ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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お待たせしました。マサラタウン到着です


第43話 「故郷、旅の始まりの地」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第43話

「故郷、旅の始まりの地」

 

 ポケモンリーグに出場する為、旅を続けるソラタは、ついにジムバッジを8個ゲットし、リーグへの出場資格を得た。

 現在、ソラタはトキワシティを後にして故郷であるマサラタウンに向かっている所だ。

 

「マサラタウンも久しぶりだなぁ、母さん元気にしてるかな?」

 

 旅立ちの日の朝、自宅の玄関で見送ってくれた心配性な母アオノを思い出す。母の事だから帰ったらきっと泣いてしまうかもしれないけど、自分を心配してくれているからこその涙だと理解出来るから嬉しい。

 早く母に会いたいと、少しだけ速足になったソラタと、突然自分からモンスターボールから出て来たニンフィアが横に並んで歩き出した。

 

「ニンフィア?」

「フィア!」

「そっか、ニンフィアも母さんに会いたいよな」

「フィイア」

 

 そうだ、ニンフィアにとっても生まれた時からアオノは家族だ。当然早く会いたいに決まっている。

 

「あ、見えて来た! マサラタウンだ!」

 

 やがて、マサラタウンが見えてくると、もう速足ではなく駆けだしたソラタとニンフィア、マサラタウンに入り長閑な田舎風景を楽しむでもなく自分達の家へ一直線に走る。

 そして、ついに懐かしの我が家が見えてくると、庭でガーデニングをしている母、アオノの姿が見えた。

 

「っ! 母さん!!」

「……? ソラタ?」

「母さん!」

「ソラタ!!」

 

 ソラタが駆け寄ると、アオノも手に持っていたスコップを放り投げて駆けだした。久しぶりの親子の再会、ソラタとアオノが抱き合うとアオノは息子の温もりに涙を流す。

 

「ソラタ……おかえり、おかえりなさい」

「うん、ただいま……母さん」

 

 暫く抱き合っていると、ソラタとアオノの足元にニンフィアが来て頭を摺り寄せてきた。

 それに気付いたソラタがニンフィアの頭を撫でると、アオノも目を丸くしてニンフィアを見つめる。

 

「この子は……」

「イーブイだよ。旅の間にニンフィアに進化したんだ」

「まあ……イーブイだったのね」

「フィア!」

 

 アオノにとってもイーブイ……ニンフィアは我が子同然、元気に返事を帰したニンフィアの頭を優しく撫でると、ニンフィアも嬉しそうにアオノの手に頭を擦りつける。

 

「ソラタ、お腹空いたでしょう? 直ぐにご飯を作るから、手を洗って待っていて」

「わかった!」

 

 久しぶりの母の手料理が食べられると聞いて、ソラタとニンフィアは駆け足で家の中に入って洗面所へ一直線、そんな息子とニンフィアの様子にクスッと笑みを零したアオノもそれに続くように家の中に入って行った。

 久しぶりに帰って来た息子の為に、息子の好物を作ってあげようと、冷蔵庫の中身を思い出しながら。

 

 

 洗面所で手を洗ったソラタはニンフィアと共に懐かしのリビングに入ると旅立つ前と何も変わらない我が家の様子に安心感を覚えながらテレビの前で丸くなっているポケモンに気付いた。

 

「シャワーズ! 元気だったか?」

「シャワ? シャワ!!」

 

 テレビの前で丸くなっていたのは母アオノのポケモンであり、ソラタのニンフィアにとっては母親にあたるシャワーズだった。

 シャワーズも懐かしい顔を見て起き上がるとソラタの足に顔を摺り寄せ、そして進化した我が子を見つめると笑顔を向ける。

 

「フィア!」

「シャワ!」

 

 シャワーズとニンフィアが額を擦り合わせているのを見つめながら、ソラタはテレビの前のソファに座ると、背負っていたリュックを足元に下して寛ぎ始めた。

 久しぶりの我が家のソファの感触、空気、窓から見える長閑な景色、何もかもが懐かしく感じて、ようやく帰って来たのだと実感する。

 

「お待たせソラタ、直ぐにご飯作るから待ってて」

「うん」

 

 家に入ってきて手を洗ったアオノがエプロン片手にリビングに入ってきた。そのままダイニイングキッチンに入り、冷蔵庫を開けて材料を取り出すと早速料理を始める。

 

「そういえば、帰って来たって事はバッジは8個以上ゲット出来たの?」

「ああ、ジムバッジ8個、ポケモンリーグへの出場資格を得たよ」

「そう、ならこれからが本番ね」

 

