ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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準々決勝は面倒なので試合の最後の部分だけです。


第53話 「決戦前夜」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第53話

「決戦前夜」

 

 ポケモンリーグ・セキエイ大会もいよいよ後半戦、準々決勝では既にシズホが勝利を納めて準決勝へ駒を進めている。

 残る試合は準々決勝第4試合、ソラタの試合のみで、今正にその試合が行われている所だった。

 

『さあ、準々決勝第4試合も残すところ僅か! 緑サイドのソラタ選手は現在3体目のポケモンなのに対し、赤サイドのタクミ選手は6体目! タクミ選手、もう後がありません!』

 

 フィールドにはソラタのギャラドスと対戦相手であるタクミ青年のエビワラーの姿があり、バトルは一進一退の激しい様相を見せている。

 

「エビワラー! “こうそくいどう”からの“かみなりパンチ”だ!」

「引き付けろギャラドス! “まもる”!」

 

 高速で移動しながら雷を纏った拳をギャラドスに叩き付けたエビワラーだったが、その拳はギャラドスの前に張られたバリアの様なものに阻まれた。

 

「今だ! “ぼうふう”で天高く吹き飛ばせ!!」

「ギュオァアアア!!!」

 

 至近距離にエビワラーが来たのをチャンスと見たソラタが“ぼうふう”を指示、ギャラドスが自分を巻き込む形で“ぼうふう”を発動すると、エビワラー共々天高く吹き飛ばされてしまう。

 

「エビワラー!!」

『何とソラタ選手! “ぼうふう”でギャラドス共々エビワラーを空へと吹き飛ばしてしまったぁ!! 空中ではエビワラー、何も出来ません!!』

「トドメだ! “ハイドロポンプ”!!」

 

 暴風の中を器用に動いて体勢を整えたギャラドスが空中でもがくエビワラーを発見、その大きな口から放った“ハイドロポンプ”がエビワラーに直撃して地面に叩き付けた。

 

「エビシュ……」

「エビワラー、戦闘不能! よってこの試合、ソラタ選手の勝ち!」

『試合終了!! ソラタ選手、ポケモン4体を残し、タクミ選手に勝利! 準決勝進出決定だー!!』

 

 準々決勝も無事勝利、準決勝へ進出したソラタの次の対戦相手がスクリーンに表示された。

 

『これで明日の準決勝の対戦カードが全て決まった! 第1試合はジュンイチ選手VSサユリ選手! 第2試合はシズホ選手VSソラタ選手に決まりました!』

 

 シズホとソラタの写真がスクリーンに映し出されたのを見て、いよいよ明日なのだと実感が湧いてきた。

 初めて出会ってから今日まで、ずっと決着を望んでいた相手、ポケモンリーグの舞台で戦おうと約束したライバルとの戦いが、いよいよ明日に迫っている。

 

「さて」

 

 もう試合も終わって用事も無くなったソラタは早々にスタジアムを立ち去り、ポケモンセンターでポケモン達の回復を終わらせると、転送装置の所へ行ってポケモンの入れ替えを行う事にした。

 実はオーキド博士が大会を見に来ているらしいので、直接オーキド博士に送ってもらう訳ではないが、いつでも転送可能な状態にしてくれている。

 

「明日はベストメンバーで挑むべきだな」

 

 早速ソラタは手持ちのニドクイン、フーディン、ピジョットをオーキド研究所へ送り、逆にオーキド研究所へ預けていたピカチュウ、ガバイト、キレイハナをこちらへ転送する事で、明日の決勝戦に備えた。

 

「さてと、何処で飯食うか」

 

 明日の準備が全て整った所で空腹を感じたソラタは選手村のレストランに向かって歩き出した。

 選手村を歩いていると、準決勝進出選手の一人になったからか、有名になったソラタは周囲からの視線を感じている。

 

「なんか落ち着かない」

 

 どうしたものかと思っていると、後ろから肩を叩かれて振り向くと、そこには見慣れた顔があった。

 

「シズホ……」

「こんばんはソラタさん、お夕飯ご一緒しても?」

「勿論」

 

 シズホも明日の試合の準備を終えたとかで、夕飯を食べに来たらしい。

 二人並んでレストランに向かっていると、周囲の視線がより一層集まっているのを感じつつ、二人は目に留まったレストランに入り、ウエイトレスに案内された席に座って注文を済ませた。

 

「お互い、有名になっちゃいましたね」

「だなぁ……選手村を歩くと注目されっ放しだ」

 

 料理を待つ間、互いに周囲の視線についての愚痴を零し合いながら、準決勝第1試合を戦う二人の選手についての話になった。

 

「ソラタさんはジュンイチ選手とサユリ選手、どちらが勝つとお考えですか?」

「ジュンイチ選手だろう。正直、サユリ選手がここまで勝ち進んで来れたのは偶然みたいなものだ」

 

