ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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第45話 「オーキド研究所」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第45話

「オーキド研究所」

 

 ポケモンリーグに出場する為、旅をしていたソラタは8つのジムを制覇してポケモンリーグ出場資格を得た。

 現在は故郷であるマサラタウンに帰ってきて、オーキド研究所で懐かしい幼馴染達と再会、2ヶ月後のリーグ開催について話をした後、オーキド研究所で預かっているポケモン達を見る事となった。

 そして研究所を案内されたソラタ達がまず訪れたのは沢山のモンスターボールが並べられたフロアだ。

 

「どうじゃ! マサラタウン出身のトレーナー達から送られてきたモンスターボールじゃ」

「すっげぇ! これ全部みんなから送られてきた奴なんだ!」

「サトシから送られてきたのはこの棚じゃな」

 

 そう言って博士が向かったのはサトシの似顔絵が貼られた棚だった。そこにはモンスターボールが2個とサファリボールが30個、意外とあってソラタも驚いた。

 

「意外にあるじゃない!」

「しかし、殆どがサファリゾーンでゲットしたケンタロスじゃわい」

「え……30個のサファリボール全部ケンタロスなのか?」

「えっと、まぁ」

 

 勿体ない。ソラタはサファリゾーンでゲット出来るポケモンに興味が無かったので行かなかったが、それでもサファリゾーンは珍しいポケモンもゲット出来る場所、そこに行ってケンタロスだけしかゲットしていないというのは、何というか……。

 

「シゲルの分はざっと200体を超えて、ソラタはおよそ80体くらいじゃったかな?」

「でしょうね」

「それくらいだった、かな」

 

 途中からゲットするより育てるのをメインにするようになってからは数えて無いけど、大体それくらいだった気がする。

 

「200体に80体……」

「カントーで確認されてるポケモンが150種くらいだったから、同じポケモンが何体かいるのね?」

「一度きりのゲットじゃ満足出来ないのさ、次に出会う奴の方がもっと強いかもしれないだろ?」

 

 つまり、シゲルは逃がしはしないものの、厳選をしていたらしい。

 

「へ~んだ! そんなのポケモンの事ちっとも判ってないよ!」

「何ぃ!?」

「俺とポケモン達は仲間なんだ、数なんて関係ないね」

「数では勝てない負け惜しみだろ? それに、ソラタはサトシと同じタイプみたいだけど、そのソラタにもサ~トシ君は負けてるんだから」

「何だと!?」

「はいはい、そこまで」

 

 すぐ喧嘩を始める二人に呆れつつ、ソラタが間に入った。昔からこの二人が喧嘩をする

度に間に入るのはソラタの役目だった。

 

「うむうむ、シゲルとサトシ、二人の考え方はどちらも間違ってはおらんぞ?」

「「え?」」

「同じポケモンを複数ゲットして強さの違いを知ろうとするシゲルと、一度ゲットしたポケモンを信じて育てるサトシ、どちらもポケモンを理解しようとしておる」

「「理解……?」」

 

 オーキド博士はその場で跪いてサトシの足元にいるピカチュウの頭を撫で始めた。

 

「ポケモンは誠に神秘的な生き物じゃ。進化、特殊能力、生き物を超えた存在とも言える。我々はそんなポケモン達の謎を解き明かし、仲良く付き合っていかねばならん」

 

 人とポケモンの共存、その為のポケモンへの理解、それがオーキド博士の生涯の研究テーマなのだ。

 

「その為に皆から送られてきたポケモンを預かってるんですね?」

「左様、皆から送られてきたポケモン全てが、ワシにとって大切な研究対象なのじゃよ」

 

 そう、だからオーキド博士の一日は送られてきたポケモン達の健康チェックから始まり、広い庭に解き放ったポケモン達の餌やりを終える頃には午前が終わる。

 午後からはテーマを決めて研究の時間、今はポケモンの個体差を研究している所で、他にも他の地方の博士との共同研究などもあり、ハードな一日を送っているらしい。

 

