ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

53 / 61
5回戦です


第52話 「決勝リーグ開幕」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第52話

「決勝リーグ開幕」

 

 ポケモンリーグ・セキエイ大会もいよいよ後半戦、戦いの舞台はメイン会場であるセキエイスタジアムでの試合へと移り、決勝リーグに勝ち進んだトレーナー達による熱いバトルが繰り広げられている。

 そして、5回戦でソラタの幼馴染、サトシがヒロシという少年にリザードンの戦意喪失という結果で敗北した後、ソラタは観客席でシズホの試合を観戦していた。

 シズホの相手は原作でシゲルを破ったヨシキ選手で、ヨシキ選手は残り1体、シズホは残り2体という状況だ。

 

「ゴローニャ! “ころがる”!!」

「ゴォロォオオ!!」

「エレブー! “かいりき”で受け止めて“アームハンマー”!」

 

 ヨシキ選手のゴローニャが“ころがる”によって転がりながら勢い良くシズホのエレブーに迫るも、エレブーは何と300㎏あるゴローニャを真正面から受け止めて、逆に“アームハンマー”を叩き込んだ。

 物理防御の高いゴローニャも流石に効果抜群の格闘技、それも高威力の“アームハンマー”には耐えられず、目を回してその場に沈んでしまう。

 

「ゴローニャ、戦闘不能! よってこの試合、シズホ選手の勝ち!!」

『やりましたー!! シズホ選手、ゴローニャ相手に相性の悪いエレブーで見事勝利!! 準々決勝進出です!!』

 

 5回戦も見事勝利を納めたシズホは6回戦、準々決勝へ進出。これでソラタの知り合いで現在残っているのはシズホのみになった。

 

「そろそろ行くか」

 

 時間的にそろそろ選手控室に向かわなければいけない時間になったので、席を立ったソラタはフィールドを去るシズホにチラリと視線を向けた後、その場を去った。

 選手控室に入ると、既に5回戦第7試合が始まっており、モニターにその様子が映し出されているのだが、ソラタはそちらに興味を向ける事無く次の対戦相手の情報を端末から呼び出している所だ。

 

「えっと、メグミ選手……1回戦から4回戦までの試合は、可もなく不可もなくって感じの試合だったのかな」

 

 使用ポケモンは判明しているだけでもベロリンガ、シードラ、マルマイン、ゴルバット、モンジャラ、ギャロップ、スピアーやイワークなんかもいる。

 

「こっちはニドクインとピジョットは確定してるけど……後は、ギャラドスかな」

 

 それぞれが入ったモンスターボールとプレミアボールを確認して、腰のホルダーへ戻すと、丁度良い時間になったのかスタッフが呼びに来た。

 返事をして立ち上がったソラタは控室を出ると、スタッフに案内された選手入場口まで来る。

 丁度、第7試合が終わった所なのか、泣きながら戻ってくる少年を見て、ああ負けたんだなと思いながら、自分の試合時間が来たとスタッフの合図と共にフィールドに入場、大歓声に包まれた。

 

『さあ! いよいよ5回戦最後の試合です! 対戦するのは赤サイド、キレイナシティのメグミ選手! 緑サイド、マサラタウンのソラタ選手!』

 

 フィールドの選手ゾーンに立つソラタとメグミ選手、メグミはゲームで言う所のミニスカートのような見た目で、髪型もそのままといった感じだ。

 

『この試合に勝てば準々決勝進出が決まります! さて、試合を制し準々決勝へ駒を進めるのはどちらのトレーナーなのか! 5回戦第8試合開始!!』

「行くわよイワーク!」

「行け、ピジョット!」

『ピジョットとイワーク! 相性はイワークが有利だが、ソラタ選手は相性が良いからと油断出来ないトレーナー、メグミ選手は腕の見せ所です!』

 

