ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第41話
「紅蓮」
ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは7つ目のジムであるグレンジムに挑戦していた。
ジムリーダー・カツラが操る強力な炎ポケモンとのバトルは一進一退、1番手のキュウコンをガバイトにて倒したものの、2番手のウインディに敗北、その後はギャラドスで勝負を挑むも惜しくも相打ちに終わってしまう。
残すところ、ソラタもカツラも1体ずつ。最後のポケモンであるソラタのリザードンとカツラのブーバーによる紅蓮の戦いが、今まさに始まろうとしていた。
「「“かえんほうしゃ”!」」
リザードンとブーバーの“かえんほうしゃ”がぶつかった。フィールドの中央で爆発し、相殺されたのを見るに威力は互角、ならば素早く次の行動に移るべき場面、ソラタは既に動いていた。
「飛べリザードン! “エアスラッシュ”だ!!」
「グルッ! リザァアア!!」
「ブーバー! “かげぶんしん”だ!」
「ブバ!」
リザードンの“エアスラッシュ”による空気の刃がブーバーに襲い掛かるも、ブーバーも“かげぶんしん”で分身を作る事で回避、更に分身達全部がジャンプする事で空中にいるリザードンの周りをブーバーの分身が取り囲んだ。
「“だいもんじ”!!」
「ブーバアア!!」
分身達が同時に“だいもんじ”を放つ。リザードンも己が尻尾で弾こうとしたが、悉くが偽物で、直後背後の本物が直撃した。
「リザードン!」
「今だブーバー! “かみなりパンチ”!!」
「迎え撃てリザードン! “ドラゴンクロー”!!」
ブーバーが雷を纏った拳で殴りかかってきたのに対し、リザードンもドラゴンのオーラを纏った爪で迎撃、拳と爪が激突して激しく火花を散らした。
「やるなソラタ君、それに君のリザードンも」
「当然、俺のパーティー最強のエースです。絶対の信頼を置いてますから」
「成程、ならば楽しいバトルになりそうだ……ブーバー! “かえんほうしゃ”!!」
ブーバーが至近距離から“かえんほうしゃ”を発射、リザードンは直撃を受けたが、まるでダメージを感じさせないかのように微動だにしない。
やがてブーバーも地面に着地して宙にいるリザードンに鋭い眼光を向け、次の技の態勢に入った。
「ブーバー、もう一度“かげぶんしん”だ」
「ブバ!」
再び、ブーバーが“かげぶんしん”で無数の分身を作り出した。この状況で“ブラストバーン”は悪手だと判断したソラタは、予定していた技とは別の技を選択、リザードンに目を向ける。
リザードンも、ソラタと同じ事を考えていたのだろう。既に彼からも“ブラストバーン”という選択は入っていないらしい。
「“がんせきふうじ”!!」
「何っ!?」
リザードンの周りに無数の岩が現れ、分身しているブーバーの周りに降り注いだ。
その岩は本体に直撃しただけではなく、周りに無数の岩が突き立って“かげぶんしん”をするには邪魔な障害物となり行動を阻害した。
「もう一度“エアスラッシュ”!!」
「“かみなりパンチ”で迎撃だ!!」
再度放たれた空気の刃をブーバーは“かみなりパンチ”で迎撃していくが、残念ながらソラタとリザードンの狙いは違う。
“エアスラッシュ”を迎撃して拳の雷を解いたブーバーを見たソラタとリザードンは、その隙を見逃さなかった。
「今だ! “ドラゴンクロー”!!」
「グルゥアアア!!」
「しまった! ブーバー!!」
一気に急降下してブーバーへ一直線に突撃するリザードンは、その爪をドラゴンのオーラで緑色に輝かせると、気付いて見上げたブーバーにその爪を叩きこんだ。
「ブゥッ!?」
「グルゥッ! リザァアア!!」
一撃、そしてもう一撃を腹に叩き込みブーバーが大きく吹き飛ばされた。
「いけぇ!! “かえんほうしゃ”!!!」
「リザァアアアア!!!」
吹き飛ぶブーバーがリザードンの“かえんほうしゃ”に飲み込まれた。カツラの足元まで吹き飛ばされたブーバーを見下ろすカツラは、己が相棒の様子を見て被っていた金髪のカツラを脱ぐと、ジョーイさんに目を向け頷く。
「ブーバー、戦闘不能! リザードンの勝ち! よって勝者、マサラタウンのソラタ!」
ついに、ブーバーを倒してカツラに勝利した。これでグレンジムを攻略、7つめのジムを制覇した事になる。
「よっしゃあああ!! リザードン! 勝った!!」
「グルゥ!」
