ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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第5話 「燃え上がれ! ヒトカゲの熱い戦い」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第5話

「燃え上がれ! ヒトカゲの熱い戦い」

 

 ポケモンジムとは、各地方ごとに開催されるポケモンリーグへの参加権を得るためにトレーナー達が挑戦する、謂わばリーグ挑戦の為の関門であり、リーグ開催までのポケモン育成チャンスでもある。

 ジム戦に勝利すると、ジムリーダーを倒した証としてジムバッジを受け取る。各地方ごとに最低8個のバッジを獲得する事がリーグ参加の条件の一つだ。

 勿論、リーグ参加資格はバッジを8個以上集めた者だけに与えられるものではなく、他にもポケモン認定試験という試験に合格する事で与えられるポケモンリーグ挑戦資格バッジを持つ者や、ポケモンゼミナールの上級クラスを卒業した者にはジムバッジを集めずともリーグ参加資格が認められる。

 だが、トレーナーなら、真の頂点を目指す者なら、ジム戦を突破せずして如何して堂々とリーグに参加できようか。

 

「先手必勝だ! イシツブテ、“たいあたり”!」

「迎え撃てヒトカゲ! “かえんほうしゃ”!!」

 

 そして現在、ソラタの最初のジム戦、ニビジムのジムリーダー・タケシとの戦いが始まっていた。

 タケシのイシツブテが“たいあたり”で突っ込んで来るのに対し、ヒトカゲの“かえんほうしゃ”で迎え撃てば、イシツブテは炎に飲み込まれる。

 

「なるほど、良い威力の“かえんほうしゃ”だ。よく育てられているな」

「それほどでも」

「だが、俺のイシツブテを甘くみるな!! イシツブテ! “こうそくスピン”!!」

 

 炎の中で、イシツブテが高速で回転を始めた。その結果、ヒトカゲの“かえんほうしゃ”は掻き消されてしまって、その勢いのまま回転しながらイシツブテはヒトカゲに突っ込んだ。

 

「カゲェ!?」

「慌てるな! “りゅうのいぶき”だ!!」

 

 炎タイプの“かえんほうしゃ”ではイシツブテも簡単に“こうそくスピン”で掻き消してしまうのかもしれないが、ドラゴンタイプの技ならどうか。

 “こうそくスピン”と“たいあたり”の合わせ技の直撃を受けたヒトカゲは、吹き飛ばされながらも口から今度は“りゅうのいぶき”を放った。

 

「ほう、ドラゴンタイプの技まで覚えているとはな……イシツブテ! “いわおとし”だ!!」

 

 流石はジムリーダー、冷静に“いわおとし”を指示して“りゅうのいぶき”を全て岩で受け止めてしまう。

 

「イシツブテ、一気に決めるぞ! “ころがる”!!」

「ラッシャイ!」

「っ!? ヒトカゲ! “りゅうのいぶき”で押し返せ!!」

 

 突如、視界を塞いだ岩の向こうからイシツブテが転がりながら岩を砕いて突っ込んできた。

 ヒトカゲが“りゅうのいぶき”で迎撃するも、“ころがる”を使用するイシツブテに直撃した瞬間に掻き消されてしまう。

 

「カゲェ!?」

「ヒトカゲ!!」

 

 “ころがる”の直撃を受けたヒトカゲは吹き飛ばされて倒れ込んでしまった。だが、まだ“ころがる”の脅威は終わらない。

 

「立て! 立って回避しろ! まだ来るぞ!!」

「カ、カゲ、カ……ゲェ!?」

 

 “ころがる”は転がり続ける限り速度も威力も増していく。先ほど以上の速度と威力になって突っ込んできたイシツブテに吹き飛ばされたヒトカゲのダメージは、大きい。

 

「どうした? ジム対策を仕込んで来たという割に、今のところこちらが優勢のようだな」

「クソッ……頑張れヒトカゲ! 何とか回避に専念しろ!」

 

 回避の指示を出して、ヒトカゲが転がり続けるイシツブテを避けている間に、ソラタはフィールド全体を見渡した。

 速度を増し続けるイシツブテに、長い時間回避を続けるのは不可能、いずれは避け切れなくなる。だからこそ急ぎ対策を考えなければ、ヒトカゲの敗北は確定する。

 

「何か……何か無いか?」

 

 しかし、辺りを見渡しても特に何も無い。ただ岩のフィールドがあるだけで、何も対抗策になる物など……。

 

「いや、岩のフィールドだからこそ!! ヒトカゲ! 突っ込んで来るイシツブテの軌道を見るんだ!! 自分の前方の地面に“メタルクロー”!!」

「“メタルクロー”だと!?」

 

 転がるイシツブテの軌道を見て、ヒトカゲは自身に迫って来るイシツブテの軌道上、自身の前方の地面を“メタルクロー”で大きく抉った。

 そして、転がり続けるイシツブテは前方で起きた事を確認する事も出来ずヒトカゲが抉った地面に引っかかり、段差となったそこで大きくバウンドして空中に投げ出されてしまう。

 

「しまった!? イシツブテ!!」

「今だ!! イシツブテの真下から渾身の“メタルクロー”!!!」

「カァ……ゲェ!!!!」

 

 イシツブテの真下に入ったヒトカゲが、渾身の一撃を決める勢いで飛び上がって、鋼鉄と化した爪をイシツブテに叩き込んだ。

 

「ラ、ラッシャ……」

 

 ようやく止まったイシツブテは、こうかばつぐんの“メタルクロー”のダメージが大きいのか、苦悶の表情を浮かべてふらふらしている。

 ……今が、好機だ。

 