「とまぁ、ワシの研究ライフはそんな感じじゃな」

「なんか、動物園の飼育員みたい」

「確かにのう、じゃが餌やりにポケモンとのコミュニケーション、これらも全て研究の上で欠かせない大事なプロセスなんじゃよ」

 

 庭に出ながらそんな話をしていると、シゲルの姿を見つけたふたごどりポケモンのドードーが近寄って来た。

 

「ドー!」

「やあマイスイート、元気にしてたかい?」

「ドードー!」

「あ、それシゲルのドードー?」

「ああ」

 

 しかし、本当に広い庭だ。その広い庭の至る所にポケモン達が自然の姿で生活しており、のびのびとした環境で暮らしているのが判る。

 

「ん?」

「ピジョー!」

「ああピジョン! 元気だったか?」

「ピジョ!」

 

 ふと空からポケモンが降りてきてソラタの肩に乗った。見ればソラタのピジョンで、嬉しそうに顔をソラタの顔に摺り寄せて来る。

 

「あ! ピジョン! ソラタも持ってたんだ!」

「まぁね、この前少しだけ手持ちに入れてバトルに出したんだけど、それ以来だな」

 

 頭を撫でてやると満足したのか再び飛び立って空に居たポッポやオニスズメなどと並んで飛んで行った。

 

「この庭はの、ポケモン達が自然に生活出来るようにしておるんじゃ。なるべくゲットする前と同じ環境を整えてやることでポケモンの個体差が判りやすくなるのじゃよ」

 

 確かに池を見れば2匹のニョロモが泳いでいて、泳ぐ速度に違いがあるのが判った。これが博士の言う個体差という奴なのだろう。

 

「それで最近、面白い事が判ったんじゃ」

「面白い事?」

「うむ、ゲットされたポケモンは、ゲットした人間に似て来るって事じゃ」

「え……あ、そうか! カスミとコダック!」

「? ……全然似て無い!!」

 

 流石に失礼だろとソラタがサトシの頭を叩くと、サトシもニシシッと笑いながら頭を抑えた。

 

「ただそれもシゲルみたいに小まめにポケモンを入れ替えておればの話じゃ。サトシやソラタのようにいつも同じポケモンを使って居ると放っとかれたクラブやベトベトンなど、ワシに懐いてくる始末じゃ」

 

 言うが早いか、どこからともなく現れたベトベトンがオーキド博士を笑顔で押し倒した。

 

「ベトベト~!」

「だ、だから! そうくっつくでない!!」

 

 ベトベトンから嫌な臭いがしないという事は、随分とオーキド博士に懐いている証拠だ。でもこのベトベトン、博士の言葉を聞く限り……。

 

「コイツ、サトシの?」

「ああ」

「と、とまぁポケモンの個体差も進化するという訳じゃn」

 

 言葉の途中でオーキド博士の全身がベトベトンの下敷きになった。

 

「とりあえず、救出するか」

「だな」

「だね」

 

 その後、サトシ、シゲル、ソラタの幼馴染トリオでオーキド博士を救出、サトシはベトベトンの頭を撫でてから立ち去るベトベトンに手を振った。

 

「あ! 見てみてあの池! すっごぉい! 水ポケモンが一杯!!」

 

 オーキド博士を救出している間に、カスミが近くの池を発見、見ればそこには沢山の水ポケモンが泳いでおり、水ポケモン大好きなカスミは目を輝かせている。

 

「博士! もしかしてこの庭、ポケモンが全部いるとか?」

「それはちと無理じゃな。ここに居るのはカントーに生息しておるポケモンと、僅かにジョウトに生息しておるポケモンが精々じゃ。第一、我々はまだ全てのポケモンを知っているとは言えん」

 

 カントーに生息するポケモンは現在150種、他の地方にしか生息していないポケモンを含めると、その数は1000種近くになるとも言われている。

 

「ポケモン達の中には、まだその生態系や分布が判らんもの達もおる。彼らとの出会いや研究に終わりは無いじゃろう」

「俺、頑張るぜ! 世界中のポケモンと仲間になる!」

「僕もだ! 新しいポケモンをばんばんゲットする!」

 

