ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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ククリ、ジム戦挑戦です。


第72話 「ククリ、初のジム戦」

ポケットモンスター

転生したのは初めに旅立った子供

 

第72話

「ククリ、初のジム戦」

 

 ジョウトリーグに出場する為、旅を続けるソラタはジョウト地方最初のジムであるキキョウジムに挑戦していた。

 飛行タイプの使い手であるジムリーダー・ハヤトを相手にホーホー、ドードリオを撃破したソラタもイワンコが敗れ、アマルスでハヤトの三体目のポケモンであるピジョットを相手する事になり、そのジャブとも言える初手はピジョットの速度を奪う“でんじは”から始まった。

 

「なるほど、確かに“でんじは”はピジョット相手に有効だ。しかも厄介な事に天候が“雪”の現状、長期戦は出来ない……面白い!」

「アマルス、最初から一気に決めるぞ! “ふぶき”だ!」

 

 麻痺して痺れる身体を気にしながら飛ぶピジョットの飛行速度は“こうそくいどう”を使っていても遅くなっているのが判る。

 辺りに降る雪が“ふぶき”によって全方位からピジョットに襲い掛かる中、必中の“ふぶき”のダメージを最小限にする事は不可能だと考えて、一気に勝負に出たソラタだったが、対するハヤトに焦りの表情は浮かんでいなかった。むしろ、余裕の笑みすら浮かべているではないか。

 

「ソラタ君、俺がピジョットに氷タイプ対策を施してない訳がないだろう? ピジョット、“ねっぷう”!!」

「そう来たかっ!」

 

 迫り来る全方位から襲い掛かる“ふぶき”に対してピジョットは空中で静止すると大きな翼を広げて高熱のエネルギーを纏うと、思いっきり扇いで超高温の“ねっぷう”を放った。

 “ふぶき”と“ねっぷう”がぶつかり、氷が解けて蒸発した事による水蒸気がピジョットを覆い隠すように立ち込める中、水蒸気の中からピジョットが一気に急降下してアマルスに迫ってくる。

 

「アマルス! もう一度“ふぶき”だ!」

「遅い! “はがねのつばさ”!!」

 

 上空からの落下を利用する事で麻痺によって遅くなった飛行速度を補ったピジョットの速度は相当なもので、アマルスが“ふぶき”を放とうとした時には既に遅く、鋼のエネルギーを纏った翼の一撃が叩き込まれてしまった。

 

「マァ~……」

「アマルス、戦闘不能! ピジョットの勝ち!!」

 

 いくら“オーロラベール”を使っていたとしてもドードリオの“けたぐり”とピジョットの“はがねのつばさ”、4倍弱点の技を2回も受けてしまっては進化したアマルルガだったなら兎も角、今のアマルスでは耐えられない。

 目を回して倒れたアマルスをボールに戻すと、ソラタも最後のポケモンが入ったモンスターボールを取り出してハヤトのピジョットを見る。

 己も持っているからこそ、ピジョットの事はよく判る。特性も、戦闘スタイルも、弱点に対する対策も、その全てを理解しているからこそ最後のポケモンはコイツしかいない。

 

「頼むぞ、ファイアロー!!」

 

 ついこの前までヒノヤコマだったが、キキョウシティに到着する前に進化する事が出来たファイアロー、進化したばかりで不安はあるが麻痺が残るピジョットが相手なら十分に勝算はある。

 もし、ピジョットが麻痺していなければライチュウの出番だったが、麻痺したピジョットなら問題ないと判断した結果だ。

 

「ほう! カロス地方のファイアローか! 俺も欲しいと思っていたんだ」

「同じ飛行タイプ同士で決着というのも、良いものだと思いましてね」

「フッ……粋な真似を」

 

 そして、審判の合図と共にファイアローとピジョットのバトルが始まった。

 

「ファイアロー! “ニトロチャージ”!!」

「ピジョット! “こうそくいどう”だ!!」

 

 ファイアローが炎に包まれながら飛び、ピジョットも痺れる身体を駆使して高速で飛行を始めた。

 ファイアローとピジョットの上空での飛行勝負、本気で飛べば速度がマッハ2に到達するピジョットも麻痺が残る身体では然程速度は出せず、逆にニトロチャージで速度が上昇するファイアローに追い付かれ始める。

