ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供   作:剣の舞姫

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今回はククリのコガネジム再挑戦です


第89話 「再挑戦、ククリの更なる成長」

ポケットモンスター

転生したのは初めに旅立った子供

 

第89話

「再挑戦、ククリの更なる成長」

 

 ジョウトリーグに出場する為、旅を続けるソラタとククリは3つ目のジムであるコガネジムに挑戦していた。

 ジム戦1日目はククリが挑戦、ジムリーダーのアカネが繰り出すミルタンクの“ころがる”を前に善戦するも敗北、2日目のソラタは弟子の手本となるバトルを魅せながら見事に勝利を納めて、3日目はジムが定休日なので4日目、3度目の訪問はククリの再挑戦の日である。

 昨日はジムの定休日で丸一日空いていたのでククリは一人で何やら対策を考えてポケモンと調整をしていたらしく、買い物で出掛けていたソラタはククリが何をしていたのかは知らない。どんな対策を練っているのかも知らない状態だが、逆にその方が楽しみが増すというもの。

 

「これより、ジム戦を行います! 使用ポケモンは互いに1体! 先に相手のポケモンを戦闘不能にした方の勝利となります!」

 

 そして、今正にジム戦が始まろうとしていた。既にアカネもククリもトレーナーゾーンに立っており、ソラタは観客席に、中央に審判が立って今回のルール説明をしている。

 今回のルールは互いに使用するポケモンは1体のみ、既に前回のジム戦で3体の内2体を倒したククリにもう一度3体倒してもらう必要は無いというアカネの判断だ。

 

「ほな、ウチは当然この子や! 頼むでミルタンク!!」

 

 アカネのポケモンは当然、前回ククリが倒せなかったミルタンクだ。対するククリはヘラクロスで行くのかと思いきや、手に持っているのはヘラクロスの入っているネットボールではない。

 

「お願い、ハヤシガメ!!」

「ガメェ!」

 

 ハヤシガメ、それはククリの最初のポケモンであるナエトルの進化系ポケモンだ。いつの間に進化していたのか。

 

「そのハヤシガメ、前回のナエトルやな?」

「ええ、昨日トレーニングをしているときに進化したんです」

「ほな、ヘラクロスやなくてハヤシガメにしたんは進化したから勝てる思うたからか?」

「さて、どうでしょう?」

 

 ククリの考えは何となく読める。特にソラタのバトルを見て、ナエトルから進化したハヤシガメを選択した辺り、何となくどのような戦術を考えているのかは理解出来た。

 だが、問題は進化したばかりのハヤシガメが対応出来るのか、ククリの立てた戦術が上手く機能するのか、だ。

 

「ミルタンクVSハヤシガメ、バトル開始!」

「再戦やから容赦せんよ! ミルタンク! “まるくなる”からの“ころがる”や!」

 

 初っ端からアカネは飛ばしていた。お得意の“まるくなる”からの“ころがる”のコンボ、ミルタンクは身体を丸めて回転すると、一気に速度を上げてハヤシガメに迫る。

 ナエトルの時と違い、体重が一気に増えて敏捷性が極端に低下したハヤシガメでは高速で転がるミルタンクの攻撃を回避するのは不可能だ。

 

「“やどりぎのタネ”!」

 

 まずククリが取ったのは先日と同じ“やどりぎのタネ”でミルタンクの体力を奪う戦術だった。

 転がりながらもタネが植えつけられて蔦が身体に絡まって体力を奪われ続けるようになったミルタンクだが、お構いなしにハヤシガメに激突、しかしハヤシガメは少し吹き飛んだ程度で大きく後退はしなかった。

 

「まだまだぁ!」

 

 体力が奪われるのなら攻めの一手だとミルタンクが更に速度を上げて再びハヤシガメに迫る。

 これでは先日の二の舞だが、ククリは何を考えているのか。

 

