ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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いよいよシャラジム終了です


第63話 「メガシンカ」

ポケットモンスター

転生したのは始めに旅立った子供

 

第63話

「メガシンカ」

 

 ジョウトリーグ出場に向け、カロス地方で修行の旅を続けるソラタは修行の一環としてシャラシティのシャラジムに来ていた。

 シャラジムのジムリーダーであるコンコンブルと、そのパートナーであるルカリオとのバトルにリザードンで挑んだソラタは前半、互角の勝負をして見せたのだが、ソラタとリザードンの力を認めたコンコンブルはキーストーンの付いたグローブを装着、ルカリオをメガルカリオへとメガシンカさせる。

 リザードン対メガルカリオ、強力な波動が物理的な圧力となって襲い掛かる中、後半戦が始まった。

 

「リザードン! “かえんほうしゃ”!!」

「グルゥ! リザアアアアア!!!」

「波動で薙ぎ払え」

 

 リザードンの十八番、“かえんほうしゃ”が放たれるも、メガルカリオは右腕を横に一閃するように振るだけで波動が“かえんほうしゃ”に襲い掛かり掻き消してしまった。

 

「グルッ!?」

「嘘だろ……!」

「“はどうだん”じゃ」

「バウ!!」

 

 驚いている隙にメガルカリオが“はどうだん”を発射、その速度は通常のルカリオの時の比ではなく、回避は間に合わないと判断したリザードンはソラタの指示を待つ事無く“ドラゴンクロー”で迎撃しようとしたのだが……。

 

「グルガァアアア!?」

「リザードン!?」

 

 簡単に押し負けて“はどうだん”が直撃、フィールド上から壁まで吹き飛ばされ、壁に激突したリザードンは大ダメージを受けているのが傍目からでもよく判る。

 

「嘘だろ……効果いまひとつの“はどうだん”で、ここまでダメージを受けるなんて」

「これがメガシンカの威力! たとえ相性の悪い相手であろうと薙ぎ払う圧倒的な力! トレーナーとポケモンの絆が生み出す力の強さじゃ!」

「絆の力……成程、それは確かに強力な力だ」

 

 メガシンカしたポケモンは強い、それは知っている。実際ソラタも前世ではゲームで使用していたし、アニメでも見ていた。

 だが、こうして実際に現実で目の当たりにすると違う。ゲームやアニメでは感じられなかった威圧感が、肌にビリビリと来るこの感覚が、目の前のメガルカリオという存在の強さを実感させる。

 

「リザードン、行けるか?」

「グルゥ」

 

 いつの間にか起き上がっていたリザードンがソラタの横まで歩いてきて立ち止まったのを感じ、メガルカリオに視線を向けたまま問いかけたソラタにリザードンが頷く声が聞こえた。

 リザードンとて感じているであろうメガルカリオの威圧感、しかしそれは二人にとって恐怖ではない。

 

「燃えるよな」

「リザッ」

 

 むしろ、その威圧感が燃料となってソラタとリザードンの闘志をより熱く、激しく燃え上がらせる。

 

「燃え上がれリザードン! “エアスラッシュ”!!」

「リザッ! リザァアアア!!」

「むぅっ!? “かげぶんしん”!」

 

 これは波動では掻き消しきれないと判断したコンコンブルはメガルカリオに“かげぶんしん”を指示、先ほど以上の数の分身がフィールドに現れるが、一瞬にして空気の刃が分身達を切り裂いてしまった。

 

「なんという威力……先ほどまでより、威力が上がっている」

「まだまだ! リザードン! 地面に“ドラゴンクロー”!!」

 

 メガルカリオが動く前に、ソラタは更に指示を出した。リザードンの“ドラゴンクロー”が足元の地面に叩き付けられると、大きな音と共に地面が抉れて土煙が立ち上り、リザードンの身体を含むフィールドの半分を覆い隠してしまう。

 

「む、マズイ! ルカリオ! 波動でリザードンの居場所を探って“はどうだん”じゃ!」

「リザードン! そのまま“りゅうのまい”だ! 土煙が晴れるまで舞って“はどうだん”を回避!!」

 

