ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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ついに最後のジム戦です


第42話 「トキワジム! 最後のジム戦」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第42話

「トキワジム! 最後のジム戦」

 

 ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは最後のジムがあるトキワシティにやってきた。

 旅を始めて最初に立ち寄った町でもあるトキワシティは非常に懐かしく感じるものの、その懐かしさを感じている余裕が今のソラタには無い。

 何故ならトキワジムに挑戦出来るかどうかの瀬戸際という状況にあるので、急いでトキワジムのある場所へ向かわなければならないのだから。

 

「確か……この先に」

 

 住宅街を抜け、ポケモンセンターを超えた所、そこにトキワジムがあるのだが、見えて来たのは……ガレキの山と、その撤去作業をしている作業員達の姿だった。

 

「あ、ちゃ~……遅かったかぁ」

 

 規制線を張ってガレキの撤去作業をしている光景は、手遅れだったという何よりの証。トキワジムは、完全に崩壊していた。

 

「どうするかなぁ」

 

 念の為、規制線の近くまで寄ってみるが、やはり撤去作業が始まって然程経っていないのかガレキの山ばかり、これではジム戦どころの話ではなさそうだ。

 

「君! 危ないから下がって!」

 

 すると、作業員らしき人物が現れてソラタに注意してきた。確かに規制線が張ってあったとしても危ない距離だったかと反省して少し距離を取ると、作業員らしき男性はソラタの横に立った。

 

「君はジム戦に来たのかい?」

「ええ、トキワジムが最後のジムだったのですが……この様子だと」

「そうだったのか……実は今、丁度ジムリーダーが作業の様子を確認に来ているんだけど、もし良ければ話を通してみるかい?」

「え? ジムリーダーが?」

 

 なんと、トキワジムのジムリーダー・サカキがガレキの撤去作業の様子見に来ているらしく、作業員はサカキの所へ案内してくれると言う。

 厚意に甘え、作業員の案内に従いついていくと、作業員の休憩用と思しきプレハブ小屋に連れて来られた。

 

「ちょっと待っていてくれ……サカキ様、お客様が来られてます」

「客? 今日は客人など予定に無いが」

「それが、どうやらジム戦に来たらしく……ただこの状況で途方に暮れていたものですから、念のためにと思いまして」

「そうか、わかった」

 

 中から話声が聞こえ、暫くするとオレンジ色のスーツを着た男性が中から出て来た。間違いない、トキワジムのジムリーダーにしてロケット団のボス、サカキだ。

 

「坊やがトキワジムのチャレンジャーかね?」

「あ、えっと……はい」

「そうか、私はトキワジムのジムリーダー・サカキだ。だが見ての通り、ジムは今ガレキの山でね、とてもではないが営業出来る状況ではない」

「そのようですね……あの、何があったんですか?」

「どうやら、私が留守の間にガス漏れがあったらしくてね、何かの拍子に引火して爆発したらしい」

 

 恐らくは表向きの理由だろう。とは言え、ソラタとしてはそれで納得するしかない。

 

「そうですか……困ったな、ニビジムは攻略してるし、他のジムに行くしか無いか」

「だが、ニビジム以外だと一番近いジムは結構な距離がある。手間ではないかな?」

「手間ではありますけど、仕方がないかなって」

「そうか……だが折角チャレンジに来てくれたのに、こちらの都合で追い返すのも忍びない。ジムの練習用屋外フィールドが近くにある、そこで良ければジム戦をしても構わないが?」

 

 なんと、サカキが屋外の練習用フィールドでジム戦をしてくれるという。悪の組織のボスにしては随分と気前が良いとは思うも、ソラタとしては非常に助かる提案だった。

 

「ただ、この後用事があるのでね、使用ポケモンは2体のみ、両者バトル中のポケモンの交代は禁止というルールになるが、良いかな?」

「はい! それで構いません!」

「では着いて来たまえ。君、悪いが審判を頼む」

 

 サカキが案内してくれた作業員に審判を頼んだ。どうやら彼はトキワジムのスタッフらしく、作業服を着ていたのもこの場に合わせてなのだとか。

 そして、サカキに案内されて連れて来られた屋外練習用フィールドでソラタとサカキが向かい合うと、中央には作業服の男性が審判として立った。

 

「それでは、これよりトキワジムのジム戦を開始します! 使用ポケモンは互いに2体、どちらかのポケモンが全て戦闘不能になった時点で試合終了となります。尚、バトル中のポケモンの交代は両者共に認められません!」

「では、私の初手はコイツだ。ゆけ、サイドン」

「俺の一番手はコイツだ! 行け、キレイハナ!」

 

 サカキのポケモンはサイドン、対するソラタはキレイハナ、セオリー通りならソラタの有利だが、相手はカントー最強のジムリーダー、相性で有利だからと油断して良い相手ではない。

 

「それではサイドン対キレイハナ、バトル開始!」

「サイドン、“ドリルライナー”」

「“ちょうのまい”でかわせ!」

 

 サイドンが角を回転させながら突撃してきたのに対し、キレイハナは舞いながら華麗に回避、更に自身の特攻と特防、スピードを上昇させる。

 サイドンは極端に特防が低いポケモン、馬鹿正直にガチンコ勝負をする方が間違いなのだ。だからこちらは遠距離からの特殊攻撃で攻めるのが一番良い。

 

「“リーフストーム”!!」

「ハナッ! ハナァアア!!」

「“ストーンエッジ”」

 

 キレイハナの“リーフストーム”はサイドンに直撃する前に“ストーンエッジ”によって防がれてしまい、サイドンには届かない。

 ならばと、キレイハナに目を向けると、こちらを向いていたキレイハナも頷いてその場で一回転、するとキレイハナを中心に大量の花びらが宙を舞った。

 

