ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第36話
「ポケモンゼミナール」
ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは7つ目のジムがあるグレンタウンを目指してライバルであるシズホと共にストンタウンを出発した。
次の街へ向かう途中にある分かれ道でそれぞれが用事を済ませてグレン島へ向かうと言って別れてから、ソラタは一人で修行も兼ねた旅を続けている。
「グレンジムのカツラは炎タイプの使い手、なら次のジム戦のメンバーは必然的にギャラドスは確定として、フカマルもメンバーだな……ふむ」
ポケモンセンターのある街を目指して歩きながら、次のジムでのメンバーを想定していたソラタの中では、既に2体までは確定している。
グレンジムのジム戦は聞いたところによると3体3の勝ち抜き戦、ジムリーダーもチャレンジャーもバトル中のポケモンの交代を禁止しており、先に相手のポケモン3体を倒しきった方の勝ちとなるポケモンリーグの予選リーグと同ルールを採用しているらしい。
グレンジムは炎タイプのジムなので、既にメンバーとして確定しているのはギャラドスとフカマル、残る1体を誰にするのかで、今は悩んでいる所だ。
「炎タイプが相手だとキレイハナは駄目だな……となると、ピカチュウかニンフィアか、リザードンか」
カツラの切り札であるブーバーはかなり強力なポケモンだ。前世のアニメで見たブーバーも、当時サトシのパーティー最強の実力を秘めていたリザードンと互角の戦いをしていた事からも、その力は推し量れるというもの。
「となると、残るはリザードンか……うちの最強戦力だし、出し惜しみは無しにするか」
ソラタのパーティー最強は間違いなくリザードンだ。
昔はニンフィアが最も強かったが、リザード時代にシロナのガブリアスに敗北し、シズホのマグマラシと引き分けてからずっと修練を重ね、リザードンに進化して以降も己を高め続けたリザードンは間違いなくパーティー最強と言って良い実力を手にしていた。
そんなリザードンだからこそ、グレンジムでのジム戦にも参戦させて問題無いと判断し、最後のメンバーとして決める事が出来た。
「問題は、フカマルだな……グレン島に行く前にはガバイトに進化させないと、本当に今後がキツイぞ」
現時点で、フカマルは未だ進化していない。本当にこのままではリーグまでにガブリアスへ進化が間に合わない可能性が出てきてしまう。いや、現時点で進化していないという事は、間に合わないと考えて良いだろう。
「せめて、グレン島に行く前に進化させないとな」
グレン島に行くのはフカマルをガバイトに進化させてからだ。正直、もうそろそろ進化しても良い頃合いではあるのだ。後は何か切っ掛けがあればガバイトに進化出来る筈。
「次のポケモンセンターに着いたら、フカマルの育成計画の見直しをするか」
正直、もう時間はあまり無い。グレン島への移動を考えて、リーグ開催までの日数的に余裕を持たせなければならない事もあるので、フカマルを進化させるのは急いだ方が良い状況だ。
「そろそろ町に着くな」
考え事をしていると時間が経つのも早いもので、道の向こうに町の建物が見えて来た。
トーグタウン、それがこの町の名前で、然程大きい町ではないがポケモンセンターもあり、更にこの町には大きな特徴としてポケモンゼミナールが存在しているとの事だった。
ポケモンゼミナール、それは初級コースから上級コースまでのコースに別れており、新米トレーナーや、これからトレーナーになるという子供達が通うポケモントレーナーとしてのイロハを学ぶ場所だ。
特に上級コースを卒業した者はジムバッジを集めなくてもポケモンリーグ出場資格を与えられる為、上級コース卒業者は一種のエリート思考の者が多い。
「まぁ、だからって上級コース卒業者がリーグ優勝した例は一度も無いけどな」
ポケモンセンターのロビーにて、ジョーイさんにポケモンを預けた後のソラタがゼミナールのチラシを見ながら呟いた。
その通りなのだ。確かに上級コース卒業者にはポケモンリーグ出場資格が与えられ、過去にリーグに実際参加した者も数多く居るが、実際には予選止まりで、偶に決勝リーグに出場出来た者も居たが、リーグ優勝した者は居ないというのが現状だ。
これはポケモン検定試験にてリーグ出場資格者バッジをゲットした者も同様で、リーグ優勝を果たした者は堅実にジムバッジを集めて来た者しか存在しない。
なので、ソラタ個人の意見としては、ジムバッジを8個以上集める以外のリーグ参加資格など廃止するべきだと思っている。参加させる意味が無いのだから。
『マサラタウンのソラタさん、マサラタウンのソラタさん、ポケモンの回復が終わりました。受付までお越し下さい』
「お」
預けていたポケモンの回復が終わり、アナウンスが流れたので、ソラタはチラシを戻して受付に戻った。
受付でジョーイさんがモンスターボールを持って来るのを待っていると、隣に同じく待っているのか壮年の男性が立つ。
「お待たせしましたソラタさん、キンジョウさん、お預かりしていたポケモンは皆、元気になりましたよ」
ソラタは自分のモンスターボールを受け取って腰のボールホルダーに収めつつ、隣のキンジョウという男性の方を見た。