「ヒトカゲ、決めるぞ! 連続で“メタルクロー”だ!!」

「不味い! イシツブテ! “いわおとし”!!」

 

 ヒトカゲの両手の爪が鋼鉄と化したのを見て、タケシはイシツブテに“いわおとし”を指示、放たれた岩をヒトカゲは鋼鉄の爪で砕いて一気にイシツブテに接近、その無防備な身体へトドメの一撃を叩き込んだ。

 

「カゲェエエエ!!」

「ラッシャ!?」

 

 吹き飛ばされたイシツブテは、フィールドにある岩にぶつかって止まった。そして、審判を務めるジロウ少年がイシツブテを見てみると、目を回して倒れているのを確認する。

 

「イシツブテ、戦闘不能! ヒトカゲの勝ち!」

 

 フラッグがヒトカゲの方へ向けられる。初のジム戦、その1匹目との戦いはソラタとヒトカゲの勝利だ。

 

「よっし! よくやったぞヒトカゲ!!」

「カゲェカ!!」

 

 互いに喜び合っているソラタとヒトカゲを微笑まし気に眺めながらイシツブテをモンスターボールに戻したタケシは、次のポケモンが入ったボールを用意する。

 イシツブテとの試合では、多少の苦戦はあったものの、ソラタの見事な機転とヒトカゲとの連携が逆転の目を導き出した。

 ならば、そんなソラタとヒトカゲに敬意を表して次のポケモンには遠慮なんてさせない。全力で倒しに掛かるつもりで行こう。

 

「イシツブテを倒した戦術は見事だったぞソラタ、君とヒトカゲの息の合ったコンビネーション、そしてソラタの機転とヒトカゲがソラタを心から信じているからこその逆転劇、ジムリーダーとして君達には敬意を覚えてならない」

「タケシさん……」

「だからこそ、次は全力で倒させて貰う!! 行け、イワーク!!」

 

 タケシが投げたボールから出て来たのは、無数の岩を繋いで蛇のような姿にしたような巨大なポケモン、いわへびポケモンのイワークだった。

 

「改めて名乗ろう、俺はニビジムのジムリーダー・タケシ!! 強くて硬い石の男!! そしてコイツは俺の最高のパートナー、イワーク!! 俺とイワークを倒さずして、ニビジム勝利はあり得ないと知れ!!」

 

 何故か上半身の服を脱いで、筋肉質の見事な肉体美を披露しながら、タケシはそう名乗った。

 強くて硬い石の男、前世のゲーム時代のタケシのキャッチコピーを、まさかこうして生で聞けるなど、前世からのポケモンファンとしては堪らない。

 

「では、イワークVSヒトカゲ……開始!!」

「今度はこっちが先手必勝だ! ヒトカゲ、“りゅうのいぶき”!!」

「構うな!! “すてみタックル”!!」

 

 ヒトカゲが放った“りゅうのいぶき”を物ともせず、イワークはその巨体の重量を生かした突進、“すてみタックル”で突っ込んで来る。

 

「飛んでイワークに乗るんだ!」

「カゲ! カ……ゲ?」

 

 突っ込んでくるイワークを飛び上がって回避しようとしたヒトカゲだが、イシツブテ戦のダメージが残っているのか、膝に力が入らず行動が遅れてしまった。

 

「ヒトカゲ!」

「カゲェエエエ!?」

 

 そして、気付いた時には目の前にイワークが迫っていて、“すてみタックル”の直撃を受けてしまった。

 

「カ、ゲェ~……」

「ヒトカゲ、戦闘不能! イワークの勝ち!!」

 

 イシツブテ戦のダメージが残っているところにイワークの“すてみタックル”直撃、これにはヒトカゲもたまらず戦闘不能となり、目を回して倒れてしまった。

 

「戻れ、ヒトカゲ」

 

 手に持ったモンスターボールから赤い光の線がヒトカゲに伸びて、ヒトカゲがボールへと戻る。イシツブテ戦で頑張ってくれたヒトカゲは、後でポケモンセンターでゆっくり休んで貰わなければ。

 

「よく頑張ったな、後は任せて休んでくれ」

 

 ヒトカゲの入ったボールを腰のホルダーに戻して、ソラタは威風堂々とこちらを見下ろすイワークに視線を向けた。

 現在の手持ちで残っているのはイーブイ、ピカチュウ、ピジョンの3匹。内、ピジョンはイワーク相手に有効打を与えられないから却下として、残るは対岩タイプ技を持つイーブイとピカチュウのみ。

 

「……よし」

 

 どちらを出すのか決めたソラタは、ホルダーからモンスターボールを取り外してスイッチを推すと、縮小していたボールを元の大きさにして構えた。

 

「決めるぞ、イーブイ!!」

 

 捕まえたばかりのピカチュウではイワーク相手に勝てる可能性が低い、ならばここは一番の相棒たるイーブイに任せる他に無いだろう。

 

「いぶい!!」

 

 相棒たるイーブイも気合十分なのか、出て来た瞬間から凛々しい表情でイワークと対峙している。

 兄妹のように育ったソラタとイーブイのコンビネーションは、現在の手持ちの中でも一番だ。彼女と一緒なら、ソラタに負けは無い。

 

「イワークVSイーブイ、試合開始!!」

「後が無い、確実に勝つぞ! “つぶらなひとみ”!!」

「何をするつもりかは知らないが、簡単に負けるつもりは無い! イワーク、“すてみタックル”!!」

 

 ここで負ければジム戦はやり直し、それだけは回避したい。必ず勝つと、いう気合を入れてソラタとイーブイはイワークと対峙する。

 勝つのはイーブイかイワークか、ニビジム最後の戦いは今、始まった。




次回、ニビジム戦終わり。
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