ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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準決勝、続きです。


第55話 「熾烈なバトル」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第55話

「熾烈なバトル」

 

 ポケモンリーグ・セキエイ大会準決勝戦、ソラタの対戦相手は唯一無二のライバル、シズホだった。

 初戦からバトルは激しいぶつかり合いで、ソラタは1体目のギャラドスを失うも2体目のガバイトでエレブーを撃破、互いに残るポケモンは5体という状況で、シズホが次に繰り出したポケモンはバンギラス。

 特性“すなおこし”によって砂嵐が巻き起こる中、強敵を前にソラタとガバイトは闘志を剥き出しにして挑む。

 

「ガバイト、“メタルクロー”だ!」

「バンギラス、“れいとうパンチ”です!」

 

 ガバイトの鋼と化した爪とバンギラスの冷気を纏った拳がぶつかった。だが、明らかな体格の違いを理解しているガバイトはぶつかった瞬間には腕を引っ込めて少しだけ距離を取り、走り回ってはまた爪を叩き込む。

 力では勝てないと察したガバイトが独自の判断でヒットアンドアウェイ戦法を取った訳なのだが、バンギラスは巨体に似合わぬ反射神経でガバイトの素早い攻撃を“れいとうパンチ”で迎撃、両者共に攻めあぐねる状況となった。

 

『これは凄い! ガバイトの猛烈なラッシュにバンギラス、一歩も引かず迎え撃っている! 見た目に反した技とスピードの勝負、先に集中力を切らした方が手痛い一撃を受ける事になるぞ!!』

「だったら、一気に勝負に出るぞ! ガバイト! 距離を取れ!!」

 

 ソラタの指示と共にガバイトは鋼の爪をバンギラスの冷気を纏った拳にぶつけてから後ろへ大きくジャンプして距離を取った。

 

「“じしん”!!」

 

 着地したガバイトが足を振り上げ、思いっきり降り下ろすと衝撃波が発生してバンギラスへ迫った。

 だが、バンギラスは冷静に迫りくる衝撃波を見つめながら片足を振り上げ、その筋肉を大きく膨らませる。

 

「“じしん”です!」

 

 降り下ろされたバンギラスの足を中心に衝撃波が発生して、ガバイトの“じしん”の衝撃波と衝突、そのまま掻き消してガバイトへ迫り、そのまま直撃してしまった。

 

「ガバイト!!」

 

 バンギラスは元々物理攻撃力の高いポケモンであり、そもそも最終進化をしている事もあってガバイトより素の攻撃力が高い。

 物理攻撃技の“じしん”もタイプ不一致とは言えバンギラスの方が威力が高いのも無理は無いだろう。

 

「今です! “あくのはどう”!!」

「バッギャアアア!!!」

 

 バンギラスの口から黒いエネルギー波が発射され、“じしん”の直撃によって倒れていたガバイトに襲い掛かった。

 この直撃を受けるのは不味い、そう判断したソラタはガバイトの切り札を一つ切る選択を取る。

 

「天空に舞え、ガバイト!」

 

 嘗て一度だけ勝負をしたシンオウチャンピオン、シロナの台詞でガバイトに指示すると、素早く起き上がったガバイトは起き上がる勢いのまま飛び上がって“あくのはどう”を回避した。

 

『ガバイト、ギリギリで“あくのはどう”を回避!! だが、逃げ場を間違えたかぁ!?』

 

 そう、宙に浮かぶガバイトに逃げ場は無い。シズホは再びバンギラスに“あくのはどう”を指示すると、バンギラスは宙に浮かぶガバイト目掛けて黒いエネルギー波を放つ。

 

「お前の母親の得意技だ! 行くぞガバイト! “ドラゴンダイブ”!!」

 

 ガバイトは迫る“あくのはどう”に対して全身にドラゴンのオーラを纏って一気に急降下、“あくのはどう”を真正面から受け止めながらバンギラスへ向けて突撃する。

 

