ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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第79話 「ポケモン道場」

ポケットモンスター

転生したのは初めに旅立った子供

 

第79話

「ポケモン道場」

 

 ジョウトリーグに出場する為、旅を続けるソラタとククリは二つ目のジムがあるヒワダタウンを目指していた。

 その旅の道中、ソラタはククリに更にトレーナーとのバトルを経験させたいと考え、今は目的の場所を目指している最中だ。

 

「師匠、どこに向かっているんですか?」

「お前にトレーナー戦をもう少し経験させてやりたくてな」

「でも、森の中ですよ?」

「まぁ、待ってろ」

 

 しばらく歩いていると頭上に何かが高速で移動する気配を感じた。それが何なのか気付いたソラタは来たかとモンスターボールを取り出してキレイハナを出す。

 

「師匠?」

「静かにしててくれ……キレイハナ! “はなふぶき”!」

「ハナ!」

 

 気配の場所を探り、見つけた。キレイハナも同じ様に発見したのだろう、ソラタの指示で目標へ向けて“はなふぶき”を放った。

 

「ハッ!」

 

 “はなふぶき”を回避しながら飛び出してきた赤い影、それはストライクの進化系であるハッサムだった。

 

「来るぞキレイハナ! “いあいぎり”だ!!」

「ハナァッ!」

 

 ハッサムのハサミが光ったのを見てキレイハナも右手に白いエネルギーの刃を発生させて迎え撃つ。

 ハッサムの“バレットパンチ”を“いあいぎり”で受け止めて……いや、それどころか押し返して逆にハッサムを吹き飛ばした。

 

「凄い! キレイハナよりも大きいハッサムを吹き飛ばしちゃった!!」

「流石にシズホのハッサムなら互角だっただろうさ……だけど、ウチのキレイハナはシズホのハッサム相手じゃなければ互角にすらさせない。攻めろ! 連続で“いあいぎり”!!」

 

 今度は両手にエネルギーの刃を発生させたキレイハナの連続攻撃がハッサムを襲う。

 いくら素早いハッサムでもトレーナーの指示なしの状況で自身より格上のキレイハナの猛攻には対処しきれなくなったのか、綺麗にクリーンヒットが決まった。

 

「ハッサァ……」

「なるほど、セキエイ大会ベスト4の実力はこれほどだったか」

 

 ハッサムが膝をついた所でハッサムの後ろの木陰から初老の男性が出て来た。ジョウト風の和服姿の男性、ハッサムの横に立つとハッサムが立ち上がって頭を下げる。

 

「私はムラマサ、こやつはハッサム、私はマサムネと名付けておる」

「マサラタウンのソラタです」

「ワカバタウンのククリです」

「うむ、森で修行中に偶然にも君たちを見かけてな……セキエイ大会ベスト4のソラタ選手だと気付き思わず腕試しをしてしまった。驚かせてすまない」

「いえ」

 

 正直、ソラタもセキエイ大会が終わってから勝負を挑まれる事が多かったので問題無い。流石にベスト4ともなれば一般トレーナーから腕試しを頼まれる程度に有名になるのは想定していたので特に気にしたものではないのだ。

 

「それにしてもそのキレイハナ、やはり相当な手練れだな。セキエイ大会準決勝のシズホ選手のハッサムとのバトルを見ていたが、あの頃以上の強さと見た」

「わかりますか?」

「勿論だとも、私は君のようなトレーナーを探し求めていたのだ」

 

 サトシには本当に申し訳ないと思いながら、ソラタはククリと共に付いてきて欲しいと言われてムラマサの案内でポケモン道場を兼ねた屋敷へ連れて来られる。

 そこでは多くのポケモンとトレーナーがトレーニングに励んでおり、人間とトレーナーが息を合わせて己を鍛える光景が広がっていた。

 

「ここは私が開いているポケモン道場でな。若いトレーナー達が日夜ポケモン達とトレーニングに励んでいて、いつかここの教え子たちが各地の大会で優勝してくれる事が私の夢なんだ」

 

 とは言っても、今のところ結果は出ていないが、良い所まで行くトレーナーもいるらしい。

 

「ムラマサさん、もし良ければウチのククリにここのトレーナーとバトルさせてあげて貰えませんか?」

「ほう」

「この子、俺の弟子なんですけど、実はトレーナーとのバトル経験が少なくて……良い機会だからここで経験させてあげたいんです」

「なるほど、それならお安い御用だ……おい、誰か」

 

 すると、ムラマサが一人の男性を呼んだ。

 

