ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第40話
「神速のバトル」
ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは7つ目のジムであるグレンジムに挑戦していた。
ジムリーダー・カツラの繰り出す炎タイプのポケモンによるパワーと巧みな戦術により、初戦のキュウコンとのバトルにガバイトは苦戦するものの辛うじて撃破。
続くカツラの2番手は、でんせつポケモンのウインディ。炎タイプのポケモンでも最速を誇るスピードが自慢の手強い相手だ。
「ガバイト! “ストーンエッジ”!!」
「ウインディ! “しんそく”!」
ガバイトの“ストーンエッジ”はウインディの“しんそく”によって回避され、そのまま高速で走るウインディがガバイトの後ろへ回り込んだ。
「“フレアドライブ”!!」
「バォオオン!!」
そのまま背後から全身に炎を纏って突撃してきたウインディは、ガバイトの背中に向かって突進、それに気付いたガバイトが振り向き様に直撃してしまい、大きく吹き飛ばされた。
「そのままで良い! “スケイルショット”!!」
「もう一度“フレアドライブ”、“しんそく”で突っ込め」
今度は“しんそく”を使いながらの“フレアドライブ”によって“スケイルショットは全て回避され再び“フレアドライブ”がガバイトに直撃してしまう。
だが、ガバイトも唯ではやられない、何故なら吹き飛ばされた勢いを利用してバク転しながら足に力を込めて筋肉を膨れ上がらせているのだから。
「“じしん”!!」
ガバイトは着地と同時に足を地面に思いっきり叩き付ける事で“じしん”の衝撃波を発生させる。
衝撃波はフィールドの全方向に広がり、ウインディも回避する間も無く直撃を受けてしまった。
「ほう、ガバイトが自らの判断で“じしん”の用意をしていたか、トレーナーとポケモンの息が合わなければ出来ない芸当だな」
感心しながらカツラはウインディに目を向ける。
2回の“フレアドライブ”による反動ダメージに加え“じしん”の直撃を受けたダメージは大きいが、まだ十分戦えると判断したカツラはガバイトも体力が残り少ないだろうと、トドメの一撃を指示した。
「もう一度“しんそく”で走れ!」
「バォン!」
ウインディが再び走り出した。3度目の“フレアドライブ”かと警戒し、その前に“じしん”を指示しようとしたソラタは、その所為で対応が遅れてしまった。
「ウインディ! 走りながら“りゅうのはどう”!!」
「っ! “フレアドライブ”じゃない!? ガバイト! 回避だ!!」
しかし遅い。ウインディは“しんそく”でガバイトとの距離を大きく詰めており、近距離からの“りゅうのはどう”はガバイトに回避を許さず直撃させた。
「ガ、バァ……」
効果抜群の“りゅうのはどう”を受けたガバイトは、そのままその場で倒れてしまい、目を回してしまう。
「ガバイト、戦闘不能! ウインディの勝ち!」
「……戻れガバイト、良く頑張った」
ガバイトをモンスターボールに戻したソラタは、ウインディの強さに改めてグレンジム攻略の難しさを感じつつ、次のポケモンが入ったプレミアボールを取り出した。
「頼むぞ、ギャラドス!!」
「ギュオアアア!!!」
ソラタの2番手は水タイプのギャラドス、セオリー通りならガバイト同様に炎タイプに相性の良いポケモンだが、安心は出来ない。
ウインディはまだ技を一つ残しており、そしてウインディはギャラドスにとって弱点のタイプの技を覚える事が出来るポケモンなのだから。
「ギャラドスか、良いポケモンだ。それに良く育てられている」
「ありがとうございます。ニビシティで出会ってからずっと、旅をしてきた自慢のポケモンですよ」
「うむ、良かろう」
「では、ウインディ対ギャラドス……バトル開始!」
バトルが開始して直ぐにソラタは思考を巡らせた。ウインディの素早さは知っての通り、そこに“しんそく”が加わる事で最早攻撃を当てるのも“じしん”のような全方位の攻撃でもなければ一苦労な程だ。
その時点で“ハイドロポンプ”で攻めるのは無し。元々の命中率が低い技を素早く動く相手に当てられる可能性は低いのだから。
なら、危険ではあるが接近戦に持ち込む以外に対応策は無い。
「来ないのなら、こちらから行くぞ? ウインディ! “しんそく”!!」
「ギャラドス! ウインディを引き付けろ! “アクアテール”だ!!」
ウインディが再び“しんそく”で走り出し、ギャラドスに迫る。対するソラタとギャラドスはウインディを十分に引き付けつつ、“アクアテール”の用意、だがカツラも黙ってそれを見ているようなトレーナーではない。
「受けて立とう、“フレアドライブ”だ」
