ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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大変お待たせいたしました。


第37話 「ゼミナールの生徒とトレーナーと」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第37話

「ゼミナールの生徒とトレーナーと」

 

 ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは、次のジムがあるグレンタウンに向かって旅をしていた。

 次のジム戦を前に修行をしていたソラタはトーグタウンという町のポケモンセンターに立ち寄った時にキンジョウというポケモンゼミナールの講師を務める男性と出会った。

 キンジョウの勧めで一日だけゼミナールの特別講師を務める事になったソラタは現在、キンジョウと共にトーグタウンのポケモンゼミナールへと足を踏み入れている。

 

「我がポケモンゼミナール・トーグタウン校は先ほどお話しました通り以前はポケモンバトルの研究をしていた会社が母体となっており、今でもその研究は継続されて行われ、その研究で培った成果を授業を通して生徒達に学ばせております」

 

 例えばと言ってキンジョウが指さした先には強化ガラスの窓に仕切られた部屋に何名かの白衣を着た研究員らしき男女と、それから4匹のガーディが居た。

 

「あれは?」

「あれは同じポケモンでも得意な技が分かれるパターンがあるという検証です。今やっているのは“かえんほうしゃ”が得意なガーディと“かえんぐるま”が得意なガーディの違いを検証している所ですね」

 

 つまり物理と特殊のどちらが得意な個体なのかを見て、違いを検証している所という事か。

 ポケモンの育成において、その個体が物理攻撃と特殊攻撃のどちらが得意な個体なのかによって育て方を変えるというのは、今はまだ浸透していない考え方だ。

 この先の時代でそれも一般的になるのだが、今の段階だと検証中という所らしい。

 因みにソラタのリザードンはどちらかと言うと物理寄りの育て方をしているが、特殊攻撃が苦手という訳ではない。

 むしろ状況に合わせてどちらでも十分戦えるよう育成しているので、仮にメガシンカさせるとなった場合はメガリザードンXでもメガリザードンYでも、どっちでも対応可能なのだ。

 

「さて、この上の階が教室になっておりますので、ご案内しますね」

 

 実はポケモンに関する研究には一定の興味関心があるソラタはもし先ほどの研究に自分が参加していたらどうしてたかなどを想像しつつ、キンジョウの後に続いて階段を昇る。

 すると、2階は1階と違い研究フロアではなく教室フロアとなっているらしく、学校の廊下のような光景が広がっていた。

 

「こちらが下級クラスの教室になっておりまして、更に上に行くと中級クラス、上級クラスとなりますので、我々が向かうのは4階の上級クラスですね」

「へぇ……」

 

 一瞬、エレベーターは無いのかと思ったが、そこは旅慣れしているソラタ、4階まで階段で昇った所で疲れるという事は無い。

 キンジョウと共に4階まで昇ると2階と変わらない風景が広がっており、しかし感じられる空気は微妙に違う。

 

「こちらです」

 

 

 案内されたのは上級クラスの中でも選りすぐりのエリートを集めたクラスとの事で、キンジョウ達教師の中では次のポケモンリーグでも優秀な成績が残せるであろう生徒達だと太鼓判を推す程なのだとか。

 

「では先に私が入ってソラタさんの事をお話しますので、私が呼んだら入ってきてください」

 

 そう言ってキンジョウが教室に入るのを見送ったソラタは手持無沙汰になり廊下を見渡した。

 前世の学生時代を彷彿とさせる廊下は、何処か懐かしさを感じさせて、もう何十年前の記憶であるというのに、鮮明に当時の記憶が蘇ってくるようだ。

 

「あ……イカン、嫌な記憶まで思い出した」

 

 一瞬、前世の学生時代に経験した苦い失恋の記憶も思い出して顔を顰めたソラタは記憶を振り払って、今では何の意味も無い記憶だと気持ちを切り替えた。

 

「ソラタさん、どうぞ入って下さい」

 

