ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ポケットモンスター
転生したのは初めに旅立った子供
第78話
「ポケモンハンターとは」
ジョウトリーグに出場する為、旅を続けるソラタとククリは2つ目のジムがあるヒワダタウンを目指していた。
その道中、ソラタ達は傷つき瘦せ細ったデルビル兄妹と遭遇、彼等の案内で連れられた場所にて重症を負って血溜りに倒れるヘルガーと出会った。
何者かに襲われ重傷を負ったヘルガーは手の施しようが無い状態で、ソラタに己が子供達を託した後に見守られながら息を引き取り、ソラタはその亡骸から一発の弾丸を発見、ヘルガーを死に追いやったのが人間である事を突き止めたのだ。
「……師匠」
「なんだ?」
現在、ソラタとククリはポケモンセンターまで残り1日という所まで来て野宿をしている所だ。
ヘルガーを埋葬して保護したデルビル兄妹は既に身を寄せ合って眠っているので、それを眺めながらククリが妹のデルビルの頭を撫でつつソラタに声を掛ける。
「この子たちは……これからどうするんですか?」
「……ヘルガーと約束をした。だからポケモンセンターまでは必ず連れて行って治療を受けさせる。そのあとは……この子達次第だろうな」
母を人間に殺されたデルビルが、同じ人間であるソラタとククリと一緒に来てくれるかは、彼等自身の判断になる。
ただ、出来ればソラタとしては保護したいと考えているし、ククリも同じ気持ちだ。親を失った子供達が、心に傷を負っていないはずが無いのだから。
「許せないです……本当に、あんな事が出来る人間がいるなんて」
「ククリは、そうか……シンオウ地方だからロケット団とかは知らないだろうけど、ポケモンハンターとかはテレビのニュースとかで聞いた事は無いか?」
「名前くらいは」
この世にはロケット団やポケモンハンターなど、ポケモンの命を軽く扱う犯罪組織や犯罪者集団というのはいくらでも存在している。
特にソラタが許せないのはポケモンハンターで、彼等はポケモンを命ある生き物とすら思っていないのだ。
「命ある生き物とすら思ってないって」
「奴らにとってポケモンとは金儲けの道具、生きたポケモンも死んだポケモンも、金になるから……ポケモンとは金だと考えている奴が大半だよ、ポケモンハンターってのは」
ソラタは父の職業の事もあってポケモンハンターについての知識もあった。
ポケモンハンターは生きたポケモンを密漁して高額で売る事で金儲けするだけでなく、最悪の種類だとポケモンを殺して、その亡骸や内臓などを高値で売る奴らもいる。
「ポケモンの亡骸や内臓って……そんなの買う人がいるんですか!?」
「いるよ……ポケモンの亡骸を欲しがる奴は大抵が剥製の材料にしたいとか、ポケモンの死体を集めるのが趣味の狂ったサイコパスだとか、そんな奴らだろう……内臓は、聞いたところによると、ポケモンの内臓を薬だと言って食す頭の可笑しいカルト集団がいるって話だ」
「……ウェッ」
話を聞いて気持ち悪くなったのだろう、ククリが口を抑えてえずいた。流石にソラタも話してて気分が悪くなったのでこの話はここまで。
「そういえば、ポケモンにとって毒となる銃弾って、そんなに出回っているんですか?」
「一部ではな……とは言っても材料となる鉱物自体が希少な上、取り締まりも厳しいから所持しているのは、それこそ金のあるハンターやデカイ組織力のある所とかだろう」
ソラタが知る限り、ロケット団は間違いなく持っている。ロケット団は組織としての規模も大きい上、資金力も相当なものだ。
ロケット団ほどの組織なら鉱物毒の弾丸など簡単に手に入れられるか、下手したらロケット団が独自に製造している可能性すらある。
「さて、そろそろ寝るぞ。明日の昼前にはポケモンセンターに着くように朝は早いからな」
「はい」
見張りに“ふみん”の特性を持つククリのホーホーを出してそれぞれのテントに入ったソラタとククリは寝袋に包まって眠りについた。
翌朝、目を覚ましたソラタとククリはテントを片づけて朝食を食べると、デルビル達を連れてポケモンセンター目指して歩き出した。