 ソラタの1番手はピジョット、メグミはイワークだった。相性で言えばピジョットが不利の盤面、だが実況もソラタが相性の有利だけで勝てるトレーナーではないと、これまでの試合で理解しているらしい。

 

「でも、ポケモンバトルでは相性の優劣は圧倒的なアドバンテージ!! イワーク、“いわなだれ”!!」

「イワァアアア!!」

「回避して“フェザーダンス”!!」

 

 飛来する岩を回避しながら、ピジョットは踊り始めた。その踊りを見ていたイワークはフラフラとしてきて明らかに効果が発揮されているのが見て取れる。

 “フェザーダンス”は相手の物理攻撃力を下げる技、イワークは見た目に反して物理攻撃力が極端に低いポケモンなので、効果は十分過ぎるほどだ。

 

「ならイワーク、“りゅうのいぶき”!!」

 

 メグミもイワークの物理攻撃力が下げられたのを理解して、特殊技に切り替えて来た。ドラゴンタイプの“りゅうのいぶき”は当たれば麻痺する恐れのある技、ここは回避一択だ。

 

「“でんこうせっか”!!」

 

 “りゅうのいぶき”を回避しながら高速でイワークへ接近するピジョットに不味いと思ったのかメグミは直ぐに迎撃指示を出す。

 

「“うちおとす”攻撃よ!」

「甘い! “はがねのつばさ”!!」

 

 岩の弾丸が発射され、ピジョットを撃ち落とそうとしたのだろうが、ピジョットは翼に鋼鉄のエネルギーを纏って迎撃、そのままイワークに突っ込んで“はがねのつばさ”を決めた。

 

「イワーク! ピジョットを捕まえて! “しめつける”!!」

「“でんこうせっか”で回避して、もう一度“はがねのつばさ”だ!」

 

 倒れそうになりながら、イワークが尻尾でピジョットを捕まえようとしたものの、それは“でんこうせっか”で回避され再度“はがねのつばさ”がクリーンヒット、イワークは残念ながら耐えられずに沈んでしまった。

 

「イワーク、戦闘不能!」

 

 先ずは一体、イワークを倒してメグミの残るポケモンは二体だ。彼女の持っているポケモンでピジョットに対抗するとしたら、考えられるのは2体だろう。

 

「行って、マルマイン!」

「マルルルル!!」

 

 予想通り、電気タイプのマルマインで来た。注意しなければならないのは、マルマインの特性が“せいでんき”の可能性、下手に物理攻撃をした場合は麻痺状態になる危険性がある。

 

『メグミ選手の2番手はマルマイン! 下手に触ると爆発する恐れのあるポケモンだ! ピジョットとソラタ選手、どう攻めるのか!!』

「マルマイン! “チャージビーム”!!」

「“でんこうせっか”!!」

 

 マルマインが放った電撃のビームを回避したピジョットは、ソラタの意図を察しているのか旋回しながらマルマインと一定の距離を保つ。

 

「避けてばかりでは勝てないわよ! “ほうでん”!!」

 

 今度は点の攻撃ではなく面での攻撃に切り替えてきた。これは回避するのも容易ではないので、流石にピジョットもアウトかと思われた。

 しかし、そう簡単にやられる程、ソラタは未熟ではないし、生まれて初めてゲットしてから暫く一緒に旅をしていたピジョットも軟ではない。

 

「練習の成果だ! “フェザーダンス”を踊りながら“エアスラッシュ”だ!!」

「な、何をっ!?」

『な、なんとぉおおお!! ピジョット、“フェザーダンス”で踊りながら“エアスラッシュ”を放って“ほうでん”を防御! 更に踊りの激しさからか、凄まじい数の空気の刃が電撃をすり抜けてマルマインに襲い掛かるー!!』

 

 これもまた、一つのカウンターシールドだ。“フェザーダンス”で激しく踊りながら同時に“エアスラッシュ”を全方位に放つ事で相手の攻撃を防御しつつ攻撃する。

 ソラタがピジョットに仕込んだ対電気攻撃用のカウンターシールドは間違いなくマルマイン相手に有効だった。

 

