ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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オリキャラ登場します


第68話 「新米トレーナー」

ポケットモンスター

転生したのは初めに旅立った子供

 

第68話

「新米トレーナー」

 

 ジョウトリーグに出場する為、旅をしているソラタはカントー地方からジョウト地方へと来ていた。

 ジョウト地方に来て最初に訪れたのは始まりを告げる風が吹く町、ワカバタウン。ソラタのライバルであるシズホの出身地でもある。

 ワカバタウンに来たソラタは先ず最初にウツギ研究所へ向かっていた。ソラタが嘗てフカマルのタマゴを貰った経緯、それにウツギ博士も関わっているので一応挨拶をしておくべきだと思ったからだ。

 

「ごめんくださーい」

 

 ウツギ研究所に着いて呼び鈴を鳴らすと、中から白衣姿にメガネを掛けた男性が出て来た。間違いない、彼こそジョウト地方のポケモン博士にしてポケモンのタマゴを始めとする進化の研究をしているウツギ博士だ。

 

「おや、君は……?」

「はじめまして、俺はマサラタウンのソラタって言います。オーキド博士、プラターヌ博士、チャンピオンのシロナさんとの共同研究のフカマルのタマゴを貰ったトレーナーって言えばわかりますか?」

「ああ! あの研究の!! 話は聞いてるよ!」

 

 是非話を聞かせてくれと言われて研究所に入れて貰ったのだが、そこで一人の少女が図鑑を手に立ち尽くしているのに気付いた。

 

「あ、しまった! ごめんねククリちゃん、君の事を忘れてた!」

「え~……っと、あの、その人は、もしかして!」

 

 黒い短パンにピンクと白のジャケットを着た明るい茶色のセミロングの髪の少女はククリと言うらしい。見た所、今日ポケモンを貰って旅立つ新人トレーナーといった所か。

 

「ああ、ククリちゃん。彼はソラタ君、ポケモンリーグ・セキエイ大会ベスト4という好成績を残した凄腕トレーナーだ」

「やっぱり! テレビで試合映像見ました!」

「あ、ありがとう」

「ソラタ君、彼女はククリちゃん。見ての通り、今日から旅立つ新人トレーナーだよ」

 

 なるほど、やはり新人だったらしい。という事はウツギ博士から新人用のポケモンを貰ったばかりなのだろう。

 

「あ、いや実はね……彼女は元々シンオウ地方の出身で、家の都合でジョウトに引っ越してきたばかりなんだ。一応、引っ越し前にナナカマド博士から初心者用のポケモンを貰ったらしくて、今日は図鑑だけ渡すために来て貰ったんだ」

「シンオウから……」

「はい! 私、シンオウに居る時にテレビでソラタさんの試合を見てからずっと憧れてて、まさか旅立ちの日に会えるなんて!」

 

 少し気恥ずかしいが、一先ずククリの事は置いておく。ウツギ博士から是非ともガブリアスを見せて欲しいと言われたので、早速ボールからガブリアスを出せば流石はシンオウ出身だけあってククリが興奮した。

 

「凄い! チャンピオンのシロナさんと同じガブリアスだ!」

「ああ、そっか……シンオウ出身ならシロナさんとガブリアスを知ってて当然か」

 

 ウツギ博士がガブリアスの観察を始めたので手持無沙汰になったソラタはククリが是非とも貰ったポケモンを見て欲しいと言うので、見せて貰う事になった。

 ククリがモンスターボールを取り出してポケモンを出すと、中から出てきたのはシンオウ地方の御三家が一体、草タイプのナエトルだった。

 

「ナエトルか! 良いポケモンを貰ったな」

「そ、そうですかね?」

「ああ、最終進化のドダイトスは草・地面タイプで、物理耐久とパワーに優れたポケモンなんだ」

 

 歴代御三家草タイプの中でもトップクラスの優良ポケモンと言っても良いのではないかと個人的には思っているソラタだ。

 