キンジョウという男性はジョーイさんから何と10個以上のボールを受け取って、そのボールを全てスーツケースの様な鞄に入れているではないか。
「ん? ああ、これが気になるかね?」
何で個人で10個以上ものボールを、と思って見ていたソラタに気付いたのか、キンジョウは懐から名刺を取り出して差し出してきた。
「ポケモンゼミナール・トーグタウン校、上級クラス教育主任……」
「ええ、この町にあるゼミナールで教師をしておりまして、このモンスターボールも全部授業で使う実習用ポケモンが入っているんですよ」
成程、確かゼミナールでは上級クラスになると本格的なバトルの授業があるとかいう話を聞いた事があるが、その為の実習用ポケモンはゼミナールが用意していたらしい。
「ゼミナール上級クラスは卒業と同時にポケモンリーグ出場資格を得ると聞きましたけど、リーグに参加する為の自分のポケモンは如何してるんですか?」
「ああ、それなら授業の中でポケモンゲットの実習もあるからね、そこでゲットしたポケモンを育てて出場しているんだよ」
自分のポケモンをゲットしたら実習でも自分のポケモンでバトルをして、育てているという話らしい。
「もしかして君もゼミナールに興味があるのかい?」
「いえ、俺はジムバッジを集める旅をしているので、ゼミナール自体にはあまり」
「そうかジムバッジを! ちなみに今、何個集まっているんだい?」
「今は6個ですね、次のジムに行く前に少しポケモンを鍛えている所です」
バッジケースを出して集めたバッジを見せれば、キンジョウは何を思ったのか何度か頷いてガシッとソラタの手を取った。
「よろしければ是非! 我がゼミナール上級クラスの生徒達に一日授業をしてもらえませんか? 実習の相手をして下さるだけで結構ですから!」
「ええ~……」
ソラタには何のメリットも無い提案に、思わず否定的な声が出てしまった。次のジム戦に備えて修行中だというのに、何故ソラタにとって得にもならない事をしなければならないのか。
「正直、上級クラスのバトル実習はいつも同じクラスの生徒が相手なのが現状でして、生徒達にも刺激が無いと感じていた所なんです。そこで、外のトレーナーを招いてバトル実習の相手を務めて頂ければ、あの子たちの良い刺激になると思うのです! それに、ソラタさんにとっても良い修行相手になるかと、上級クラスの子たちはこの時期ですとバッジ6個から7個くらいの実力まで仕上がっていますからね」
それはゼミナールの中ではの話だ。ゼミナールの授業という狭い世界でしかバトルをした事が無く、外部のトレーナーとのバトルを一度も経験した事が無いゼミナール生はバッジ7個相当の実力があると言っても、外の世界では通用しない。
それはポケモンリーグの決勝リーグにゼミナール卒業生が進出出来ていない現状が物語っている。
とは言え、確かにソラタにとっては野生のポケモン以外とのバトルは良い修行になるのも間違い無い。
それに、ゼミナールの生徒とのバトルで一気にフカマルをガバイトに進化させられればという思惑もあった。
「まぁ、良いでしょう。確かに俺にとっても損をする話ではないですし、ゼミナールのバトル講習の講師、一日だけですが引き受けます」
「おお! ありがたい!」
こうして、ソラタは一日だけの講師を引き受け、キンジョウと共にスクールに向かう為にポケモンセンターを出る。
ただし、出る前にオーキド博士に電話をして手持ちのポケモンを何匹か入れ替えておいたのは、サブを育てるのも有りかと考えた結果だった。
因みにリザードンとニンフィア、フカマル以外の3匹を全て入れ替えているので、フカマルを入れて4匹を今回育てる事にしたのだ。
「今日は頼むぞ、みんな」
フカマルのモンスターボールと、それからオーキド博士から送って貰ったモンスターボールを撫でてから、ソラタはキンジョウと共にポケモンセンターを出てポケモンゼミナールへと向かった。
案内されたゼミナールはソラタの予想していた学校という見た目ではなく、どちらかと言えばビルに近い見た目だろうか。
横にはグラウンドと、バトルフィールドが併設してあり、スクールというより研究所という印象を受ける。
「驚いたかい? この町のゼミナールは元々はポケモンバトルの研究をしていた会社が開校したものでね、校舎になっているビルも会社ビルを増築したものなんだ。隣のバトルフィールドも会社時代からあるもので、グラウンドは後から造ったものなんだよ」
「へぇ……」
バトルの研究とは、成程確かにゼミナールを開くのに十分な下地があったという事か。どんな研究をしていたのかは、気になる所ではある。
「どんな研究をしているんですか?」
「タイプ相性によるバトルの優位性だったり、技の威力の変動についてだったり、色々ね」
「それはまた」
難しいというか、割とガチ目の研究をしていたらしい。
「さて、立ち話もなんだからね。早速中へ入ろうか」
「はい」
初のポケモンゼミナール、さてどんな生徒と、どのようなバトルが出来るのか。若干の期待を込めながらソラタは校舎へと足を踏み入れた。
今日、このゼミナールにて必ずフカマルを進化させるという誓いと共に。
次回はソラタのサブポケモン3匹の登場です。
因みに、1匹は皆さんも知ってる筈ですね。少しの間ですが、ソラタの手持ちとして活躍してましたし。