ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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第62話 「シャラジム、メガシンカおやじ」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第62話

「シャラジム、メガシンカおやじ」

 

 ジョウトリーグに出場する為、修行期間を設けてカロス地方を旅するソラタは遂に目的地のシャラシティに到着していた。

 このシャラシティはカロスリーグ公認ジムのシャラジムが存在している街であり、このカロスの地ではメガシンカの聖地とも呼ばれている。

 

「確か、シャラジムはマスタータワーの中にあるんだったな」

 

 シャラシティの砂浜から見える離島、そこに聳え立つマスタータワーと呼ばれる塔こそがシャラジムであり、あの場所こそが世界で最初のメガシンカが発現した場所であると言われているのだ。

 

「じゃあ、行くか!」

 

 本来、マスタータワーには引き潮の時でなければ歩いて行けないため、船が必要なのだが、ソラタにはリザードンがいる。

 モンスターボールから出したリザードンの背中に乗り、合図と共にリザードンが空へと飛び立つと真っ直ぐマスタータワーへと向かった。

 

「到着っと、サンキューリザードン」

 

 マスタータワーの扉の前にリザードンを着地させて背中から降りた。

 モンスターボールにリザードンを戻して扉に向き直ると、ゆっくりと扉を開いて中に入り恐らく中に居るであろう人物へと声を掛ける。

 

「ごめんくださーい! シャラジムのジムリーダー、コンコンブルさんはいらっしゃいますかー?」

 

 ソラタがシャラジムに訪れた目的は一つ、現役ジムリーダーのコンコンブルとバトルをする事、メガストーンを手に入れるヒントを得る事、あわよくばバトルに勝利した時にジムバッジではなく目的のポケモンをバッジ代わりに貰えればという事だ。

 特に最後の目的は、カロス地方滞在日数も残り僅かとなり、目的のポケモンをゲットする時間が無くなってしまったから急遽考えた。

 

「これは、随分と威勢の良い礼儀者が来たものじゃ」

 

 奥から出て来たのは灰色のジャージを着た初老の男性、特徴的な眉毛が印象的な彼こそシャラジムの現ジムリーダーにしてメガシンカ親父ことコンコンブルだ。

 

「こんにちは、カントーから来たマサラタウンのソラタと言います」

「ほほう? 君がソラタ君か」

「え……? 俺の事を知って?」

「ああ、プラターヌから話は聞いているとも。ポケモンリーグ・セキエイ大会の君の試合映像も見せて貰った。まだ新米トレーナーだというのに、あれ程のバトルが出来るとは見事だった……一人のトレーナーとして久しぶりに熱くなった良いバトルだったぞ」

「あ、ありがとうございます……」

 

 挨拶もそこそこに、ソラタはシャラジムに来た目的を伝えた。ジョウトリーグに向けた修行で訪れ、コンコンブルとバトルをしたいという事を。

 

「ほほう? だが何故ワシに?」

「コンコンブルさんはカロス地方で最もメガシンカに精通した凄腕のジムリーダーだと聞きました。俺もこれから先、メガシンカを使う事があるのであれば、是非ともコンコンブルさんのバトルから学ばせて貰いたい」

「うむ、成程な……良かろう! ならばワシから条件を出すが構わんか?」

「はい!」

「使用ポケモンは互いに1体、そしてワシは君の使用するポケモンにリザードンを指名する」

 

 リザードンを指名してきた。理由を聞けばリザードンこそがソラタの最強ポケモンであり、手持ちポケモンのエース、ソラタの旅の集大成とも言えるポケモンであるから、との事だ。

 

「わかりました、ではリザードンでお相手します」

「よし、では付いて来なさい」

 

 そう言ってコンコンブルが歩き出したので着いていくと、途中で大きなメガルカリオの像がある広間に出た。

 

「わ、ぁ……これが、メガルカリオの像、世界で最初にメガシンカしたルカリオの」

「よく勉強しておるようじゃな」

「ええ、ポケモンに関する知識はバトルをする上で重要なものですから、どんな些細な知識でも学ぶようにしています。当然、カロス地方のメガシンカやアローラ地方のZワザ、ガラル地方のダイマックスや最近パルデア地方で研究されているというテラスタルなる現象についても」

「感心感心、最近の若者はそこまで自主的に学ぶ者など皆無だと思っておったが、中々どうして……まだまだトレーナー界隈の将来は安泰のようだ」

 

 機嫌良さそうに頷きながら歩き出したコンコンブルに付いていけば、そこはシャラジムのバトルフィールド、多くのトレーナーがカロスリーグ出場を夢見てチャレンジしてきたフィールドだ。

 

「さて、早速だが始めよう……そうじゃな、もしワシに勝ったら何が欲しい? ジム戦ではないからジムバッジが欲しい訳ではないのじゃろ?」

 

 流石にメガストーンは自分で見つける物だから渡せないぞと言うコンコンブルに対し、ソラタはシャラシティに来る前から考えていたポケモンの名を口にした。

 

「リオル」

「む?」

「リオルでも良いですし、リオルのタマゴでも良い。とにかくリオルが欲しいんです……正直、カロスに居られる日数が残り少ないので、リオルをゲットするチャンスがあるか微妙なので」