 サトシとシゲルはまだ見ぬポケモンを更に仲間にするとオーキド博士に誓うが、残念ながらソラタはそこまでポケモンのゲットに拘りは無いし興味も無い。

 ソラタの目標はあくまでチャンピオンになる事、その為に必要なポケモンはゲットするが、全てのポケモンをゲットしたいとは思ってなかった。

 

「どうだ? サトシ、ソラタ、これからポケモンバトルをしないか? ポケモンリーグ前のちょっとした腕試しだ!」

「ああ良いとも! 受けてやるぜ!」

「そうだな、俺もやろう!」

 

 腕試しなら是非とも、ソラタもサトシも、シゲルも、幼馴染トリオはいつになく燃えている。

 だが、いざバトルを、と思った時だった。庭の一角で爆音が響き、見れば煙が立ち上っているのが見えた。

 

「むぅ? あの辺りは電気系ポケモンのエリアじゃ!」

「行ってみよう!」

 

 電気系ポケモンのエリアで爆発という事は、可能性としてビリリダマやマルマインが自爆したという事が考えられる。

 爆発に巻き込まれてケガをしたポケモンが居たら大変だと、全員で急いで爆発のあった辺りに向かうと、案の定大穴が空いており、中に大量のビリリダマとマルマインが転がっていた。

 そして、何故か穴からはロケット団のムサシ、コジロウ、ニャースの姿も。

 

「お前たちはロケット団!」

「ピピッカチュ!」

「また何か企んでるな!?」

 

 サトシの姿を見たムサシ達は穴から素早く抜け出すと、先ほどの爆発に巻き込まれてボロボロだったのが嘘のように身綺麗になった。

 

「ふん、知れた事よ!」

「そっちから来てくれて、ありがとう」

「改めて、そのピカチュウを頂きに来たのニャ!」

「ニャースが喋った!?」

 

 ニャースが人間の言葉を喋った事にシゲルとオーキド博士が驚いた。そういえば、この二人は彼等に会うのは初めてだったか。

 

「すまんが、もう一度喋ってくれんかのう?」

「よぉーし! 耳の穴掃除してよく聞くニャ!」

 

 懐かしいロケット団の口上をソラタは聞き流しながら、ふと柵が目に止まり、その向こうから何かの軍団が走って来るのを見た。

 

「あ~……あれはケンタロスか」

 

 ざっと30匹はいるか、ケンタロスの群れがこちらに向かって走って来るのが見える。それから再びロケット団の方を見れば、口上が終わったのかピカチュウと研究所のポケモン全てを頂くと宣っている所だ。

 

「そうはさせないぜ!」

「僕のポケモンに手を出す気か? 良い度胸だ、勝負しろ!」

 

 ムサシとコジロウがモンスターボールを構え、ニャースも爪を構えて襲い掛かろうとした時だった。

 

「はい、時間切れ」

 

 ソラタのその言葉と共に、ケンタロス達が柵をぶち破ってロケット団に突撃、圧倒的物量に負けて吹き飛ばされてしまった。

 

「「「やなかんじ~!!」」」

「お~……ホントに良く飛ぶなぁ」

 

 あのケンタロスの群れは全部サトシのケンタロスらしい。いつもああやって走り回っているのだとか。

 

「僕はもう帰るよ」

「そうだな、俺も帰るよ」

「え? バトルはしないのかよ?」

「さっきの騒ぎで気が失せた」

「バトルはポケモンリーグまでお預けだ」

「ああ、その時は負けないぜ! シゲルにも、ソラタにも!」

「俺も、負けるつもりは無い」

「フッ、精々トレーニングに励んでくれよ? サ~トシ君」

 

 幼馴染3人、次に会うのはポケモンリーグの会場で。試合で戦う事になれば、絶対に負けないと闘志を燃やしながら別れた。

 ポケモンリーグ開催まで2カ月、長いようで短いこの期間に、どれだけポケモンを育てられるのか、3人の挑戦はこれからが本番だ。




次回は修行回、そこまで長くやるつもりは無いです。
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