ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第58話
「決着! 燃え盛るエース対決」
ポケモンリーグ・セキエイ大会準決勝第2試合もいよいよ大詰め、ソラタとシズホ共に残るポケモンは1体のみ、最後のバトルは互いのエース対決となった。
ソラタのリザードンとシズホのバクフーン、嘗てリザードとマグマラシだった時に戦った時は引き分けに終わったが、今回のバトルであの時の決着を着けると、トレーナー同士も、そしてポケモン同士も熱い闘志の炎を燃やしている。
「「“かえんほうしゃ”!!」」
「リザァアアアア!!!」
「バクァアアアア!!!」
開幕“かえんほうしゃ”がぶつかり、フィールド中央で爆発した。
爆炎が広がる中、リザードンは翼を広げて空を飛び、バクフーンは走り出してそれぞれ衝撃から逃げるとバクフーンは既に両手に雷を纏い、リザードンは両手の爪にドラゴンのオーラを纏っている。
「“かみなりパンチ”です!」
「“ドラゴンクロー”!」
上空から急降下してきたリザードンの“ドラゴンクロー”と跳び上がったバクフーンの“かみなりパンチ”が激突、そのままバクフーンの落下に合わせてリザードンも降下しながら互いの拳と爪による応酬が続き、バクフーンが着地すると再びリザードンは宙へ浮かんで距離を取った。
「“エアスラッシュ”だ!!」
「グルゥ!! リザアアア!!」
「回避!」
リザードンが羽ばたく事で放たれる空気の刃がバクフーンを襲うが、バクフーンは余裕を持って回避、回避し切れないものについては己の判断で“かみなりパンチ”による迎撃で叩き落とした。
「リザードン! もう一度“ドラゴンクロー”!!」
「引き付けて!」
“エアスラッシュ”を放った直後にリザードンはその合間を縫いながらバクフーンに接近、その両手の爪にドラゴンのオーラを纏って襲い掛かった。
だが、バクフーンは空気の刃を回避しながらリザードンが接近するのを確認してタイミングを図っている。
すると、どうしても集中力をリザードンに向けなければならなくなり、“エアスラッシュ”の回避が疎かになったのか、全てを回避する事が出来なくなったのか、何発か受けてしまう。
「今! “いわなだれ”!!」
「っ! 急上昇!!」
だが、“エアスラッシュ”を受けてでも待った甲斐はあった。バクフーンの頭上に現れた無数の岩がリザードンに襲い掛かり、急上昇したリザードンに全てではないが岩を直撃させる事が出来たのだから。
「リザードン! “かえんほうしゃ”!」
岩の直撃を受けたが、それでも上空に逃げる事は出来た。まだまだアドバンテージは捨てていない。バクフーンの頭上を取ったリザードンはそのまま“かえんほうしゃ”を放った。
真上から炎が襲い掛かってきたバクフーンは地面に“かえんほうしゃ”を放ちながらバックステップ、ギリギリでリザードンの“かえんほうしゃ”を回避する。
「“いわなだれ”!!」
「“エアスラッシュ”!!」
再びバクフーンの放った“いわなだれ”をリザードンも“エアスラッシュ”で迎撃、空気の刃が飛来する岩を両断して見事全てを防ぎ切ったのだが、バクフーンは既に動いていた。
自身の“いわなだれ”の岩を利用して飛び移りながらリザードンの上を取って拳に雷を纏うバクフーンに気付いた時には既に遅い。
「“かみなりパンチ”です!!」
「“ドラゴンクロー”!!」
バクフーンの“かみなりパンチ”がリザードンの腹に突き刺さり、リザードンは全身に流れる電流に苦しみながら、それでも自身の爪にドラゴンのオーラを纏って懐にいるバクフーンに叩き付ける。
互いにダメージを受けて地面に着地すると、多少息が荒くなり始めている両者、それでも不敵に笑って睨み合うと再度拳に雷を、爪にドラゴンのオーラを纏って駆け出して激突した。
『凄い……凄いバトルだぁ!! 両者、どちらも譲らぬ攻防! 炎ポケモン同士の熱いバトル、これは目を離せません!!』
雷の拳とドラゴンの爪が何度も激突し、時に相手の身体に叩き込まれ、お互い着実にダメージを受けているというのに、それでも不敵に笑い合うリザードンとバクフーン、そしてソラタとシズホ、それぞれのトレーナーとポケモン達はこの時、間違いなく気持ちがシンクロしていた。
「ぶっ飛ばせ!!」
不意にリザードンがその場で回転、その長い尻尾がバクフーンに叩き付けられ、一瞬息が詰まったバクフーンは直ぐにその尻尾を抱え込んだ。
「“エアスラッシュ”!!」
「“いわなだれ”!!」