「迎え撃って下さい! “れいとうパンチ”!!」

「“ドラゴンダイブ”を維持したまま“メタルクロー”だ!」

 

 突撃してきたガバイトに冷気を纏った拳を叩き込むバンギラスに対し、ガバイトも全身に纏ったドラゴンのオーラをそのままに両手の爪に鋼のエネルギーを宿して迎え撃った。

 落下の勢いと“ドラゴンダイブ”の威力を乗せた“メタルクロー”は先ほどまでとは違いバンギラスの“れいとうパンチ”と拮抗、バンギラスは足元の地面を罅割れさせながら踏ん張ってガバイトを押し返そうとする。

 

「バンギラス! そのまま“あくのはどう”です!」

「ガバイト! “ドラゴンダイブ”! オーラを強くするんだ!!」

 

 バンギラスが至近距離から“あくのはどう”を放った。流石に回避は不可能と悟ったソラタの指示によってガバイトは纏っていたドラゴンのオーラを更に強くして“あくのはどう”に耐える。

 だが、何度も放たれる“あくのはどう”は間違いなくガバイトの体力を削り、ドラゴンのオーラが少しずつだが小さくなってきた。

 

「バンギラス! 後退しながら“ストーンエッジ”!!」

 

 すると、バンギラスが急に力を抜いて後退した為にガバイトはバランスを崩して、次の瞬間地面から突き出した“ストーンエッジ”が鳩尾に直撃した。

 

「ガッバハァ……」

「“れいとうパンチ”!!」

『ガバイト、“ストーンエッジ”がクリーンヒット!! そこに“れいとうパンチ”が叩き込まれて吹き飛ぶ! 効果は抜群だぁ!!』

「っ! まだだ!!」

 

 流石にダメージを受け過ぎている。これはもうガバイトは戦闘不能かと誰もが思ったが、ガバイトは耐えきった。

 バク転の要領で着地して、片膝を着いて息を荒げながらも、その鋭い眼光でバンギラスを睨み続けている。

 

「ガバイト」

「ガバッ!」

「ああ、まだまだ勝負は終わってない!! 天空に舞え!!」

「ガッバァ!!」

『何とガバイト、再び宙に舞ったぁ!』

 

 先ほど以上に大きく飛び上がったガバイトは、その全身に再びドラゴンのオーラを纏って眼下のバンギラスを睨むと、咆哮した。

 

「ガバァアアア!!!」

「“ドラゴンダイブ”だ……」

 

 ソラタが右手を大きく振り上げると、ガバイトも突撃の構えを取って、そしてドラゴンのオーラを纏った全身を光が包み込んだ。

 

「ガブリアス!!!」

『こ、これは! 進化の光だぁ!!!』

 

 光に包まれながら突撃、その中で姿を変えたガバイトは……ガブリアスとなってバンギラスに突っ込んだ。

 

「バンギラス! “れいとうパンチ”!!」

 

 バンギラスは迫り来るガブリアスを“れいとうパンチ”で迎え撃ち、二体の技がぶつかった瞬間に爆発、その姿は煙の中に消えた。

 しかし、直ぐに煙の中から飛び出す影があった。そのサメのようなシルエットは……ガブリアスだ。

 

「ガブ!」

『ガブリアス、無事です! ダメージはありますが、まだ健在!! バンギラスはどうなったぁ!?』

 

 未だ煙の中から出て来ないバンギラスだったが、やがて煙が晴れると、目を回して倒れているバンギラスの姿が見えた。

 

「バンギラス、戦闘不能!」

『見事! 土壇場でガバイトから進化を果たして強敵バンギラスを下したガブリアス! これでシズホ選手、残るポケモンは4体! 逆転を許してしまったぁ!!』

「戻って下さい、バンギラス……お疲れ様でした、よく頑張りましたね」

 

 戦闘不能となったバンギラスをヘビーボールに戻したシズホは腰のホルダーに戻して次のモンスターボールを取り出した。

 まさかのガバイトからガブリアスへの進化には驚かされたが、それでもバンギラス戦のダメージが蓄積している今のガブリアスなら、次のポケモンでも十分に勝てる、そう判断したシズホの次のポケモンは……。