「クッ! こうなったらマルマイン! “でんじふゆう”!!」

 

 すると、メグミの指示でマルマインが電磁力で宙に浮かび、空気の刃が襲ってくるのも構わずピジョットに突っ込んで来た。

 

「っ! “でんこうせっか”で逃げろ!!」

「遅いわ! “だいばくはつ”!!」

 

 まさかの、後が無くなるというのにメグミはマルマインに“だいばくはつ”を指示。恐らくカウンターシールドを破る手段が思い浮かばなかったが故の苦肉の策なのだろう。

 メグミとマルマインの意図を察したソラタも慌てて回避を指示したが、残念ながらマルマインの爆発にピジョットは巻き込まれて爆炎の中に消えた。

 

『マルマインの“だいばくはつ”炸裂!! ピジョットも爆発に巻き込まれてしまったが、無事なのかー!?』

 

 すると、煙の中からピジョットが飛び出してきた。

 その大きな翼を鋼のエネルギーで覆い、全身を包むように閉じている姿を見るに、咄嗟に自分の判断で“はがねのつばさ”を発動し、鋼と化した翼で全身を覆う事で鎧のようにしたのだろう。

 勿論、だからといって全くのノーダメージとはいかず、地面に降り立ったピジョットは肩で息をしている。

 

『ピジョット無事です! 咄嗟に“はがねのつばさ”を鎧代わりにして防御するという機転を利かせて何とか無事でした!』

「マルマイン、戦闘不能!」

 

 マルマインをモンスターボールに戻したメグミは最後のポケモンが入ったボールを取り出して、ピジョットの状態を見た。

 辛うじて“だいばくはつ”を防御したものの、ダメージは甚大、立っているのがやっとという状態なのは明白。

 

「頼むわよ、ベロリンガ!!」

 

 メグミの最後のポケモンはベロリンガだった。ノーマルタイプのポケモンで、格闘タイプの技でなければ弱点を突けない厄介なポケモンだ。

 

「ピジョット、頑張れるか?」

「ピジョ……ピジョッ!」

 

 体力も残り少ないピジョットでは、恐らくベロリンガには勝てないだろう。だが、簡単に負けるつもりは無い。

 少しでも良い状態で後に続くポケモンに託すのが、今のピジョットの役目だ。

 

「ベロリンガ! “まきつく”攻撃!」

「ピジョット! “でんこうせっか”!!」

 

 ベロリンガが舌を伸ばしてピジョットを捕らえようとしたが、残る体力を振り絞って“でんこうせっか”を使ったピジョットは何とか回避して距離を取る。

 

「“フェザーダンス”!!」

 

 ベロリンガの物理攻撃力を大きく下げたピジョットは、踊った事で息が切れたのか力無く地面に落下、その隙にベロリンガの舌が巻き付いて捕らえられてしまった。

 

「“10まんボルト”!!」

「ベェロォオオ!」

「ピジョォオオ!!」

 

 ベロリンガの舌が巻き付いたままの状態で“10まんボルト”が炸裂、逃げる事も出来ないピジョットはそれで戦闘不能になってしまった。

 

「ピジョット、戦闘不能!」

 

 残念ながらダメージを与えられなかったものの、物理攻撃力を大きく下げる働きをしたピジョットを労いながらボールに戻したソラタは、次のポケモンが入ったモンスターボールを投げる。

 

「出番だ、ニドクイン!」

 

 ソラタの2番手はニドクイン、サブメンバーの中ではピジョットに次ぐ実力を持つポケモンで、ソラタもニドクインには一定の信頼があった。

 しかも、ニドクインは地面タイプを持っているので、ベロリンガの技を一つ封じた形になる。

 

「ベロリンガ! “れいとうビーム”!」

「“ストーンエッジ”!!」

 