 正直、よく決勝リーグまで来れたものだと思う程度の実力だとソラタもシズホも判断している。

 準々決勝もヒロシ少年が手持ちのポケモンをバタフリー以外は進化させていないポケモンで構成されていたから勝てたようなもの。

 恐らく初期サトシやヒロシ少年には勝てる程度の実力でしかない。逆にジュンイチ選手は二人共通の見解では強い。間違いなく今大会トップクラスの実力だと見ている。

 

「どこでゲットしたのか、エース級のプテラが強敵だもんなぁジュンイチ選手は」

「プテラ以外も強いですもんね、ラプラスにブーバー、レアコイル、ナッシー、ピクシー」

「サユリ選手に勝てる要素無いな」

 

 普通に強いパーティーなのだ、ジュンイチ選手の手持ちは。しかも、まだまだ発展の余地があるのが恐ろしい。

 

「ブーバーをブーバーンに、レアコイルをジバコイルにして、プテラでメガシンカ、これだけの余地が残っているって考えると、恐ろしい」

「ガラル地方ならラプラスですとキョダイマックスもありますよね」

「カントーリーグで良かったな」

「ええ、本当に」

 

 因みに、ジュンイチ選手のナッシーは普通のナッシーであって、アローラのナッシーではない。

 

「お待たせしました、煮込みハンバーグセットと和風パスタです」

 

 丁度食事が届いたので話は中断、腹を満たす事にした二人は食事を始めた。時々雑談を挟みつつ楽しく会話をする二人の姿は、とてもではないが翌日戦うのだとは思えない光景だった。

 

 

 食事を終えて選手村のコテージエリアに帰って来たソラタとシズホは、すっかり星が輝く夜空となった空を見上げて、そのまま自分達のコテージには戻らず近くの湖まで来ていた。

 湖の畔に並んで腰かけた二人は、そのまま星空を写す湖の湖面を見つめながら、特に会話も無く、静かな時間を過ごしている。

 

「ついに、ここまで来たんだな」

「はい……」

 

 言うまでもない。決着をつける時、その舞台にだ。

 

「出会ってから、それほど回数会ったわけじゃないけどさ」

「?」

「シズホと俺は、長い付き合いになるって、会う度に思ってたんだ」

「そう、ですね……私も同じです」

 

 きっと、翌日の試合でどちらかが勝っても、まだまだ二人の戦いは終わらない。次も、その次も、前よりもっと強くなって繰り返し戦う事になるのだろう。

 ソラタとシズホ、出会った時から互いを唯一無二のライバルだと意識し合う二人、だからこそ思うのだ……明日の試合だけで終わらせたくないと。

 

「終わらせたくないけど」

「戦うからには全力で、です」

 

 互いに顔を見るわけでも無く、ただ真っ直ぐ湖面に映る星を眺めながら、自然と二人の闘志が、気迫が、オーラが強くなった。

 

「明日の試合、全力でもって君に勝ちに行く」

「私もです……全ての力を出し切ってでも、必ずあなたに勝ちます」

 

 今度はお互いに向き合い、拳と拳を合わせた。明日の試合、互いに悔いの残らない全力のバトルをする、その誓いを込めて。

 すると、二人に降り注ぐように銀色の光が空から降り注ぐ。何事かと空を見上げて、そして驚いた。

 

「うそ、だろ……?」

「あれは……」

 

 竜翼に近い全身は丸みを帯び、銀色にも見えそうな大きな白い翼と、同色の身体に腹部だけ薄い青、背中の無数の青いフィン、ドラゴンを思わせる鋭い眼光、間違いない。

 

「「ルギア……」」

 

 ジョウト地方の伝説のポケモン、海の神とも伝えられるルギアが、まるで二人の誓いを祝福するように銀色の粒子を降らせながら飛び去って行った。

 

「なんで、ルギアが……?」

「わかりません……もしかしたら、偶然近くを飛んでいたルギアが、私達の誓いを聞いて気が向いたのかもしれませんね」

「でもルギアって海の中にいるんだよな?」

「生息しているのは海ですけど、大昔は海以外の場所でも姿を表したそうです」

 

 それがジョウト地方のエンジュシティやコガネシティなのだとか。

 

「まぁ、何にしても……ルギアにまで祝福されたんだ、余計に無様な試合は出来ないな」

「はい、祝福してくれたルギアに恥じない試合をしましょう」

 

 ふと、ソラタの脳裏にはアニメのポケモンでサトシが旅立ちの日や、物語の分岐点にホウオウが姿を表していたのを思い出した。

 もしかしたら、サトシがホウオウだから、自分にはルギアが姿を見せたのかもしれないなんていうのは、都合の良い考えなのだろうか。

 そんな事を思いながら、ソラタとシズホは眠くなるギリギリまでルギアが飛び去って行った空を見つめながら語り合うのだった。




次回はいよいよ準決勝! ソラタVSシズホの開幕!!
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