「あの! もし良ければバトルを教えてくれませんか? 私、ジョウトリーグ出場を目指しているんですけど、まだまだ新米で知識もそんなに無いから教えて欲しいんです!」

「バトルを……」

 

 確かに初心者トレーナーの面倒を見るのも先輩トレーナーとして悪い手ではないか。

 

「ウツギ博士、庭をお借りしても良いですか?」

「ああ、構わないよ」

 

 許可が出たので早速ソラタはククリを連れて研究所の庭に出ると、ククリとナエトルの前に立った。

 

「じゃあ、実際にバトルをしてみながら教える形で良いか?」

「はい!」

「よし……それじゃあ」

 

 どのポケモンが良いだろうかと考えて、ウツギ博士の所にいるガブリアス以外の現在の手持ちを確認、リザードンとニンフィアは初心者相手にレベルが高すぎるから論外として、草タイプのナエトルを相手にある程度手加減の出来るポケモンとなると、最近ヤヤコマから進化したばかりのヒノヤコマも除外、なら残るポケモンはラルトスとゾロアだが……。

 

「よし、出てこいゾロア」

 

 悩んだ結果、選んだのはゾロアだった。

 

「わう!」

「わぁ! ゾロアだ! 可愛い!!」

 

 シンオウ地方にゾロアは生息していない筈なのにククリはゾロアを知っていた。新米トレーナーにしては珍しい。

 

「ゾロアを知っているのか?」

「えっとですね、シンオウ地方が大昔はヒスイ地方って呼ばれていたのは知ってますか?」

「ああ、歴史の授業で習った気がするな」

「シンオウ地方がまだヒスイ地方だった頃はゾロアが生息していたらしいんです。今はもう生息していないらしいですけど、本に載ってた絵に昔のゾロアと今のゾロアの違いが描かれてたので、それで知ってたんですよ」

 

 なるほど、それならば知っていても不思議ではない。

 

「まぁとりあえず話はここまでにして始めるが……そうだな、まずはポケモン図鑑でナエトルの使える技を確認すると良い」

「はい! えっと、ナエトルの使える技は……」

『ナエトルの使用出来る技は、“たいあたり”、“からにこもる”、“はっぱカッター”、“すいとる”』

 

 図鑑が教えてくれた情報を確認し、早速だがゾロアとナエトルでバトルを始める。先行はビギナーズラックというか、教わる側であるククリとナエトルに与えた。

 

「うぅんと、じゃあ“たいあたり”!」

「ナェトゥ!」

 

 ナエトルが勢いよく走り出しゾロアに突撃してくる。“たいあたり”は初心者トレーナーにとっては基本技だがハッキリ言って威力が弱いので、その間にソラタも準備をする事に。

 

「“わるだくみ”だ」

 

 少し大人げないかなとは思うが、こういった補助技も重要だと教えるために敢えて使った。

 

「わる、だくみ……?」

 

 ナエトルの“たいあたり”を耐えきったゾロアが一瞬光ったのを見て“わるだくみ”を知らないのかククリが首をかしげる。

 

「ほら、トレーナーは瞬時に状況を判断してポケモンに指示を出す! 本物のバトルでは相手は待ってくれないぞ」

「は、はい! ええっと、ええっと……“はっぱカッター”!」

「“まもる”だ」

 

 ナエトルが放った“はっぱカッター”はゾロアが“まもる”で展開したシールドに阻まれて力無く地面へと落ちてしまった。

 それを見てククリはどうしたら良いのか判らなくなったのか指示を出せずにオロオロしてしまっている様子。

 

「う~ん……まぁ仕方ないか。ゾロア、軽めの“バークアウト”」

「わう」

 

 “わるだくみ”で威力を上げなくても良かったなと思いつつ、“バークアウト”が直撃して転がるナエトルを苦笑しながら見つめるソラタ。

 ククリは足元に転がって来たナエトルを見てガックリと肩を落としてしまった。

 