「今! “まもる”!!」

「っ! そう来たか!」

 

 ミルタンクがハヤシガメに迫った時、ハヤシガメの“まもる”によるシールドが展開されてミルタンクを受け止め、その回転を完全に止めてしまった。

 

「そのまま“くさむすび”!!」

 

 上手い。完全にミルタンクの回転を止めた上で“くさむすび”でフィールドにミルタンクを固定、身動きを封じてしまうとは。

 これでミルタンクは身体に絡まる草を跳ね除けなければ転がる事は不可能、しかも“くさむすび”の草は“やどりぎのタネ”の蔦と複雑に絡まって簡単には抜け出せなくなっていた。

 

「ミルタンク! “れいとうビーム”や!!」

「“まもる”!!」

 

 身動きが取れないなら特殊攻撃技だとばかりにアカネが“れいとうビーム”を指示、ミルタンクが至近距離にいるハヤシガメに“れいとうビーム”を放ったが“まもる”のシールドに阻まれてハヤシガメにダメージは無い。

 

「そのまま“ばかぢから”!!」

 

 なるほど、これはソラタとニドクインが取った戦術のククリなりの模倣だ。完全に同じ方法は使えないが、継続ダメージを与え続けながら“ころがる”を封じて、強力な格闘タイプ技で大ダメージを与える。

 しかもソラタとニドクインとは違い継続ダメージには自身の回復が含まれているので、その点ではククリの戦術の方が着眼点としては優れていると言えるだろう。勿論、まだまだ未熟で、改善するべき点もあるが、現時点で取れる手段としては最適な方法だ。

 

「やるなぁ……こら詰んだか? せやけど、タダでやられるようやったらジムリーダーなんて務まらん! ミルタンク! “ミルクのみ”や!」

 

 アカネはアカネで面倒な事をしてくれた。“ミルクのみ”は回復技、“ばかぢから”と“やどりぎのタネ”、“くさむすび”で減った体力を多少なりとも回復してきた。

 

「ミルタンク、絡まっとる蔦と草を“れいとうビーム”で凍らせるんや!」

「ミルッ!」

 

 アカネの指示でミルタンクが極小の“れいとうビーム”を発射、自身に絡まる草や蔦を凍らせて叩き割ると自由の身になる。

 だがアカネもミルタンクも現状でハヤシガメに対する有効打が無い。再び“ころがる”を使っても同じ方法で止められて、また“くさむすび”で拘束される恐れがあり、そもそも“れいとうビーム”一本では“まもる”に阻まれる可能性が高いのだ。

 

「いや、それでええんかな……ミルタンク、“れいとうビーム”!!」

「“まもる”!!」

 

 仕切り直して放たれた“れいとうビーム”、しかしそれはアカネの予想通り“まもる”によって阻まれたが、それで良い。

 アカネの狙いは“まもる”をあえて使わせる事にあった。“まもる”の弱点を知っているからこそ、そこを突くために。

 

「ええでミルタンク! そのまま連続で“れいとうビーム”!!」

「もう一度“まもる”!」

 

 再び放たれた“れいとうビーム”は“まもる”によって阻まれたが、それを2度、3度と繰り返すと“まもる”のシールドが破られてハヤシガメの背中に“れいとうビーム”が命中、ハヤシガメは背中が凍り付いてしまった。

 

「知っとるやろ? “まもる”は連続で使いよったら失敗する可能性が高くなるんや、鈍足のハヤシガメやと“まもる”を破られてもうたら回避もよう出来ん」

「っ!」

「攻撃技を全部物理攻撃に絞ったんがアカンかったな! ミルタンク! トドメの“れいとうビーム”や!」

 

 絶体絶命、遠距離からの攻撃一本に狙いを絞ったアカネとミルタンクにハヤシガメは成す術が無い。

 トドメに放たれた“れいとうビーム”がハヤシガメに迫る中、ククリの目は……諦めていなかった。

 