 

「ピジョット! “はがねのつばさ”だ!!」

「ファイアロー! “つばめがえし”だ!!」

 

 ピジョットとファイアローの翼が交差した。それと同時に互いに距離を取りつつ旋回、これこそが飛行タイプ同士によるヒットアンドアウェイの戦いだ。

 

「もう一度“ニトロチャージ”!!」

「もう一段上げて来たか!」

 

 再度炎を纏ったファイアローの飛行速度が更に上がった。麻痺の残るピジョットでは流石に追い付かれてしまったのか若干悔しそうな顔をしている。

 

「ピジョット! こうなったらお前の切り札だ! “ブレイブバード”!!」

「迎え撃てファイアロー! “フレアドライブ”!!」

 

 ピジョットが青いオーラを、ファイアローが更に強力な炎を纏って互いに真正面からぶつかった。

 大技の激突に衝撃が地上にまで届き、そして勝負の末に地面に落ちて来たのは……ピジョットだった。

 

「ピ、ジョ~……」

「ピジョット、戦闘不能! ファイアローの勝ち! よって勝者、マサラタウンのソラタ!!」

 

 見事、大技の激突を征して勝利を納めたファイアローが降りてきてソラタの横に静止した。

 それを見て笑みを浮かべながらピジョットをボールに戻したハヤトは懐から目的の物を取り出してソラタに歩み寄る。

 

「おめでとうソラタ君、やはりセキエイ大会ベスト4の実力は見事だったよ……受け取ってくれ、キキョウジム攻略の証、ウイングバッジだ」

 

 翼を模したバッジを受け取ったソラタは真新しいバッジケースをリュックから取り出して納めると目を輝かせている弟子に目を向けた。

 

「師匠! おめでとうございます!!」

「ありがとう、明日はククリの番だな」

「頑張りますよ!」

 

 新米トレーナーのククリがハヤトとバトルする時は、流石にハヤトも新米トレーナーが相手の場合のポケモンを使用するだろうから、今回見たポケモン達は参考にはならない。

 だが、ジム戦の空気を実際に感じられたのは彼女にとっては良い経験になった筈。明日のバトル、実に楽しみになってきた。

 

 

 ソラタのジム戦が終わってキキョウシティのポケモンセンターに一泊した二人は翌朝、再びキキョウジムを訪れていた。

 この日はククリのジム戦、ククリ本人もポケモン達も体調などのコンディションは十分で、若干の緊張は感じられるものの、気負っている様子は無さそうだ。

 受付を済ませて昨日と同じようにエレベーターで最上階のフィールドへ向かえば既にハヤトが待っていて、笑顔で出迎えてくれる。

 

「おはようソラタ君、それにククリさん……今日はククリさんのジム戦だったね、よろしく頼むよ」

「よ、よろしくお願いします!」

「ああ、でも緊張しないでリラックスすると良い。緊張していては満足いく指示が出来なくなってしまうからね」

 

 少し緊張している様子のククリにバトル前だというのにハヤトはアドバイスをしてくれた。

 流石はジムリーダー、ジム戦に初挑戦するトレーナーの心理を理解しているからこそのアドバイスだ。

 

「これよりジム戦を行います! 使用ポケモンは互いに2体、先に相手のポケモン全てを倒した方が勝利となります。尚、ポケモンの交代はチャレンジャーにのみ認められます」

 

 ハヤトとククリが向かい合わせでトレーナーゾーンに入り、ソラタが昨日とは違って観客側に立つと審判が早速ルール説明を始めた。

 使用ポケモンが2体なのは新米トレーナー向けのルールらしく、ソラタの時とは若干異なっているのが面白い。

 

「では先ず俺のポケモンはコイツだ! 行け、ポッポ!」

「ポー!」

「ポッポ……ならこっちは、行って! ホーホー!」

 

 ハヤトのポケモンはポッポ、対するククリはホーホー、互いに飛行タイプのポケモン同士のバトルとなった。

 