 メガルカリオが目を閉じて“はどうだん”の構えになった。フィールド全体の波動を探り、土煙に消えたリザードンの波動をキャッチすると目を閉じたまま生成した“はどうだん”を発射する。

 一切の迷い無く放たれた“はどうだん”は土煙の中に侵入して真っ直ぐリザードンへと飛来、だがヒトカゲの頃から極度の視界不良状況でのバトル訓練を徹底して仕込まれたリザードンは土煙を物ともせず“りゅうのまい”で舞いながら回避した。

 それは仲間のキレイハナがタマムシジムのジムリーダー、エリカのリーフィアの戦術を模倣して己の十八番とした回避戦術、ポケモンリーグ・セキエイ大会でシズホのバクフーンに敗北した悔しさをバネとし、キレイハナから教わったものだ。

 

「ふむ……ルカリオ、飛び込んで接近戦じゃ! “かみなりパンチ”!」

「バオウッ!!」

「迎え撃てリザードン! “ドラゴンクロー”!!」

 

 土煙の中、飛び込んだメガルカリオとリザードンの拳と爪がぶつかり、その衝撃が土煙を吹き飛ばした。

 土煙が晴れたそこには激しい応酬を繰り広げるリザードンとメガルカリオの姿があった。

 そして、メガルカリオの拳がリザードンの頬に突き刺さった瞬間、その腹にリザードンの爪が叩き込まれ、追撃で至近距離からの“かえんほうしゃ”によってメガルカリオが炎に飲み込まれる。

 

「よし!」

「甘い! ルカリオ、“みずのはどう”!!」

 

 “かえんほうしゃ”に飲み込まれたメガルカリオだったが、突如炎が掻き消されて代わりに波動を纏った水の塊が至近距離からリザードンに直撃した。

 効果抜群の水タイプの技を受けて吹き飛ぶリザードンを追ってメガルカリオが飛び上がると、そのままリザードンの真上から腹部目掛けて雷を纏った拳を振り下ろす。

 

「グルァ!?」

 

 地面に叩き付けられ、そのあまりの衝撃にクレーターが出来上がった。その中心で倒れるリザードンは大ダメージを受けた為か起き上がれず苦しそうに呻いている。

 

「リザードン……」

「うむ、確かに君のリザードンは強い! リーグ優勝者レベルの実力と見た。だがリーグ優勝した先、チャンピオンリーグでは通用するじゃろうが、まだまだ四天王やチャンピオンと戦うには不十分じゃ」

「……っ!」

 

 自覚はしていた。確かにリザードンは強くなったと思うし、リーグ優勝レベルの実力はあるとは思っていたが、それでも嘗て戦ったシロナのガブリアスに通用するかと問われれば、まだ届かないと言わざるを得ない。

 現に、今もこうして本気のジムリーダーにすら敗北しようとしている。まだまだ上には上がいるのが現実だ。

 

「グルゥッ!!」

 

 ソラタが俯き、握り拳を振るわせる中、クレーターの中からリザードンの声が聞こえた。見ればリザードンは片膝こそ着いているものの、何とか起き上がってボロボロの状態ながらもメガルカリオを睨んでいるではないか。

 

「ほう? そこまでボロボロになりながらも、まだ諦めておらんか……成程、根性だけは一級のようじゃな」

 

 だがそれももう終わりだ。コンコンブルがメガルカリオに目を向けると、彼もそれに頷いて返し“みずのはどう”の構えを取った。

 そして、即座に発射された水の塊がクレーターの中の逃げ場が無いリザードンに迫る中、何を思ったのかリザードンは足元にあった石の塊を拾い上げて“みずのはどう”目掛けて投げつける。

 

「無駄なあがきを……む?」

 

 唯の石の塊の筈なのに、何故か“みずのはどう”が止められてしまった。勿論、石の塊とて無事では済まず、全体が罅割れて崩れ落ちるように崩壊してしまったのだが、その中から青くて丸い石が出て来た事でコンコンブルの表情が変わる。

