ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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今回はゲット回です


第84話 「ウバメの森」

ポケットモンスター

転生したのは初めに旅立った子供

 

第84話

「ウバメの森」

 

 ジョウトリーグに出場する為、旅を続けるソラタとククリはヒワダジムを攻略して無事にインセクトバッジをゲット、次のジムがあるコガネシティを目指して今はウバメの森を歩いている所だった。

 このウバメの森には多くの虫ポケモンが生息していて、ククリのお目当てのポケモンであるヘラクロスも生息しているという情報から、森に入って以降のククリはずっとヘラクロスを探して木の上を見ながら歩いている。

 

「ククリ、上ばかり見てあるいてると」

「きゃあ!?」

「躓くぞって……遅かったか」

 

 案の定、躓いて転んだククリに手を差し出して起こしながらソラタも周囲の木々を見渡した。

 実はソラタはククリが見逃していたヘラクロスを何度か見かけているのだが、あえてククリには教えていない。

 自分で見つけて欲しいというのもあったのだが、見つけたヘラクロスが全部♂だったからというのもあるのだ。

 コガネジムを攻略するのであればゲットするのは♀のヘラクロスの方が良い。ただ、肝心の♀が中々見つからないでいる。

 

「おっとスピアーか……よし、行けリオル!」

 

 周囲を見渡しながら再度歩いていると、野生のスピアーが現れて驚いたのか威嚇しながら臨戦態勢を整えてきたので冷静にリオルをボールから出した。

 

「“でんこうせっか”!」

 

 スピアーが“ダブルニードル”で襲い掛かってきたので“でんこうせっか”で回避を指示、リオルは素早い動きでスピアーの攻撃を回避すると跳び上がってスピアーの背後を取った。

 

「“つばめがえし”!!」

 

 手痛い一撃を受けたスピアーが地面に転がった後、そのまま慌てて逃げだしてしまった。一先ずリオルの勝利という事でボールに戻した後、後ろで見ていたククリに向き直る。

 

「スピアー、欲しかったか?」

「う~ん……虫タイプはヘラクロスが欲しいので、そこまでは」

「そうか……いないな」

 

 相変わらずソラタの視界にはククリが気付かないだけで♂のヘラクロスの姿はある。しかし♀の姿だけが変わらず見当たらないのはどういう事なのか。

 

「あ! 師匠! あれ!! 見つけました!!」

 

 ククリが指さした先、そこには空を飛んでいるヘラクロスの姿があった。しかも角の形がハートの形になっているそれは♀の証。

 

「♀のヘラクロス、やっと見つかったな」

「あれ、♀なんですか? じゃあゲットしなきゃですね! ヨルノズク、お願い!」

 

 ククリがボールを投げるとヨルノズクが出てきて、そのまま真っ直ぐヘラクロスへ突撃していった。

 ヨルノズクの姿に気付いたらしいヘラクロスもこちらへ威嚇しながら角を構えてヨルノズクを迎撃しようとしている。

 

「ヨルノズク! “エアスラッシュ”!!」

「ホォオオオオ!」

 

 ヨルノズクが翼を高速で羽ばたく事で空気の刃がヘラクロスへ向けて発射された。ヘラクロスはそれに対して角を鋼のエネルギーで硬質化させながら迎撃してくる。

 

「“スマートホーン”!? 野生のヘラクロスが! ククリ、あれは絶対にバトルの才能のある個体だ!」

「そうなんですか?」

「俺のライチュウも野生のピカチュウだった頃から自力で“アイアンテール”や“あなをほる”を覚えた程の天才だった……あのヘラクロスは同タイプだな」

「俄然、欲しくなりました!」

 

 ソラタとククリが話している隙にヘラクロスが突っ込んできて角や拳による打撃をヨルノズクに叩き込み始める。

 格闘タイプの大技、“インファイト”だ。野生の個体でこれを覚えているという事は実力も相当だという証。

 

