ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ポケットモンスター
転生したのは初めに旅立った子供
第83話
「実力で得たバッジ」
ジョウトリーグに出場する為、旅を続けるソラタとククリは二つ目のジムであるヒワダジムに挑戦していた。
ジムリーダーのツクシが操る虫タイプのポケモン達にソラタは無事勝利を納め、ククリも2体を倒し終えた所で最後のポケモンであるストライクにバタフリーを倒し終えたばかりのデルビルで挑む。
“かげぶんしん”で分身を作ってデルビルを取り囲んだストライクの“れんぞくぎり”、全方位から襲い掛かるストライクにデルビルの“かえんほうしゃ”による迎撃が行われるが、当然分身を掻き消すだけで本体はその隙にデルビルに鎌の一撃を直撃させた。
「ほらほら! そんな攻撃じゃストライクに当てられないよ! もう一度“れんぞくぎり”!」
“れんぞくぎり”は当たれば当たる程、威力が上がっていく技だ。デルビルの“かえんほうしゃ”は相変わらず分身を掻き消すだけで次々と“れんぞくぎり”が命中してしまう。
しかも、分身は掻き消しても直ぐに新しい分身が作られてしまうので、同じ事を何度も繰り返したところで意味は無い。
「打つ手無し、かな……トドメと行こうか、“れんぞくぎり”!!」
デルビルの体力が残り少ないと見抜いたツクシがストライクに渾身の“れんぞくぎり”を指示、再び全方位からデルビルに襲い掛かるストライクに、絶対絶命の状況だ。
しかし、そんな状況下にあってもククリの目は諦めていなかった。むしろ、ツクシが油断するのを待っていたとばかりに口元を歪める。
「デルビル! 自分の周りに“ほのおのうず”!!」
「うわぉおおおん!!」
「っ!? しまったっ!」
そう、ククリの狙いはこれだったのだ。
先ほどは“ほのおのうず”を壁として使ったので警戒されていると予想して、あえて“かえんほうしゃ”で迎撃させる事でツクシの中から“ほのおのうず”へ対する警戒を解かせた所でストライクを分身含め全て纏めてデルビルを中心に“ほのおのうず”の中に巻き込んだ。
「だ、だがそんな事をすればデルビルだって無事では……っ! そうか、特性“もらいび”!!」
「その通りです! 私のデルビルの特性は“もらいび”、なので“ほのおのうず”の中に居ても……」
炎が消えた。そこには身体の所々が焦げているストライクとピンピンしているデルビルの姿があった。
「この通りです! デルビル! “ほのおのうず”!!」
大ダメージを受けてしまったストライクを、“ほのおのうず”が包み込むように襲い掛かった。
「参ったねこれは……でも、ただではやられないよ! ストライク! “きしかいせい”!!」
炎の中から飛び出したストライクが全身に火傷を負いながら超高速でデルビルに迫り、鎌の一閃と共に通り過ぎる。
一瞬の静寂の後、デルビルとストライク、両者共に目を回してその場に倒れてしまった。
「ダブルノックダウン! よって勝者、ワカバタウンのククリ!!」
見事、最後はダブルノックダウンに終わってしまったがククリは残り一体を残してツクシのポケモン全てを倒しきった。
「いやぁ、参ったよホントに……君のセンスは間違いなく才能だ」
「あ、ありがとうございます!」
ストライクをボールに戻したツクシが同じくデルビルをボールに戻したククリに歩み寄って握手を求めた。
慌てて握手を返すとツクシは満足そうに頷いて胸ポケットから目的の物を取り出すとククリに差し出す。
「ヒワダジム攻略の証、インセクトバッジだ。本当に見事なバトルだったよ」
見ていたソラタも及第点を出せるレベルのバトルだった。勿論、指摘するべき点は多々あるし、早急な改善が必要な点もある。
だけど、今は無粋な事は言わず弟子が自分の実力でジムを制覇した事を喜ぶべきだろうと何も言わなかった。
「これでソラタ君もククリさんもバッジ2つかな……次はコガネシティに?」
「ああ、コガネジムに挑戦する予定になっている」
「そっか……大変だね」
コガネジムと聞いてツクシがククリに同情したような表情を向けた。この様子だとツクシも知っているようだ、コガネジムがジョウトリーグを目指す多くのトレーナーを脱落させてきたジムであるという事を。
当然、そんな事を知る由もないククリは何故そんな目を向けられるのか理解出来ず首を傾げてソラタの方を見て来たが、ソラタも気まずそうに目を反らすのだった。
「師匠? コガネジムってそんなにマズイんですか?」
「あ~……別名、新米キラーって呼ばれるのは聞いた事がある」
「し、新米キラー?」
「そうそう! コガネジムのジムリーダー、アカネ本人は優しいし面白い性格なんだけど、使うポケモンの技が極悪でね……コガネジムに挑んだトレーナーの内、新米トレーナーの8割はあそこで脱落しているらしいよ」