「ポッポVSホーホー、バトル開始!」

「ビギナーズラックだ、先手を譲ろう」

「な、なら遠慮なく! ホーホー! 飛びながら“めいそう”!」

「……へぇ、教えを活かしてるな」

 

 ククリの指示によってホーホーが飛びながら“めいそう”を行って特殊攻撃力を上げた。補助技について旅に出てから有用性を教えて来たが、しっかり教えを吸収して実戦で使えている事にソラタも満足していた。

 

「追うんだポッポ! “でんこうせっか”!」

 

 ハヤトもホーホーが何をしようとしているのか理解したのだろう。流石にマズイとポッポに“でんこうせっか”を指示、ポッポが素早い動きで飛行しながらホーホーに迫る。

 

「来た! “ねんりき”!!」

「“いばる”だ!」

「うわぁ……ハヤトさん、容赦無いなぁ」

 

 ホーホーが“ねんりき”を発動する前にポッポが“いばる”を放った。結果としてホーホーは混乱してしまい目を回しながら“ねんりき”を自分に使ってしまう。

 

「ホーホー!?」

「慌てるなククリ! ホーホーは混乱しているだけだ」

「こ、混乱……」

 

 ポケモンの状態異常については最初の頃に教えている。当然、混乱状態についても教えているのでククリはそれを思い出しながらホーホーを見た。

 

「もう一度“ねんりき”! ホーホー、お願い!」

 

 混乱していても必ず自分を攻撃するわけではない。ちゃんと相手を攻撃する事もあるのだと教えているので一か八か、ククリはホーホーに攻撃を指示する。

 だが残念ながら今回ははずれ、再び自分を攻撃してしまい隙が出来てしまった。

 

「ポッポ! もう一度“でんこうせっか”だ!」

「っ! “リフレクター”!」

 

 ポッポが再び高速で迫ってくる中、ククリが指示を出すと今度は上手く行った。直前で

“リフレクター”を張ったホーホーにポッポが突っ込むとダメージが抑えられたものの衝撃でホーホーが吹き飛ばされてしまう。

 

「そう、それで良い」

「何と……っ!」

 

 そうなのだ。狙いはダメージを抑えつつもホーホーの目を覚ます事にあった。“リフレクター”の効果で“でんこうせっか”のダメージを抑えつつホーホーは混乱が解けて確りとした眼差しでポッポを睨みつける。

 

「ホーホー! 今度こそ“ねんりき”!!」

「ホー!」

 

 驚いていたハヤトは指示が遅れてホーホーの“ねんりき”に対する指示が遅れた。結果としてポッポは“ねんりき”に捕らえられてしまい空中から地面へと勢いよく叩き付けられてしまう。

 

「ポッポ~……」

「ポッポ、戦闘不能! ホーホーの勝ち!!」

 

 一戦目は何とか勝てた。だがホーホーは自滅2回分のダメージが残っているので息切れしている様子、次のポケモン相手にどこまで粘れるか。

 

「次はお前だ! 行け、ピジョン!」

「ピジョー!」

 

 ハヤトの二番手はポッポの進化系、ピジョンだ。流石にダメージの残るホーホーでは厳しい相手か。

 

「戻って、ホーホー」

 

 ククリもそれを理解してかホーホーを戻してボールをベルトのホルダーに納めると、次のモンスターボールを取り出した。

 

「行って! チョンチー!」

「チョーンチー」

「なるほど、セオリー通りだな」

 

 ホーホーの交代で出したのはチョンチー、水と電気の複合タイプでありキキョウジム対策にゲットして育てたポケモンだ。

 

「ピジョンVSチョンチー、バトル開始!」

「チョンチー! 先ずは“アクアリング”!」

「何をするつもりかは判らないが、本気で行かせて貰うぞ! ピジョン、“つばさでうつ”だ!」

 

 チョンチーは物理耐性が然程高くないポケモンだ。それを知っているからこそ、ハヤトは物理技で攻めて来た。

 果たしてククリ、順調な滑り出しを見せた初のジム戦、勝つ事が出来るのか。次回に続く。




次回はジム戦の終わり。
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