「“リフレクター”!」

 

 “インファイト”のダメージ軽減の為に“リフレクター”を張ったヨルノズク、だがヘラクロスは間違いなく天才だった。

 腕を伸ばしてリフレクターに叩き付けるとガラスが割れるような音と共にリフレクターが叩き割られてしまったのだから。

 

「“かわらわり”……やば、俺まで欲しくなるくらい良い個体だ」

「ヨルノズク! “ぼうふう”!!」

 

 ヨルノズクが起こした“ぼうふう”による竜巻がヘラクロスを飲み込んで上空へと打ち上げた。

 完全にバランスを崩して態勢が整っていない状況のヘラクロスは間違いなく致命的な隙が乗じている。

 

「今! “つばめがえし”!!」

 

 トドメの“つばめがえし”が決まり、ヘラクロスは力無く地面に落ちてしまったので、すかさず先日ソラタから貰ったネットボールを投げたククリは、ヘラクロスがネットボールに入って暫く揺れているのを黙って見つめる。

 やがて揺れが収まって開閉スイッチの赤い点灯が消えると喜びの表情でネットボールを拾い上げた。

 

「やりました! ヘラクロス、ゲットです!」

 

 良いヘラクロスをゲット出来たものだ。野生の時点であれほどの才能を見せられたのだ、これから育てて行けば必ずククリの主力級メンバーとして大成するに違いない。

 

「良い調子だな……俺もこのウバメの森にいる間にリオルを進化させたい所だが」

 

 幸い、野生のポケモンは豊富にいるのがウバメの森だ。リオルと、それからラルトスを育てるには丁度良い場所でもある。

 

「それじゃあ、早速育成開始といくか! リオル、そこのズバットに“しんくうは”!」

 

 ククリがヘラクロスに“いいキズぐすり”で治療を行っている間、ソラタはリオルとラルトスをボールから出して早速手あたり次第に野生のポケモンとのバトルを開始。

 夜になって野宿をした後、翌日には何度目かのバトルをした後、ようやくリオルがルカリオへと進化を果たすのだった。

 

 リオルがルカリオに進化した事で先に進む事になったソラタとククリはウバメの森を出るまでもう少しという所まで来ていた。

 今は近くで見つけた川の傍で休憩と進化したばかりのルカリオの調整を行っている所だ。

 

「“はどうだん”は覚えた。“コメットパンチ”や“ボーンラッシュ”も覚えさせたし、“かげぶんしん”や“つるぎのまい”も覚えたから“めいそう”を覚えさせるか?」

「バゥ」

「ルカリオ、格好いいですねぇ。シロナさんも持っているポケモンだから羨ましいですけど……でも私にはヘラクロスが居ますからね!」

 

 ルカリオを羨ましいと言っていたククリだったが、すぐに自身のヘラクロスの方が良いと彼女に抱き着いて立派な角を撫でる。

 撫でられたヘラクロスも満更でもない様子で照れているので褒められて喜んでいるのは確かなようだ。

 

「バゥ?」

「ヘラクロ?」

 

 すると、ルカリオとヘラクロスが何かに気付いたのか川の上流へ視線を向け、ついでにソラタの膝枕で寝ていたラルトスも起き上がって同じく上流を見つめ出す。

 何事かとソラタとククリも上流の方へ視線を向けてみると、何かが流れてくるのが目視出来た。

 大きい何か……いや、あれはポケモン2匹分の影か。2匹のポケモンがくっついて流れている様に見えるが。

 

「んんんんんん!?」

 

 近くまで流れてきてやっと詳細が確認出来た。確かに2匹のポケモンがくっついて流れてきているらしいのだが……。

 

「リ、リルゥ~」

「ワ、ワガッ」

 