 そうこうしている内に、キンジョウが扉を開けてソラタを呼んだので、ソラタはキンジョウの後ろに続く形で歩いて教室内に入った。

 教室内の生徒の数は15人程、内訳として男子8人の女子7人、この15名がゼミナールの誇るエリート達なのだろう。

 

「さて諸君、彼がソラタさんだ。現役のトレーナーであり、ポケモンリーグ出場を目指して旅をしている。ポケモンジムにもチャレンジしていて、ジムバッジを既に6つも所持している凄腕トレーナーだ」

 

 何やら大袈裟な紹介のされ方をしてしまい、少し照れてしまうも、キンジョウが自己紹介をと言ってきたので、表情には出さず胡散臭げにこちらを見る生徒達全員の顔を見渡す。

 

「マサラタウンのソラタだ。今日はキンジョウさんから君たちのバトルの授業で特別講師をして欲しいという話だったので一日限定だけど引き受けた。今度のポケモンリーグに君たちが出場するならばライバルになるかもしれないけど、だからと言って手を抜いた授業をするつもりは無い、よろしく頼む」

 

 手抜きをするつもりは無い、それは本当だ。実はこの講師を引き受ける報酬としてゼミが育成しているポケモンを1匹だけ貰える事になっているからだ。

 ベストパーティーは揃っているものの、サブパーティーの構成を考えていたソラタには渡りに船、丁度良い機会だった。

 

「キンジョウ先生、僕たちのカリキュラム的に、既に僕たちはバッジ7個相当の実力があるんですが、未だ6個のトレーナーなんかが講師なんて勤まるんですか?」

 

 生徒の一人、眼鏡を掛けた黒髪の少年がキンジョウにそんな質問をぶつける。見るからにガリ勉の文系少年というイメージの少年だが、このクラスにいる以上はそれなりの実力なのだろう。

 そして、彼の意見はクラスの全員が同意なのか、一人残らず頷いていた。

 

「安心したまえケンイチ君、彼はジムバッジこそ6個だが数々のトレーナーとバトルをしてきたトレーナー、つまり実戦経験では君たちを上回る」

 

 それを聞いて少年、ケンイチは面白いと言わんばかりに口元を歪め、品定めするかのような視線をソラタに投げかけた。

 

「良いでしょう。でしたら早速授業で見せて頂きますよ、講師様の実力とやらを」

 

 こうして、ソラタはクラスの生徒全員とポケモンバトルをする事となった。授業は校庭にあるバトルフィールドで行われる事になり、生徒達とソラタ、それから審判役をやるという事でキンジョウは校庭に出て来た。

 

「キンジョウさん、順番はキンジョウさんが決めて下さい。こちらは誰でも構いませんので」

「そうですか? では、最初のバトルはヒメカ! フィールドに入りなさい」

 

 ヒメカと呼ばれた茶髪セミロングの女子生徒がフィールドに入った。そして、ソラタも対面に入りオーキド博士の所から送って貰ったポケモンが入ったボールを構える。

 

「ソラタ先生がどの程度なのか、わたしが確かめます……行きなさいカイロス!」

「まぁ、無様なバトルはしないよ……行けニドリーナ!」

 

 ヒメカが出したポケモンは“くわがたポケモン”のカイロス、ソラタが出したのは“どくばりポケモン”のニドリーナ、旅に出た初期の頃にゲットしたニドラン♀が進化したポケモンであり、時々レベル上げしていたポケモンなのだ。

 

「では、カイロス対ニドリーナ、バトル開始!」

「先手必勝です! カイロス! “ハサミギロチン”!」

「回避して“みずのはどう”!」

 

 カイロスの“ハサミギロチン”をニドリーナが回避、そして避けながら口から水を勢い良く放つと、まるで水が衝撃波のような勢いでカイロスに直撃、大きく後退させた。

 

「カイロス!?」

「初手で“ハサミギロチン”は悪手だな。確かに一撃必殺だからこそ、当たれば初手で相手を戦闘不能に出来るが、狙いが判りやすいから簡単に避けられる」

「くっ! カイロス、“あなをほる”です!」

「カイッ!」

 

