ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第4話
「ニビシティ、最初のジムへ」
ニビシティに到着して直ぐ、ソラタはポケモンセンターに寄ってヒトカゲとイーブイ、ピカチュウ、ピジョン以外のポケモンをオーキド研究所へ預けて、残ったポケモン達を回復させると、ニビシティ内を歩いていた。
ジムに向かってはいるのだが、実は他にも用事があったので、その用事を片付けたいという思いもあったのだ。
「どこだ……?」
暫く探していると、石を並べている露天を発見した。そしてその店主である人物を見て、ソラタは前世の記憶を思い返し、確かに探していた人物であると確認し、露天へ向けて歩き出す。
そこに居た髭顔の男、名をムノーと言い、こうして石売りをしているのだが、その正体は先代のニビジムのジムリーダー、現ジムリーダーであるタケシの父親だ。
「すいません」
「む? 何かな少年」
「見たところ石を売ってるみたいですが……」
「おお、お客さんか……何かお望みの品があるのかい?」
並べられている石は漬物石や綺麗な石ばかりで、品物としては価値を見いだせないが、ニビシティが岩や石で有名な街である以上、可能性に賭けてみたいところだ。
「進化の石って扱ってますか?」
「進化の石か……仕入れれば何とかなる物もあるし、在庫を抱えている物もいくつかはあるぞ?」
「じゃあ、“たいようのいし”って在庫してますか?」
進化の石、特定のポケモンは特別な石を使わなければ進化しない場合がある。ソラタのイーブイやピカチュウも進化の石を使って進化出来るポケモンに数えられるタイプだ。
「“たいようのいし”とはまた、珍しい物を欲しがるね」
「そんなに珍しいですか?」
「カントー出身の者で初心者トレーナーならまず欲しがる者は居ないだろう」
確かに、カントーのポケモンで“たいようのいし”で進化出来るポケモンは殆ど居ない。だから知名度では“たいようのいし”は初心者トレーナーの間では全く無いと言っても良いだろう。
「将来的に捕まえる予定のポケモンに使いたいんですよ」
「なるほど、“たいようのいし”なら丁度仕入れたは良いが全く売れずに残っている物がある、ちょっと待ってなさい」
そう言ってムノーは背後の箱をごそごそすると、太陽のマークのような形の石を取り出して差し出して来た。
「これが“たいようのいし”だ」
「おお……いくらですか?」
「ふむ……1500円でどうだ?」
カントーでは需要が少ない石なので、少々高いような気もしないではないが、手頃と言えば手頃なお値段に即買いだった。
「これからジム戦か?」
「ええ、岩タイプ対策はバッチリしてきましたから、早速」
「ほう?」
対策はバッチリという言葉に、元ジムリーダーとして興味が沸いたのか、面白そうな顔をして店仕舞いを始めるムノーに、ソラタは首を傾げる。
「案内しよう」
ジムまで案内してくれるらしい。特に断る理由も無いので素直に礼を言って付いて行くと、暫くして大きな建物が見えて来た。
「あれが……」
「そう、あれがニビジムだ……マサラタウンから来たトレーナーは、あのジムで最初のジム戦をするのが通例で、新人トレーナーにとって最初の関門、ここで躓けばポケモンリーグ参加など夢の又夢だと思え」
確かにそうだ。マサラタウン出身トレーナーはニビジムに来るまでの間に十分ポケモンを育てる時間があった。その時間を有効に使い、手持ちのポケモンを増やして育てて、ジムに挑むのに十分なレベルまで育ててニビシティまで来るのが普通なのだ。
逆に、ポケモンを育てるのを怠れば最初の関門で簡単に躓いてしまう。最初の関門で躓く者は、例え乗り切れたとしても今後も同じ事を繰り返すだろう。
「少年、覚悟は十分かな?」
「……勿論」
「では、行きたまえ……そして、ジムリーダーという立場の者の実力を、その肌で感じて来ると良い」
それだけ言い残して、ムノーは立ち去った。
残されたソラタはジムの大きな扉を見上げて、それから大きく深呼吸をすると、自身の頬を叩いて気合を入れると、扉へ向かって歩き出す。
流石に人の手で開けるには大きすぎる扉は自動扉になっているらしく、ソラタが近づいたのを感知してゆっくりと、自動で開き始めた。
「たのもー!」
真っ暗なジムの中に入って誰か居ないか呼びかけてみると、直ぐにジムの天井に取り付けられたライトが一斉に点灯して、その眩さに一瞬顔を腕で覆ってしまった。
「よく来たな、チャレンジャー」
目が慣れ、腕を下げてジム内を見てみれば、岩で出来たバトルフィールドと、その向こうにある岩の上に座る一人の青年の姿が。
間違いない。前世のアニメで何度も見た糸目の青年、ニビジムのジムリーダーにしてポケモンブリーダー、そして未来のポケモンドクターとなるタケシだ。
「俺がこのニビジムのジムリーダー、タケシだ」
「お、俺はマサラタウンから来たソラタ! ジム戦に来ました!」
「フッ……だろうな」
タケシはゆっくり立ち上がると、岩を下りてフィールドのトレーナーゾーンに立つ。それに習ってソラタも自分側、つまりチャレンジャー側のトレーナーゾーンに入った。
「ジロウ、審判を頼む」
いつの間に居たのか、審判が立つべきポジションにはタケシによく似た少年が立っており、両手には赤いフラッグが握られている。
「こ、これより、ジムリーダー・タケシとチャレンジャーの試合を始めます! 使用ポケモンは互いに2体! ただし、バトル中のポケモンの交代はチャレンジャーにのみ認められています!」
2体のみの縛り、これはゲームでは無かった仕様だ。やはりアニメ世界のジム戦ルールは厳正な縛りを設けている分、面白い。
「俺の一番手はコイツだ! 行け! イシツブテ!!」
「ラッシャイ!」
タケシが出したポケモンは、がんせきポケモンのイシツブテ。岩タイプのジムらしい、そして初期のポケモン世界らしいチョイスだった。
「イシツブテか……頼むぞヒトカゲ!!」
「カゲカ!」
対してソラタが出したのはヒトカゲ、相性で言えば最悪のチョイスだが、トキワの森での修行成果を存分に発揮するチャンスに、彼のテンションは十分に高まっている。
「いわ・じめんタイプのイシツブテに、ほのおタイプのヒトカゲか……」
「別にタイプ相性を知らない訳じゃないですよ……ただ、コイツはニビジム対策を確り仕込んで来たんで、簡単に負けるつもりは無いです」
「ほほう? それは楽しみだ」
ジムリーダーとチャレンジャー、互いのポケモンが出た事で、審判を務めるジロウ少年はフラッグを上へ掲げ……。
「では、バトル……開始!!」
大きく振り下ろす。
「先手必勝だ! イシツブテ、“たいあたり”!!」
「迎え撃てヒトカゲ! “かえんほうしゃ”!!」
遂に、ソラタの初のジム戦が始まった。
果たして、ポケモンリーグ出場を賭けた最初のジム戦に勝利するのはタケシか、ソラタか。それを決めるバトルは、灼熱の熱さを持ってゴングを鳴らすのだった。
次回は始まりましたジム戦!
初戦のヒトカゲVSイシツブテの戦いの行方は……次回に続く。