ポケットモンスター 転生したのは初めに旅立った子供 作:剣の舞姫
ポケットモンスター
転生したのは初めに旅立った子供
第93話
「国際警察」
ジョウトリーグに出場する為に旅を続けるソラタとククリ、道中ソラタのライバルであるシズホと再会してエンジュシティまで同行する事になった。
途中、立ち寄った街でジュンサーさんからポケモンの違法オークションの話を聞いてロケット団、そしてポケモンハンター・グスタフが街に潜んでいる可能性がある事を聞かされて調査協力をする事に。
街を散策して間違いなく近日中にオークションが開催されるであろう事を突き止めた三人は更に調査を進めていった。
「ゲンガ!」
暫く散策していると、ソラタ達の足元からソラタのゲンガーが出てきた。どうやら地下の探索を終えたらしく報告に来たようなのでソラタはキルリアを出す。
すると、ゲンガーがキルリアに何やら話しかけて、キルリアは何度か頷くとソラタに屈んで欲しいと合図してきた。
「ああ、なるほど」
キルリアを含めたラルトスの進化系は人に感情や考えている事を伝える超能力が使える。キルリアは己の額とソラタの額を合わせるとその超能力でゲンガーが伝えて来た事をイメージでソラタに伝えてくれたのだ。
「なるほどな……場所は判った。ゲンガーは捕らわれてるポケモンも確認したんだな?」
「ゲン!」
「ゲンガー、その様子を思い浮かべながらキルリアの手を握ってくれ」
「ゲンガッ!」
ゲンガーがキルリアの手を握ると、今度はソラタの脳裏に映像のようなイメージが浮かび上がる。
どこかの地下空間、そこに並べられた無数の檻籠と、その中に閉じ込められているポケモン達の姿、それがゲンガーの見て来た場所の様子らしい。
「これは……随分と」
「ソラタさん、失礼しますね」
すると、シズホがソラタの肩に手を置いて目を閉じる。どうやらソラタを通じてキルリアの送ってくるイメージを自分も見るつもりのようだ。
「酷い……ざっと見ても30~40匹くらいでしょうか」
「それくらいだな。カントーやジョウトに生息していないポケモンが若干多いか?」
主にホウエンやシンオウにしか生息していないポケモンが多いように見える。それと、ポケモンの毛皮などという言葉にするのも胸糞悪くなる品物も見えた。
「よし、もう良いぞキルリア、ゲンガー、ありがとう」
仕事は終わったとばかりにソラタの背中に抱き着いたキルリアに苦笑しつつゲンガーをボールに戻すと、丁度シズホもクロバットが戻って来たようで同じようにボールに戻していた。
「クロバットも“ちょうおんぱ”で見つけた地下空間の場所を覚えたそうですので、一度ジュンサーさんの所へ行きましょうか」
「だな、報告して今後の事を話そう」
街の地図にクロバットが調査して判明した地下空間を赤塗りで記入しつつポケモンセンターに戻る三人、記入して判明した事だが随分と広い空間が街の下に広がっている事に驚いた。
その後、調査結果をポケモンセンターで待機していたジュンサーさんに報告する。
最初から険しい表情でソラタ達の話を聞いたジュンサーさんは無線で何かを報告した後、ソラタ達に改めて向き直った。
「実は、国際警察の方も先ほど到着しているのよ。それで貴方たちには国際警察の方と協力して今夜、地下空間へと侵入してポケモン達の救出と恐らくはいるであろう犯罪組織、それからもし居たらグスタフの捕縛まで手伝って頂戴」
了承すると、早速だが到着したばかりだという国際警察の捜査官を紹介してもらう事となった。
ポケモンセンターの一室で荷解きをしているという事なので、ジュンサーさんに案内してもらい、部屋まで行くと丁度中から一人の男性が出て来る。
「あ、丁度良かったハンサム捜査官!」
「これはジュンサーさん、そちらは?」
「こちら今回、この街のポケモン売買捜査に協力頂いているトレーナーで、ポケモンリーグ・セキエイ大会準優勝者のシズホさん、ベスト4のソラタ君、ソラタ君の弟子のククリさんです」
「ほう? はじめまして、私は世界を股にかける国際警察のメンバー、コードネーム・ハンサムである!」
国際警察のハンサム、ソラタにはその名に覚えがあった。前世ではアニメやゲームで時々登場していた国際警察キャラとして、今世では父の仕事の関係で。
「ハンサムさんのコードネームは存じてます。初めまして、マサラタウンのソラタです……ハンサムさんにはポケモン協会理事タツユキの息子って言えばわかりますか?」
「……おお! タツユキさんの御子息か! 実は初めましてではないのだが……君と会ったのは、まだ君が生まれて間もない頃だったから覚えてないかな?」
流石にそれは覚えてない。ソラタがこの世界で前世の記憶を取り戻すと同時に自我が芽生えたのは1~2歳くらいの時だったのでハンサムに会った記憶は無いのだ。
「しかし、そうか……あの赤子がポケモンリーグでベスト4になるほどに成長していたのか……時が経つのは早いものだ」