「“はなびらのまい”!」

「ほう?」

 

 全方位からサイドンに襲い掛かる花びらは、流石に“ストーンエッジ”では防ぐ事が出来ず、まともにサイドンに直撃した。

 

「やるな、坊や……ならばサイドン、“ロックブラスト”だ」

 

 サイドンの周囲に岩が無数に浮かび、弾丸の様にキレイハナ目掛けて飛来した。だが身体の小さいキレイハナは舞うように動き回って岩を全て回避してみせたのだが、それに気を取られてサイドンが接近しているのに気付かなかった。

 

「しまった!」

「“メガホーン”」

 

 虫タイプの中でも最強クラスの一撃がキレイハナに直撃、大ダメージを負ったキレイハナが吹き飛ばされる中、まだキレイハナは諦めていない。

 吹き飛びながらも態勢を整え、頭の花をサイドンに向けたのを見て、ソラタもキレイハナの意図を察した。

 

「“リーフストーム”!!」

 

 “メガホーン”を使用した直後の隙を狙い、“リーフストーム”が今度こそサイドンに命中、“はなびらのまい”と合わせて強力な草タイプの大技には耐えられなかったのか、サイドンは目を回してその場に倒れてしまった。

 

「サイドン、戦闘不能! キレイハナの勝ち!!」

「戻れサイドン」

 

 サイドンが倒れたというのに、サカキの表情は涼し気だ。まるでサイドンが倒された事など気にも留めていないかのような態度だった。

 

「では次のポケモンだ。いけ、ガルーラ」

「ガルッ!」

 

 サカキの2番手は地面タイプではなく、ノーマルタイプのガルーラだった。だが、ゲームでサカキがガルーラを持っていたのを知っていたソラタは、この世界でもサカキがガルーラを使う可能性を視野には入れていた。

 

「それでは、ガルーラ対キレイハナ、バトル開始!!」

「今度はこちらから行かせてもらおう。ガルーラ、“ほのおのパンチ”」

 

 ガルーラが炎を纏った拳でキレイハナに襲い掛かった。だが、やはりキレイハナは華麗に回避、舞いを踊るような動きで敵の攻撃を回避する練習の成果が出ているようだ。

 

「キレイハナ! “ドレインパンチ”!!」

 

 格闘タイプの技であり、ガルーラには効果抜群の上、更に先ほどの“メガホーン”で負ったダメージを回復出来る“ドレインパンチ”は良い選択だったと思う。

 事実、真横からの“ドレインパンチ”を受けたガルーラはダメージが大きい様子、ただ残念な事に接近してしまったが故に“ほのおのパンチ”をカウンターのような形で受けてしまった。

 

「キレイハナ! 大丈夫か?」

「~っ! ハナ!」

 

 “ドレインパンチ”で回復した分、“ほのおのパンチ”で削られたようだ。プラマイゼロ、あまりオイシイ状況ではない。

 

「ガルーラ、“きあいだま”」

「“リーフストーム”だ!」

 

 ガルーラが放った“きあいだま”をキレイハナが“リーフストーム”で跳ね返した。まさかの手段に反応が遅れたガルーラは自分が放った“きあいだま”が直撃した上、更にその上から“リーフストーム”まで受けてしまい、ダメージが大きい。

 

「良い威力の“リーフストーム”だ。ならばこれでどうだ? ガルーラ、“ギガインパクト”」

「“ちょうのまい”でかわせ!!」

 

 ノーマルタイプ最強の一撃、“ギガインパクト”は危険だ。“ちょうのまい”で何とか回避したキレイハナはその小さな拳を再び構えて見せる。

 

「“ドレインパンチ”!!」

 

 “ギガインパクト”の反動で動けないガルーラに、今度こそ回復込みで“ドレインパンチ”を叩き込むと、流石に攻撃を受け過ぎたのか、ガルーラはその一撃で地面に沈んだ。

 

「ガルーラ、戦闘不能! キレイハナの勝ち! よって勝者、マサラタウンのソラタ!!」

「え……?」

 

 あまりに呆気ない勝利に、本当に勝ったのかと呆然としてしまった。カントー最強のジムリーダーとのバトルに、期待していたのだが……いや、明らかに手抜きをされているように感じる。

 

「見事だったよ、坊や……申し訳ないが、時間が無い。グリーンバッジを受け取りたまえ」

 

 サカキはキレイハナをボールに戻すソラタに近づくと、懐から取り出したグリーンバッジを手渡して、懐中時計を開く。

 

「もうこんな時間か、すまないが私はこれで失礼するよ」

「あ、はい……」

 

 拍子抜け、そう言っても良いバトルにグリーンバッジをゲットしてリーグ挑戦資格を得たというのに、ソラタは釈然としない思いで一杯になり、素直に喜べなかった。

 とはいえ、これでソラタも無事にバッジ8個をゲットした事になる。一先ずポケモンセンターに寄ってキレイハナの回復を済ませたソラタは釈然としない気持ちのまま、故郷であるマサラタウンへと向けて旅立つのだった。




皆さんも釈然としない気持ちでしょう。
実際、この時のサカキは思いっきり手抜きをしています。
予定があったのは事実、ミュウツーもロケット団の施設に移していたので、あの場にはいなかったから、やる気が無かったのも事実、ソラタとしては最後のジム戦だというのに、肩透かしをくらった形になりましたね。
とはいえ、これでソラタも無事にポケモンリーグ参加資格を得ましたので、次回はマサラタウンに帰り、久しぶりの母登場!
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