「ほう……良かろう、将来のジムポケモン用にと孵したばかりのリオルがおる。ワシに勝てばそのリオルをジムバッジの代わりにソラタ君にプレゼントしよう」

 

 この小僧それが目的だろう、などと思いつつリオルを欲しがる辺り良いセンスをしていると気分が良くなったコンコンブルは了承してフィールドに降り立つ。

 ソラタも同じくフィールドに降り立ち、コンコンブルとは反対側のトレーナーゾーンに立ってリザードンが入ったモンスターボールを手に取った。

 

「では行くぞソラタ君、ゆけルカリオ!!」

「バオゥ!!」

「頼むぞリザードン!!」

「グルォオ!!」

 

 リザードン対ルカリオ、タイプ相性で言えば圧倒的にリザードンが有利だが、コンコンブルほどのジムリーダーを相手にタイプ相性で有利だからと安心する事は出来ない。

 

「ここは先手必勝だ! リザードン! “かえんほうしゃ”!!」

「グルゥ! リザアアアア!!!」

「避けるんじゃルカリオ、“かげぶんしん”」

「バオゥ!」

 

 リザードンの“かえんほうしゃ”はルカリオが“かげぶんしん”で回避、無数に現れた分身の一体を消し飛ばすだけに終わる。

 だが、既にリザードンは動き出しており、翼を広げて宙を舞っていた。

 

「“エアスラッシュ”!!」

「成程、良い判断じゃ」

 

 リザードンが放った“エアスラッシュ”の刃が無数の分身を消し去りルカリオ本体をあぶり出した。

 咄嗟に両腕をクロスして防御するルカリオだが、耐え切れず後ろへ吹き飛ばされる。

 

「畳み掛けろ! もう一度“エアスラッシュ”!!」

「グルゥ!!」

「“かげぶんしん”」

 

 吹き飛ばされたルカリオが再び分身を作り出した。飛来する風の刃はルカリオの分身体を全て消し飛ばすも、ルカリオの本体がいない。

 

「っ!? 上だ!!」

「リザッ!?」

「遅い! “かみなりパンチ”!!」

 

 いつの間に飛び上がっていたのか、リザードンの真上に居たルカリオが落下の勢いを利用した“かみなりパンチ”をリザードンの背中に叩き込むと、そのままリザードンはフィールドへと叩き付けられてしまった。

 

「リザードン!」

 

 土煙に消えたリザードンだったが、煙が晴れるとダメージこそあるものの、まだまだ余裕がありそうなリザードンがソラタに向かって右手親指を立てながら不敵な笑みを浮かべていた。

 

「よし、なら行くぞ! 飛べ!!」

「グル!」

「ほう?」

「そのまま“りゅうのまい”だ!」

 

 ソラタが選んだのはリザードンの物理攻撃力と素早さを上げる“りゅうのまい”だった。リザードンは空を飛べる分のアドバンテージがあるとは言え、リザードンより小柄なルカリオの方が素早さは上、ならば素早さを上げて追い付けるようにすれば良いと判断したのだ。

 

「なるほど……では見せて貰おうか、“はどうだん”!!」

 

 ルカリオが宙を舞うリザードンに向けて“はどうだん”を放った。しかし、先ほどよりも素早さの上がったリザードンは余裕で回避しつつ驚異的な速度でルカリオに迫ると、両手を緑色のドラゴンのオーラで包み込む。

 

「“ドラゴンクロー”!!」

「迎え撃て、“かみなりパンチ”じゃ!」

 

 急降下して来るリザードンに対してルカリオも飛び上がって迎撃、空中で“ドラゴンクロー”と“かみなりパンチ”がぶつかり合って衝撃がフィールド全体に広がった。

 

「グルゥ」

「バオゥ」

 

 リザードンもルカリオも、互いに不敵な笑みを浮かべると再び距離を取り睨み合う。

 

「うむ、良き育て方をしておるな……ならばこれを使って戦う資格は十分のようじゃ」

 

 コンコンブルがキーストーンの付いたグローブを左手に装着すると、共鳴するようにルカリオの左腕に付いた腕輪のルカリオナイトが光り出す。

 

「ゆくぞ! メガシンカ!!」

 

 いよいよ本番だ。ここまでは通常のルカリオで戦っていたコンコンブルだったが、やはり彼の、カロス地方のジムリーダーの大半はメガシンカこそが本領、正しく本気のバトルが出来るとソラタもリザードンも緊張と期待で胸が高鳴った。

 

「バオオオオゥッ!」

 

 コンコンブルとルカリオの間に光のラインが繋がり、ルカリオの全身が光に包まれると姿を変えた。

 光が止んだ時、そこに立っていたのは通常のルカリオではなく、メガシンカを果たしたメガルカリオだ。

 

「来たか、メガルカリオ……リザードン、気合入れろ」

「リザッ!」

 

 先ほどとは比べ物にならない波動の力が肌で感じ取れる程の威圧感を放つメガルカリオを前に、ソラタもリザードンも気合を入れる。

 初のメガシンカポケモンとのバトルに、闘志を燃やすソラタとリザードンに呼応するように、ソラタの腕輪のキーストーンが一瞬輝いた事に気付いていたのは、コンコンブル唯一人だった。




次回はメガルカリオとの本格バトル!
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