そしてソラタの予定通り昼前にはポケモンセンターに辿り着き、ジョーイさんに事情を説明してデルビル兄妹を預けると、通報してやってきたジュンサーさんと共に応接室にて事情聴取を行う。
「では、デルビル達に案内された所でヘルガーが倒れていて……その、手遅れの状態だったのね?」
「ええ、“すごいキズぐすり”を使ってみましたがヘルガーの反応が悪くて……正直、呼吸の浅さとか傷の具合、血溜りから察する出血の量から見ても手遅れだったのは明白でした」
「実際、発見して直ぐに息を引き取ったのよね……それで、ヘルガーの体内から発見したというコレは?」
コレ、と言ってジュンサーが掲げたのはソラタが透明のジップロックに入れて提出した紫色の弾頭だ。
「ヘルガーを発見した場所に生息しているポケモンを思い返して、正直言ってあそこまでヘルガーを傷つけた上に死に追いやる事が出来るポケモンは居なかった筈だと思ったんです」
「……そうね、確かに言われた場所に生息しているポケモンは、そこまで強いポケモンが居ない場所よね」
「ええ、それでもしかしてと思って傷を調べたんです……案の定でした、銃創があったんです」
「……それで、ピンセットを差し込んだのね」
「ええ」
まさか、普通の銃弾ではなく製造を禁止している違法弾丸が出て来るとは思わなかったが。
「あの銃弾は規制が厳しい物です。犯罪組織でも小さな所では持ってない所も多いだろうし、ポケモンハンターでも持っている奴は限られている筈……この辺で、あの銃弾を所持していても不思議じゃない奴って居ますか?」
「……そうね、気を付けてもらう為にも教えておくわ」
ジュンサーさんは持っていた鞄の中から1枚の手配書を取り出してテーブルの上に置いた。
そこには顔写真が写っており、その下には懸賞金の書かれている。
「悪質なポケモンハンターとして全国に指名手配されているポケモンハンター・グスタフ、ポケモンの密猟や違法売買、更にはポケモン殺害及び死骸や内臓の違法売買を行う危険極まりない男よ……最近、この辺で見かけたっていう通報が何件もあるの」
「ポケモンハンター・グスタフ……聞いた事がある。組織じゃなく個人でポケモンハンターをやっている奴で、被害にあったポケモンの数は組織犯罪にも匹敵するとか」
組織ではなく個人のポケモンハンターで有名なのはシンオウ地方で暗躍するJと呼ばれる女性だが、グスタフという男も有名な人物だ。下手をしたらJ以上に危険な人物として指名手配されており、懸賞金の額も相当高い。
「一先ず私はこれからソラタ君たちがヘルガーを埋葬した場所へ行ってみるわ。手がかりが残っていれば良いのだけど」
「一応、ヘルガーを埋葬した後に周囲を調べたんですが、ヘルガーが歩いたであろう場所に血の跡が残っていたので、どこで襲われたのかは追える筈です」
「そう、ならそれで捜査してみるわ」
調書を纏め終えたジュンサーさんが席を立って敬礼すると早速ポケモンセンターを出てバイクで去って行った。
残されたソラタとククリはジョーイさんに診て貰っているデルビル兄妹の所へ行こうという事になり、治療室の前まで来た所で、治療室の中からジョーイさんが出てくる。
「ジョーイさん」
「デルビルは、どうでした?」
「二人とも……もう大丈夫、ケガ自体はもう殆ど治ってたし、若干の栄養失調もあったけど、改善されつつあるから、このまま栄養のある食事をしてゆっくり休めば直ぐに元気になるわ」
ジョーイさんに案内され治療室に入れば包帯は所々残っているものの、元気を取り戻したデルビルがソラタとククリを出迎えてくれる。
とはいえ、2匹とも母親を失ったショックは未だ癒えているわけではないので、精神的にはまだまだ完治しているとは言えないか。
「聞いたわ……母親が死んだ事がショックだったみたいで、やっぱり人間に対する恐怖心や警戒心が凄く強いみたいで……私もラッキーに手伝ってもらわないと触ることすら出来なかったくらいだった」
それでもソラタとククリには心許している所があるらしく、2匹ともソラタとククリが入ってきたら目に見えて落ち着いたらしい。
「それで、この子達の事だけど」
「それですが……」
「私達で保護しようと思うんです」