 すると、カイロスが頭のハサミを器用に使って穴を掘ると地中へと潜っていった。成程、ニドリーナ相手に地面タイプの技は有効だ。

 それに、ニドリーナは進化系のニドクインと違って“じしん”を覚えない。“あなをほる”で地中にいる相手に攻撃する手段が無い。

 

「普通は、そう思うだろうけど、セオリー通りにいかないのがポケモンバトルだ。ニドリーナ、地面に向けて“アイアンテール”!!」

「ええ!?」

 

 ソラタの指示通り、ニドリーナは鋼鉄のエネルギーを纏った尻尾をフィールドの地面に叩き付けると、地面が罅割れて隆起、地中にいたカイロスもそれに巻き込まれてしまう。

 

「うそ、そんな戦い方、教科書には……」

「まぁ、これは俺が編み出した戦法じゃないんだけどね。でも、教科書通りに進むバトルなんて存在しない。ニドリーナ、“かげぶんしん”」

「ニィド!」

 

 ニドリーナが分身してカイロスを取り囲んだ。カイロスも自身の周りにい現れた無数のニドリーナの姿に困惑しているのか、トレーナーであるヒメカの方へ目を向ける。

 

「“はかいこうせん”で薙ぎ払って!」

「カイロ! カーイーローーー!!!」

 

 カイロスがその場で回転しながら“はかいこうせん”を放った。それによりカイロスを取り囲んでいたニドリーナの“かげぶんしん”は掻き消され、ニドリーナ本体も直撃を受けてしまった。

 

「やった!」

「判断としては悪くないけど、選択する技が悪かったな」

「うそ……」

 

 “はかいこうせん”の一撃を受けてダメージこそあるものの、未だ健在のニドリーナの姿を見て、ヒメカは驚愕していた。

 カントー及びジョウトのチャンピオンであるワタルも愛用する技として有名な“はかいこうせん”この技にはヒメカも絶対の自信があったのだろうが、使用するポケモンが悪かった。

 

「“はかいこうせん”は確かに強力な技だが、それを使うカイロス自身は特攻が高いポケモンじゃない。“かげぶんしん”を掻き消してニドリーナにダメージを与えるのなら“りんしょう”や“きあいだま”にするべきだった。“はかいこうせん”では相手を倒しきれなければ大きな隙が出来てしまう」

 

 そう、その通りカイロスは“はかいこうせん”を撃った反動で身動きが取れなくなってしまった。

 その隙をソラタが見逃す筈も無く……。

 

「“つばめがえし”」

「ニドッ!」

 

 効果抜群の“つばめがえし”を受けたカイロスはその場に沈んでしまった。

 

「それまで!!」

 

 キンジョウの合図でバトル終了、ニドリーナをモンスターボールに戻したソラタはカイロスをボールに戻したヒメカの所へ歩み寄った。

 

「“ハサミギロチン”“あなをほる”“はかいこうせん”、これが今回カイロスが使った技だけど、あと一つは何を使うつもりだった?」

「え、えっと……“シザークロス”を」

「見事に攻撃一辺倒だな……攻撃技を回避に使ったりできるから悪いとは言わないし、実際“あなをほる”は悪い手ではないけど、例えば“つるぎのまい”とか“まもる”とか補助技も選択に入れておくべきだね。カイロスは攻撃値の高いポケモンだから“はかいこうせん”よりは“ギガインパクト”の方が良い。“ハサミギロチン”は……正直、状況次第だからあまりオススメはしないかな」

 

 カイロス自体は決して弱いポケモンではない。これからの育て方次第ではヒメカの良きパートナーとなるだろう。

 そこまででヒメカへの指導は終わり、次の生徒がフィールドに入って来た。

 

「さて、じゃあ頼むぞピジョン」

 

 こうして、ソラタはニドリーナ、ピジョン、更にヒトデマンといったオーキド博士から送って貰ったポケモンを駆使してバトルの授業を進めていくのだった。




次回もゼミナール生とのバトル回です。
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