 1匹はみずねずみポケモンのマリル、もう1匹はジョウト御三家の一角、おおあごポケモンのワニノコだった。

 しかも、ワニノコの大きく開かれた口にマリルが嵌っているようで、抜け出せないのかマリルは涙目に、ワニノコも苦しそうにしている。

 

「大変!」

「ラルトス、“ねんりき”であの2匹を引き上げてくれ」

「ラル!」

 

 ラルトスの“ねんりき”で2匹は無事に川から引き上げられてソラタとククリの足元まで運ばれた。

 しかし、何がどうしたらこんな状況になるというのか。一応、マリルをワニノコの口から引っ張り出そうとしてみたのだが、何か引っかかっているのか中々抜け出せない。

 

「え~……油、使うか?」

「でも師匠、油ってもうそろそろ買い足さないと」

「ああ、そっか……ん~」

 

 どうしたものかと二人で悩んでいるとルカリオがソラタとククリの肩を叩いた。

 

「バゥ」

「どうした?」

「バウバゥ」

 

 ルカリオが失礼、とばかりに二人の腰からルアーボールを取って差し出して来た。成程、ボールに入れてゲットしてしまえば引きはがせると言いたいらしい。

 

「よし、なら……ククリはどっちをゲットする?」

「えっと、じゃあマリルで」

「わかった、俺はワニノコだな」

 

 ソラタとククリ、それぞれがルアーボールの開閉スイッチをワニノコとマリルに当てると、見事にそれぞれのボールの中に入った。

 後はゲット出来るか出て来るかは当人たちに任せるだけなのだが、なんと出て来る事も無く一瞬で揺れが収まってしまう。

 

「え!?」

「おいおい、極稀に起きる現象が二人揃ってとか」

 

 ソラタの言う極稀の現象とはモンスターボール等でゲットする際、本来であれば抵抗があってゲット出来ずボールから出てしまう事もあるのだが、その抵抗が無く一瞬で捕獲完了となる現象が起きる事があるというのが報告されているのだ。

 

「あ~……とりあえずワニノコ、ゲットか」

 

 実はヒワダタウンを出る前に一度手持ちに入れていたニドクインをオーキド研究所に預けなおしていた為、手持ちに空きがあったからワニノコはそのまま空きの所へ収まった。

 

「出てこいワニノコ」

「出てきてマリル」

 

 ワニノコとマリルを出してみると、やっと開放されたマリルが泣いて喜び、ワニノコも安心したのかホッと溜息を零していた。

 本当に一体何があってあんな状況になっていたのやら。聞いてもポケモンの言葉が判らないので不明だが、何にしても無事で良かったと胸を撫で下ろす。

 

「さて、特性はっと……」

 

 ついでなのでワニノコとマリルの特性を図鑑で調べてみたところ、ソラタのワニノコは“げきりゅう”で普通の個体だったのだが、ククリのマリルはなんと“ちからもち”の特性を持つ個体だった。

 

「うわ、“ちからもち”マリルとかマジかよ……」

 

 羨ましい。いや、これは本当に羨ましいとしか言えない。偶然とはいえ、ククリは将来化け物レベルになれるマリルをゲットしたことになるのだから。

 更に言えばヘラクロスの“こんじょう”の特性を持っていたので、将来のククリを思うと……背筋にヒヤッとするものを感じてしまう。

 

「師匠?」

「いや、お前は運も味方に付ける事が出来るのかなぁなんて思ってな」

「はぁ……?」

 

 才能もあって、運よく強い個体、理想の個体をゲット出来て、何と言うかククリは天に愛された子なのだろうかと、そう思ってしまうソラタなのであった。




次回は……どうしましょうね。
因みに今回ゲットしたワニノコはサトシがゲットするワニノコとは別個体です。

手持ち
ソラタ
・リザードン
・ニンフィア
・ルカリオ
・デルビル
・ラルトス
・ワニノコ

ククリ
・ナエトル
・ヨルノズク
・ランターン
・デルビル
・ヘラクロス
・マリル
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