正に初見殺し。事前情報無しで挑めば間違いなく負けるジムだ。幸いな事にソラタは情報を持っている事もあって対策はしているし、コガネジムにおける切り札となるポケモンの育成も行っているので問題はない。
問題があるとしたらククリだろうか。コガネジムに挑むのに有効なポケモンと言われると今の手持ちでは少し微妙と言わざるを得ないのだ。
「ククリの手持ちは未だ4体、実力もそこそこ付いてきてるし、そろそろフルメンバーにしても良い頃合いかな」
「私の手持ちですか?」
「そうだ。ある程度の実力になるまでは手持ちをフルにするのは待ってもらってたが、そろそろ良いだろう」
予定外だったデルビルの加入があっても問題なく育てられているので、これなら手持ちが更に増えても問題無いだろうという判断だ。
「まぁ、何をゲットするかは自分で考えろよ? 相談くらいは乗るけど、今の手持ちと今後ゲットしたいポケモンとかタイプとか、色々自分で考えて決めて、ゲットしたポケモンの中からベストと思うメンバーを育てると良い」
勿論、ベストメンバーだけを育てれば良いという訳ではない事も伝える。事実、今ソラタがメインで育てているポケモン達はベストメンバーではなくサブメンバーになるポケモン達であり、それでもメインメンバークラスの実力まで育て上げるつもりなのだ。
「まぁ、今はとりあえず6匹まで手持ちを揃える事を考えろ」
「わかりました!」
幸いにしてククリは図鑑完成をするつもりは無いらしく、ポケモンをゲットする事に拘りは無い。なので自分が手持ちに欲しいと思うポケモンをじっくり考える事が出来るのだ。
「因みに僕のオススメは虫タイプだよ」
「虫タイプ……うぅん」
「あれ? 響かなかったかな」
「悪くは無いんですが……」
なんと、ククリも実は前から自分の中で手持ちに入れるべきタイプというのを考えていたらしい。
師匠であるソラタがバランスの良いタイプでベストメンバーを構成している事もあって、自分もバランスを考えるべきだと思っていたのだとか。
「ランターンは、正直今後厳しいかなって考えてまして、近いうちにサブメンバーにしようと考えているんです……なので、この時点で水タイプと電気タイプは絶対にゲットしておきたいんですが……後一匹をどうしようかと」
ククリの候補として考えているタイプは氷タイプかドラゴンタイプ、もしくは岩タイプか鋼タイプらしい。
悪くないとは思う。格闘タイプも候補としては考えていたらしいが、現状は今挙げたタイプを候補として考えている。
「格闘タイプならヘラクロスがオススメだよ!」
「ヘラクロスか……確かに」
「ヘラクロスですか……?」
虫と格闘の混合タイプであり、強さという点では相当なものだ。素早い上にパワーもある。
特攻は高くないので完全物理アタッカーだが、素早いのに馬鹿みたいなパワーで攻撃出来るのが魅力のポケモンと言えるだろう。
「ヘラクロス……欲しいかもです」
「ヘラクロスならヒワダタウンを出た所にあるウバメの森にも生息しているから探してみると良いよ」
ヘラクロスは確かに候補としては十分、それに次のコガネジム対策にも持ってこいのポケモンだ。
「それじゃあ、俺達はそろそろ」
「わかった。二人がジョウトリーグに出場するのを楽しみにしているよ」
「頑張ります」
最後にもう一度だけツクシを握手を交わしてヒワダジムを後にしたソラタとククリはポケモンセンターにてポケモンを預けた後、宿泊手続きをして一泊する。
翌朝にはガンテツの所へ行って注文していたボールを受け取り、そのままヒワダタウンを出てコガネシティに向かう予定だ。
「師匠、今日のジム戦の反省会ってするんですか?」
「当然、まだまだ指摘する点は沢山あるからな」
「はぁい」
ククリも自分の戦術が完璧だったとは思ってないので指摘される事は予想していた。なので不満は無い。
「まずナエトルの使い方だが、これは特に言う事は無いな。俺が教えた戦術をベースに応用を利かせただけでなく、“くさむすび”を使った方法も自分で独自に編み出したんだ」
「えへへ」
「でも、デルビルの使い方には指摘があるぞ」
ソラタ曰く、本来はデルビルでダメージを受ける前提の戦術は取るべきではないとの事。デルビルを使うなら素早さを活かした戦術の方が良い。
確かにストライクは素早いポケモンだが、素早いポケモン相手にスピード勝負の得意なポケモンを敢えてダメージ前提の戦い方に使うのはオススメ出来ないのだ。
「今回は勝てたから良い。でもデルビルの“もらいび”を活かした“ほのおのうず”の使い方も悪くないが、そこに持って行くまでの方法はもう少し考えるべきだったな」
「はいぃ」
こうしてポケモンセンターでジム戦の反省会を行いながら一夜を明かした二人、翌朝にはガンテツの所へ行ってルアーボールと、おまけでスピードボールも1個ずつ貰う事が出来たので、そのままヒワダタウンを後にするのだった。
次回はウバメの森、そこで新たな出会い