ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
基本的に法律で全世界的に禁止されています。
ただし、ポケモン協会から特別に許可を貰った団体や企業、個人事業主なんかは厳正なルールを順守した上でなら許されているという設定です。
ポケットモンスター
転生したのは始めに旅立った子供
第7話
「ポケモンの売買」
ニビジムのジムリーダー・タケシに勝利し、グレーバッジを手に入れたソラタはポケモンセンターに一泊してから次のジムがあるハナダシティに向かう事にした。
現在はジム戦を頑張ってくれたイーブイとヒトカゲをセンターに預けていて暇になったからニビシティ内を観光しているところだ。
嘗ては進化の石や古代のポケモンの化石が大量に見つかった事で一時期有名だったこの町も、今は博物館があるくらいしか見る所が無い閑散とした町だが、ソラタとしてはこういった田舎っぽい雰囲気は嫌いではない。
「ゲームでは博物館で“ひみつのコハク”が貰えたんだけど、流石にそれはゲームの話だなぁ」
そもそもプテラは想定してるパーティー候補に入っていないので、特別欲しいとは思っていない。むしろ、今欲しい道具とは釣り竿関係に他ならないのだ。
「いい加減にコイキングが欲しいな……」
ハナダシティに行く前にはコイキングを手に入れて置きたい所だ。ポケモンリーグまで十分過ぎる程の時間的余裕はあるが、他のトレーナー達とてリーグまでにポケモンを確り育てて来るだろう。
まだ新人トレーナーである自分だからこそ、他のトレーナーよりも努力しなければリーグ優勝など絶対に出来ないとソラタは考えているのだ。
「どこかで釣り竿、売ってないかなぁ」
流石に岩の町ニビシティでは難しいかもしれない。水の町ハナダシティに行けば手に入るかもしれないから、その時に購入するしか無いかと思い、ソラタは一度ポケモンセンターに戻る事にした。
空を見ればもう夕方になろうという時間で、今から戻れば夕飯時間となるだろう。イーブイとヒトカゲの回復も終わっているかもしれない。
「ん?」
ポケモンセンターに戻ろうと歩き出した所で、ソラタは博物館へと続く道の途中でとあるものを見つけた。
水槽を展示した屋台、その屋台には鉢巻を巻いたちょび髭の男性が立っており、水槽の中には1匹のポケモンが入れられている。
「あれは……!」
水槽の中に入った赤い魚のフォルムを持ったポケモン、間違いない、今ソラタが一番欲しいと思っているポケモン、さかなポケモンのコイキングだ。
「ちょ、ちょっとおじさん! ソレ!」
屋台を閉めようとしていた男性に気づいて、ソラタは慌てて屋台へ走り寄って男性に声を掛けた。
「ん? なんだ坊主、今日はもう店仕舞いだよ」
「あの、コイキングですよね……? 俺、コイキングが欲しいんですが」
「へ? コイツをかい?」
何でも、この屋台の店主は普段はホウエン地方やシンオウ地方でヒンバスを売っていて、弟がカントーやジョウトでコイキングを売っているらしい。
何故、普段ホウエンやシンオウに居るという男性がニビシティにいるかというと、弟がクチバシティで大儲けするつもりだから一口乗らないかと言ってきたから。
一先ずカントーに来て、カントーではヒンバスは売れないだろうとコイキングをニビシティで売ってみて、儲ける事が出来るか確認していたようだ。
「ポケモンの売買って、良いんですか?」
「非合法なのは駄目だね。でも俺は全世界共通ポケモン販売許可をポケモン協会から貰っているから許されてるのさ」
ポケモン販売許可とはポケモン協会が特別に発行する許可証の事だ。これを持つ者以外がポケモンを売買したりする事は固く禁じられており、許可証を持つ者でも売買して良いポケモンには制限が課されており、それを守らなければ許可証の剥奪もあり得る。
今回の場合であればコイキングやヒンバスなどは比較的許可が下りやすいポケモンであり、逆に数が減っているラプラスやイーブイといった希少ポケモンは滅多なことでは下りないのだ。
因みに、シンオウ地方だとヒンバスは売れるらしい。シンオウチャンピオンのシロナがミロカロスを使うから、そのためかミロカロスに進化するヒンバスは人気なのだとか。
「カントーやジョウトではコイキングが売れると思ったんだけどねぇ? あのジョウトチャンピオンにしてカントー四天王の一人、更にはマスターズエイトの一人に名を連ねているドラゴン使いワタルが持っているポケモンに進化するんだから」
「ギャラドス……」
「坊主も知ってたか、んで坊主もギャラドスが欲しいって訳かい?」
「ええ、俺が将来的に想定するベストパーティーに、ギャラドスは入ってます」