ポケモンリーグ・セキエイ大会の準優勝者とベスト4という実力者が協力してくれるのなら有難いとハンサムはソラタ達の捜査協力に了承してくれた。
尚、実力的にはまだ不安が残るククリだがソラタから才能は間違いなくあるし、実力も現時点で未熟ではあれど足を引っ張る事は無いと太鼓判を押されたので信用してくれる。
それに、いざとなればポケモンを持っていないハンサムの護衛をククリが担当するれば危険も少ないだろうと判断したのだ。
「潜入決行は今夜、街に集まった金持ち達の動きから恐らく今夜にはオークションが開催されると見て間違いない」
「でしょうね。俺とシズホも同じ意見です」
「うむ、潜入後は私とククリさんが捕らわれたポケモン達の開放を行う……危険が大きい役割だが、ソラタ君とシズホさんにはジュンサーさん達と共に集まった参加者やオークション運営の捕縛、そしてもし現れたのならポケモンハンター・グスタフの無力化をお願いしたい」
「承知致しました」
現状、ジュンサーさんを含めた警察と比べてもソラタとシズホの実力は遥かに上だ。
グスタフはトレーナーとしての腕前も相当だと聞いているので、相対する場合はソラタとシズホしか相手にならないだろう。
「夜まで時間がある。準備は今のうちにしておいてくれ」
そう言われたのでソラタとシズホはそれぞれオーキド研究所とウツギ研究所に預けているポケモンと手持ちの入れ替えを行う事にした。
ポケモンハンター・グスタフの相手をするのに主力パーティーの方が都合が良いだろうと二人ともポケモンリーグ・セキエイ大会以来の久しぶりとなる主力パーティー勢ぞろいだ。
とはいえ、離れる事を嫌ったキルリアとグスタフと因縁のあるデルビルだけ手持ちに残したので、ライチュウとキレイハナを送って貰う事を取り止めたので、正確にはソラタだけ勢ぞろいとはならなかったのだが。
「ソラタさん、キルリアは大丈夫ですか?」
「う~ん……正直、困ってる。心の傷が癒えてないのは確かなんだが、少しばかり俺に依存気味になってしまっているんだよなぁ」
キルリアの抱き着き癖もソラタに対する依存から来るものだ。
「まぁキルリアの問題は追々だ。今は目の前の事に集中しよう、幸いにしてキルリアも十分役に立つから色々と潜入後の予定も立てやすい」
「テレポート、ですね。確かにキルリアのテレポートは脱出手段としては十分過ぎる程ですし、良いかもしれません」
戦力という点ではソラタとシズホには主力ポケモンのメガシンカがある。この時点で相手が四天王クラスでもない限り、負ける事はあり得ないだろう。
「そういえばソラタさん、気になっていたのですが」
「ん?」
「あのハンサム捜査官、国際警察という立場なのにポケモンを連れていないのは何故なのでしょうか? 確かに国際警察には一般には出回らない特殊な道具が支給されているという話は聞いた事がありますが、それでも限度があります」
「それか……」
確かに犯罪者を追う捜査官が道具だけに頼りポケモンを連れていないというのは妙な話だと思うだろう。
だが、ハンサムは嘗てはパートナーポケモンが居て、共に犯罪者を追っていた過去があるのだ。
「グレッグル、それがハンサム捜査官のパートナーだったポケモンだって聞いている」
「グレッグルですか、良いポケモンですね」
「ああ、毒と格闘の二つのタイプから遠近両方に対応可能なポケモンだからな。ドクロッグに進化したら物理攻撃が跳ね上がるから近距離型になってしまうけど、十分強いポケモンだ」
しかし、そんなハンサム捜査官のグレッグルも、かつて任務の途中で殉職したという。それ以来、ハンサム捜査官は新たなパートナーを迎える事は無く、単身で任務に従事しているのだ。
「父さんから聞いた限りの話だから、本当の所はハンサム捜査官に聞かないとわからないけどな」
「おいそれと聞ける話ではありませんね」
本当にその通りだ。なのでこの話はここまでにしてソラタとシズホは夜に備えて食事しているハンサム捜査官とククリの所へ向かうのだった。
夜、この小さくもなく大きくもない、ごく普通の街の地下で違法オークションが開催される。
夜闇に紛れながら街を走り、目的の地下への侵入口へ辿り着いたソラタ、シズホ、ククリ、ハンサム捜査官、ジュンサーさん含む警察隊は先ず予め決めていた通りに別れて行動する為に二手に分かれた。
「まず捕らわれたポケモン達の救助には私、ハンサムとククリさん、それに警察隊半数が向かう。それからオークション参加者、主催者、ハンターの捕縛にはソラタ君、シズホさん、ジュンサーさん含む警察隊残り半分が」
既に全員、作成してコピーした地下の地図を持っている。通信機もハンサム捜査官から国際警察の道具として使っている特別性の物が配られているので、準備は整った。
「では、行くぞ!」
次回は早速現れた敵にソラタとシズホの最強タッグが牙を剥く。