「すまないが彼女を連れてバトルをさせてあげてくれ」

「わかりました……どうぞ、こちらへ」

「はい! じゃあ師匠、行ってきます!」

「ああ」

 

 メグリ相手に敗北して、その敗北理由を理解した今のククリなら良いバトルが出来るだろうし、そのバトルを数多く経験すれば必ず成長する筈だ。

 トレーナー達の所へ向かうククリを見送ったソラタはムラマサに彼の自室に案内され、向かい合って出されたお茶を啜っている。

 

「それにしてもムラマサさん、思い出したんですが……10年前のジョウトリーグ・シロガネ大会でベスト8だった赤い閃光の」

「いやはや……まさか君のような若いトレーナーがそれを知っているとは」

「当然知ってますよ。13年前のジョウトリーグで貴方に勝利したトレーナー、アオノは俺の母ですから」

「何と!? あのアオノ選手の、無冠の女帝の息子!? 君が!! ……そうか、確かに面影があるな」

 

 そう、ムラマサは13年前、母が引退する事となったジョウトリーグに同じく出場し、同じように母アオノに敗北して現役を引退したトレーナーなのだ。

 アオノに負けるまでは大小様々な大会で優勝を飾って来たが、アオノに敗北して限界を感じたと言って引退したと当時のニュース雑誌に書いてあった。

 

「しかし、私を負かしたアオノ選手の息子である君にまで敗北してしまうとは……流石に歳には勝てんか、私もマサムネも……アオノ選手は元気かね? あの試合の後、準決勝でワタル選手に負けて引退したと聞いたが」

「元気ですよ……バトルの腕も、ブランクがあって衰えたとか言ってますが、今も馬鹿みたいに強いですし」

「ハハハ! そうか、なら良かった……そうだ、今度アオノ選手に伝えておいてくれるかな? いつか、リベンジしに行くと」

「……ええ、きっと母も喜んで受けてくれると思いますよ」

 

 いくら引退したとはいえ、アオノも元は凄腕のトレーナーだ。嘗て戦った相手がリベンジしたいと言えば燃えるに決まっている。

 

「ふん、ロートル同士のバトルに何の価値があるんだか」

 

 すると、縁側の柱に背を預けて立つ少年がノートパソコンを手にこちらを見ている事に気付いた。

 

「倅のシンゴだ……ソラタ君、息子とバトルをして貰えんか?」

「息子さんと?」

「ふん……あんた、マサラタウンのソラタだっけ?」

 

 シンゴが縁側に座ってノートパソコンを開くと何やら打ち込んでデータを開いた様子、見てみればソラタの写真とセキエイ大会で使用したポケモン達のデータが写っていた。

 

「へぇ」

「これには、この5年間で優秀な成績を納めたトレーナー達のデータが全て入っているんだ。使ったポケモンや戦略なんか、みんな判るのさ」

 

 確かに良くできたデータだ。ソラタの基本戦術にポケモン達のデータも完璧……ただ、あくまでセキエイ大会までのデータのようだった。

 ソラタが最近出た公式バトルはキキョウジム、そこで使用したイワンコ、アマルス、ファイアローのデータは入っていない。

 

「僕のデータによると、君はAタイプ……基本戦術である高速戦闘をメインにしつつ状況に応じて戦術を変える変幻自在なバトルを得意としているエリートトレーナーによく見られるタイプのトレーナーだ」

「合ってるな」

「高速戦闘が得意ではあるが、ニドクインを使ったバトルも問題無い点から重量級ポケモンを使ったパワー戦術も人並み以上、変化技を駆使した頭脳戦も出来るみたいだけど、トリッキーな戦術が苦手なタイプなのかな、トリッキー戦術は滅多に使わない点からの予測だけど」

「正解だ」

 

 本当によく調べられている。むしろ怖いくらいだ。

 

「セキエイ大会ではシズホ選手のバクフーンと君のリザードンのバトルが印象的だったけど、あれは負けるべくして負けたとしか言えないかな。シズホ選手のバクフーンが使用した技は“かみなりパンチ”と“いわなだれ”、どちらもリザードンが苦手なタイプの技、あれだけ効果抜群の技を受けてちゃ最終的に蓄積ダメージの大きいリザードンが負けるのも無理はない」

「そこはなぁ……」

 

 あれは反省するべき点だった。正直、当時はまだ“げんしのちから”を覚えさせていなかったとは言え、“じしん”を使って大ダメージを狙うべきだったのだ。

 