「ハヤシガメ! 地面に向かって“ばかぢから”!!」

「ガメェ!!」

「何する気や!?」

 

 地面に向けてハヤシガメの“ばかぢから”が炸裂、フィールドが陥没してハヤシガメが陥没した地面に落下、その直上を“れいとうビーム”が通過して見事回避に成功したのだ。

 

「そんなアホな!?」

「今だよ! もう一度“くさむすび”!!」

「ガァメェ!!」

 

 まさかの回避方法にアカネが驚愕している隙に、ククリとハヤシガメが動いた。ハヤシガメの足元から伸びた草がミルタンクへと伸びて全身に絡まり、そのまま手繰り寄せるように陥没の中へと引きずり込んだのだ。

 

「ミルタンク!? 逃げるんや!!」

「そのまま絡めて! 引き付けながら“ばかぢから”!!」

 

 何とか逃げ出そうと藻掻くミルタンクに更に草が絡まってハヤシガメの下へと引きずり込まれていく。

 そして、目の前までミルタンクが引きずられている所にハヤシガメの“ばかぢから”が決まり、同時に草が緩んでミルタンクが陥没の中から吹き飛ばされてアカネの足元まで転がって来た。

 

「ミ、ミル~」

「ミルタンク……」

「ミルタンク、戦闘不能! ハヤシガメの勝ち! よって勝者、ワカバタウンのククリ!!」

 

 目を回すミルタンクに審判が戦闘不能と判断、ククリ側の旗を振り上げてククリの勝利を宣言する。

 見事、アカネのミルタンクに勝利して、ククリはコガネジムを制覇、喜びながらククリは陥没の中にいるハヤシガメへ駆け寄って抱き着いた。

 

「やったよハヤシガメ!!」

「ガメェ」

 

 流石に体力が限界なのかハヤシガメも緊張の糸が途切れて深いため息を零しつつ抱き着いてきたククリに笑顔を返す。

 そんな二人を見てフッと笑みを零したアカネはミルタンクをボールに戻しつつポケットから目的の物を取り出すと陥没の所まで歩き、ククリに向けて手を差し出した。

 

「ほら、そんなとこおらんと、出ぇや」

「は、はい!」

 

 アカネの手を取って陥没から出てきたククリと、その足元に続いて歩いて出てきたハヤシガメ、その姿を確り確認したアカネは改めて右手に握っていたレギュラーバッジを差し出す。

 

「ええ試合やった。コガネジム制覇の証、レギュラーバッジを託すんに相応しいバトル、見せてもろたで」

「あ、ありがとうございます!」

 

 初心者キラーと名高いコガネジム、一度は敗北したものの、折れる事なく再挑戦して勝利を納めたククリは、また一つトレーナーとして成長を見せた。

 観客席でそんな弟子の姿を眺めていたソラタは笑みを浮かべて弟子の成長を喜んだ。師匠であるソラタの戦い方を自分流で再現して見せただけでなく、それを破られてからの機転の利かせ方、そのどれもが目を見張るもの。

 着実に強くなっている弟子の姿に師匠として負けてられないという気持ちと、何よりいつか全力の自分と戦えるまでに成長して欲しいという願望を抱いた。

 ライバルであるシズホとは別に、全力で戦える日が来るのが楽しみで仕方がない弟子の存在に、ソラタのトレーナーとしての本能が熱くなるのを感じながら、観客席から立ち上がって弟子の下へと向かうのだった。




次回はコガネシティを出て旅再開、ついに懐かしい人物との再会と、そして待ち受ける修羅場……。ソラタ、刺されないと良いね。


手持ち
ソラタ
・ギャラドス
・キレイハナ
・デルビル
・ラルトス
・ツタージャ
・ワニノコ

ククリ
・ナエトル→ハヤシガメ
・ヨルノズク
・デルビル
・ヘラクロス
・マリル
・メリープ
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