走りながらウインディが炎を纏った。そのまま突っ込んできたウインディに、ギャラドスは水を纏った尾を叩き付けると、水が炎で蒸発したのか白い煙が立ち込める。
「ウインディ! “りゅうのはどう”!!」
「ギャラドス! “ぼうふう”!!」
水蒸気による白い煙の中、ウインディとギャラドスが同時に動いた。ギャラドスの“ぼうふう”によって煙が晴れ、同時にウインディの“りゅうのはどう”も暴風の壁で掻き消す。
「範囲技、行くぞ! “だくりゅう”!!」
ギャラドスが口から大量の水を地面に向けて吐き出すと、それが濁流となって広い範囲に広がりながらウインディに迫った。
これには流石のウインディも回避が出来なかったのか濁流に飲み込まれてしまうも、カツラの戦術は、まだまだ上手だ。
「“フレアドライブ”!」
濁流の中、ウインディが全身に炎を纏う事で周囲の水を蒸発させて脱出した。とは言え、体力も残り僅かなのだろう、大きく荒い息を吐いているのを見て今が攻め時だと判断した。
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「ギャラドス! もう一度“だくりゅう”!!」
「“しんそく”で走りながら跳ぶのだ!」
再び濁流がウインディに襲い掛かるが、今度はウインディに直撃する事は無かった。何故ならウインディは“しんそく”の速度で走り、その勢いでジャンプする事で濁流の上を乗り越えて回避したのだから。
それだけではない。ジャンプした先には当然だがギャラドスが居て“だくりゅう”を使った直後の隙が出来ている。
「“かみなりのキバ”!!」
そのままギャラドスの懐へ着地したウインディは雷を纏った牙でギャラドスに噛み付いた。
「ギュアアア!!!」
「ギャラドス!!」
「そのまま出力を上げろ! 更に“かみなりのキバ”!!」
噛み付く強さと、電気の出力が上がった。水と飛行タイプのギャラドスに電気タイプの技は4倍ダメージの効果抜群となってしまう。
このままでは逆転を許してしまう状況に、ソラタは何とかしないとと考えた時、今ウインディがギャラドスに噛み付いて身動きが取れない事に気が付いた。
「ギャラドス!! そのまま“ハイドロポンプ”!!!」
元々、“ハイドロポンプ”はウインディの動きが速いからこそ選択から外していたが、ウインディが“ワイルドボルト”ではなく“かみなりのキバ”を使ってくれたからこそ、チャンスが生まれた。
ギャラドスは全身に流れる電流に苦しみながらも顔を自身の懐にいるウインディに向け、その大きな口から“ハイドロポンプ”を発射する。
「耐えろウインディ! そのまま“かみなりのキバ”!!」
「押し切れギャラドス!! 最大出力で“ハイドロポンプ”!!」
ギャラドスに“かみなりのキバ”で噛み付いたままのウインディと、そのウインディに“ハイドロポンプ”を浴びせ続けるギャラドス、最早根競べのような状況に、ソラタもカツラも、審判のジョーイさんも、そして観客たちも固唾を飲んで勝負の行方に注目した。
「ギャラドス!!」
「ウインディ!!」
やがて、ギャラドスのハイドロポンプが止み、ウインディの牙からも電気が消えた。そして、ズシンッという音と共にギャラドスとウインディ、両者が地面に倒れてしまった。
「ギュオ~」
「バウゥ~」
「ギャラドス、ウインディ、両者共に戦闘不能!!」
相打ち、これでソラタとカツラは互いに残るポケモンは1匹のみとなった。
「戻れギャラドス、良く頑張った……ゆっくり休んでくれ」
ギャラドスをプレミアボールに戻したソラタは労いの言葉を投げかけてから腰のホルダーに戻すと、最後のポケモンが入ったモンスターボールを取り出した。
見ればカツラも同じようにウインディを戻して次のモンスターボールを取り出している。
「見事だよソラタ君、本当に見事なバトルだった。ガバイトもギャラドスも、トレーナーである君を心から信じ、そして君自身もポケモン達を信じているからこそ、ここまで追い詰められた……だから見せておくれ、君の最後のポケモンとの絆を」
「ええ、見せてあげますよ……俺の、俺達の切り札を」
一瞬の静寂、その次の瞬間ソラタとカツラは同時にモンスターボールを投げた。
「ゆけ、ブーバー!!」
「行け、リザードン!!」
ブーバーとリザードン、両者の切り札にしてエースポケモン。奇しくもカツラとブーバーにとっては、ソラタの前に戦った少年とのバトルを彷彿とさせる組み合わせとなった事に、何とも言えない気持ちが込み上げて来る。
「ブーバー対リザードン、バトル開始!!」
「ブーバー!」
「リザードン!」
「「かえんほうしゃ!!」」
グレンジム最後のバトルは、グレンの名に相応しい紅蓮の炎対決、勝つのはソラタか、カツラか、勝利の女神はどちらに微笑むのか。
次回、グレンジム戦決着!