両者の技がゼロ距離で直撃した。衝撃でリザードンの尻尾を離したバクフーンは吹き飛ばされ、リザードンもよろめいて後ろに後退、だが2体とも足を踏ん張って確りと地面を踏みしめると同時に“かえんほうしゃ”を発射、2体の間でぶつかって爆発する。
「グルゥ……グルゥ……」
「フゥ……フゥ……」
息が荒くなってきた。リザードンもバクフーンも大分消耗しているのが目に見えて判る。しかし、それでも2体の瞳の奥に宿る炎は、闘志は尽きておらず、むしろ先ほど以上に激しく燃え盛っていた。
「リザァアアアアアアア!!!!」
「バァクフゥウウウウン!!!!」
咆哮、そしてリザードンが宙へ飛び上がると“エアスラッシュ”を放ち、バクフーンも“かみなりパンチ”で迎撃しながら“いわなだれ”を発射し、リザードンは迫り来る岩を“ドラゴンクロー”で叩き割る。
だが全てを迎撃するだけの体力が残っていない2体は何発か技の直撃を受けてしまい、それでも時に“かえんほうしゃ”を利用しながら迎撃していた。
「跳んで!」
「降下!」
ソラタとシズホの指示でバクフーンは大きく跳躍、リザードンは急降下して“かみなりパンチ”と“ドラゴンクロー”が相手の頬を穿つ。
どちらもそれで力を失ったように地面へ落下し、大きな衝撃と共に地面に倒れたが、まだ戦闘不能ではない。
「グルゥ……っ!」
「バクゥ……っ!」
よろよろと立ち上がり互いを睨み合った瞬間、リザードンの尻尾の炎とバクフーンの首の炎が今までよりも大きく燃え盛った。
「リザァアアアアア!!!」
「バァクァアアアアア!!!」
体力が残り少なくなった事で、リザードンもバクフーンも特性“もうか”を発動したのだ。
吹き上がる炎による熱気がフィールドどころかスタジアム全体に広がり、そのあまりの熱に2体の足元の床がドロドロに溶けて溶岩のようになった。
「リザードン!!」
「バクフーン!!」
ソラタとシズホの声と共に2体が再びぶつかった。“ドラゴンクロー”と“かみなりパンチ”の応酬、互いに防御も迎撃も全て捨てたラッシュは全て相手の身体に、顔に叩き付けられ、2体ともどんどんボロボロになっていく。
「グルガァッ!? リザァアア!!」
「バッハァ!? フゥウウウン!!」
バクフーンの拳がリザードンの胸に突き刺さり、リザードンの爪がバクフーンの腹に叩き込まれると、互いにお返しとばかりに相手の頬を殴る。もう、その頃には雷もドラゴンのオーラも纏っていない、ただの拳になっていた。
『意地です! もうここまで来るとリザードンもバクフーンも絶対に負けないという意地だけで戦っている!! 先に倒れてなるものかという意地が、2体の身体を突き動かしている!!』
もうリザードンもバクフーンも体力の限界だというのに、それでも倒れず技にもなっていない拳をぶつけ合う姿は、必ず勝つのだという意思と、絶対に負けないという意地で動いているのがよく判った。
だから、ソラタとシズホは次の技を最後の技だと判断して互いのエースの名を呼んだ。
「リザードン!!」
「バクフーン!!」
己のトレーナーの声を聞き、殴り合いを止めて距離を取った2体は、最早限界を超えている。
そして審判も実況も、観客も、テレビで見ている全国の人間が固唾を飲んで見守る中、ソラタはシズホに声を掛けた。
「シズホ、バクフーン、楽しかった……本当に最高に楽しいバトルだった」
「リザッ!」
ソラタの言葉と共にリザードンがグッとサムズアップ、それに笑ったシズホとバクフーンも笑みを浮かべる。
「はい、ソラタさん、リザードン。私も楽しかったです……こんなに熱くなったバトルは、こんなにも楽しいバトルは、旅立ってから初めてです」
「バクッ!」
シズホの言葉の後、バクフーンもリザードンを習ってサムズアップ、それにソラタとリザードンも笑みを浮かべた。
「さあ行くぜリザードン! これが最後の一撃だ!!!」
「行きますよバクフーン! 最後の一撃、決めましょう!!!」
「リザッ! リザァアアアアアアアア!!!!!」
「バクッ! バァクフゥウウウウウン!!!!!」
再び、睨み合った2体の炎が最大まで燃え上がりスタジアム全体を熱くした。
「リザードン!! 最大パワーで“ブラストバーン”!!!!」
「バクフーン!! 最大パワーで“ブラストバーン”!!!!」
「リィザァアアア!!」
「バァクゥウウウ!!」
リザードンとバクフーンが飛び上がって地面に拳を叩き付けると、激しい炎が吹き上がって相手へと襲い掛かった。
そして、2体がそれぞれ相手の“ブラストバーン”の直撃を受けて爆発し、煙の中に消える。
煙が晴れた時、フィールドに立っていたのは……。
「―――――、戦闘不能! よってこの試合、―――選手の勝ち!!」
勝ったのはどちらなのか、それは次回。