 

「行きますよ、キングドラ!!」

『シズホ選手の次のポケモンはシードラの進化系、キングドラだぁ! 水タイプにドラゴンタイプも追加されたキングドラ、ガブリアス相手に相性では有利だ!!』

 

 シズホの4体目は嘗てギャラドスと戦ったキングドラだった。あの時は進化させたばかりで調整中だったから簡単に負けてしまったが、あれからしっかり調整をして修行を経た今のキングドラは、簡単に倒せる相手ではない。

 

「キングドラ! “れいとうビーム”!」

「“ストーンエッジ”だ!」

 

 キングドラが放った“れいとうビーム”はガブリアスの“ストーンエッジ”に阻まれて届かない。

 逆に迫って来た岩の刃を回避しながらキングドラはシズホへ視線を向けて頷く。

 

「“あまごい”!」

「ドゥラ!」

 

 シズホが“あまごい”を指示、すると上空に雨雲が発生してフィールドに雨が降り出した。

 雨降り状態になったフィールドでは、キングドラの動きが先ほどよりも速くなり、ガブリアスが急な速度変化に戸惑っている。

 

「やはり“すいすい”か……ガブリアス! キングドラの動きをよく見るんだ!」

「ガァブ!」

「キングドラ! “ウェーブタックル”!!」

「天空に舞えガブリアス! “ドラゴンダイブ”!!」

 

 キングドラが水を纏って突撃、特性“すいすい”によって速度も水タイプの技の威力も上がったタイプ一致の大技“ウェーブタックル”を真正面から受けるのは危険と判断し、上空へガブリアスを逃がす事で回避、逆に“ドラゴンダイブ”による突撃を指示する。

 

「待ってました……っ!」

「……っ!? 不味い! 攻撃キャンセル! 避けろ!!」

「遅いですよ! “りゅうせいぐん”!!」

 

 ガブリアスはガバイトの時とは違い空中でもある程度動く事が出来る。だが、流石にその更に上空から降り注ぐ“りゅうせいぐん”を全て回避するのは不可能だった。

 

『キングドラの“りゅうせいぐん”炸裂! ガブリアス、これは逃げられない!!』

 

 “ドラゴンダイブ”をキャンセルして逃げようとしたガブリアスだったが、少し遅かった。

 キングドラが上空へ放った光が弾けて無数の光が降り注ぎ、ガブリアスに直撃、そのまま地面へと叩き付けられてしまう。

 

「ガブリアス!」

「ガ、ブ……」

「ガブリアス、戦闘不能!」

 

 バンギラス戦のダメージが残っている所に効果抜群のドラゴン技、それもドラゴン技の奥義“りゅうせいぐん”を耐える事は不可能だった。

 目を回して倒れるガブリアスをボールに戻したソラタも、これで残るポケモンは4体。逆転したかに思われた状況も、再びリセットされてしまった状態だ。

 

『何と言う熾烈なバトルの連続! どちらも一進一退、準決勝戦に相応しい熱い試合が展開されています! さあ、ソラタ選手の次のポケモンは! キングドラ相手、どう挑むのか!!』

 

 水・ドラゴンの複合タイプのキングドラを相手にするのであれば、正攻法ならフェアリータイプのニンフィアが一番良い。

 だが、この後に控えるポケモンを考えると、今ニンフィアを出すのは時期尚早……ならばここで選択するべきは。

 

「行け、ピカチュウ!!」

 

 ソラタが腰のホルダーから取り出したモンスターボールを投げると、3番手のピカチュウが姿を現した。

 ドラゴンタイプを持つキングドラはシードラの時とは違い電気技は等倍ダメージ、だが“あまごい”を使った事で雨降り状態の今ならばピカチュウが一番最適なポケモンだと判断したのだ。

 

「一気に攻めるぞピカチュウ!! “かみなり”だ!!」




次回も準決勝、フルバトルは長いっスわ。

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