 やはり弱点を突いてきた。しかも、物理攻撃力が下がっている上に、“どくのとげ”を持つニドクインに対して特殊攻撃の“れいとうビーム”を使ってくる辺り、やはり決勝リーグに出場するトレーナーなだけはある。

 だが、“れいとうビーム”は“ストーンエッジ”によって阻まれ、突き出してきた岩の刃を凍らせるだけに終わった。

 

「ニドクイン! 連続で“ストーンエッジ”!!」

「避けてベロリンガ!」

 

 無数の岩の刃が突き出してベロリンガに襲い掛かった。回避して何とかノーダメージで切り抜けようとしたベロリンガだったが、ふと自分の周囲が岩の刃に囲われている事に気が付く。

 

「ベロリンガ!! “あまごい”!」

「今だ! “きあいだま”!!」

 

 格闘タイプの大技が逃げ場の無いベロリンガに直撃、効果は抜群だった。更にトドメを刺そうと再び“きあいだま”を指示したソラタだったが、メグミも諦めてはいない。今、フィールドにはベロリンガの“あまごい”によって雨が降っているのだから。

 

「ベロリンガ、“れいとうビーム”!!」

「ニドクイン! 避けろ!」

 

 辛うじて“れいとうビーム”を避けたニドクインだったが、ニドクインを含めてフィールド全体は今、雨で濡れているのだ。

 避けられて地面に当たった“れいとうビーム”を中心に地面が凍っていき、全身が濡れていたニドクインもそれに巻き込まれて氷に包まれてしまった。

 

『これは上手い! “あまごい”で濡れていたニドクイン、辛うじて回避した“れいとうビーム”が思いも拠らない所から影響を及ぼし、全身氷漬けになってしまったぁ!!』

「これで、ニドクインも戦闘不能ね」

 

 凍った状態で、戦闘続行不能のまま一定時間が経過すればポケモンリーグの公式ルール上、戦闘不能扱いになる。

 メグミはベロリンガの勝利を確信してか、腰に手を当てて得意気な態度だ。

 

「……そうだな、普通はそう思うだろうけど。悪いが凍ってても戦う手段はある!! ニドクイン! “ねっさのだいち”!!」

 

 すると、ニドクインを覆っていた氷が白い蒸気を発して溶け始めた。同時に周囲の地面が高温に熱されて赤く染まっていく。

 

「! ベロリンガ! もう一度“れいとうビーム”!」

 

 危険を察して再びベロリンガに“れいとうビーム”を指示し、ベロリンガもそれに従って“れいとうビーム”を放ったが、当たった所から蒸発して白い煙と共にビームが掻き消されてしまった。

 

「やれ!!」

 

 ソラタの合図と共に氷が割れて熱された赤い地面が急激に広がった。ベロリンガの足元にもそれは及んであまりの熱さにベロリンガが飛び跳ねる。

 

「決めるぞニドクイン! “きあいだま”!!」

「ベロリンガ、逃げて!」

 

 残念ながら、メグミの指示は熱がっているベロリンガに届く事は無く、“きあいだま

”の直撃を受けたベロリンガは大きく吹き飛ばされ、メグミの足元まで転がると、目を回してしまうのだった。

 

「べ、ベロ~……」

「ベロリンガ、戦闘不能! よってこの試合、ソラタ選手の勝ち!」

『試合終了!! ピンチを物ともせず、ソラタ選手みごと準々決勝進出を決めました!!』

 

 こうして、5回戦に見事勝利を納めたソラタは、準々決勝へと駒を進めた。次の試合からはポケモン6体を使用するフルバトル、後一勝でライバルのシズホとの試合が待っている。

 ソラタは泣き崩れるメグミに目もくれず、スタジアムを後にした。ただ、目前に迫ったシズホとの戦いの事だけを考えて。




次回は、準々決勝を長々と書くつもりはありません。
早々に終わらせる予定です。



ソラシズ推しの方々、歓喜の回になるかも。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。