 その石は全体が青み掛かった透明な石で、中に黒と青の模様が入っている。コンコンブルの見間違いでなければあれば、間違いなく……。

 

「まさか、メガストーンじゃと!? このジムの地面の中にか!?」

 

 無意識の内に、リザードンは目の前に落ちて来た石をキャッチして己の眼前に翳した。判る、これは己に必要な物だという事が、己と主であるソラタを深く結びつける物だという事が。

 

「リザァ!」

「……ああ」

 

 ソラタも、リザードンがキャッチした石を見て、それから己の腕輪に付いているキーストーンに目を向けると頷いた。

 

「行くぜリザードン!! 俺達の絆、その果ての力を今ここに!! メガシンカ!!!」

 

 リザードンとソラタの間を光が繋いだ。キーストーンとメガストーンが輝き、メガストーンがリザードンに飲み込まれるように消えると、リザードンはその姿を大きく変える。

 翼の形が変わり、口の横から炎が現れ、身体の色が黒く染まって炎の色も青へと変色したその姿は、メガリザードンXだ。

 

「グルァアアア!!!!」

「何と……まさか、この土壇場でリザードナイトXを手に入れてしまうとは……やはり彼は、選ばれたトレーナーという事か」

 

 飛び上がってクレーターから出て来たメガリザードンXは両手の爪を緑色のオーラで覆いながらメガルカリオを睨んでおり、メガルカリオも拳に雷を纏って睨み返した。

 

「“ドラゴンクロー”!!」

「“かみなりパンチ”!!」

 

 メガシンカしたポケモン同士の技がぶつかった。先ほどはリザードンがパワー負けしていたが、今は互角か、いや逆にメガリザードンXの方が威力が優っている。

 

「むぅ!?」

「バゥゥ!?」

「“かえんほうしゃ”!!!」

「リザァアアアアア!!!!」

 

 再び至近距離からの“かえんほうしゃ”、流石に防御が間に合わなかったメガルカリオは大きく吹き飛ばされてコンコンブルの前に着地した。

 

「……うむ」

 

 コンコンブルは冷静にメガルカリオの様子を確認し、そしてメガリザードンXの様子も観察すると、何かを判断してメガルカリオの肩に手を置いた。

 

「ここまでじゃ」

「……え?」

「今の一撃でルカリオの体力は限界じゃ。そしてリザードンもまた体力が限界じゃろう、これ以上は危険だと判断した」

 

 その言葉と共にメガルカリオが元のルカリオに戻ったので、メガリザードンXもリザードンに戻った。

 

「あの、コンコンブルさん」

「……心配せんでもリオルはあげよう。お主とリザードンの絆の強さ、良いものを見せて貰った礼じゃ」

 

 ついでにと、コンコンブルはリザードナイトXをリザードンに持たせる為にとリザードン用の腕輪を用意してくれた。

 腕輪にはメガストーンを取り付けられるようになっており、早速リザードナイトXを取り付けてリザードンの腕に巻くと、リザードンは少し誇らしげにリザードナイトXを見る。

 

「ソラタ君」

「はい」

「今回、君はリザードンをメガシンカさせる手段を手にした」

「はい」

「だが、まだまだメガシンカしただけでは不足しているのは理解しているはずじゃ」

「勿論です」

 

 当然だ。メガシンカしたからチャンピオンに通用するくらい強くなる筈が無い。ソラタもリザードンも、これから更に強くなる為に修行を続けて、まずはジョウトリーグを制覇しなければならないのだ。

 そして、ジョウトリーグを優勝するには、必ず立ち塞がる壁を乗り越えなければならない。ソラタにとっての永遠のライバル、シズホという壁を。

 

「今日のバトル、絶対に忘れません。このバトルで学んだ事を、これからに活かして必ず、チャンピオンになってみせます」

「ああ、新チャンピオンとしてソラタ君の名を聞ける日が来るのを楽しみにしているぞ」




次回はカロス修行編の最後、次々回からはアローラ修行編になる予定です。
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