ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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第57話 「家族対決とリベンジマッチ」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第57話

「家族対決とリベンジマッチ」

 

 ポケモンリーグ・セキエイ大会準決勝戦、ソラタとシズホの試合もついに折り返し。両者、残るポケモンが3体となった状況で、フィールドに出ているポケモンはニンフィアとエーフィ、どちらもイーブイから進化したポケモンであり、ソラタとシズホにとって幼少の頃から共に家族として過ごしてきた相棒とも呼べるポケモンだ。

 

「エーフィ、“シャドーボール”!!」

「ニンフィア、“でんこうせっか”!!」

 

 開幕、エーフィの放った“シャドーボール”を“でんこうせっか”で回避したニンフィアは、そのままフィールドを駆けまわった。

 通常の“でんこうせっか”よりも速いそれは、ニンフィアの特性“フェアリースキン”によってフェアリータイプの技となった事でタイプ一致技として、威力も速度も上がっている事による影響だ。

 元々、ソラタのパーティ最速を誇っていたニンフィアにタイプ一致の“でんこうせっか”が組み合わされば最早止められる者はいない。

 

「流石に速いですね……なるほど、おそらく“フェアリースキン”ですか。ならエーフィ! “かげぶんしん”からの“でんこうせっか”です!」

「フィ!」

 

 エーフィが“かげぶんしん”で無数の分身を出現させ、本体含め全ての分身が一斉に駆け出す。

 おそらくはニンフィアの行く手を塞ぐ目的なのだろうが、それはソラタも予測済みだ。

 

「跳べ! ニンフィア!!」

 

 無数のエーフィが迫る中、ソラタの指示を受けたニンフィアが大きく跳躍、エーフィ達の頭上を取った。

 

「“ハイパーボイス”!!」

「フィイイイイアアアアアアア!!!!!」

 

 ニインフィアの絶叫が振動となってフィールド全体に叩き付けられた。エーフィも回避不能の一撃に分身が全て掻き消されて、自身も頭上からの圧によって地面へ頭から叩き付けられる。

 

「っ!? なんという威力……!!」

『なんという事でしょう! ニンフィアの“ハイパーボイス”はフィールド全体に影響を与えました! これは普通の“ハイパーボイス”とは違うのか!?』

 

 当然違う。元々がノーマルタイプの技の“ハイパーボイス”は“フェアリースキン”の影響でフェアリータイプの技になっている。

 タイプ一致の状態で放たれた“ハイパーボイス”の威力は、“フェアリースキン”を持たないニンフィアが放つよりも遥かに高いのだ。

 

「畳み掛けろ! “シャドーボール”!!」

「エーフィ! “サイコキネシス”です!」

 

 ニンフィアが地面に着地して直ぐに“シャドーボール”を放つと、何とか起き上がったエーフィが“サイコキネシス”でニンフィアのシャドーボールを操って地面に落とし、逆にそのままニンフィアを拘束した。

 

「そのまま持ち上げて叩き付けて!」

「ニンフィア! あの時と同じだ!」

「フィア!」

 

 “サイコキネシス”で持ち上げられたニンフィアは、そのまま地面に叩き付けられる筈だったが、寸前で“シャドーボール”を自身と地面の間に展開、クッション代わりにして衝撃を殺す事でダメージを最小限にする。

 

「嘘……!?」

『これは上手い! “シャドーボール”をクッションにして衝撃を吸収し、ダメージを抑えた!』

「今だ! “ハイパーボイス”!!」

 

 再度放たれた“ハイパーボイス”がエーフィに直撃、大きく吹き飛ばされたものの、バク転の要領で着地したエーフィはまだ戦える様子、流石はシズホのエーフィと言うべきか、中々タフだった。

 

「“でんこうせっか”です!」

「こっちも“でんこうせっか”だ!」

 

 ニンフィアとエーフィ、同時に駆け出すも、タイプ一致状態のニンフィアの方が速度も威力も上だ。

 真正面からぶつかれば負けるのはエーフィなのはシズホとて理解している筈、何かあると見るべきだろう。

 

「エーフィ! 走りながら“サイコキネシス”を自分に!」

「何を……!?」

 

 何を考えているのか、シズホはエーフィに自身に“サイコキネシス”を掛けさせた。だが、エーフィはそんな指示を困惑する事なく従い、己に“サイコキネシス”を掛ける。

 すると、エーフィの走る速度が大きく上がったではないか。それも、ニンフィアよりも速度が上という異常事態、一体何が起きたのか。

 

「っ! そうか! ニンフィア、回避しろ!」

「遅いです!」

 

 自身に“サイコキネシス”を掛ける事でエーフィの全身にサイコエネルギーが集まって紫色のオーラを纏った状態になり、そのまま“でんこうせっか”でニンフィアに突っ込んだ。

 そのあまりの速度に回避が間に合わなかったニンフィアは直撃を受けて吹き飛ばされてソラタの足元まで転がってくる。

 