ならば話は早いと男性は電卓を取り出して金額を提示してくれた。
「見たところまだ新人トレーナーと見た。ならお前さんの将来への投資として、コイキング1匹500円でどうだい?」
「……買います」
「良し来た! ならコイツはオマケのプレミアボールだ、こいつで水槽のコイキングをゲットしてくれ」
上下真っ白のモンスターボール、プレミアボールを手渡されて、ソラタはそれを水槽のコイキングに投げる。
ボールが開いてコイキングが中に入ると、暫く揺れたボールはPONという音と共に停止する。これでコイキングをゲットだ。
「毎度、頑張れよ坊主、お前さんが将来チャンピオンにでもなったら、ギャラドスは俺から買ったポケモンだって宣伝してくれや」
豪快に笑って応援してくれた男性に頭を下げて屋台を離れたソラタは早速近くの池にコイキングを出してみる。
「コッコッコッ」
「よろしくなコイキング」
「コッコッコッ」
「俺が目指すのはトレーナーの頂点、チャンピオンだ。その高みへ行くのに、お前の力が必要だ……一緒に強くなろう」
真っ直ぐ、力強い眼差しで見つめるソラタに、コイキングは戸惑う様子を見せたものの、高みへ行くという言葉、そのために自分が必要だという言葉に、コイキングは胸が熱くなるような気持ちが溢れて来た。
だから、コイキングもまた力強い眼差しを向けて頷き、その場で飛び跳ねて見せる。
「よし、先ずはポケモンセンターに戻るか。そろそろイーブイとヒトカゲも待ち草臥れてるだろうし、新しい仲間を紹介しないとな」
プレミアボールにコイキングを戻して腰のホルダーに収めると、ポケモンセンターへ向けて歩き出した。
これで、ソラタの手持ちは現在、イーブイ、ヒトカゲ、ピカチュウ、コイキング、ピジョンの5匹、近々ピジョンをオーキド研究所に預ける事を考えれば、リーグ参加の為のメンバー集めは残り2匹だ。
「確か、アイツはハナダシティの近くに生息してたよな……」
そして、想定している残り2匹の内、1匹は生息地が近い。早々にゲット出来るだろうと考え、やはりネックなのはカントーに生息していない残り1匹だ。
「いっそ、クチバシティに着いたら空港から一時的にシンオウ地方かアローラ地方に行くか? 上手い事アイツを持っているトレーナーに巡り合って交換して貰えるとは思えないし」
だが、そんな事をしたらリーグ参加の為の時間を大幅にロスしてしまう。別のポケモンを手持ちに加える事も考えたが、やはり諦めたくは無かった。
「でも、最悪ロス時間を最小限に抑えるのなら、別の代案として考えてるのはバンギラスだけど……ヨーギラスならジョウト地方に生息してるよな……メタグロスやサザンドラでも良いけど、ダンバルはホウエン地方、モノズはイッシュ地方だから、やっぱりロス時間が大きいし」
とりあえず、残り1匹についてはクチバシティに着くまでに考える事にした。他の地方に行くにはクチバシティかヤマブキシティに着かなければ如何することも出来ないので、今考えても仕方がないのだ。
「先ず第一に考えるべきなのは目先の目標だな」
コイキングをゲット出来た事でベストパーティーを揃える事に現実味が帯びて来た。だから、最後の1匹ももしかしたら運よくゲット出来るチャンスが舞い込んで来るかもしれない。
楽観視するつもりは欠片も無い。無いが、それでも希望が見えて来たのだ。最悪の場合は時間をロスする事も視野に入れてスケジュールを組む事も考えながら進むしかないのだ。
「チャンピオンになる為なら、俺はどんな手間だって惜しむつもりは無い……チャンピオンになるのは、母さんから受け継いだ俺の夢なんだから」
この夜、ソラタはポケモンセンターに泊まって一夜を明かし、翌朝早々にハナダシティ目指して旅立った。
ニビシティを出て最初に待ち受けているのはオツキミやま、後続の同期達には申し訳ないが、ソラタはさっさと先へ進ませて貰う。
「あ、そういえば旅に出てから一度も気にした事無かったけど、あいつらどうしてるかな?」
ふと思い出したのはソラタの後に旅立ったであろう同期3人の姿だ。一応、転生してから今日まで、幼馴染という扱いにはなる3人。
「サトシ、シゲル、トワコ……順調に行けば今日辺りにシゲルとかトワコなんかはジム戦かな……サトシは、まぁ、うん」
一応、前世で見ていたアニメの主人公でもある幼馴染は大丈夫だろうと思考を早々に断ち切って、いよいよソラタの目の前に見えて来るのはオツキミやま。
「さあ、行くか!」
今回、コイキングを売っていた親父はサントアンヌ号でコジロウにコイキングを売った親父の兄という設定です。
兄親父は弟とは違って詐欺などはしていない、正々堂々とした商売をしており、普段はホウエン地方やシンオウ地方で屋台を開いています。