット団だったが、忘れて貰っては困る、この場にはまだトレーナーがいるのだという事を。

 

「ニンフィア! “シャドーボール”!!」

「エーフィ! “シャドーボール”!!」

 

 ニンフィアとエーフィの“シャドーボール”がアーボックとマタドガスに直撃、ムサシとコジロウの足元まで吹き飛ばした。

 

「「え?」」

「選手交代だ」

「同じイーブイの進化系のトレーナーとして、今度は私たちがお相手します」

「あら、でしたら私も」

 

 ソラタのニンフィアとシズホのエーフィ、そしてついでとばかりにエリカのリーフィアも並ぶ。

 

「悪いが、ロケット団相手なら俺は容赦しない」

「な、生意気な! あんたのその珍しいポケモンも、もう一度頂いてやるわ!! アーボック! “どくばり”攻撃!!」

「ニンフィア! “でんこうせっか”!!」

「リーフィア! “つばめがえし”ですわ!!」

 

 アーボックの“どくばり”をニンフィアが回避し、その隙にリーフィアの“つばめがえし”がアーボックに直撃、そしてニンフィアはマタドガスに迫る。

 

「マタドガス! “ヘドロこうげき”だ!!」

「エーフィ、“サイコキネシス”です!」

 

 マタドガスが“ヘドロこうげき”を放とうとしたが、エーフィの“サイコキネシス”によって動きが止められ、そこにニンフィアの“でんこうせっか”が直撃、アーボックもマタドガスも再びムサシ達の所へ吹き飛ばされてしまう。

 

「今だニンフィア! “シャドーボール”!!」

「エーフィ! “シャドーボール”です!!」

「リーフィア、こちらも“シャドーボール”ですわ!!」

 

 3つの“シャドーボール”がアーボックとマタドガスに直撃、完全な隙が出来たのを見逃さずカスミがタッツーを掲げてタッツーに墨を吐かせる。

 タッツーの墨がイーブイの檻を持つムサシの顔面に直撃し、あまりの威力に檻を放り投げてしまった。

 

「今よサトシ!!」

「ああ! ピカチュウ!」

 

 ピカチュウの“10万ボルト”がロケット団を襲うも、中々粘り強い。倒れずにまだ向かって来ようとしているではないか。

 だが、それもここまで、イーブイを檻から出したタイチが戦意を高めたイーブイと共に前に立ったのだから。

 

「いっけぇイーブイ! “とっしん”だ!!!」

 

 イーブイが駆けだし、ムサシ達へ一直線に走る。身体は小さいが、秘めたパワーは確かな才能を感じさせる走りだった。

 

「怒りの“たいあたり”!!」

 

 攫われた事、兄達を傷つけられた事に対する怒りを込めた渾身の“たいあたり”が、今度こそムサシ達を天高く吹き飛ばしてしまった。

 

「見事な一撃だったぞ、タイチ君」

「あ……ソラタさん」

「ええ、見事な“たいあたり”でした。ジムリーダーとして、あれは見事な一撃であったと認めますわ」

 

 エリカもジムリーダーとしての視点から、先ほどのイーブイの“たいあたり”は見事な一撃だったと賞賛する。

 そして、兄達もタイチを褒めた。イーブイのままで、バトルなんて嫌だと言っていたタイチとイーブイの、確かな力を。

 

「……兄ちゃん、僕、イーブイのトレーナーになりたいんだ!」

 

 タイチは、兄達に向かってそう宣言する。進化させるつもりはない、イーブイはイーブイのまま、自分はイーブイのトレーナーとして成長していきたいと。

 タイチの宣言は兄達に受け入れられ、その後はタイチの初勝利祝いという事で一同は屋敷に戻って再びパーティーを再開した。

 最後に集まった全員で記念撮影をして、まだまだ未熟だけど確かな才能を感じさせる新米トレーナーの誕生を祝福するのだった。




次回は少しだけシズホとの話です。
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