「驚いたよ、まさかそんな方法で疑似的な“サイコブースト”にするなんてな」

 

 そう、シズホとエーフィが行ったのは疑似的な“サイコブースト”と呼ばれる技の再現だった。

 エーフィ自身に“サイコキネシス”を使う事でサイコエネルギーを纏い、本来の“サイコブースト”ならサイコエネルギーを飛ばす所を、代わりに“でんこうせっか”で相手にサイコエネルギーごと突っ込む事で疑似的な“サイコブースト”にしたのだ。

 

「ニンフィア、まだ行けるか?」

「フィア」

 

 ニンフィアもエーフィも、互いにダメージが大きい。これは次に大技の直撃を受けた方の負けとなる可能性が高い。

 

「エーフィ、もう一度行きますよ! “でんこうせっか”と“サイコキネシス”!」

 

 再び、エーフィが疑似“サイコブースト”を使うつもりだ。ならば、ここは勝負に出るべきだろう。

 

「行くぞニンフィア! “ハイパーボイス”で迎え撃て!!」

 

 真正面から疑似“サイコブースト”で突っ込んで来たエーフィと、ニンフィアが放った全力の“ハイパーボイス”の衝撃波がぶつかる。

 だが、一瞬の拮抗の後、衝撃波を耐え抜いたエーフィが疑似“サイコブースト”を維持したままニンフィアに迫った。

 

「迎え撃て! “とっておき”!!」

「フィアアア!!」

 

 最後の一撃とばかりに、ニンフィアが全身をピンクのオーラで包み込みエーフィへ突撃、両者が真正面から激突してサイコエネルギーとフェアリーエネルギーの衝突による爆発が起きた。

 

『両者激突!! 最後に立っているのは、どちらのポケモンなのか!!』

 

 煙が晴れると、フィールドの中央でニンフィアとエーフィが揃って倒れているのが見えた。

 共に目を回して倒れている様から、どちらも戦闘不能状態と判断するべきだろう。

 

「ニンフィア、エーフィ、共に戦闘不能!」

『何と、まさかのダブルノックダウン!! これでソラタ選手もシズホ選手も、残るポケモンは共に2体! 準決勝第2試合も佳境に入ったぁ!!』

 

 ニンフィアとエーフィがそれぞれのボールに戻されると、ソラタとシズホは次のモンスターボールを取り出して構える。

 お互いに残り2体、そしてシズホの残りポケモンの内の1体であるハッサムはギャラドス戦のダメージが残っているので、現時点ではソラタの方が有利だという見方も出来る状況だが、まだまだ安心出来る状態ではない。

 

「もう一度行きますよ、ハッサム!」

「ハッサ!」

『さあ、シズホ選手は再びハッサムです! ギャラドス戦のダメージが残る状態で、果たしてどこまで戦えるのか!』

「頼むぞ、キレイハナ!」

「ハナッ!」

『そしてソラタ選手の5番手はクサイハナの進化系、キレイハナだ! 相性ではキレイハナの方が不利だが、どうなるか!?』

 

 かつて、シズホのハッサムがまだストライクだった時、キレイハナは負けている。だからこれはあの時のリベンジマッチでもあるのだ。

 キレイハナもハッサムも、前回の戦いの事を思い出したのか、両者共に気合を入れ直していた。

 

「ハッサム、“かげぶんしん”!」

「キレイハナ、“はなふぶき”!」

 

 ハッサムが“かげぶんしん”を作るも、やはりギャラドス戦のダメージが残っているからか、技の精度が甘い。

 分身体の数が少ないのでキレイハナの“はなふぶき”によって全て掻き消され、本体も花びらの刃が全身に襲い掛かってダメージを受けていた。

 

「ならハッサム! 上空から“エアスラッシュ”です!」

「迎え撃て! “いあいぎり”!!」

 

 ハッサムが宙へ飛び上がると、空気の刃を連続で放ってきたので、キレイハナは両手をエネルギーの刃で包み、空気の刃を叩き落とす。

 しかし、その間にハッサムが突っ込んできて両腕のハサミを鋼のエネルギーで覆って振り被る姿が見えた。

 

「“バレットパンチ”!」

「“いあいぎり”!」

 

 ハッサムの“バレットパンチ”をキレイハナの“いあいぎり”で受け止めたのだが、予想以上に威力が高かったのかキレイハナが押されて、受け止めきれずに吹き飛ばされてしまった。

 

「タイプ一致だけの威力じゃない……特性“テクニシャン”か」

「正解です。本来なら“つるぎのまい”も合わせたかったのですが、既に技を4つ使ってますので、今回はお預けですね」

 

 恐ろしい事を言ってくれる。“テクニシャン”のハッサムに“つるぎのまい”を使わせて“バレットパンチ”なんて、手が付けられないではないか。

 幸いな事に、既にハッサムは試合中に技を4つ使い切っているので、公式ルール上これ以上他の技を使う事が出来ないので、最悪の状況にはならないが、“テクニシャン”と“バレットパンチ”だけでも十分に脅威だ。