 昔、アオノも同じ様に旅をしてジムバッジを集めてポケモンリーグ・セキエイ大会に出場した事があるからこそ、理解している。

 ソラタにとってこれからが本番であるという事を、チャンピオンになる為にセキエイ大会で優勝する事が第一段階なのだという事を。

 

「任せて、必ず優勝してチャンピオンリーグに進む。そしてその先に待つワタルさんに勝ってチャンピオンになって見せるから」

 

 母は現役時代にセキエイ大会の決勝リーグで当時はまだ一般トレーナーだった現四天王の一人、カンナに敗北してベスト4で終わったと聞く。

 つまり、セキエイ大会で優勝してチャンピオンリーグでも優勝を果たせば嘗て母が敗北したカンナとも戦う事が出来るのだ。

 

「そう言えば、父さんは?」

「お父さんは暫く帰って来れないみたい。2か月後のポケモンリーグに向けてセキエイ高原で缶詰めですって」

 

 ポケモンリーグ本番が迫り、リーグ公認委員会も、ポケモン協会も今が一番忙しい時期だ。

 ポケモン協会役員を務める父もまた、リーグが終わるまではセキエイ高原にある大会本部から離れる事が出来ないらしい。

 

「そうだソラタ、オーキド博士が帰って来たら顔を出して欲しいって言ってたわよ?」

「オーキド博士が? ならご飯食べたら行ってくるよ」

「そうね、博士にもバッジを集めた事を報告すると良いわ」

 

 話をしながらだと時間が経つのも早い。アオノもご飯を作り終えてダイニングのテーブルに並べると少し早い昼食の時間となった。

 呼ばれてダイニングのテーブルに着くと、そこにはソラタの好物である唐揚げやポテトサラダ、オニオンスープまで並んでいるではないか。

 

「うわぁ! 唐揚げだ!」

「ソラタの大好物ですもの、久しぶりに食べたかったでしょ?」

「勿論!」

 

 元々、前世の頃から唐揚げは好きだったが、この世界に転生してからは特にアオノの作る唐揚げが大好物になった。

 早速、唐揚げを一つ箸で取って口に放り込むと、ジューシーな肉汁に肉の旨味と下味となった醤油や生姜、ニンニクの味が口いっぱいに広がる。

 

「~~~~っ!!!」

 

 口に唐揚げの味が残っている内に茶碗に盛られた白米を掻き込むと、オニオンスープで流し込む。

 

「美味い!!」

 

 変わらない母の作る唐揚げの味は絶品で、次々と唐揚げを口に放り込んでは白米を食べつつスープで流し込み、時々ポテトサラダを食べる。

 そんな息子の様子に笑顔を浮かべながらアオノはシャワーズとニンフィアにポケモンフーズを出して自分も椅子に座った。

 

「ねえソラタ、旅の話を聞かせて?」

 

 ソラタがどんな旅をしてきたのか、どんな出会いがあり、どんなバトルをしてきたのか、アオノはそれが聞きたいらしい。

 ソラタもオーキド研究所でヒトカゲを貰った所から記憶を遡り、アオノに旅の事を話し始めた。

 母の作った食事を楽しみながら、ソラタが旅の様子を語り、母が楽しそうに、時には驚きながら話を聞く、その日の昼食は実に楽しい時間となるのだった。

 

 

 昼食を終え、母が食器を洗っている間にソラタはニンフィアをモンスターボールに戻して出掛ける準備をしていた。

 オーキド博士が顔を見せて欲しいという話を聞いたので、早速オーキド研究所へ向かうのだ。

 

「じゃあ母さん、ちょっとオーキド研究所に行ってくる」

「ええ、オーキド博士によろしくね」

「わかった」

 

 玄関で靴を履き、扉を開いて外に出るとオーキド研究所へ向かって歩き出した。

 家からオーキド研究所に向かうのは、旅立ちの日の朝以来なので、随分と昔の事のように感じて、空を飛んでいるポッポや道端を走るコラッタの様子に懐かしさを感じながら、マサラタウンの静かな道のりを歩く。

 

「ここから始まったんだよな」

 

 旅の始まりは、まさにこの道から始まった。

 家を出てオーキド研究所に初心者用ポケモンを貰いに行く。それがソラタの旅の始まりだったのだ。

 

「見えて来た」

 

 暫く歩いていると、オーキド研究所が見えてきた。もしかしたらサトシやシゲルがいるかもしれないと思いながら、少しだけ駆け足になった。

 幼馴染との再会、特にシゲルとは本当に久しぶりに会う事になるかもしれないと、楽しみにしつつソラタはオーキド研究所へ続く石段を昇り始めるのだった。




次回はオーキド研究所でサトシとシゲルとの再会です。
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