正直、今のデルビル達の精神状況では野生で生きていけるとは思えない。それにまだ生まれてそこまで経っている訳ではなさそうなので、親の庇護下に無ければ直ぐに死んでしまうだろう。
「デルビル、俺達と一緒に来るか?」
「あなた達のお母さんにも約束したから、ね」
ソラタとククリがそう言うと、♀のデルビルがソラタの、♂のデルビルがククリの足元まで歩いてきて、それぞれ見上げてきた。
不安はまだある。人間だから中々完全には信用しきれない所はあるけど、でも助けてくれたのも事実で、母を丁寧に埋葬してくれたことも信頼する決めてになったのだろう。
それを見て、ソラタとククリは顔を見合わせて頷くと、それぞれのモンスターボールを取り出して開閉スイッチをデルビルに当てた。
「……よし」
「デルビル、ゲットですね」
暫く開閉スイッチが赤く点灯して揺れた後、軽快な音と共に揺れが収まってスイッチの赤い光も消えた。
無事にデルビルをゲットした二人は暫くデルビルの心のケアをしなければならないと、決心しつつ今後の予定を話合う。
ソラタの手持ちのラルトスもまだまだケアしなければならない心の傷があるので、ラルトス含めて暫くボールから出したまま一緒に過ごすのが良いだろうとなり、特にソラタは手持ちを考える必要が出てきてしまった。
「……ちょっと、オーキド博士に電話して相談してくる」
「わかりました」
しばらくデルビルを遊ばせようとモンスターボールから2匹とも出してククリに預けると、ソラタはセンター内の電話コーナーへ向かった。
そして、オーキド博士に事情を説明した結果、手持ちを入れ替える事となり、デンヂムシを預けて元々戻す予定だったリザードンと、ラルトスとデルビルのケア用にキレイハナを送って貰う事に。
「あ~……どうしようか、炎タイプが増えすぎたなぁ」
リザードン、ファイアロー、デルビル、メラルバ、ウインディ、ソラタの持つ炎タイプのポケモンはこれだけいる。
「……そろそろ水タイプが欲しいな」
水タイプは欲しいが、何をゲットするべきか悩む。ウパーは悪いとは言わないが、正直微妙なところで、マリルも特性次第では候補だが……。
「パッとしない」
とは言え、現状ギャラドスとスターミーしか水タイプを育てていないというのは問題だ。
既に持っているポケモンで水タイプは居ないわけではないが、正直ソラタの戦法に合うポケモンが居ない又は最終進化に“みずのいし”や“おうじゃのしるし”が必要なのが悩ましい所だった。
「まぁ、追々考えるか」
とりあえずククリとデルビル達の所に戻ろうと電話コーナーを後にしたソラタは壁に掛かっているマップを何となく見上げる。
もう少しでヒワダタウンに着く。ソラタ自身は問題ないのだが、少しククリが心配だった。
前回のメグリとのバトル以降、まだトレーナーとのバトルをさせてやれてない。そこにきて今回の事件、相当参っているだろう事は簡単に想像できる。
「ヒワダタウンに行く前に、あそこに行くか……ごめん、サトシ……お前のイベント、一つ貰うわ」
オーキド博士に聞いた所、サトシは最近ようやくキキョウジムを突破したばかりらしい。なので、ソラタはククリの為に本来ならサトシがこの先経験する筈だったイベントを一つ貰う事にしたのだ。
「えっと、ムラマサのポケモン道場はっと……」
マップ上に目的地を発見したので道程を確認する。今のペースで行けば2~3日で到着する場所にあった。
「よし、予定はこれで良いな」
ヒワダタウンに行くまでの予定を組み立てなおしたソラタは今度こそククリとデルビル達の所へ向かった。
そして、まさか宿泊室で待っていたデルビル達がソラタが入室した瞬間飛び掛かって顔中を舐めまわされる事になるとは思いもしなかった。しかも、それを指示したのがまさかの弟子だったとは……。
「ククリ……取り合えずこの後の修行、3倍厳しく行くわ」
「ごめんなさぁい!!」
次回はサトシが本来経験する筈だったイベントを一つ貰う事になりました。
ソラタとククリの現在の手持ち
ソラタ
・リザードン
・ニンフィア
・キレイハナ
・ゾロア
・ラルトス
・デルビル
ククリ
・ナエトル
・ホーホー
・チョンチー
・デルビル
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