 

「キレイハナ、これは一気に勝負を決めるべきだな」

「ハナッ!」

「よし、“にほんばれ”だ!」

 

 長引けば不利だと感じ、ギャラドス戦のダメージが残るハッサムを早々に片づけるべく“にほんばれ”を指示、フィールドへと強い日差しが降り注いだ。

 

「狙いは“ウェザーボール”ですか……ハッサム、再び“かげぶんしん”です!」

「ハッサ!」

「“はなふぶき”!」

 

 再びハッサムが分身を作り出したが、先ほど同様に“はなふぶき”で全ての分身を掻き消すも、今度は本体が見当たらない。

 

「後ろだ!」

「バレットパンチ!!」

「ハッサァ!」

「ハナァッ!?」

 

 背後から迫ったハッサムにキレイハナは反応が遅れ、“バレットパンチ”の一撃をまともに受けてしまった。

 

「追い打ちしますよ! “エアスラッシュ”!!」

 

 吹き飛ぶキレイハナへ更に追い打ちで“エアスラッシュ”が襲い掛かり、効果抜群の技の直撃を受けてしまう。

 これには大ダメージのキレイハナだが、まだまだ戦えると、“バレットパンチ”の構えで突進してきたハッサムに“いあいぎり”で斬り掛かった。

 

「ハッサ!」

「ハナ!」

 

 両手の“いあいぎり”と両腕の“バレットパンチ”による鍔迫り合いのような状況、これは不味い状況だとシズホはハッサムに距離を取らせようとしたのだが、既にキレイハナはソラタが指示する前から準備を整えている。

 

「“ウェザーボール”!!」

「ハナァ!」

「ハッサァアア!?」

『“ウェザーボール”決まったぁ!! “にほんばれ”の影響で炎タイプの技となった“ウェザーボール”、鋼と虫タイプのハッサムには大ダメージだ!!』

 

 唯でさえギャラドス戦のダメージが残っていた所に、試合開始時の“はなふぶき”のダメージに、今回の“ウェザーボール”はハッサムも耐えられるものではない。

 残念ながらハッサムはそのまま目を回して倒れてしまい、戦闘不能となってしまった。

 

「ハッサム、戦闘不能!」

『キレイハナ、不利な相性を物ともせずハッサムに勝利! これでシズホ選手、残るポケモンは1体のみ! ソラタ選手、決勝進出に王手を掛けた!!』

 

 大手は掛けた。だが、最後のポケモンは間違いなくあのポケモンだろう。油断して良い相手ではない。

 

「本当に、あなたとのバトルは本当に楽しいですね、ソラタさん……終わらせるのが、惜しいくらいに」

「同じ気持ちだ。シズホ、お前とのバトルは他のどの試合よりも一番心躍る……最高に楽しい」

「ええ……ですが、だからこそ私は負けたくない。最後のポケモン、本気で行きますよ……頼みます、バクフーン!!」

 

 シズホが投げたモンスターボールから出て来たのは、ソラタの予想通りだった。嘗てリザードと引き分けた……シズホとのライバル関係を強く意識させた記念すべき最初のバトルで戦ったマグマラシの進化系、バクフーンだ。

 

「バクフーン、“かえんほうしゃ”!!」

「キレイハナ! “ウェザーボール”!!」

 

 バクフーンが放った“かえんほうしゃ”に“ウェザーボール”で対抗しようとしたのだが、桁違いの威力の“かえんほうしゃ”に“ウェザーボール”が飲み込まれて消滅、そのまま“かえんほうしゃ”はキレイハナをも飲み込んでしまった。

 

「キレイハナ!!」

「ハ、ナ~」

「キレイハナ、戦闘不能!」

 

 一撃。ハッサムとのバトルのダメージが残っていたとは言え、相性が最悪だとは言え、キレイハナが一撃で戦闘不能になってしまうとは、流石はシズホのバクフーンと言うべきか。

 

『なんという威力でしょうか! これでソラタ選手も、残るポケモンは1体のみ! 次のバトルで、長きに渡る試合も決着となります!』

「……さあ、相手は嘗て引き分けた相手だ。気合入れて行くぞ! リザードン!!」

「リッザァアアア!!!!」

 

 モンスターボールから出た途端、炎を上空に吐いて気合の咆哮を放つリザードン。

 バクフーンも首から炎を吹き出してリザードンを睨み、両者とも嘗て引き分けたバトルを思い出したのか、その瞳に熱い炎と闘志を燃やしている。

 

「「かえんほうしゃ!!」」

「リザァアアア!!!」

「バァクァアアア!!!」

 

 ソラタとシズホ、互いのエース同士のバトルがこの試合においてのラストバトル。勝利の女神が微笑むのはリザードンか、バクフーンか、次回に続く。




次回、エース対決!
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