「データで見る限り、君のリザードンが手持ち最強みたいだけど、あの程度のバクフーンにも勝てないようなポケモンじゃ僕の相手にもならないよ」

「……へぇ、言うねぇ」

 

 流石にこれはソラタもカチンと来た。自分もリザードンもまだまだだという自覚はあるので、自分が言われる分には何とも思わないが、シズホとシズホのバクフーンまで見下されるのは我慢ならない。

 シズホはソラタにとって永遠のライバルであり、実力を認め合った存在、データだけに頼るような実際に戦ってもいない人間に見下されて良い存在じゃないのだ。

 

「なら、試してみようか……本当に俺のポケモンがお前のポケモンの相手にならないのかどうか」

「負けると判っているのにか? 仮にもセキエイ大会ベスト4だというのに、プライドは無いのかい?」

「プライド? そんなもの持った覚えは無いよ……それに、データ如きでバトルを極めた気になっている小僧に現実を教えてやるのも、セキエイ大会ベスト4の役目だろ?」

「データ如き? そこまで言うからには、負ける覚悟は出来ているんだろうね」

 

 流石に自分が信じるデータを虚仮にされて黙っていられなかったのだろう。ノートパソコンを持ったまま立ち上がったシンゴは庭に出た。

 ソラタもそれに続いて向かい合うと間にマサムネが立って審判を務めてくれる事に。

 

「君が馬鹿にしたデータの力、見せてあげるよ……行け、ブレード!」

「ハッサ!」

 

 シンゴが出したのはブレードと名付けられたハッサムだった。父と同じポケモンを扱う辺り、流石は親子と思いつつソラタもモンスターボールを取り出して投げる。

 

「行け、キレイハナ!」

「ハナ!」

「キレイハナだって……? 確かに相性が悪いのにシズホ選手のハッサムにも勝ったポケモンだが、それはシズホ選手のハッサムが弱かったからだ。僕のブレードにも勝てると思っているのかい?」

「思っているさ……俺のキレイハナはシズホのハッサム以外のハッサムが相手なら互角にすらさせない」

「ハァナ!」

 

 向かい合うキレイハナとハッサムのブレード、立ってキレイハナとハッサムを見るソラタと座ってパソコンを見るシンゴ、互いに戦意は十分と見たマサムネが右手を挙げると、勢いよく降り下ろした。

 

「バトル開始!」

「ブレード、さっさと終わらせよう。“でんこうせっか”だ」

「ハッサ!」

「“ちょうのまい”!」

 

 持前の素早さを駆使した“でんこうせっか”だが、キレイハナの十八番である“ちょうのまい”による踊りながら回避する戦法の前には攻撃を当てる事は難しい。

 

「クソッ! それが踊る回避方法か! ならブレード! “れんぞくぎり”!!」

「跳べ!」

 

 キレイハナに効果抜群の虫タイプの技で来た。しかも“れんぞくぎり”で踊るキレイハナを捕らえようとしたのだろうが、キレイハナは華麗なステップで飛び跳ねるとハッサムの頭上を舞う。

 

「“トリプルアクセル”!!」

 

 ハッサムの頭上を舞ったキレイハナの下半身が冷気に覆われ、そのままハッサムの頭を3回踏みつけて背後に着地、するとハッサムの上半身が見る見るうちに霜に覆われてしまった。

 

「まさか、氷タイプの技! キレイハナが氷タイプの技を覚えるのか!? でも、そんなのデータにない!? いや、でもブレードに氷タイプの技はそこまでダメージが大きいわけじゃないのに、何でここまで……」

「“いあいぎり”だ!」

「っ!? ブレード! “メタルクロー”で受け止めろ!」

 

 そこで初めてシンゴがパソコンを見ていた顔を上げてハッサムに指示を出した。そこにはキレイハナの“いあいぎり”を“メタルクロー”で辛うじて受け止めるハッサムの姿が。

 

「今頃顔を上げても遅いぜ! “リーフストーム”!!」

「っ! ブレード!!」

 

 至近距離からの“リーフストーム”を受けて吹き飛ばされたハッサムに、もはやシンゴはパソコンの事は頭から無くなって真っ直ぐ己のポケモンを見つめていた。

 

「トドメだ! “リーフストーム”に乗って“いあいぎり”!」

「ハナァ!」

 

 キレイハナが自身の“リーフストーム”に乗り、ふわりと宙に浮いたままハッサムへ迫ると、両手をエネルギーの刃で覆ってクロスするようにハッサムに斬り付けた。

 宙に居たハッサムはそれによって地面に叩き付けられてしまった。

 

