ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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お待たせしました。
サイゾウはまだこの時点でセキエイ高原に向かってない設定なので、出会ってません。


第47話 「セキエイ高原へ」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第47話

「セキエイ高原へ」

 

 ポケモンリーグに出場を決めたソラタは、リーグ開催を2週間後に控えてマサラタウンを旅立ち、セキエイ高原に向かう事になった。

 リーグに出場する為のポケモン達の調整も終わり、残念ながら当初の予定だったガバイトの進化こそ叶わなかったものの、全ポケモン気合十分、リーグではベストなフルパフォーマンスを魅せてくれる状態だ。

 

「それじゃあ母さん、行ってくる」

「ええ、お母さんも当日になったら会場に応援に行くからね」

「ホテルの部屋は?」

「お父さんが用意してくれてるから大丈夫。ソラタも選手村で過ごすんでしょ? 暇見て会いに来て」

「わかった」

 

 見送る母と別れてマサラタウンを出発したソラタは一路、セキエイ高原へと向けて出発する。

 セキエイ高原は父の職場がある場所でもあるので、ソラタ自身幼い頃に何度か父に連れられて行った事のある場所だから道に迷う心配は無い。

 

「ついにポケモンリーグか……今から緊張してきた」

 

 緊張しつつも楽しみにしながらソラタは22番道路に入った。このまま進んで23番道路の先にセキエイスタジアムへ続く所謂チャンピオンロードと呼ばれる道があるのだ。

 チャンピオンロードは毎回リーグ開催時には伝説のポケモン・ファイヤーの炎を使った聖火ランニングが行われており、今は聖火ランナーが走る為に道の整備をしている時期の筈だ。

 

「っと、あれは……」

 

 22番道路を暫く歩いていると、道の少し前の方に見覚えのある後ろ姿を発見した。あの艶のある長い黒髪は間違いなくソラタにとって一番のライバル……。

 

「シズホ!」

「……? あ、ソラタさん!」

 

 ジョウト地方ワカバタウン出身の、シズホだった。シズホがこの道を歩いているという事は、彼女もカントーのジムバッジを8個集め終えてリーグに出場を決めたという事なのだろう。

 

「久しぶり、ストンタウン以来だな」

「はい。ソラタさんもお変わりないようで安心しました」

「変わってない事は無いさ……あのバトルの時より強くなった」

「……そうですね、それは私も同じです」

 

 会う度に、お互い強くなっているのが雰囲気で伝わる。ソラタの不敵な笑みに、シズホも静かな笑みを浮かべて返すと、二人を中心に強者であるが故のプレッシャーが放たれ、野生のポケモンはそれだけで逃げ出してしまった。

 

「そういえばシズホはバッジ集めてから今日までどうしてたんだ?」

「集めてからですか? 一度ワカバタウンに帰ってトレーニングをして、少し前からトキワシティに移動してからはポケモンセンターに滞在して調整をしていました」

「あ、一度ワカバタウンに帰ったんだ」

「ええ、グレンジムを攻略した後、最後のジムバッジを手に入れて、そのままヤマブキシティに行ってリニアで」

 

 シズホがバッジケースを開いて見せてくれた。クリムゾンバッジまではソラタと同じ内容だが、最後のバッジだけが違う。

 ソラタはトキワジムのグリーンバッジだが、シズホは別のジムのバッジだ。

 

「ソラタさんも確かマサラタウン出身でしたから、今までずっとマサラタウンに?」

「ああ、1カ月半ずっとトレーニングしてた」

 

 話をしながら歩いていると、時間が経つのも早いもので、ふとソラタは今歩いている場所を見て以前に父から教えて貰った事を思い出した。

 

「確かこの近くだったか」

「何がですか?」

「いやな、将来この近くにセキエイ学園って全寮制の学園を作る計画があるんだって。ポケモントレーナー志望の子供達が通って、初心者用のポケモンも貰える学園にするって計画があるんだよ」

 

 ソラタのヒトカゲやシズホのヒノアラシなどは初心者トレーナーが受け取る場合、今はまだそれぞれの地方のポケモン博士、オーキド博士やウツギ博士から貰う事になっているのだが、将来的にセキエイ学園が出来上がれば学園が博士達の役割を担う計画になっているらしい。

 

「将来的にセキエイ学園ではカントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュ、カロス、アローラ、ガラル、パルデアの各地方の初心者用ポケモンを用意して入学した生徒に配布する。生徒は貰ったポケモンと共に授業で学び、時に旅に出て腕を磨く。そんな学園にしたいって父さんが言ってた」

「では、ソラタさんのお父様がそのセキエイ学園の計画を?」

「計画責任者ではないけど、計画自体には携わってるってさ」

 

 その計画している学園建設予定地の候補が、今ソラタ達が居る場所の近くにあるらしい。

 

「つっても、まだ候補地だから何も無いけどな。木々に覆われているし、建設地に決まれば伐採なんかして整地してってなるけど、まだまだ先の話だ」

 

 因みに学園が出来れば22番道路も整地して道路を拡幅、バスなんかも走れるようにして交通の便を良くしようとしているのだとか。

 今でもそれなりに道は整っており、車も通れるようにはなっているが、流石にバスが通るには狭い道だ。

 

「セキエイ学園ですか……良いですね。将来のポケモントレーナー候補が羨ましくなります」

「俺はあまり良いとは思わないけどなぁ」

「あら、どうして?」

「学園でお行儀良く勉強してってのが気に入らない。ポケモンバトルは机の上で教科書見てれば上達するもんじゃないからな」

 