ソラタはリザードンに駆け寄り、見事な勝利を納めたエースとハイタッチ、リザードンも笑顔を浮かべて嬉しそうだ。
「見事だったよソラタ君、そして君のポケモン達は。炎タイプのスペシャリストである私以上に熱いバトルを見せて貰った」
ブーバーをモンスターボールに戻したカツラがソラタとリザードンの下に歩み寄ってくる。
そして、カツラは懐から炎の形をしたバッジを取り出してソラタに差し出した。
「受け取りなさい、クリムゾンバッジは君の物だ」
「はい!」
バッジを受け取り観客からの拍手の中、バッジケースに納めると、7つのバッジがキラリと輝いた。
後1つ、残り1つのバッジを手に入れればポケモンリーグへの参加資格を得るのだ。遂にその段階まで来たのだと、7つのバッジを見て強く実感する。
「次はどこのジムに行くのかね?」
「トキワシティに戻ってトキワジムに行くつもりです」
「トキワジムか……」
トキワジムと聞いて、カツラの表情が曇った。何となく理由は判るが、流石にソラタが知っているのは問題だろうと思い、何も知らないフリをして何かあるのかと訪ねてみた。
「トキワジムのジムリーダーの名はサカキと言うのだが、ジムリーダーの会合で何度か会った事もある。あの男は、私の直観だが危険だ。何かと悪い噂もあるのだが、カントー最強のジムリーダーという肩書がある所為か黙殺されている節があるのだ」
ロケット団らしき服装の人物がトキワジムを出入りしているのを見たという噂もあるのだが、あくまで噂に過ぎず決定的な証拠がある訳ではない。
カントー最強のジムリーダーという肩書に嫉妬した誰かが濡れ衣を着せる為に流した噂だという話もあるが、火の無い所に煙は立たないとも言う。
「悪い事は言わない。トキワジムはやめて、別のジムへ行くべきだ」
「……いえ、やはりトキワジムにします」
「ソラタ君……」
「確かに気になる噂ではありますが、カントー最強のジムリーダーなんですよね? なら挑戦する価値がありますし、そんなジムリーダーに勝利してこそポケモンリーグに胸を張って参加出来るってものです」
「……そうか、ならばもう何も言うまい。君の今後を私も応援している、頑張りたまえ」
「ありがとうございます!」
ペンションなぞなぞに戻るカツラを見送ったソラタは、そのままポケモンセンターでポケモン達の回復をした後、旅館に戻る。
勝利した後の夕飯は気分も高揚しているからか、より絶品に感じられ、温泉を堪能し、ふわふわの布団で一夜を明かした後はクチバシティ行きの船に乗ってグレン島を後にした。
クチバシティ行きの船のデッキで、遠ざかるグレン島を眺めるソラタは改めて次に挑戦する予定のトキワジムについて考えていた。
恐らくタイミング的にソラタがトキワシティに到着するのはサトシがグリーンバッジをゲットした後になるだろう。
つまり、ミュウツーが居るか居ないか、絶妙なタイミングになる。もし、まだミュウツーが居るタイミングで到着した場合、必ずジム戦にミュウツーが出てくる事を想定しなければならない。
「ミュウツーか……エスパータイプだからニンフィアで当たるのが最適なんだろうけど……」
他の地面タイプに対してはギャラドスやキレイハナで十分対応可能だ。だが、ミュウツーだけは別だと考えるべきだろう。
あのポケモンは強い。いや、強すぎると言って良い。恐らくソラタのポケモンでまともに戦える可能性があるとしたらニンフィアとリザードンだけだ。
「とは言っても、リザードンの“シャドークロー”とニンフィアの“シャドーボール”くらいしか、有効打が無いのがなぁ」
一応、ギャラドスの“かみくだく”やキレイハナの“まとわりつく”もミュウツーには有効なのだが、正直微妙だ。
悪タイプのポケモンを持っていない事が悔やまれるが、無い物強請りをしても仕方がない。
流石に一度マサラタウンに戻って母からドンカラスを借りるなんて真似をする訳にもいかないのだから、自分の手持ちでどうするかを考えるべきだろう。
「……あれ? そういえばトキワジムって」
ふと、前世のアニメの記憶を思い出した。確か、トキワジムはサトシが挑戦した時に……。
「崩壊してんじゃん」
不味い、下手をしたらジム戦が出来ない可能性が出て来た。
「やべぇ、クチバシティに到着したら急いでトキワシティに向かうか」
ソラタ、ジムバッジ7個をゲットした所で唐突のピンチの可能性が出てきてしまった。それも、ロケット団の所為でという遣る瀬無い原因で。
次回は一気に時間が飛んでトキワシティ到着です。