「ブレード! 立て! 立ってくれ!」

「は、ハッサ……っ!」

「よし! よく立ったブレード!」

 

 完全にパソコンを地面に放置して立ち上がったシンゴの声に応えるように、ハッサムもゆっくり立ち上がる。

 そこにはデータに頼る少年の姿は無く、一人のトレーナーと相棒の姿があった。

 

「よく立ったな」

「当然さ! 今度はこっちから行くぞ!! ブレード、“でんこうせっか”!!」

「サム!」

「迎え撃てキレイハナ! “リーフストーム”!」

「そう来ると思っていた! “かげぶんしん”だ!!」

 

 なるほど、“でんこうせっか”で素早く動きながら“かげぶんしん”を使い、高速で動く分身達と本体に見分けがつかなくなった。

 “リーフストーム”によって分身は半分が消し飛んだが、それでもまだ残る分身達による“でんこうせっか”が実に厄介だ。

 

「“れんぞくぎり”!」

「“ちょうのまい”!」

 

 迫り来る無数のハッサムを“ちょうのまい”で回避するが、流石に数が多すぎて捌き切れず何発か“れんぞくぎり”を受けてしまった。

 だが、受けた甲斐はあった。既にキレイハナは本物のハッサムを視線の先に捉えているのだから。

 

「突っ込めキレイハナ! “いあいぎり”だ!」

「ハナァ!」

 

 見つけた本体目掛けてキレイハナが両手をエネルギーの刃で覆いながら突っ込んで来た。まさか見つかると思わなかったシンゴとハッサムも流石に反応が遅れてしまい、キレイハナの“いあいぎり”が急所に当たり、これでハッサムは目を回して倒れてしまうのだった。

 

「そこまで! ブレード戦闘不能、キレイハナの勝ち!」

「ブレード! 大丈夫か?」

 

 シンゴがハッサムに駆け寄って抱き起こすと、ハッサムも頷いて大丈夫だと返したのでシンゴも安心したという表情を浮かべている。

 それを見ていたムラマサは息子の変化に口元に笑みを浮かべながら問いかけた。パソコンはどうしたのかと。

 

「それどころじゃなかったよ……バトルって、こんなにも熱くなるものだったなんて、忘れていた」

「そうか……」

 

 息子の成長が嬉しいのか、ムラマサは笑顔で頷いて、その後ろではマサムネも笑顔を浮かべている。

 

「シンゴ」

「ソラタ……すまない、君の事も、シズホ選手の事まで馬鹿にして」

「いいさ……それより、どうだった?」

「凄い悔しい! でもそれ以上に、次は絶対に勝ちたいって思った」

「だろう? バトルって、データだけでするものじゃない。確かにデータが大事なのは俺も否定はしないけど、データだけが全てじゃない。まぁ、俺もデータ如きって言ったのは悪かった」

「お互い様だよ。でもそうだな……今度はジョウトリーグで戦おう! その時までに僕とブレードの弱点をデータ化して、それを元に克服して更に強くなる! そしてジョウトリーグの舞台で、今度は僕が勝つよ」

「……楽しみにしてるよ」

 

 これは手強い相手がジョウトリーグに出場する事になるかもしれない。そう思いながらも、楽しみになってきたソラタはシンゴと握手を交わしてムラマサ達と共に道場の門下生に預けていたククリを迎えに行くことに。

 

「あ、師匠! 見て下さい!!」

「ホォ!」

 

 そこにはナエトルとチョンチー、デルビル、そしてヨルノズクを連れたククリが笑顔で立っていた。

 

「ホーホーが進化しました!」

「おお、もうそろそろだと思っていたけど、ここでか」

 

 ポケモン道場に来た甲斐があった。シンゴという新たな出会い、そしてククリのホーホーの進化と、確かな成果を得られたのだから。

 そして、ポケモン道場で一泊したソラタとククリは同じく旅立つ事にしたシンゴと別れ、ムラマサ達に見送られながらヒワダタウンを目指して旅立つのだった。




結構、シンゴとククリをバトルさせるのかって声がありましたが、残念ながらまだククリにはシンゴとバトルしてまともにバトルできるほどの実力がありません。
なので、シンゴとはソラタがバトルをすることになりました。

手持ち

ソラタ
・リザードン
・ニンフィア
・キレイハナ
・ラルトス
・ゾロア
・デルビル

ククリ
・ナエトル
・ホーホー→ヨルノズク
・チョンチー
・デルビル

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