 断然、旅派のソラタとしてはジュニアスクールまでは許容しても、トレーナー資格を得られる10歳以降も学園やゼミナールで勉強してというのは如何なものかと思ってしまう。

 何より、ポケモンバトルは旅を通してポケモンとの絆を深め、多くのトレーナーや野生のポケモンとの実戦を通してでしか上達しないと考えていた。

 勉強だけでポケモンバトルが上達するなどあり得ないというのが旅を通して結論付けたソラタの持論だ。

 

「そうですね……ですが、ポケモンゼミナールみたいに卒業と同時にポケモンリーグ参加資格を得るなんて事をセキエイ学園が採用しなければ問題無いのではないでしょうか?」

「う~ん、それならまぁ……ギリ許容出来るかもしれないけど、間違いなく10歳と同時に旅に出るトレーナーより出遅れると思うんだよなぁ」

 

 その事は母とも話した事があったのだが、母が言うには学園に通わせる事でトレーナーとしての質やマナーなんかも今より向上する事が期待出来るとの事。

 正直、10歳になって旅に出た今までのトレーナーは全部がとは言わないものの、質やマナーの悪いトレーナーが増えて来ているのも確かで、最近は色々と問題視される事もあるのだ。

 

「マナーの悪いトレーナーですか……確かに時々見かけますね」

「けど、それって個人の性格もあるから学園に通ったからって良くなるものでもないと思うんだよ」

 

 マナーの悪いトレーナーは子供の頃から問題がある者が多い。トレーナーのマナーを学ばなかった者もいるのだろうが、そういったトレーナーもトレーナーになってから学ぶ機会は十分あるのに自ら学ぼうとしなかった者が殆どだ。

 普通は、旅をして多くのトレーナーと出会っていく内に自ずとトレーナーのマナというものを学ぶものなのだが、学ぶ事をしなかった者が大人になってもマナーの悪いトレーナーになるのだ。

 そして、学ぶ事をしないものというのは総じて子供の頃から素行に問題がある事が大半で、そういう者を学園に入れたからといって、しっかり学ぶとは思えない。

 

「結局のところ、その人間の性格とか育ち次第なんだろうな。マナーの良いトレーナーになるのか、悪いトレーナーになるのかなんて、これは学園に入れたからどうこうなるような問題じゃないと俺は思ってる」

「手厳しいですね」

「とは言え、学園で学ぶ事のメリットまで否定するつもりは無いよ」

 

 勿論、ソラタとて学園が出来て、学ぶメリットがあるのも理解している。学園で学ぶという事はポケモンバトルの基礎は勿論、トレーナーとしての基礎、心構え、ポケモンとの接し方、そういったトレーナーとして覚えておかなければならない事を徹底的に学ぶ事が出来るのだ。

 そうして学んだ事を卒業してから旅に出て活かす事が出来るというのは、間違いなくメリットと言える。

 

「ジュニアスクールでもその辺は触り程度だけど教えてくれる。でも、あくまで触り程度だ。学園で徹底的に学んで、それからトレーナーとして独り立ちするのとしないのとでは大きな違いがある」

「そうですね、基礎は大事です。基礎無くして応用はあり得ませんから」

「そういう事……まぁ、時々基礎が不十分なのに何故か応用というか、奇策が得意なトレーナーも居るんだけどな」

 

 ソラタの脳裏に浮かぶの幼馴染の一人の姿だ。彼はトレーナーとしての基礎やポケモンバトルの基礎が不十分な内から割と奇策や応用が出来ていた。

 

「それって、所謂天才って言いません?」

「あ~……間違ってないのかもしれないけど、天才って呼ぶのは憚れるなぁ」

 

 少なくとも、幼馴染としては彼を天才とは呼びたくない。そこはソラタなりのプライドの問題だった。

 

「お、チャンピオンロードだ」

「ここが、聖火ランナーが走るコースですか」

「ああ、ここからスタジアムまで聖火ランナーが走ってファイヤーの炎を届けるのが、ポケモンリーグ開催を告げる一大イベントなんだ」

「楽しみですね……確か、聖火ランナーは当日誰が走っても良いんでしたっけ?」

「お? 走りたいの?」

「いえ……ただ、伝説のポケモン、ファイヤーの炎を間近で見てみたいとは思いますけど」

 

 確かに、その気持ちは判る。ソラタもやはり男として生まれたからには伝説のポケモンにはロマンを感じているタイプだ。

 

「シズホはもし伝説のポケモンに会えるとしたら、何に会ってみたい?」

「……悩みますね。色々と居ますけど、一番会いたいと思うのはやはりスイクンでしょうか」

「流石ジョウト出身、スイクンなぁ……良いよなぁ」

「ソラタさんは?」

「俺はそうだな……イベルタルとかカッコイイよなぁ」

「カロス地方の伝説のポケモンでしたか」

「そうそう」

 

 その後、ソラタとシズホは他に伝説のポケモンなら何に会ってみたいかなどといった話をしながら歩みを進め、ついにセキエイスタジアムのある選手村に到着した。

 この2週間後に、ポケモンリーグ・セキエイ大会が開催され、栄えあるポケモンリーグ優勝の座を賭けて熱いバトルが繰り広げられる事となるのだ。




次回からポケモンリーグ・セキエイ大会編となります。
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