「今は使える技も少ないから選択肢も無いし仕方ないけど、本来ならトレーナーが指示を迷ったりオロオロするのは厳禁だ。トレーナーが迷えばポケモンだって迷ってしまう、バトル中にそんな姿を見せれば好きに攻撃してくださいって言っているようなものだからな」

「はいぃ」

 

 話をしながらソラタはリュックから“きずぐすり”を取り出してナエトルに使用、体力が回復したナエトルは目を覚まして元気に跳び起きた。

 

「ナ、ナエ?」

「ナエトル! 良かったぁ」

「トレーナーの心得、こういった“きずぐすり”などの治療道具は必ず持ち歩く事、これはトレーナーの義務だ」

「はい!」

 

 幸い、ソラタは予備も含めればそれなりの量を持っているので少しだけククリに分けてあげた。

 

「道具の名称と効能はわかるか?」

「……“きずぐすり”しかわかりません」

「あ~……」

 

 そこからかぁ、などと思いつつも、これも必要な事だからとククリに渡した“きずぐすり”、“なんでもなおし”、“いいきずぐすり”について説明する事に。

 

「ソラタ君、ありがとう。ガブリアスの観察は終わったから返すよ」

 

 道具の説明をしていると、研究所から庭に出てきたウツギ博士が隣に立つガブリアスの肩を軽く叩いて笑っていた。

 観察結果がそれほど良かったのだろうか、随分とご機嫌なのはまぁ良いとしてガブリアスをボールに戻すとゾロアも戻してリュックを背負う。

 

「さて、ガブリアスも戻ってきたし俺はそろそろポケモンセンターへ行きます」

「ああ、ジョウトリーグ出場エントリーかい?」

「ええ、そのまま一泊して明日にはワカバタウンを出ようかと」

 

 ソラタとウツギ博士の会話を聞いていたのか、ククリは慌ててナエトルをボールに戻してソラタから貰った道具を自分のリュックの中に入れると、ソラタの横に立って見上げて来た。

 

「あの! お願いします、私も一緒に連れて行って下さい!」

「一緒にって……」

「私、もっともっとソラタさんにバトルを教わりたいんです! 勿論、ソラタさんにもリーグ出場の為に修行とかあるとは思うので、絶対に邪魔だけはしませんから、お願いします!!」

 

 勢いよく頭を下げて頼み込んでくるククリに、流石のソラタも困った表情を浮かべてしまう。

 正直、一人旅が長かったのでジョウトでも一人で旅する予定をしていた。修行も当然一人でと考えていたので、ある程度の予定も組んでいたのだ。なのでククリを一緒に連れて行くメリットが無い。

 

「私からもお願い出来ないかな?」

「ウツギ博士……」

「君の懸念も判るよ。でも、一つアドバイスをするなら誰かに教えるというのは、意外と教えている本人にとっても学びを得る事が出来るという事だね」

 

 なるほど、言っている事は一理あるし理解も出来る。確かに人に何かを教えるというのは意外と難しいもので、生徒と教師は共に学んで成長するものだと聞いた事があった。

 

「わかった、じゃあ一緒に来ても良いけど、教わるからには徹底的に扱くからな?」

「覚悟の上です! 師匠!!」

「し、師匠……?」

「はい! だってソラタさんは私にバトルを教える先生になってくれるって事ですよね? なら師匠って呼ばないと!」

 

 こうして、ジョウト地方最初の町で出会った少女、ククリはソラタの弟子となった。この出会いが後にソラタにとっても良い刺激となる大事な出会いであったと知る事になるとは、今はまだ誰も知らない。




今回、この新キャラであるククリちゃんですが、以前からリクエストがありまして考案したキャラクターです。
シンオウ地方マサゴタウン出身で、ナナカマド博士からナエトルを貰ったばかりで、本来であればそのままシンオウ地方を旅する予定だったのですが、実家の都合でジョウト地方ワカバタウンに引っ越す事になり、今回の話に繋がりました。
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